【投資コラム】逆張り投資家ジョン・テンプルトンの教え:名言と投資方法を徹底解説!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、「バリュー投資家」、並びに、「逆張り投資家」として有名なジョン・テンプルトン氏の教えに関して、テンプルトン氏の名言と投資方法に触れながら詳しく解説していきます。
- テンプルトン氏は、テンプルトン・グロース・ファンドの創設者で逆張り投資家として知られ、特にバリュー投資やグローバル分散投資を重視し、リスクを抑えながら高リターンを狙っていました。
- テンプルトン氏は、複数の国や地域に投資することでリスクを分散し、経済サイクルの違いを活用して長期的な利益を追求しました。
「逆張り投資家」ジョン・テンプルトンとは?
ジョン・テンプルトン氏(Sir John Templeton)は、逆張り投資家として知られており、そのスタイルで最も優れた投資家の一人とされています。彼は地域に縛られず、グローバルな視点で幅広く投資を行い、特にバリュー投資に力を入れていました。20世紀を代表する伝説的な投資家として、彼の投資手法や哲学は今でも現代の投資に深く影響を与えています。
テンプルトン氏は、アメリカの著名な投資家、ファンドマネージャー、慈善家です。彼は1940年に「テンプルトン・グロース・ファンド」を設立し、国際分散投資の先駆者として知られています。特に、低く評価されている株式を長期的に保有することで高リターンを狙う「逆張り投資戦略」を採用し、大きな成功を収めました。この投資哲学は、現在でも多くの投資家に影響を与えています。
1992年、ジョン・テンプルトン氏が設立したテンプルトン・グロース・ファンドは、Franklin Resources, Inc.に買収され、現在のFranklin Templeton Investmentsの一部となりました。この買収により、テンプルトン氏の投資スタイルや哲学がFranklin Templetonの運用スタイルにも受け継がれ、特に国際分散投資や逆張り投資のアプローチが同社の重要な戦略の一環となっています。また、テンプルトン氏は慈善活動にも積極的で、テンプルトン財団を設立し、科学と宗教の交差点に関する研究や慈善活動を支援しています。
本稿では、テンプルトン氏が重視したグローバル分散投資や逆張り戦略を、現代の投資家がどのように取り入れ、リスクを抑えながら高いリターンを狙うことができるかを探っていきます。
バリュー投資家ジョン・テンプルトン氏の教え:逆張り戦略
ジョン・テンプルトン氏は、自国だけに投資することはリスクが高く、視野が狭いと考えていました。そこで彼は、さまざまな国や地域に投資を分散し、世界中の成長を取り込むとともに、リスクを最小限に抑える戦略を採りました。
世界中に投資機会を見出す: テンプルトン氏は、世界の市場を巨大な投資のチャンスが広がる場所と捉えていました。彼によると、投資家が自国の外に目を向けることで、現地の投資家が見落としがちな割安な資産や成長の機会を発見できるというのです。特に、不人気な市場や経済的に困難な状況にある市場に注目し、そうした環境でこそ高いリターンが期待できる優れた投資機会を見つけていました。
リスク分散によるリスク軽減: 様々な市場や地域に幅広く投資を分散することで、特定の国に関連するリスクを軽減できます。例えば、ある国で政治的不安や経済の低迷、通貨の下落が発生しても、他の安定した国や成長中の地域への投資がそのリスクを補う可能性があります。これにより、リターンの安定化が図られ、ポートフォリオ全体の変動リスクを抑える効果が期待できます。
経済サイクルの活用: 国や地域ごとに経済サイクルは異なるタイミングで進行します。テンプルトン氏はグローバル投資を通じて、成長が見込まれる地域に投資することで、他の地域が低迷している間でも利益を得ることができました。このアプローチにより、長期的なリターンの最適化が可能となりました。
通貨分散: 通貨リスクを回避するためのもう一つの方法として、複数の通貨に分散して投資することがあります。例えば、自国の通貨が下落した場合でも、価値の高い外国通貨を保有することで、ポートフォリオの価値が目減りするリスクを減らすことができます。グローバルな分散投資は、リスク管理にさらに深みを与える手段となります。
逆張り戦略
(出所:筆者作成)
ジョン・テンプルトン氏の名言
ジョン・テンプルトン氏は、多くの名言を残し、その投資哲学や人生観が広く知られています。いくつかの代表的な名言を取り上げ、解説します。
1. 「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で成長し、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく。」
"Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism, and die on euphoria."
この名言は、株式市場のサイクルについての洞察を示しています。テンプルトン氏は、強気相場(株価が上昇する時期)は、投資家が悲観的になっているときに始まり、徐々に懐疑心が薄れ、楽観的な気分が広がる中で成熟し、最終的に投資家が過剰な幸福感や自信を持った時に終わると述べています。この言葉は、市場心理の重要性を強調し、過剰な楽観や過信がバブルの原因になることを示唆しています。
2. 「逆張り投資家は、他の人が恐れているときに買い、他の人が貪欲なときに売るべきだ。」
"The time of maximum pessimism is the best time to buy, and the time of maximum optimism is the best time to sell."
テンプルトン氏は、「逆張り投資」として知られる投資戦略を信奉していました。市場が最も悲観的であるときが、実は最も良い買い時であり、逆に市場が最も楽観的であるときが、売り時だと指摘しています。この名言は、一般的な投資家の感情に逆らうことの重要性を強調しており、感情に流されずに合理的に投資する姿勢を奨励しています。
3. 「成功する投資家になるためには、他の人が考えないようなことを考えることが必要だ。」
"If you want to have a better performance than the crowd, you must do things differently from the crowd."
この名言は、群集心理に逆らう必要性を説いています。多くの投資家は、他人の行動に影響されがちですが、テンプルトン氏は、群衆と同じように行動することは平凡な結果しかもたらさないと述べています。より良いパフォーマンスを得るためには、独自の視点や戦略を持つことが重要だと強調しています。
4. 「価格が上がっているからといって、必ずしも価値があるわけではない。」
"The four most expensive words in the English language are, ‘This time it’s different.’"
この名言は、バブル期に多く見られる投資家の過信に対する警告です。「今回は違う」という言い訳をして、非現実的な価格上昇を正当化することは、多くの投資家が犯す過ちです。テンプルトン氏は、過去の教訓を無視して過度な楽観に陥ることが危険であることを示しています。
5. 「失敗を避ける唯一の方法は、投資をしないことだ。しかし、それこそが最大の失敗である。」
"The only way to avoid mistakes is not to invest—which is the biggest mistake of all."
テンプルトン氏は、リスクを取ることの重要性を強調しています。投資にはリスクがつきものですが、全くリスクを取らないことが、最大の過ちだと述べています。失敗から学び続けることが成功への鍵であるとし、挑戦し続けることの大切さを訴えています。
ジョン・テンプルトン氏の名言は、感情に左右されず、冷静で独自の視点を持って投資に取り組むことの重要性を説いており、多くの投資家にとって貴重な指針となっています。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス
イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。
以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。
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