08/09/2024

シェブロン(CVX)配当推移は堅調も2024年2Q決算発表は業績が予想下回り株価下落!今後の株価見通しと将来性に迫る!

a chevron gas station at night timeイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、シェブロン(CVX:配当貴族・予想配当利回り4.51%・配当性向52%・1株当たり配当金1.63ドル)の最新の2024年第2四半期決算と今後の株価見通しおよび将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
  • シェブロンは、エネルギー業界のリーダーで、探鉱、精製、販売を手掛ける総合エネルギー企業であり、多様な資源ポートフォリオと堅実な財務基盤が強みです。
  • 最新2024年度第2四半期決算では、EPS指標が減少しましたが、売上高は増加しました。
  • 現在のシェブロンの株価は144ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である161.21ドルを下回っていることから、割安感があるように見えます。

シェブロン(CVX)の概要


レーティング:やや強気

バリュエーション:やや割安

リスクレベル:中程度


セクター:石油・ガス

現在の株価:144ドル

時価総額:2626.4億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:161.21ドル

安全マージン:10.24%

過去5年間の配当成長率:6.00%

次回配当落ち日:2024年8月19日

次回配当支払い日:2024年9月10日

予想配当利回り:4.51%

過去5年間の売上高成長率:9.40%

過去10年間の売上高成長率:0.20%

シェブロン(CVX:配当貴族・予想配当利回り4.51%・配当性向52%・1株当たり配当金1.63ドル)は、エネルギー業界のリーダーとして、石油・天然ガスの探鉱、開発、精製、販売を手掛ける総合エネルギー企業です。同社は上流(探鉱・生産)、下流(精製・販売)、化学部門を持ち、全世界で事業を展開しています。シェブロンは、テキサス州パーミアン盆地や米国湾岸地域での大規模な生産能力と、オーストラリアの液化天然ガス(LNG)プロジェクトなど、多様な資源ポートフォリオを強みとしています。

シェブロンのユニークな特徴は、堅実な財務基盤と効率的なオペレーション管理です。2023年度の財務報告によると、同社は健全なキャッシュフローを維持しており、これが資本投資や株主還元の原資となっています。配当支払いに関しては、シェブロンは25年間以上にわたり連続で配当を増やしている実績があることから、米国株配当貴族の一角を担っており、且つ、予想配当利回りも魅力的な水準を維持しています。この配当実績からも、投資家にとって同社は魅力的な高配当株としての地位を築いています。

最近の買収では、ヘス(Hess Corporation)を530億ドルの全株式取引で買収することで合意しました。この買収により、新興の産油国であるガイアナにおけるシェブロンのプレゼンスが強化され、長期的な成長の基盤が築かれています​

そして、同社は2024年8月2日に2024年第2四半期決算を発表しています。


シェブロン(CVX)最新の2024年度第2四半期決算に関して

シェブロン(CVXは、2024630日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPSEPS without NRI)はマイナス2.55ドル(前四半期:2.93ドル)、希薄化後のEPSは2.43ドル(前四半期:2.97ドル)、また、1株当たり売上高も27.039ドル(前四半期:25.19ドル)と、EPS指標はいずれも前四半期比で減少するという着地も、トップラインの売上高は上昇するという着地となっています。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間と過去10年間の年平均成長率(CAGR)はいずれもマイナスとなっており、中長期的な成長という観点では非常に不安定であると言えます。

また、今後10年間の同社業界の成長予測は楽観的であり、エネルギー部門はプラスの軌道を描くと予測されています。

以上より、シェブロンの最新四半期の業績は、業界の課題と機会を反映しており、同社は持続可能な成長を促進するために市場の動向を巧みに乗り越えているように見えます。

※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値


シェブロン(CVX)の財務パフォーマンスに関して

シェブロン(CVX)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

まず、過去5年間のROICの中央値5.55%は、過去5年間のWACCの中央値である8.10%を下回っており、この期間、同社がプラスの経済的価値を生み出していなかった可能性を示しています。

また、現在のROICは7.18%となっており、現在のWACCの水準である7.77%をわずかに下回っており、現時点でも、経済的価値を生み出す上で改善が必要であることを示唆しています。

※基本的には、ROICがWACCを上回ると、企業が投資した資本に対してコスト以上の利益を生み出していることになります。これにより、企業は実際に価値を創出しており、株主にとって魅力的な投資先となります。企業がROICでWACCを上回ることで、持続的な成長や株主へのリターン向上が期待できます。

さらに、過去10年間のROEの最高値は23.77%、最低値は-4.02%であり、同社のROEが長期的に大きく変動していることを示しています。

全体として、同社の財務パフォーマンスは長年にわたって変動しており、経済的価値創造がプラスになった時期もマイナスになった時期もあるように見えます。

こうした業績変動の要因を特定するには、同社の資本配分の決定と戦略的イニシアチブをさらに分析する必要があるでしょう。

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シェブロン(CVX)の配当に関して

シェブロン(CVX)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は6.00%、過去3年間の成長率は5.40%となっており、一貫した配当の成長を実現しています

さらに、同社は過去25年間以上連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っています。

また、同社の現在の予想配当利回りは4.51%と高く、配当による収入を求めるインカム投資家にとって魅力的なリターンを提供しています。

加えて、下記のチャートからも分かる通り、足元の配当性向は52%となっており、過去10年来の高水準である105.73%を大幅に下回っており、これは、同社が財務を圧迫することなく配当金の支払額を増やす余地があることを示唆しています。

そして、EBITDA純有利子負債倍率は0.50倍で、基準値の2.0を下回っています。

基本的には、当倍率が2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すことからも、現在の倍率は同社の財務リスクが比較的低く、債務返済能力が高いことを示しています。

同セクターと比較すると、同社の配当実績は、競争力のある予想配当利回りと中程度の配当性向の水準からも堅調に見え、同社の慎重な債務管理能力は、財務の安定性と配当金支払いを維持する能力をさらに高めているように見えます。

以上より、信頼できる配当の収入源を求めるインカム投資家は、シェブロンの配当成長と財務の健全性に魅力を感じるかもしれません。

予想配当利回り:4.51%

配当性向:52%

配当カバレッジ・レシオ:1.61倍

過去5年間の配当成長率: 6.00%

EBITDA純有利子負債倍率:0.5倍

※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

Dividend Yield:予想配当利回り

※Dividend Payout:配当性向

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シェブロン(CVX)のバリュエーションに関して

シェブロン(CVXの現在の価格は144ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である161.21ドルを下回っていることから、割安である可能性を示しています。

また、実績PERは14.33倍となっており、過去5年平均、過去10年平均を下回っており、足元のバリュエーションが割安である可能性を示唆しています。

さらに、株価売上高倍率は1.36倍と業界平均より低く、同様に、潜在的な割安感を示しているように見えます。

加えて、EV/EBITDA倍率は6.38倍で、過去の平均と比較しても低水準にあり、良好なバリュエーション指標を反映しているように見えます。

そして、予想PERは11.71倍となっており、実績PERの水準よりも低く、株価の割安感をさらに裏付けていると言えます。

全体として、シェブロンはバリュエーション指標は概ね割安に見え、現在の株価水準は魅力的な価格であるように見えます。

以上より、投資家は、同社の現在の株価の良いエントリー・ポイントであると考えることができるかもしれません。

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シェブロン(CVX)のリスクとリターンに関して

シェブロン(CVXのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まずマイナス面では、インサイダーによる同社株式の売却取引が散見され、且つ、1株当たり売上高が減少している点は、同社の財務の健全性と将来の業績に対する潜在的な懸念を示唆している可能性があります。

一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアは-2.43となっており、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示しています。

また、同社のPBRは1.65倍と2年ぶりの低水準に近く、株価売上高倍率も3年ぶりの低水準に近く、株価が割安に放置されている可能性を示しています。

さらに、予想配当利回りは2年ぶりの高水準に近づいており、投資家に配当を通じた収益機会を提供しているように見えます。

全体として、考慮すべき兆候がある一方で、ポジティブな指標も多く確認されていることから、ある程度のリスクを取ることをいとわない投資家にとって、シェブロン株は魅力的に映るでしょう。


シェブロン(CVX)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

シェブロン(CVX)は過去12ヶ月間、6件のインサイダーによる同社株式の売却を確認している一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されておらず、中程度のインサイダーによる売却活動を示していると言えます。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.06%で、同社インサイダーによる同社株式の直接の保有は限定的である点にはご留意ください。。

しかし、一方で、プロの機関投資家による同社株式の保有比率は72.52%と高く、機関投資家の同社への強い関心を示唆しています。

以上より、投資家は、シェブロンへの投資判断を行う際、他の財務指標や市場動向とともに、これらのインサイダー取引と機関投資家の動向を考慮すると良いでしょう。


シェブロン(CVX)の流動性に関して

シェブロン(CVXの流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は496,600株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は7,366,172株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆している一方で、足元の出来高は平均に比べて著しく少ないことから、足元の流動性や値動きには注意が必要でしょう。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は59.71%となっており、取引活動の約半分以上がダークプールで行われていることを示しています。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。

全体として、全体として、足元の1日の出来高が減少している一方で、DPIが比較的高いという組み合わせは、シェブロンの流動性に潜在的な課題があることを示している可能性があります。


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