中立アボットラボラトリーズアボット・ラボラトリーズ(ABT)2024年2Q決算は好調!52年間増配の配当王の今後の株価見通し(予想配当利回り2%・配当性向48%)
イアニス・ ゾルンパノス- アボット・ラボラトリーズ(ABT)は医療機器セクターに属し、現在の株価は102ドル、予想配当利回りは2.16%となっています。
- 過去5年間の配当成長率は13.30%で、52年間連続で配当を増加させており、米国の「配当王」として知られています。
- 同社は2024年第2四半期において、EPS(1株当たり利益)が前四半期比で上昇し、過去の成長トレンドを維持しています。
- 売上高の増加も見られ、今後の成長が期待されています。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の概要
セクター:医療機器
現在の株価:102ドル
時価総額:1774.9億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:106.65ドル
安全マージン:4.33%
過去5年間の配当成長率:13.30%
直近配当落ち日:2024年7月15日
次回配当支払い日:2024年8月15日
予想配当利回り:2.16%
過去5年間の売上高成長率:7.70%
過去10年間の売上高成長率:7.60%
アボット・ラボラトリーズ(ABT:配当王・予想配当利回り2.16%・配当性向48%)は、1888年に創業され、循環器および糖尿病治療機器、成人・小児用栄養剤、診断機器・検査キット、ブランドジェネリック医薬品の製造・販売を行っている大手ヘルスケア関連企業です。
ヘルスケア業界の革新をリードする同社は、持続的な研究開発投資を通じて、新しい治療法や技術の開発に取り組んでいます。
例えば、持続グルコースモニタリングシステム「FreeStyle Libre」は、糖尿病患者の血糖値管理を革新し、患者の生活の質を向上させています。
主な製品には、ペースメーカー、植え込み型除細動器、神経調節装置、冠動脈ステント、カテーテル、乳児用粉ミルク、成人用栄養剤、持続グルコースモニター、免疫測定器、POC診断装置等が含まれ、売上高の約60%は米国外でのものとなっています
さらに、同社はCOVID-19パンデミックの際に、迅速な検査キットの開発と供給を行い、グローバルなヘルスケア対応に貢献しました。
また、同社は持続可能性にも注力しており、環境保護や社会的責任を重視した取り組みを行っています。
また、同社は2024年7月18日に2024年度第2四半期決算を発表しています。
さらに、同社は過去52年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っています。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の業績と成長に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は1.14ドル(前四半期:0.98ドル)、希薄化後のEPSは0.74ドル(前四半期:0.7ドル)、また、1株当たり売上高も5.926ドル(前四半期:5.7ドル)といずれも前四半期比で上昇しており、これは同社の過去の成長トレンドに沿った内容と言えます。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は24.70%で、過去10年間の年平均成長率は18.70%となっており、中長期的な観点からは継続して成長していることが分かる一方で、足元の成長がさらに加速していることが分かります。
さらに、業界の成長予測は、今後10年間も拡大が続くことが予想されていることからも、アボット・ラボラトリーズの長期的な見通しは良好であるように見えます。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の財務パフォーマンスに関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社の過去5年間のROICの中央値は10.63%で、過去5年間のWACCの中央値である6.16%を上回っており、これは、同社が株主のために経済的価値を創造していることを示している。
過去5年間のROCの中央値も74.16%と、投下資本に対するリターンを生み出すための強力な資本配分と効率性を反映しています。
また、現在のROEは14.69%と安定しており、過去10年間の最高値は20.70%、最低値は1.85%と少し不安定な内容となっています。
同社のROEは一貫して足元のWACCの水準である8.63%を上回っており、これは同社が株主に対してプラスのリターンを創出できていることを示しています。
全体として、同社の財務パフォーマンス指標は、効率的な資本配分と資本コストを上回るリターンの創出を通じて、株主価値の創造に成功していることを示唆しています。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の配当に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は13.30%で、過去3年間の配当成長率は12.30%となっており、さらに、同社は52年間連続で増配しており、米国株配当王の一角を担っています。
また、直近四半期の1株当たり配当金(DPS)は0.55ドルであり、予想配当利回りは2.16%、配当性向は48.0%となっており、同社が適切に配当管理を行っていることが分かります。
負債の管理状況に関しては、同社のEBITDA純有利子負債倍率は1.47倍で、基準値の2.0倍を下回っていることからも、財務リスクの低さと債務返済能力の高さを示しています。
そして、この水準からも、投資家は同社の負債水準を効果的に管理する能力に対して、自信を持つことができると見ています。
さらに、セクターと比較しても、同社の過去の配当実績は非常に堅調であると言えます。
全体として、アボット・ラボラトリーズの配当王としての継続した配当の成長率と管理可能な債務水準は、財務の安定性と株主還元という観点から、配当重視のインカム投資家にとって同社を魅力的な選択肢としているように見えます。
予想配当利回り:2.16%
配当性向:48%
配当カバレッジ・レシオ:1.5
5年間の配当成長率:13.30%
EBITDA純有利子負債倍率:1.47倍
※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
※2013年1月1日、研究開発を中心とした製薬事業を分社化し、新会社としてアッヴィ(ABBV)を設立しています。そのため、上記のチャートはその分社化の影響が反映されています。
※Dividend Yield:予想配当利回り
※Dividend Payout:配当性向
アボット・ラボラトリーズ(ABT)のバリュエーションに関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の現在の株価は102.03ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である106.65ドルを下回っており、割安の可能性を示しています。
また、株価売上高倍率は4.38倍となっており、同社の株価が売上高に対して妥当な価格で取引されていることを示唆しています。
さらに、予想PERは22.03倍で、実績PER(32.72倍)よりも低水準となっていることからも、これは市場のアナリストが、今後、同社のさらなる収益増加を予測していると言えます。
一方で、EV/EBITDA倍率は18.64倍と業界平均より高く、EBITDAベースで割高である可能性を示しています。
加えて、過去5年平均、また、10年平均と比較すると、現在のバリュエーション指標は、割安感を示す比率と割高感を示す比率が混在しているように見えます。
以上より、上述のバリュエーション指標からも、アボット・ラボラトリーズは売上高と将来の収益ポテンシャルに基づくと、魅力的なバリュエーションで取引されているように見えます。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)のリスクとリターンに関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、同社の売上総利益率は年平均-1.2%のペースで長期的に下落しています。
また、インサイダーによる同社株式の売却が活発で、過去3カ月間で32,949株が売却されており、インサイダーの同社株式に対するセンチメントが懸念されます。
さらに、同社の1株当たり売上高は過去12ヵ月間ベースでは減少しており、潜在的な収益課題を示しているように見えます。
一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアが-2.48であることから、同社が利益操作を行っている可能性は低いと言えます。
また、営業利益率の継続的な拡大はポジティブな兆候で、収益性の改善を示していると言えます。
さらに、同社のバリュエーションに関しても、PBR、PER、株価売上高倍率はそれぞれの過去の最低水準に近く、割安の可能性を示唆しています。
加えて、上記のチャートにもある通り、予想配当利回りは5年ぶりの高水準に近く、配当を通じて投資家に適切なリターンをもたらしていると言えます。
そして、アルトマンのZスコアも4.94となっており、同社の強固な財務体質を示しています。
以上より、全体として、アボット・ラボラトリーズにはいくつかのリスクが存在しますが、ポジティブな財務指標は投資家に潜在的な投資機会を示唆しているようにも見えます。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)のインサイダー分析によると、過去12ヶ月間にインサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていない一方で、インサイダーによる同社株式の売却は14件確認されています。
このインサイダーによる売却件数の多さは、同社のインサイダーが、同社の将来の業績に対して自信を持っていないことを示している可能性があります。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.87%である点にはご留意ください。
一方、機関投資家の同社株式の保有比率は56.44%と比較的高く、機関投資家が同社の将来性に自信を持っていることを示しています。
全体として、アボット・ラボラトリーズのインサイダー取引と保有比率分析からは、インサイダーによる同社への見方に関しては懸念が残る一方で、機関投資家からの支持は厚いことからも、同社の株価に一定の安定性をもたらしているように見えます。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の流動性に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は11,954,499株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は6,204,152株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は28.48%となっており、取引活動の一定の部分がダークプールで行われていることを示しています。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
全体として、アボット・ラボラトリーズは魅力的な流動性と取引活動を示しており、加えて、ダークプール取引においても顕著な存在感を示していることが分かります。
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