07/08/2024

やや強気
アドビ
やや強気
同社の継続的な売上高の成長軌道、利益成長の再開、およびプラットフォームのAI技術の採用による追い風を考慮し、短期的な同社に対する見通しとして「強気」の見方を維持している。
アドビ(ADBE)2024年第2四半期決算:売上高・利益が予想上回る!AI技術とクラウド事業の成功要因と将来性を徹底分析

black flat screen computer monitorドノヴァン・ ジョーンズドノヴァン・ ジョーンズ
  • アドビ(ADBE)は、デジタルメディアや広告ソフトウェアを世界中で販売しているテクノロジー企業で、主要製品にはフォトショップやイラストレーターなどがある。
  • 2024年6月13日に発表された2024年度第2四半期決算で、売上高と利益がコンセンサス予想を上回り、特にAI技術の採用が成長の追い風となっている。
  • 2024年度の総売上高ガイダンスは214億ドルから215億ドルを見込んでおり、デジタルメディアおよびエクスペリエンス事業全体でAI技術の強力な採用が確認されている。
  • アドビの短期的な株価見通しとして「強気」の見方を維持している。

アドビ(ADBE)について

アドビ(ADBE)はデジタルメディア、デジタルエクスペリエンス、デジタルパブリッシング&広告ソフトウェアなどを世界中で販売しているテクノロジー企業である。

同社は2024年6月13日、2024年度第2四半期決算を発表し、売上高、利益ともにコンセンサス予想を上回った。

同社の継続的な売上高の成長軌道、収益成長の再開、同社プラットフォームのAI技術の採用による追い風を考慮し、アドビの短期的な株価見通しを「強気」としている。

アドビ(ADBE)の概要と市場

アドビ(ADBE)の主要製品には、フォトショップ、イラストレーター、インデザイン、アクロバット、ライトルーム、プレミアプロなどがある。

同社の最高経営責任者はシャンタヌ・ナライエンで、アップル(AAPL)やシリコングラフィックスで製品開発を担当した後、アドビに入社した。

同社は、主に直接販売やマーケティング活動、オンラインマーケティング、無料トライアル、パートナープログラムを通じて新規顧客を獲得している。

Mordor Intelligenceによると、同社が事業を展開するデジタルメディア市場規模は、2026年までに3,347億ドルに達し、2021年から2026年までの年平均成長率は11.9%になると予想されている。

そして、アドビの主な競合他社は以下の通りである。

  • Corel

  • オートデスク(ADSK

  • Nuance Communications

  • マイクロソフト(MSFT

  • アップル(AAPL

  • グーグル(GOOG/GOOGL

  • Wondershare

  • Affinity

  • Canva

アドビ(ADBE)の最近の財務動向

アドビ(ADBE)の四半期別総売上高(赤色の列:Total Revenues)は目覚ましい成長を続けている一方で、四半期別営業利益(青色の線:Operating Income)は直近四半期で横ばいとなっている。

四半期別売上総利益(赤色の線:Gross Profit)は、総売上高と同じ軌跡をたどって上昇している一方で、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses. Total)は、直近の四半期で上昇している。

希薄化後一株当たり利益(EPS)は、アドビが2024年第1四半期に買収に失敗したFigmaに10億ドルの契約破棄料を支払ったこともあり、最近の四半期では不安定になっている。

(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)

また、過去12ヶ月で、同社の株価は15.9%上昇したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー-ソフトウェアETF(IGV)の上昇率は27.4%となっている。

アドビ(ADBE)のバリュエーション

以下は、アドビ(ADBEに関連するバリュエーションの表である

バリュエーション指標

EV(企業価値)/ 売上高倍率(予想

11.9

EV / EBITDA倍率(予想

23.7

株価売上高倍率(直近過去12か月

12.8

売上高成長率(予想)

10.8%

純利益率

24.9%

EBITDAマージン

38.4%

時価総額

$256,440,000,000

企業価値

$254,460,000,000

営業キャッシュフロー

$6,580,000,000

実績EPS(直近過去12か月

$11.12

予想EPS

$18.16

一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月

$14.05

また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率と営業利益率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長と営業利益率の軌道に乗っていることを示すものである。

下表のように、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第2四半期決算時点で46.3%であったため、同社はこの点で依然として力強い業績を上げていると言える。

40%ルール・パフォーマンス(調整前

2024年第1四半期

2024年第2四半期

売上高成長率

10.8%

10.8%

営業利益率

36.8%

35.5%

合計

47.6%

46.3%

アドビ(ADBE)の今後の見通し

直近の市場のアナリスト向け決算説明会議では、アドビ(ADBE)の経営陣の準備発言において下記の点が強調されている。

売上高

四半期の売上高として53億1,000万ドルを報告し、前年比で11%増加した。新たに獲得したデジタルメディアARR(年間経常収益)は4億8,700万ドルで、デジタルメディアの売上高は前年比で12%増加し、39億1,000万ドルに達した。

ドキュメントクラウドの売上高は7億8,200万ドルで、前年比19%の成長を示した。クリエイティブクラウドの売上高は31億3,000万ドルで、前年比11%の成長を記録した。エクスペリエンスクラウドの売上高は13億3,000万ドルで、前年比13%の成長を示した。

顧客維持率(リテンションレート)

Acrobat Reader、Acrobat Standard、Proを含むドキュメントクラウドソリューションの月間アクティブユーザーの安定した成長を確認している。Acrobat AIアシスタントは早期に採用を促進し、長期的な機会を生むと期待されている。

バックログ

四半期末の残存履行義務(RPO)は179億ドルで、前年比17%の増加を示した。

コストまたは経費

四半期のGAAPベースの1株当たり利益は3.49ドルであり、Non-GAAPベースの1株当たり利益は4.48ドルで、前年比15%の成長を示した。

AI機能に投資し続けながら、世界クラスの売上総利益率を維持している。営業利益率は、投資の優先順位を厳守することによって強さを示している。

キャッシュフロー

四半期の営業キャッシュフローは19億4,000万ドルであった。第2四半期終了時点で80億7,000万ドルの現金および短期投資を保有している。

バランスシート

25億ドルの自社株式買い戻しを完了し、2024年3月に承認された250億ドルのうち227億ドルが残っている。

海外市場

新興市場の成長は特にAI機能の需要増加によって強かった。

Acrobat Webの無料月間アクティブユーザー数は、リンク共有とMicrosoft EdgeおよびGoogle Chromeとのパートナーシップにより、前年比で60%以上増加した。

売上高ガイダンスとトレンド

2024年度第3四半期の総売上高は53億3,000万ドルから53億8,000万ドルを目標としている。デジタルメディアの新規ARRは約4億6,000万ドルを見込んでいる。

デジタルメディアセグメントの売上高は39億5,000万ドルから39億8,000万ドルと予測している。デジタルエクスペリエンスセグメントの売上高は13億2,500万ドルから13億4,500万ドルで、そのうちサブスクリプション売上高は12億ドルから12億2,000万ドルである。

2024会計年度について、同社は総売上高を214億ドルから215億ドル、新規デジタルメディアARRを約19億5,000万ドルと見込んでいる。

同社の経営陣は、新規ユーザーの獲得と既存顧客の高価値プランへの移行が成長の重要な要因であることを強調した。

また、アドビの主要製品全体で生成AI機能を統合したことで、エンゲージメントと保持率が向上した。

同社は、デジタルメディアおよびデジタルエクスペリエンス事業全体でAI技術の採用が強力な勢いを持っていることを確認している。

経営陣は、AI投資から価値を引き出すためのインターフェースの重要性を強調しており、実際の利益はユーザーのワークフローを強化することで得られるとしている。

以上より、同社の継続的な成長軌道、売上高の成長、および、同社プラットフォームのAI技術の採用による追い風に基づき、私は短期的なアドビに対する見通しとして「強気」の見方を維持している。

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