05/08/2025

強気
スーパー・マイクロ・コンピューター
強気
私は現在の強いフリーキャッシュフロー、そして来年度にかけてさらに強まる見通しのあるSMCIのフリーキャッシュフローに注目しています。
スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)株価の今後の見通しとは?最新の決算分析を通じて将来性に迫る!

a black and white photo of a geometric objectマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 本稿では、注目の米国上場AI関連銘柄であるスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の最新の2025年度第3四半期決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 財務的な規律を保ち続けるのであれば、2026年夏までに1株あたり60ドルに到達する可能性は依然としてあると考えています。
  • 私は現在の強いフリーキャッシュフロー、そして来年度にかけてさらに強まる見通しのあるSMCIのフリーキャッシュフローに注目しています。
  • 経営陣による過剰な約束やチップサイクルによる遅延といった多くのリスクは、すでに株価に織り込まれていると見ています。
  • 来年度予想フリーキャッシュフローの17倍という水準は、特に売上が15%成長していることを考慮すると、現在の株価は魅力的だと考えています。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の最新の2025年第3四半期決算発表に関して

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は、5月6日に最新の2025年第3四半期決算を発表しましたが、先週すでに決算の事前発表を行っていたため、ある程度の内容は予想されていました。

悪いニュースとしては、2025年7月に始まる2026年度の売上目標である400億ドルの達成が難しいことが、より明確になってきました。ただし、私はすでにより現実的な250億ドルという来年度の売上予想をベースにしていたため、この点についてはあまり驚きませんでした。

逆に、良い意味で驚かされたのは、フリーキャッシュフローの力強さです。これまでの情報を踏まえると、SMCIは今会計年度でおよそ9億ドル、来年度には約11億ドルのフリーキャッシュフローを生み出せると考えています。

その場合、株価は来年度予想フリーキャッシュフローの約17倍という水準になり、売上は年率15%程度で成長していることになります。この組み合わせは非常に魅力的であり、私の調整ベースでのPEGレシオはわずか1.1となります。

ですので、私は依然として、2026年夏までに1株あたり60ドルという目標株価は達成可能だと見ています。同社はしっかりと利益を出せる企業であることを証明しつつあります。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)を取り巻く重要な背景

ご存知の通り、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の経営陣は「大きなことを言って実現しない」という評判があります。これは今に始まった話ではなく、誰もが知っている事実です。そして、それこそが現在の株価が割安に見える理由の一つでもあります。

実際、私がSMCIを推奨した当初の投資ストーリーもここにあります。市場はこの企業に「問題が多い」として見切りをつけているのです。上場廃止リスク、激しい競争、そして次のハイパースケーラーによる支出拡大が本当に起こるのかという不透明感があります。

ただし、ここが重要なポイントですが、投資家が「今」気にしていることは、1年後には重要ではなくなっていることがよくあります。2026年初頭には、現在の懸念が背景に退く可能性があります。そうなれば、SMCIは新たな評価を得るチャンスが訪れるでしょう。

思い出していただきたいのは、私がSMCIを推奨したのは3月中旬、株価が42ドルの時点でした。現在は31ドルまで下がっています。良い結果とは言えません。ただし、3月と4月は市場全体が不安定な月であり、多くのテクノロジー株が関税関連の不透明感に苦しんでいます。

ここから、なぜ私が依然として強気であるのかをご説明します。過去の株価推移ではなく、今後の成長性に着目しているからです。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)とは?

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は、特にAIワークロードを処理するデータセンター向けに、高性能かつカスタマイズ可能なコンピューティングシステムを開発しています。

同社の最大の付加価値は、そのスピードと効率性です。新たに展開している「Datacenter Building Block」プラットフォームによって、ほぼ即納型のソリューションを提供できる点が特徴です。例えるなら、建材や配管・電気配線を一から集める代わりに、すぐに住める家をオーダーするような感覚です。

すでに決算内容が事前発表されていたため、顧客がNvidiaの次世代チップ「Blackwell」を待って発注を一時的に控えているという状況は想定内でした。この一時的な減速は織り込み済みです。

それでは、今からファンダメンタルズ(基礎的な企業価値の指標)についてご説明していきます。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の売上高:2026年度の売上成長率は前年比15%を示唆

スーパー・マイクロ・コンピューターの売上高成長率(%)

(出所:筆者作成)

すでに触れたように、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は過去においてアナリストの売上予想を大きく外してきた経緯があります。

(出所:Seeking Alpha)

以前、経営陣は2026年度に売上400億ドルを達成すると話していましたが、実際にはその数字を信じていた人はほとんどおらず、市場コンセンサスは約330億ドルにとどまっていました。そして最新の決算説明会では、ゴールドマン・サックスがその400億ドルの目標がまだ有効かどうかを尋ねた際、経営陣は明確にその目標を支持しませんでした。

ここで、先週私が書いたSMCIに関する内容をぜひ再度ご覧ください。

「さらに、同社に投資する理由の根本、すなわち2026年度に開始予定の新しいハードウェアサイクルが、エヌビディアの大電力を消費するBlackwell GPUへの比較的高い需要に支えられるという仮説が、ある程度は今も有効であると仮定するならば、以前ほどではないにしても、今後12ヶ月以内のどこかで、同社は四半期あたり約60億ドルの売上を達成する可能性は残されているのではないかと考えています。」

「この数値を年率換算すれば、年間で約250億ドルの売上に近づく計算になります。」

私の見解としては、300億ドルにすら届かない可能性もあると感じています。ただし、2026年度(今年7月開始)について250億ドルという見積もりであれば、現実的だと考えています。これは前年比約15%の成長であり、決して悪くはありません。

この前提を踏まえた上で、次にバリュエーションについて見ていきましょう。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)のバリュエーション:来年度の予想フリーキャッシュフローの17倍

私はInflection投資家として、常に企業のバランスシートに注目しています。その観点で見ると、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の財務状態は過去90日間で大きく改善しました。実際、現在のSMCIはキャッシュと借入金がほぼ相殺される「ネット・ニュートラル」の状態にあります。

わずか3か月前までは、同社は約7億ドルのネット負債を抱えていました。しかし今では、ほぼネット・ニュートラルな状態にまで回復しています。この改善の原動力となったのは、予想を上回るフリーキャッシュフローでした。

現会計年度の最初の9か月間で、SMCIは約7億ドルのフリーキャッシュフローを生み出しています。このペースでいけば、通年では約9億ドルに達する見込みです。さらに、同社の新しい高利益率製品が拡大すれば、来年度には11億ドルに達する可能性もあります。

私は以前よりも慎重な見積もりをしています(当初は15億ドルと見込んでいました)が、同社が目標を達成できない歴史を考えると、慎重な姿勢が賢明だと考えています。

こうした前提に立つと、SMCIの株価は来年度予想フリーキャッシュフローの17倍と、非常に妥当な水準にあると言えます。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)を取り巻くリスク要因

最大のリスクは、顧客が新しいチップの登場を待って注文をさらに遅らせることです。これにより利益率に圧力がかかり、キャッシュフローの成長が遅れる可能性があります。

また、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の新しい液冷システムは非常に有望ですが、すべてのデータセンターがその導入準備ができているわけではなく、その展開スピードが鈍化する恐れもあります。

加えて、関税の問題も懸念材料です。しかし、SMCIは米国、台湾、マレーシア、ヨーロッパに製造拠点を持っており、グローバルな生産体制があることから、ある程度の柔軟性を確保できています。したがって、関税は負担ではあるものの、最大の問題とは言えません。本質的な問題は、次世代ハードウェアが広く流通したときに、顧客が実際に再び購入を始めるかどうかという点にあります。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)に対する結論

総じて、私は依然としてスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)に対して前向きな見方をしています。確かに、経営陣には過去の実績に問題があり、かつて掲げていた400億ドルの売上目標も実現しない見通しです。

しかしながら、フリーキャッシュフローが好調で、来年度には11億ドルに達する可能性があり、さらに株価はすでに来年度のFCFの17倍という水準で取引されている点を考慮すると、多くのネガティブ要素はすでに織り込まれていると判断できます。

現在の市場の期待値は低く、それがポジティブサプライズを生む余地を残しています。財務的な軌道を維持できれば、2026年夏までにSMCIの株価が1株60ドルに達する可能性はあると考えています。


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