【半導体】インテル(INTC)は事業分割するべき?クレイグ・バレット元CEOは事業分割案に反対?

- 本稿では、足元でよく耳にする「インテル(INTC)は事業分割するべき?」という疑問に答えるべく、クレイグ・バレット元CEOによる直近の事業分割案に対する見解の詳細な分析を通じて、私の見解、並びに、今後のインテルの見通しを詳しく解説していきます。
- インテルの元CEOであるクレイグ・バレット氏は、インテルの分割案に反対し、同社の技術力の向上を強調しました。しかし、彼の主張には希望的観測が含まれており、実際の競争優位性には疑問が残ります。
- インテルのエンジニアがLinkedInに投稿した技術進捗に関する記事が削除され、同氏のプロフィールも消えたことが話題になっています。これはインテルの慎重な情報開示方針と関係があると考えられます。
- インテルはオハイオ州の旗艦工場の建設を5年延期することを発表しました。これにより、経営戦略の見直しが必要とされる中、同社の財務状況やリーダーシップに対する懸念が高まっています。
インテル(INTC)の元CEOクレイグ・バレット氏の事業分割案に関する見解
3月1日、インテル(INTC)の元CEOのクレイグ・バレット氏が、自身の元取締役メンバーによる同社の将来に関する意見記事に対して反論を投稿しました。詳細はこちらです。
「インテルは復活した――分割の議論はやめるべきだ」クレイグ・バレット氏
(出所:Fortune)
これで彼が「インテルを分割すべきではない」という自身の見解を改めて示したのは2回目になります。元同僚たちが分割を提唱する中での発言です。少し挑発的な見出しですが、その背景には、おそらく最近報じられた同社の高NAリソグラフィに関する進展が影響していると考えられます。それに加えて、インテルのエンジニアがLinkedInに投稿した「18Aプロセスの進捗」に関する記事がありましたが、その投稿とプロフィールはその後、不可解にも削除されています。
さらにバレット氏の発表タイミングはやや不運でした。というのも、先週報じられたニュースの中には、インテルがオハイオ州の旗艦工場の建設を一時停止するというものがありました。それに加え、共同暫定CEOのミシェル・ジョンストン・ホルタウス氏がインテルと締結した新たな雇用契約も話題になっています。この契約は、かなりの内容です。
本稿では、取り上げるべきことが多くありますので、早速詳しく見ていきましょう!
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バレット氏はまず、自身の立場を明確にしています。
「私は、インテルがファウンドリー事業をTSMC(TSM)に売却すべきではないという彼らの意見には賛成します。しかし、インテルを分割すべきだという主張には強く反対します。」
その後、彼は彼らがインテルの将来について意見を述べる資格があるのかという点について、皮肉を交えた発言をしています。
「取締役メンバーは善意で発言しているのでしょうが、的外れです。彼らは2人の学者と2人の元官僚であり、熾烈な競争が繰り広げられる半導体業界で戦略を指示するのに最適な人材とは言えません。」
痛烈ですね!では、彼らがインテルの取締役として長年在籍してきたことは、この問題について意見を述べる資格にならないのでしょうか? ここで皮肉なのは、今回名指しされた4人の取締役のうち、デビッド・ヨフィー氏とリード・ハント氏の2人は、バレット氏がCEOを務めていた当時のインテルの取締役でもあったことです。もし今の彼らの意見が信用できないのなら、なぜ当時バレット氏は彼らの取締役としての在籍を容認していたのでしょうか?
続いて、バレット氏は、最近退任したパット・ゲルシンガー前CEOが素晴らしい仕事をしたと評価し、インテルの先端技術はTSMCの2nm技術と同等であると主張しています。
「過去3年以上にわたってインテルを率いてきたパット・ゲルシンガー氏(彼は2か月前に突然解任されました)は、技術開発チームの立て直しにおいて素晴らしい成果を上げました。そして現在、同社の最先端技術はTSMCの2nm技術と同等の水準にあります。」
これは確かに大胆な主張ですね!まるで、パット・ゲルシンガー氏が今も指揮を執っていれば口にしそうな発言のように聞こえます。理論上はバレット氏の主張にも一定の根拠があるかもしれませんが、実際のところ、それは希望的観測に過ぎません。18Aプロセスが高い歩留まりで大量生産に成功するまでは、バレット氏の主張は単なる願望でしかありません。
また、彼には時間があれば、インテルが20Aプロセスノードを廃止した理由についても掘り下げてみることをお勧めしたいところです。この件については、数か月前に下記の詳細なレポートを執筆していますので併せてご覧ください。
前述のとおり、彼は続けて、高NA EUVの進展をインテルの重要な技術的成果として挙げています。
「さらに、インテルは最新のイメージング技術である高NA EUVリソグラフィにおいても優位性を持っています。現在、同社はこの技術を用いて数万枚規模のウェハーを処理しています。また、複雑なチップへの裏面配線による電力供給技術でもリードしています。これらの成果は、次世代のシリコン技術にとって極めて重要な要素となります。」
おそらく彼は、直近発表されたこのテーマに関する報告に言及しているのでしょう。詳細はこちらです。
インテル、高NA EUVリソグラフィ装置で3万枚のウェハーを処理
(出所:Tom's Hardware)
その報告書には、次のように記されています。
「インテルは昨年、オレゴン州ヒルズボロ近郊にあるD1開発工場に、ASML製の高NA EUVリソグラフィ装置を2台導入し、運用を開始しました。そして現在までに、これらのシステムを使用して最大3万枚のウェハーを処理したことを、インテルのエンジニアであるスティーブ・カーソン氏がSPIE Advanced Lithography + Patterningカンファレンスで明らかにしました。」
実際のところ、インテルは高NA EUVを本格的な生産には使用しておらず、あくまで研究開発施設で試験的に運用している段階です。ここで競争優位性が生まれるわけではありません。なぜなら、TSMCも同様に高NA EUV装置を導入し、試験運用を進めているからです。
(出所:Google)
それはTSMCに限った話ではありません。サムスン電子(005930.KS)、SKハイニックス(000660.KS)、マイクロン・テクノロジー(MU)もすでに高NA EUVを採用し、それぞれの3億5000万ユーロ規模の装置を使って初期段階の研究を進めています。したがって、バレット氏、残念ながらインテルがこの分野で先行しているとは言えません。
また、バレット氏の「インテルを分割すべきでない」という主張の大部分は、一種のトリックに基づいています。彼は、インテルがTSMCと同等の技術レベルにあるという話から、いつの間にか「インテルが最先端技術を持っている」という話にすり替えています。そして当然のように「最先端技術を持つ企業が勝つ」という結論へと導いているのです。
「インテルは技術面では復活しています。依然として独立系チップ設計企業を引きつけるのに苦戦していますが、TSMCのような競合と戦えるだけの技術力と製造ノウハウを備えています。では、技術面で復活したインテルを、複数の大陸に10万人以上の従業員を抱える企業であるにもかかわらず、分割するメリットはどこにあるのでしょうか?」
「インテルが過去のファウンドリー事業で失敗した理由は単純で、競争力のある技術を持っていなかったからです。最先端技術が勝つのは当然で、旧世代の技術を使っていては競争力を失ってしまいます。」
その後、彼はしぶしぶながら、インテルが最先端のファウンドリーとして選ばれる存在になるためには、まだいくつか解決すべき課題があることを認めています。
「もちろん、インテルは優れたカスタマーサービスの提供、公正な価格設定、生産能力の保証、そしてチップ設計部門とファウンドリー顧客との明確な分離を実現する必要があります。しかし、それでも最先端の技術を持つ企業が勝つという事実に疑いの余地はありません。」
「かつてインテルは技術とチップ設計の両方で業界をリードしていました。現在、AIアプリケーションへの対応においてはチップ設計で依然として苦戦していますが、製造技術の面では確実に復活を遂げています。」
その後、彼はインテルがTSMCから市場シェアを獲得することについて語りたがっています。
「ですから、インテルの分割を唯一の解決策として語るのはやめましょう。代わりに、インテルの技術的な復活を基盤として、同社がTSMCのハイエンドファウンドリー事業のシェアを奪う可能性について議論すべきです。」
それがうまくいくといいですね。そもそも、TSMCに挑むという決断こそが、インテルを現在の苦境に追い込んだ要因の一つでした。
バレット氏は最後の段落で、この機会を利用して、現在のインテルの取締役会に同社の問題の責任があると非難しています。
「その過程で、インテルの取締役会についても懸念すべきかもしれません。過去10年間にインテルが直面した状況について、最終的な責任を負うのは彼らなのです。」
ここについては、彼の指摘は間違っていません。その後、彼はインテルに対して個人的な愛着があることを認めていますが、それは十分理解できます。そしてその後、再び元取締役メンバーと彼らのインテルに関する意見に対して痛烈な批判を加えています。
「はい、私はインテルに対して感情的な愛着を持っています…。」
「彼らが業界のリーダーとしての地位を失ったことには失望しています。しかし、それ以上に残念なのは、半導体業界の複雑さを無視し、安易な解決策を唱える人々の存在です。」
安易な解決策について言えば、バレット氏の書簡のどこにも、彼の提案に関する最も重要な問題には触れられていません。つまり、彼が称賛してやまない元CEOこそが、インテルの数多くの問題を解決しつつ、同時にTSMCと競争しようとする無謀な野心によって、すでに会社を崩壊寸前に追い込んでしまったという点です。
私はむしろ、インテルを現状のまま放置し、ファウンドリー事業での成功という愚かな道を進み続けさせるというバレット氏の提案こそ、極端に単純すぎる解決策だと考えます。
彼の最後の段落は、そのあまりの単純さに驚かされるほどです。
「インテルの分割を発表した瞬間に、成功に必要な勢いとリソースを失ってしまいます。私の考えでは、はるかに優れた選択肢は、インテルの取締役会を解任し、パット・ゲルシンガー氏を再び雇用して、彼がここ数年間見事に進めてきた仕事を完遂させることではないでしょうか。」
インテルの取締役会に大きな責任があることは疑いようがありません。しかし、バレット氏は一体誰が彼らを解任できると考えているのでしょうか?
また、ゲルシンガー氏のCEO復帰を望むのは、「彼がやり遂げようとした仕事を完遂するため」というよりも、むしろ「問題を引き起こした現場に戻るようなもの」と言えるでしょう。
インテル(INTC)社員の消えたLinkedInプロフィール
2月20日、Hillsboro Herald紙は、インテル(INTC)のエンジニアであるジョセフ・ボネッティ氏が、同社の技術的リーダーシップを擁護する投稿をLinkedInに掲載したという、少し異例のニュースを報じました(詳細はこちら)。
しかし、そのLinkedInの投稿はすでに削除され、ボネッティ氏のプロフィール自体も消えています。ただし、まだこちらで確認できます。
その投稿の冒頭で、ボネッティ氏は次のように述べています。
「最近、インテルのファウンドリー事業とTSMCの合弁や、TSMCへの完全売却の可能性に関する記事がいくつか出ていますが、その中にはインテルの技術的な現状について誤った記述が多く見られます。」
「たとえば、多くの記事では「TSMCのエンジニアがインテルに来て、ノウハウを共有し、インテルの“3nm”や“2nm”ノードの開発を支援する」と書かれています。え? インテルの“3nm”ノードであるIntel 3は、すでに数か月前から量産されており、最新のXeon 6チップにも使用されています。」
「また、インテルの“2nm”ノードであるIntel 18Aは最終段階に近づいており、順調に進捗しています。現在、ノートPCメーカー向けにサンプル提供が始まっており、今年後半にはPanther Lakeチップに搭載される予定です。」
「では、TSMCの“2nm”ノードであるN2はすでに稼働しているのでしょうか? いいえ、どちらの企業も現時点では“2nm”ノードを本格稼働させていません。しかし、インテルの方がTSMCよりも先に量産化にこぎつける見込みです。」
ここまでは順調です。
同じような内容が数段続いた後、彼は最後に情熱的な訴えで締めくくっています。
「インテルの経営陣、取締役会、そしてトランプ政権の皆さん、どうかインテルのファウンドリー事業をTSMCに売却したり、支配権を渡したりしないでください。インテルは今まさに技術的なリードを取り始め、ギアを上げようとしている段階です。ここでその道を断つのは、士気を大きく損なう取り返しのつかない誤りになります。」
ボネッティ氏の主張が正しいかどうかは、皆さん自身で判断できるでしょう。しかし、彼は基本的にインテルを擁護しているだけであり、意見を持つ権利はあるはずです。それなのに、なぜ投稿が削除され、LinkedInのプロフィールまで消されたのでしょうか?
私には、これは彼の上司が法務部と連携して指示したもののように思えます。しかし、なぜそこまでする必要があったのでしょうか? その答えは、彼の投稿の次の一節にあるのかもしれません。
「インテルのファウンドリー事業は、まず自社製品でその実力を証明しようとしており、その後すぐにマイクロソフト(MSFT)やアマゾン(AMZN)といった18Aプロセスの初期顧客による実績が続く見込みです。この成功が世界に認知されれば、名だたる企業がインテルのファウンドリーに生産を移すことになるでしょう。」
ご覧のとおり、ボネッティ氏はインテルの内部関係者として、同社のファウンドリー事業がマイクロソフトやアマゾンといった大手企業とともに大きな成功を目前にしていると考えていることを述べています。一見すると問題のない発言のように思えますが、実際には、暫定共同CEOのデビッド・ジンスナー氏とミシェル・ジョンストン・ホルタウス氏が新たな役職に就いた直後に示した方針とは矛盾しています。この点については、下記の分析レポートで詳しく解説しておりますので、インベストリンゴのプラットフォーム上より併せてご覧ください。
「私たちは、成功の初期兆候について語るのではなく、重要なマイルストーンを達成した後にお伝えする方針を取っています。それが私たちの考え方です。」
つまり、ボネッティ氏はインテルのファウンドリー事業の成功を予測する中で、意図せず「慎重な姿勢を保つ」という新たな方針に反してしまったのです。
法的な観点から見れば、これは理解できます。もしインテルの経営陣がファウンドリー事業に関して発言し、その内容が後に根拠のないものと判明した場合、不満を抱いた株主がさらなる訴訟を起こす可能性があるからです。実際、ジンスナー氏のもとにはすでにそのような訴訟がひとつ提起されていることを忘れてはなりません(詳細はこちら)。
「この訴訟は、インテル株を2,000株保有するLR Trustによって、カリフォルニア州の連邦裁判所に提起されました。訴状では、連邦証券法の違反、受託者責任の違反、およびその他の不正行為が、同社および株主に「重大な損害」をもたらしたと主張されています。」
「特にLR Trustは、インテルのファウンドリー事業に問題があると指摘しており、これにはオハイオ州ニューアルバニーで建設中のインテルの工場も含まれています。」
インテル(INTC)のオハイオ工場の建設延期
2月28日、インテル(INTC)はオハイオ州の旗艦キャンパスの建設進捗について最新情報を発表しました。(詳細はこちら)。
Ohio Oneの建設スケジュール最新情報
厳密に言えば、これは進捗報告というよりも、「工事の完了が2030年まで遅れる」という事実を明らかにする内容でした。
「その方針に基づき、オハイオ州の2つのファブのスケジュールを調整することにしました。具体的には、Mod 1の建設完了を2030年とし、2030年から2031年の間に操業を開始する計画です。Mod 2については、2031年に建設を完了し、2032年に操業を開始する予定です。」
「私たちは、財務的に健全な形でこのプロジェクトを完遂し、Ohio Oneを将来的にも成功に導くために慎重なアプローチを取っています。そのため、建設をよりゆっくりと進める方針ですが、一方で顧客の需要次第では作業を加速し、早期の操業開始を実現する柔軟性も維持しています。」
「現時点の計画について、皆さんに正直かつ透明性をもってお伝えしたいと思います。」
新しいファブの建設スケジュールが延期されるのは、インテルではよくあることです。私自身、これを何度も経験してきました。しかし、通常の延期は3~6か月程度の範囲に収まるものです。
では、オハイオ州のファブの場合、どれほどの延期が発生しているのでしょうか?
こちらが2022年1月、今から3年以上前に発表されたオハイオ州への投資計画の当初の発表内容です。(詳細はこちら)
「2022年1月21日に発表されたこの200億ドル規模のプロジェクトは、約1,000エーカーにわたる広大な敷地で進められ、オハイオ州史上最大の民間投資とされています。」
「当初の計画では、2022年末に建設を開始し、2025年末に生産を開始する予定でした。」
つまり、5年の延期ということになります。これは驚くべきことです。もはやプロジェクトの実質的な中止に等しいとも言えるでしょう。また、これはゲルシンガー氏の「先行投資による工場建設戦略」に対する痛烈な批判ともなります。
私の推測ですが、インテルはすでに約50億ドルをこのファブに投じており、その用途が見つからないまま、このままでは10年の終わりまで稼働できない可能性が高いのではないでしょうか。あるいは、永遠に使い道が見つからないかもしれません。
バレット氏はこの状況をどう思っているのでしょうか? それでもなお、ゲルシンガー氏の復帰は素晴らしい考えだと思うのでしょうか?
ちなみに、昨年9月には、インテルがドイツ・マクデブルクのファブ建設を2年延期すると発表しています。(詳細はこちら)
ドイツ:インテル、マクデブルク工場の建設を延期
(日本語訳)米半導体大手インテルは、コスト削減策の一環としてマクデブルク工場の建設を2年延期しました。これに対し、ドイツのクリスティアン・リントナー財務相は、補助金として確保されている資金を連邦予算の穴埋めに充てるよう求めました。
「私たちは予想される市場需要に基づき、ポーランドとドイツのプロジェクトを約2年間停止することにしました。」
一方で、アイルランドでは、インテルがレイクスリップ・キャンパスに対するさらなる財政支援を求めているとの報道が出ています。(詳細はこちら)
「The Sunday Timesは、インテルが政府に対し、アジア諸国との競争が激化する中で半導体産業の将来に警鐘を鳴らしたと報じています。」
「情報公開法に基づいて公開された文書によると、経営が苦境にあるインテルは昨年12月、当時の公共支出大臣であるパスカル・ドノホー氏に対し、「競争力のあるインセンティブプログラム」の導入を求める書簡を送っていたことが明らかになりました。これは、アイルランドが半導体産業にとってより魅力的な投資先となるための施策を強化すべきだという要請です。」
「インテル・アイルランドの政府渉外担当責任者であるレナード・ホッブス氏は、フィナ・ゲール党の国会議員に対し、一部のアジア諸国では、アイルランド政府の支援機関であるIDA Irelandが提供する1億〜1億2000万ユーロの支援をはるかに上回るインセンティブを提供していると指摘しました。」
「ホッブス氏は、アイルランド政府は半導体メーカーを「誘致し、維持する」ための包括的かつ競争力のあるプログラムを検討すべきだと述べています。」
ミシェル・ジョンストン・ホルタウス氏のインテル(INTC)における新たな雇用契約
オハイオやマクデブルクの工場建設延期が、インテル(INTC)の財務的な厳しさを示しているとすれば、そのような制約はMJ(ミシェル・ジョンストン・ホルタウス氏)の新たに交渉された雇用契約には一切適用されていません。
「2024年12月1日、インテルはミシェル・ジョンストン・ホルタウス氏をIntel Products事業のCEOに任命しました。」
「この任命に伴い、インテルは2025年2月28日にホルタウス氏との契約書(「合意書」)を締結し、給与引き上げと雇用条件の詳細を定めました。」
「2025年1月1日より、ホルタウス氏の年間基本給与は100万ドルに増額され、年間の現金ボーナスターゲット額は基本給与の200%(200万ドル)へと引き上げられました。また、年間の長期インセンティブ株式報酬のターゲット額は約1,600万ドルに増額されました。」
「さらに、一度限りの制限付き株式ユニット(RSU)の付与も受けており、そのターゲット額は約500万ドルとなっています。」
現在のインテルの状況を考えれば、経営陣の報酬を全面的に凍結するのが適切ではないかと考えるのが普通かもしれません。しかし、インテルではそうはなりませんでした。
MJは1996年にインテルに入社し、10年以上にわたり経営幹部としての役職を務めてきました。彼女は2013年にVP(副社長)に昇進し、2016年にはコーポレートVP(企業副社長)、2017年にはシニアVP(上級副社長)、そして2019年にはエグゼクティブVP(最上級の副社長職)に就任しました。
では、彼女には現在のインテルの状況に対する責任があるのでしょうか? 最新の雇用契約を見る限り、その責任は問われていないようです。
興味深いことに、もう一人の暫定共同CEOであるデビッド・ジンスナー氏の新たな雇用契約に関する情報は一切報じられていません。
インテル(INTC)に対する結論
バレット氏は、おそらくインテル(INTC)最後の偉大なCEOだったと言えるでしょう。彼は、創業者3名がCEOを交代しながら経営を担った時代と、それに続く新たな時代との橋渡しをしました。
彼は材料科学の技術的バックグラウンドを持っていましたが、CEOに就任する前の主な役割は、インテルの製造プロセスの効率化でした。例えば、新しい製造プロセスを研究開発(R&D)から量産へスムーズに移行させるための「Copy Exactly」という手法を導入したのは、バレット氏の功績です。
バレット氏の在任期間中、ゲルシンガー氏のキャリアも順調に進展しました。彼は2000年1月にインテル初のCTO(最高技術責任者)に任命されています。
(出所:LinkedIn)
バレット氏とゲルシンガー氏は、当時から非常に良好な関係を築いていたことは間違いありません。そして、その関係は今も続いていると考えられます。だからこそ、彼はゲルシンガー氏を擁護し続け、彼のもとでインテルがかつての栄光を取り戻すことを願っているのでしょう。しかし、残念ながらその時代は過ぎ去り、二度と戻ることはないと考えざるを得ません。
バレット氏が現実を直視すれば、インテルを現状のまま維持し、ゲルシンガー氏を復帰させるという主張には合理性がないことが明らかになるはずです。
✅ オハイオ工場の5年延期
✅ AIブームの波に乗れず、エヌビディア(NVDA)のような成功を収められなかったこと
✅ MJとの破格の新雇用契約
こうした事実を踏まえれば、何かしらの変革が必要であることは明白です。
インテルに必要なのは何なのか。次に何が起こるのか、インテルを温かく見守るとともに、皆様にはレポートの執筆を通じて、常に同社に関する最新の情報をお届けしていきますのでお見逃しなく!
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アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング
📍半導体&テクノロジー担当
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