中立エクソンモービルすべて表示エクソン・モービル(XOM)の今後の株価見通し:予想配当利回りは3%!25年以上連続増配の配当貴族の将来性に迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、エクソン・モービル(XOM:配当貴族:予想配当利回り3.29%・配当性向42%・1株当たり配当金0.95ドル)の最新の2024年度第2四半期決算発表と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- エクソン・モービルは世界的なエネルギー企業で、石油・天然ガスの探査や精製を行い、安定した配当と低リスクの財務基盤を維持しています。
- 同社は、過去25年間以上連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っていることからも、配当収入を重視するインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
- 同社はクリーンエネルギー分野への投資も拡大しており、2023年にはデンベリー社の買収を通じて低炭素技術へのプレゼンスを強化しました。
- 2024年第2四半期の業績では安定した収益性を示し、今後の成長が期待されていますが、一部の指標では割高感があるため慎重な投資判断が求められるでしょう。
エクソン・モービル(XOM)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:やや割高
リスクレベル:低リスク
セクター:石油・ガス
現在の株価:116ドル
時価総額:5,153億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:99.8ドル
安全余裕率(マージン):-16.22%
過去5年間の配当成長率:2.20%
前回配当落ち日:2024年8月15日
前回配当支払い日:2024年9月10日
予想配当利回り:3.29%
過去5年間の売上高成長率:8.90%
過去10年間の売上高成長率:-0.40%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
エクソン・モービル(XOM:予想配当利回り3.29%・配当性向42%・1株当たり配当金0.95ドル)は、世界を代表する統合型エネルギー企業であり、石油や天然ガスの探査・生産・精製をグローバルに展開しています。
2023年には、1日あたり240万バレルの液体石油と77億立方フィートの天然ガスを生産し、同年末の埋蔵資源は169億バレルの石油換算量を記録、そのうち66%が液体資源です。
同社は1日あたり450万バレルの精製能力を誇り、世界最大級の精製企業の一つとして知られています。
また、同社はコモディティ、および、特殊化学品の大手製造企業としても地位を確立しており、幅広い事業ポートフォリオが同社の安定した収益基盤を支えています。
一方で、近年では、持続可能なエネルギーへの転換にも力を入れており、再生可能エネルギー分野や二酸化炭素回収技術に対する投資も強化しています。
最近では、クリーンエネルギー分野に関連する企業の買収を通じて、事業の多角化と長期的な成長を図っています。
具体的な買収としては、2023年に発表されたデンベリー社(Denbury Inc.)の買収が挙げられます。
デンベリー者は、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術を活用したエネルギー生産に強みを持つ企業で、この買収によりエクソン・モービルは低炭素技術分野でのプレゼンスを拡大しました。
この取引は、エクソン・モービルがクリーンエネルギー技術を戦略的に重要視していることを示しており、長期的な成長と事業の多角化を目指す同社の動きの一環と言えます。
財務状況も強固で、2023年の収益性指標である投下資本利益率(ROIC)は9.60%と堅調な成績を示しており、株主還元にも積極的です。
さらに、同社は長期的に安定した配当を提供しており、足元の予想配当利回りは約3.29%で、また、配当性向が42%と比較的低く、利益の増加に伴い今後も持続可能な配当支払いが期待されています。
加えて、同社は、過去25年間以上連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っていることからも、配当収入を重視するインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
そして、同社は2024年8月2日に2024年第2四半期決算を発表しています。
エクソン・モービル(XOM)の最新の2024年度第2四半期決算発表に関して
エクソン・モービル(XOM)の2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は2.14ドルで、第1四半期の2.06ドルからわずかに増加しましたが、2023年第4四半期の2.48ドルには及びませんでした。
ただし、前年同期の2023年第2四半期の1.94ドルと比較すると、利益が改善され、収益性の向上が見られます。
さらに、1株あたりの売上高は20.845ドルで、2024年第1四半期の20.113ドルや2023年第2四半期の19.871ドルをやや上回る着地となっています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間、並びに、過去10年間の年平均成長率は非常に不安定で、長期的な成長は停滞しているように見えます。
ただし、2024年第2四半期の粗利益率は23.25%で、過去5年間の中央値である23.45%をわずかに下回っていますが、過去10年間の最低値である4.55%を大幅に上回り、足元では安定した収益性を維持しているようにも見えます。
自社株買いに関しては、直近1年間の自社株買い比率が-11.00%とマイナス(発行済み株式数の増加)となっていますが、過去3年間では2.10%のプラス(発行済み株式数の減少)となっており、一定の自社株買いが行われていることが分かります。
そのため、中期的には発行済み株式数が減少し、EPSの向上に貢献していると言えます。
また、今後、業界全体では年間約3%の成長が予想されており、緩やかな拡大が見込まれています。
市場のアナリストの予測では、2024年度の同社のEPSは8.539ドル、2025年度は9.238ドルとされており、ポジティブな見通しが示されています。
次回のエクソン・モービルの決算発表は2024年10月25日に予定されており、今後の業績や指針が投資家の期待に影響を与えることになるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)の財務パフォーマンスに関して
エクソン・モービル(XOM)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)、自己資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。
過去5年間の中央値であるROICは5.93%で、現在のROICは9.60%に達しています。
一方で、過去5年間のWACCの中央値は7.97%で、現在のWACCは6.11%となっています。
そのため、過去5年間ベースでは資本コストを上回るリターンを生み出せていなかった一方で、足元ではこの状況は改善しており、資本コストを上回るリターンを生み出していることが分かります。
この足元のポジティブなスプレッドは、同社が資本を有効に活用し、経済的価値を創出していることを示しています。
そのため、ROICとWACCの比較から、同社が足元では資本コストを超える利益を上げていることを反映しており、健全な資本配分を行っていることが明らかとなっています。
ただし、過去10年間のROICの最高値は16.92%で、好調な時期には大きなリターンを生み出す能力を示していますが、最低値は-7.69%であり、エネルギー業界における変動性のリスクも示唆しています。
しかし、過去5年間の中央値であるROEが14.15%と高いことからも、強固な株主リターンを示しており、投資家にとって長期的な魅力を持つ企業と言えるでしょう。
全体的に、足元ではROICがWACCを上回っており、ROEも高水準を維持していることから、エクソン・モービルは効率的な財務運営を行い、経済的価値を高めていると評価できるでしょう。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)の配当に関して
エクソン・モービル(XOM)の配当推移は、安定しているものの控えめな配当成長を続けています。
過去5年間の配当成長率は2.20%、過去3年間は1.90%とやや低水準となっています。
一方で、同社は過去25年間以上連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っています。
直近では、四半期配当を1株あたり0.95ドルに増やし、2023年初頭の0.91ドルから引き上げられています。
この堅実な連続した増配は、慎重ながらも前向きな配当成長のトレンドを示しており、さらに、予想配当利回りは3.29%と見込まれています。
しかし、同業と比べた場合には競争力のある予想配当利回りを維持していますが、過去10年の中央値である3.72%をやや下回っています。
ただし、配当性向は現在42.0%で、過去10年で100%を超えていた水準から大幅に改善し、配当支払いのための利益のカバー率が向上していると言えます。
また、EBITDA有利子負債倍率は0.58倍で、一般的に警戒される水準である2倍を大きく下回り、財務リスクが低く、債務返済能力が非常に高いことがわかります。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
さらに、今後3~5年間の配当成長率は4.28%と予測され、最近の成長率を上回る強い上昇が期待されています。
前回の配当権利落ち日は2024年8月15日で、配当は四半期ごとに支払われる予定です。
全体として、エクソン・モービルは健全な財務基盤を持ち、配当の維持とさらなる成長の余地があるように見えます。
予想配当利回り:3.29%
配当性向:42%
配当カバレッジ・レシオ:2.22倍
過去5年間の配当成長率:2.20%
EBITDA有利子負債倍率:0.58倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)のバリュエーションに関して
エクソン・モービル(XOM)の現在の株価は116ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である99.8ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-16.23%とマイナスとなっていることから、割高である可能性が示唆されています。
一方で、直近過去12カ月間の実績ベースのPERは13.88倍で、過去10年間の中央値である16.21倍よりやや低く、歴史的な水準と比べると適切なバリュエーションにあると言えます。
また、予想PERも13.09倍で、今後も安定した利益が見込まれていることがうかがえます。
さらに、EV/EBITDA倍率は7.19倍となっており、過去10年間の中央値である7.88倍を下回っており、企業価値に対する利益の観点から割安と判断できる可能性があります。
加えて、足元のPBRは1.92倍で、過去10年の中央値である1.93倍とほぼ同じで、PBRの観点からは歴史的なバリュエーションに大きな変化はありません。
そして、直近12カ月の株価フリー・キャッシュフロー倍率は14.5倍で、過去10年の中央値である23.28倍を大きく下回っており、キャッシュフローの観点からは割安と評価できるでしょう。
しかし、市場のアナリストの同社に対する評価は賛否が分かれており、現在の目標株価の平均は130.89ドルと現在の株価より高水準にあるものの、過去数カ月よりわずかに引き下げられています。
これは同社の将来のパフォーマンスに対して慎重ながらも一定の期待が持たれていることを示しています。
以上より、エクソン・モービルのいくつかの指標は割安を示唆している一方で、安全余裕率がマイナスであり、現時点で市場価格が弊社算出の一株当たり本質的価値を上回っているため、市場の変動や業界特有のリスクを考慮した慎重な判断が必要と言えるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)のリスクとリターンに関して
エクソン・モービル(XOM)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、同社は、投資家にとってリスクとメリットが入り混じった複雑な状況を示しているように見えます。
マイナス面では、過去1年間で1株あたりの売上高が減少しており、成長や市場シェアの維持に課題がある可能性があります。
また、株価が過去10年間の最高値付近で推移していることから、過大評価されている可能性があり、市場が調整に入れば上昇余地が限られるリスクもあります。
さらに、株価売上高倍率(PSR)が過去5年の最高水準に近く、上値が重くなりやすい状況であるようにも見えます。
予想配当利回りも3.29%と高水準にあるものの、過去5年間では最低水準に近く、配当収入を重視するインカム投資家には魅力が薄いかもしれません。
一方、同社にはポジティブな要素もあります。
ベニッシュのMスコアは-2.52と低く、同社が利益操作を行っている可能性が低いことから、財務状況が透明であることが示されています。
また、株価純資産倍率(PBR)が過去2年の低水準にあるため、バリュー投資家には魅力的に映るかもしれません。
さらに、財務の健全性が非常に高く、アルトマンのZスコアは4.26で、倒産リスクが低いことを示しています。
総じて、エクソン・モービルにはリスクが幾つかあるものの、強固な財務基盤と透明性の高い財務管理が、投資家に一定の安心感を提供しているように見えます。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
エクソン・モービル(XOM)の過去1年間のインサイダーによる同社株式の取引を分析すると、インサイダーによる動きは非常に少ないことがわかります。
過去3か月間では、インサイダーの売買活動はなく、現在の株価に対する安定感や自信が示されているように見えます。
過去6か月間では、1件の買い付けと2件の売却があり、市場環境や個人的な財務戦略に基づく慎重な動きが見受けられます。
過去1年間全体で見ると、2件の買い付けと4件の売却が行われ、若干の売却傾向が見られます。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.75%と控えめで、株価への直接的な影響力は限定的です。
一方、プロの機関投資家の保有比率は63.97%に達しており、機関投資家が同社に対して大きな影響力を持っていることが伺えます。
全体として、インサイダーは慎重な姿勢を保っており、同社の株価に対してはプロの機関投資家の方が大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
エクソン・モービル(XOM)の流動性に関して
エクソン・モービル(XOM)は、高い流動性と活発な取引が特徴です。
過去2か月間の1日当たりの平均出来高は13,579,180株で、投資家からの関心が高く、市場での売買がスムーズに行われていることがわかります。
直近の取引日では出来高が12,626,072株と、2か月平均を少し下回りましたが、それでも十分な取引量があり、投資家は大きな価格変動を気にせずに売買を行える流動性が確保されています。
同社のダークプール指数(DPI)は49.28%で、約半分の出来高が公開市場外で行われており、機関投資家の関与や戦略的なポジショニングが考えられます。
全体として、エクソン・モービルの流動性は非常に高く、取引の活発さとDPIのバランスが取れているため、投資家にとって取引しやすい環境が整っていると言えるでしょう。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。
以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。
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