やや強気アトラシアン クラスAアトラシアン(TEAM)の将来性とは?最新の2025年第3四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

- 本稿では、注目のテクノロジー銘柄であるアトラシアン(TEAM)の2025年5月1日発表の最新の2025年度第3四半期決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は2027年度までに年平均成長率20%の達成を目指しており、フリーキャッシュフローと利益率の両面で堅実な成長を維持しています。
- 同社はJiraやConfluenceなどのツールに加え、AIを活用した「Rovo」など新機能を通じて競争力を強化しており、収益構造の改善も進めています。
- 一部のエンタープライズ契約の遅延や収益化の先送りといった短期的リスクはあるものの、27倍の予想FCF倍率は割安と判断し、同社に対して強気の姿勢を維持しています。
アトラシアン(TEAM)の最新の2025年第3四半期決算発表に関して
アトラシアン(TEAM)は、5月1日に最新の2025年度第3四半期決算を発表しており、2027会計年度までに年平均成長率(CAGR)20%の達成を目指すという目標を、改めて投資家に示しています。同社は来月に2025会計年度を終え、2025年7月から2026会計年度が始まります。同社の大きな目標は、チームワークをより円滑にし、スケールを伴って成長を続けることです。
今回のレポートで最も注目すべき点は、現在の成長率は一見控えめに見えるものの、来四半期以降にはより高い成長率で安定していくと予測されていることです。
さらに、同社は非常に強固なフリーキャッシュフローを生み出しています。
本稿での結論は、同社株への目標株価を2026年夏までに1株あたり400ドルに引き下げるものの、費用管理が継続されており、フリーキャッシュフローも堅調であることから、私は引き続き同社への強気のスタンスを維持しています。
では、早速、詳細に入っていきましょう!
アトラシアン(TEAM)を取り巻く重要な背景
先週、バークシャー・ハサウェイの株主総会に出席していたため、本決算レポートにすぐには対応できませんでした。
今回の決算で最も重要なポイントは、アトラシアン(TEAM)が他に類を見ないほどのキャッシュ創出企業であるということです。現時点で同社は「ルール・オブ・40」(売上成長率+フリーキャッシュフローマージン)の指標で約50%を見込んでおり、収益成長とフリーキャッシュフローのバランスが取れていることを示しています。
アトラシアン(TEAM)とは?
アトラシアン(TEAM)は、大企業を中心としたチームの業務効率を高めるソフトウェアを提供しています。これは、プロジェクトの管理、タスクの追跡、ナレッジの共有を可能にするデジタルツールボックスのようなものです。
JiraやConfluenceといったツールは、業務を整理し、チーム全員が同じ情報を共有するための必須ツールとして非常に人気があります。
ただし、JiraやConfluenceがチーム協働やプロジェクト管理の定番ツールである一方、競合他社も黙ってはいません。たとえば、マンデードットコムは、複雑さを排除し柔軟性を求めるチーム向けに使いやすさを強化しています。また、AsanaはAIを活用した業務管理に力を入れており、よりスマートなタスク計画を目指しています。要するに、マイクロソフトを除けば、すべての企業が「チームワークの中心的なハブ」を目指して競争を繰り広げている状況です。
そうした中、アトラシアンは「Rovo」のような強力なAIツールを追加し、業務の自動化やチーム間の情報連携を通じて、より迅速な仕事の遂行を可能にしています。
このような背景を踏まえ、次にファンダメンタルズについて見ていきます。
アトラシアン(TEAM)の売上高:約20%の年平均成長率を目指す
アトラシアンの売上高成長率(%)
(出所:筆者作成)
アトラシアン(TEAM)は2024会計年度第3四半期に非常に好調な業績を記録していたため、今期の成長率は前年比14%にとどまりました。しかし、これは同社にとって最も比較が厳しい四半期であり、その山はすでに越えた状況です。
したがって、来四半期および次の会計年度の初めには、比較的容易な前年実績をベースとすることになり、再び強みを発揮するチャンスが訪れると考えられます。
経営陣のガイダンスでは、同社が年平均20%の売上成長を達成できると繰り返し述べており、この成長率は、現在のバリュエーションを考慮しても十分に魅力的であると私は考えています。
アトラシアン(TEAM)のバリュエーション:来年度の予想フリーキャッシュフローの27倍
私はインフレクション型の投資家として、アトラシアン(TEAM)が約20億ドルのネットキャッシュポジションを持っている点を評価しています。今四半期に強力なフリーキャッシュフロー(FCF)を報告したこともあり、この現金保有額は時価総額の約4%に相当し、堅実な水準と言えます。
具体的には、2025会計年度の最初の9カ月間で、同社は約11億ドルのフリーキャッシュフローを創出しました。この数字は、前年同期比で約7%の増加です。ただし、今回の四半期の売上成長率が前年比16%とさほど高くなかったことを踏まえると、このフリーキャッシュフローの伸びも特段目を引くものではありません。
とはいえ、ここで2つの点に留意すべきです。第一に、同社のフリーキャッシュフローは季節性があり、変動が大きく、特に毎年の第3四半期(Q3)が際立って好調であることです。
(出所:アトラシアンの2025年度第3四半期決算資料)
第二に、同社は依然として基礎的な収益性を拡大している段階にあります。
したがって、2025会計年度通期のガイダンスでは、Non-GAAPベースの営業利益率が2024年度比で約200ベーシスポイント(=2%ポイント)向上する見通しであることから、同社のフリーキャッシュフローは、今会計年度末(6月末)までに17億ドルに達する可能性があります。
ここで私の計算をお伝えします。同社は今会計年度末(来四半期)までに、約52億ドルの売上を報告する見込みです。さらに、Non-GAAP営業利益率が約200ベーシスポイント改善するとのガイダンスを示しています。したがって、費用の削減と力強い成長の組み合わせを踏まえると、約33%のフリーキャッシュフローマージンに達する可能性があると私は考えています。
このフリーキャッシュフローマージンが今後も安定して推移し、加えて来年度(2026会計年度、2025年7月開始)に約20%の売上成長が見込まれるとすれば、フリーキャッシュフローは約20億ドルに達する可能性があります。
そうなると、同社株のバリュエーションは、来年度のフリーキャッシュフローの約27倍という水準になります。これは私にとって非常に魅力的な数字です。
参考までに、私は修正PEGレシオ(※利益の代わりにFCFを用いる)を用いて評価しています。TEAMの場合、この比率は1.4倍であり、私は3倍以下であれば割安と判断しています。
アトラシアン(TEAM)を取り巻くリスク要因
アトラシアン(TEAM)では、大型のエンタープライズ契約の一部で締結までに予想以上の時間がかかっており、これがクラウド収益の成長をわずかに押し下げる要因となっています。この状況が続くようであれば、同社が年率18〜20%の持続的な成長を維持することが難しくなる可能性があります。
また、データセンター製品の販売方法の変更、たとえば契約期間の短縮などにより、前受収益が減少することになり、たとえ事業の実態が健全であっても、投資家からは成長が急速に鈍化していると見なされる懸念があります。
さらに、同社は強力なAIツールをサブスクリプションに組み込んで無償提供するという戦略を取っていますが、これは短期的な収益の伸びを抑える可能性があります。なぜなら、同社が即時の収益化や短期的な利益よりも、導入促進と顧客獲得を優先しているためです。
要するに、同社は成長企業です。しかし、成長企業が年率20%未満の成長を何度も記録するようでは、バリュエーションの高さを維持することは難しくなります。
アトラシアン(TEAM)に対する結論
私は2026年夏までにアトラシアン(TEAM)の目標株価を400ドルに引き下げましたが、それでも強気の姿勢を維持しています。なぜかと言えば――
そのファンダメンタルズが非常に堅固だからです。同社は引き続きフリーキャッシュフローを着実に生み出しており、同時に利益率の拡大を伴って年率20%の成長を目指しています。これは非常に強力な組み合わせです。
来年度の予想フリーキャッシュフローの約27倍というバリュエーションで、私は高品質でキャッシュを生み出すビジネスを魅力的な価格で手に入れていると感じています。そのため、ビジネスの本質的な価値が変わっていないことを踏まえれば、同社の今後の見通しに対して強気のスタンスを維持しています。
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