やや強気トッツィー・ロール・インダストリーズすべて表示トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR:配当王)の将来性:最新の決算分析を通じて、配当王の今後の株価見通しに迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR:配当王:予想配当利回り1.16%・配当性向27%・1株当たり配当金0.09ドル)の最新の2024年度第2四半期決算発表と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- 同社は、主に菓子製品の製造・販売を行う米国の老舗企業であり、配当株として安定した増配を続けています。
- 同社は堅固な財務基盤を持ち、投下資本利益率(ROIC)が継続的に加重平均資本コスト(WACC)を上回っており、安定した成長と株主還元を実現しています。
- 現在のバリュエーション指標は割安とされ、特に株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)が過去の中央値を下回っていることからも、上昇の余地があるように見えます。
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の概要
レーティング:やや強気
バリュエーション:やや割安
リスクレベル:低リスク
セクター:消費財
現在の株価:31ドル
時価総額:21億8,000万ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:41.85ドル
安全マージン:25.5%
過去5年間の配当成長率:3.00%
前回配当落ち日:2024年6月20日
前回配当支払い日:2024年7月8日
予想配当利回り:1.16%
過去5年間の売上高成長率:10.60%
過去10年間の売上高成長率:4.00%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の内在価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、内在価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR:配当王:予想配当利回り1.16%・配当性向27%・1株当たり配当金0.09ドル)は、主に菓子製品の製造・販売を行う米国の老舗企業で、100年以上の歴史を持つ業界のリーダーです。代表的な製品には、トッツィ・ロールやトッツィ・ポップ、チャームス、ブローポップ、ドッツ、ジュニア・ミント、シュガーダディ、シュガーベイビーズ、アンデス、ダブルバブル、ラズルズなどがあり、これらのブランドは広く知られ、多くの消費者に親しまれています。これらの商品ラインナップは、チョコレートやキャンディ、ガムといったさまざまなカテゴリーにわたる多様な製品を提供しており、消費者層の幅広さが同社の強みの一つです。
同社は製品を卸売業者や大手小売店に直接販売しており、幅広い流通網を活用して消費者に商品を届けています。地理的には、米国が主な収益源となっており、国内市場での強力なブランド力を誇っていますが、カナダ、メキシコなどの海外市場にも展開しており、これらの地域でも安定した売上を確保しています。また、近年は他の地域にも進出を強化し、グローバルな拡大を目指している点も注目されています。同社の製品は、その品質と味わいに定評があり、世代を超えて多くの消費者に支持されています。
財務面では、同社の財務基盤は堅固であり、粗利益率は過去5年平均で約34%を維持しています。特に、低い負債比率が目立ち、安定したキャッシュフローを確保しています。また、同社は持続可能な成長と株主への利益還元に注力しており、連続して50年以上にわたり増配を行っていることから、米国株配当王の一角を担っており、配当株としてインカム投資家から人気の高い銘柄です。
そして、同社は2024年7月24日に2024年第2四半期決算を発表しています。
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の最新の2024年度第2四半期決算発表に関して
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は0.22ドル(前四半期:0.22ドル / 前年同期:0.20ドル)、希薄化後のEPSは0.22ドル(前四半期:0.22ドル / 前年同期:0.20ドル)、また、1株当たり売上高は2.111ドル(前四半期:2.145ドル / 前年同期:2.219ドル)と、EPSは前四半期比でフラットで前年同期比では上昇、1株当たり売上高は前四半期比、並びに、前年同期比、共に減少という着地となっております。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は11.10%で、過去10年間の年平均成長率は3.60%となっており、中長期的に継続して成長を実現しているものの、足元の成長が加速していることが分かります。
また、2024年度第2四半期の粗利益率は33.88%で、過去5年間の中央値である34.91%を下回り、過去10年の高値である38.23%と比べても低い水準となっており、この粗利益率の低下は、適切に管理されない限り、収益性に影響を与える可能性があります。
加えて、今後、業界の成長予測では、今後10年間で年平均約3%の控えめな成長率が見込まれています。
そして、市場のアナリストは、同社の将来の成長に対して慎重な見方をしており、来期のEPS予想は横ばいのままです。これは、同社が現状の業績を維持しているものの、将来の収益性や株主価値を向上させるためには、大きな戦略的転換が必要となる可能性を示唆しています。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の財務パフォーマンスに関して
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、全体として、同社は経済的価値の創出において堅実なパフォーマンスを示しているように見えます。
最近の分析によると、下記のチャートからも分かる通り、同社の足元の投下資本利益率(ROIC)は9.18%であり、加重平均資本コスト(WACC)の7.19%を大きく上回っています。
これは、同社が資本を効率的に活用し、資本コストを上回るリターンを生み出していることを示しており、プラスの経済価値を創出していることになります。
過去の実績でも同様に、同社は過去5年間のROICの中央値が7.43%、過去10年間の中央値が8.56%と常に高い水準を維持しており、いずれも過去5年間のWACCの中央値である3.35%、過去10年間のWACCの中央値である4.41%を上回っています。
このような安定したパフォーマンスは、同社の効果的な資本配分戦略と財務効率の高さを裏付けています。投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回っていることは、同社が資本コストをカバーするだけでなく、余剰のリターンを生み出しており、それを事業成長のために再投資したり、株主に還元したりすることで、株主価値を向上させることができることを示しています。
そのため、継続した投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)のプラスの乖離は、同社の価値創出能力と財務健全性の強さを反映していると言えます。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の配当に関して
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)は、最新の四半期において、1株あたり0.087379ドルの配当を支払い、2023年の過去の四半期と同様に安定した配当を維持しました。
同社は過去5年間で3.00%の配当成長率を達成しており、これは過去3年間の配当成長率とも一致しており、緩やかながらも安定した増加を示しています。
さらに、同社は過去50年間以上連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っています。
また、同社の予想配当利回りは1.16%であり、過去10年の中央値である1.03%をわずかに上回っていますが、最高値の1.25%には達していません。
しかしながら、この予想配当利回りの水準は、通常、中程度の予想配当利回りを提供する同業のセクター内では競争力のある水準となっています。
また、同社の配当性向は27.0%と保守的で、過去の高水準よりも大幅に低く、収益分配に対する慎重な姿勢を示しています。
財務レバレッジも、EBITDA有利子負債倍率が0.11倍と極めて低く、財務リスクが最小限であり、基準値である2.0倍を大幅に下回る健全な状態で、債務返済能力が高いことを反映しています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
この強固な財務状況により、トッツィ・ロール・インダストリーズは安定した配当の支払いを維持でき、配当重視のインカム投資家にとっては安定した配当銘柄と映るでしょう。
予想配当利回り:1.16%
配当性向:27%
配当カバレッジ・レシオ:3.77倍
過去5年間の配当成長率:3.00%
EBITDA有利子負債倍率:0.11倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)のバリュエーションに関して
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の現在の株価は31.18ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である41.85ドルよりも低い水準にあり、25.5%の安全マージンがあることから、同社の現在の株価は割安である可能性を示しています。
また、直近過去12か月間の実績ベースの株価収益率(PER)は23.55倍で、過去10年間のPERのレンジにおいては低い方に位置しており、中央値の34.25倍と比較しても割安の可能性があります。
直近過去12か月間の実績ベースの株価売上高倍率(PSR)は2.96倍で、過去10年間の最低値2.65倍に近く、中央値の4.15倍を大きく下回っており、さらに割安であることを裏付けています。
一方で、直近過去12か月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は14.89倍で、過去10年間の最低値である13.64倍をやや上回っていますが、中央値の19.20倍よりは低く、同指標を基準とした際のバリュエーションにおいてやや混在したシグナルを示しているように見えます。
株価純資産倍率(PBR)は2.65倍で、過去10年間の最低値である2.41倍に近い一方で、中央値の2.97を下回っており、これも割安感を強調しています。
株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は26.6倍で、過去10年間の最低値である20.50倍を上回っていますが、中央値の32.85倍を下回っており、同社が株価に対して十分なフリーキャッシュフローを生み出していることを示しています。
以上より、トッツィ・ロール・インダストリーズの現在のバリュエーション指標は、過去の実績に比べて割安である可能性を示唆しており、現状のパフォーマンスを維持すればさらなる上昇の余地があるようにも見えます。
投資家はこれらの要素を考慮して、同社株の成長性と安定性を評価する必要があるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)のリスクとリターンに関して
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、同社は財務的に堅実であり、アルトマンのZスコアが6.29と、財務上の危機に陥る可能性が低いことを示しています。
また、ピオトロスキーのFスコアが9であることからも、健全な財務状況が確認でき、十分なインタレスト・カバレッジ・レシオはベンジャミン・グレアムの基準に適合しています。
さらに、株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)等のバリュエーション指標は、いずれも過去10年の最低水準に近く、割安である可能性を示唆しています。
加えて、営業利益率の拡大も業務効率の向上を示すポジティブなサインです。
しかし、いくつかのリスクにも注意が必要です。
まず、粗利益率は年平均2.1%減少しており、売上成長率も昨年から鈍化しています。
また、現在の負債レベルは管理可能な範囲にありますが、少額ながら新たな借り入れが行われています。
株価は過去1年間の高値に近づいており、特段の成長戦略が取られない限り、上昇余地は限られるかもしれません。
総じて、トッツィ・ロール・インダストリーズの財務状況やバリュエーション指標は良好ですが、売上成長の減速と利益率の低下には慎重な姿勢が求められます。
関連用語解説
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の内在価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)のインサイダー取引分析によると、過去12か月間における同社のインサイダー(同社の役員や経営陣等)による同社株式の売買活動は一切確認されていません。
これは、インサイダーが同社株式を購入するほど同社の今後の見通しに対して楽観的でもなく、売却するほど懸念しているわけでもないことを示しており、インサイダー取引の動きが全く行われていないことを意味しています。
また、インサイダー取引が無いということは、インサイダーの心情が安定しているか、同社株式の持ち分を変える明確な理由がないことを示唆しているかもしれません。
一方で、インサイダーによる同社株式の保有比率は22.87%と比較的高く、インサイダーとその他の株主の利害が大きく一致していることを示しており、さらに、インサイダーが同社の業績動向に対して大きな利害関係を持っていることを意味します。
一方、機関投資家の同社株式の保有比率は16.35%とやや控えめな水準ではるものの、ある程度の関心を示していることがわかります。
これは、機関投資家が同社の基盤や将来性に自信を持っていることを示唆している可能性があります。
全体として、トッツィ・ロール・インダストリーズのインサイダーによる同社株式の売買は確認されませんでしたが、インサイダーによる保有比率の高さはインサイダーの強いコミットメントを示しており、潜在的な投資家にとって安心材料となるかもしれません。
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の流動性に関して
トッツィ・ロール・インダストリーズ(TR)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は238,618株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は249,427株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は41%となっており、取引活動の約半分がダークプールで行われていることを示しています。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
しかし、DPIの割合が高いことは、取引の多くが公開市場で行われていないことを意味するため、価格変動を評価する際には、ダークプールでの取引が供給と需要の動態に目に見えない影響を与える可能性があることに留意すべきでしょう。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介
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イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。
以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。
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