02/27/2025

中立
AGNCインベストメント
中立
AGNCは高利回りのMBSを積極的に購入しており、将来的に金利が下がればその恩恵が倍増する構造になっています。
【高配当mREIT】AGNCインベストメント(AGNC:予想配当利回り14.2%)とは?今後の株価見通しと将来性に迫る!

white and red wooden house miniature on brown tableヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 本稿では、注目の米国高配当mREITであるAGNCインベストメント(AGNC:予想配当利回り14.2%)の最新の2024年度第4四半期決算分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • モーゲージ不動産投資信託(mREIT)は、住宅ローンを証券化した金融商品に投資し、高い配当利回りを提供する仕組みです。特にAGNCインベストメントはエージェンシーMBSを活用し、高レバレッジで収益を生み出しています。
  • AGNCは低金利時代に固定した資金調達コストを活用し、高利回りのMBSを積極的に取得しています。金利の変動によって収益構造は変わりますが、現在の環境では有利な投資機会が広がっています。
  • MBS投資を通じて、個人投資家は少額で安定したインカム収益を得ることが可能です。特に退職後の資産運用に適しており、AGNCのようなmREITへの投資は、配当収入を重視する投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。

モーゲージ不動産投資信託(mREIT)の魅力とは?

私の父がコンピューターに向かい、住宅ローンの償却計算をするためのスプレッドシートを作成していた姿を、今でも鮮明に覚えています。父は住宅ローンをできるだけ早く完済することを強く信じており、追加で元本を繰り上げ返済した場合に、どれくらいのスピードで完済できるのかを定期的に試算していました。その追加返済は、小さな額を何回も行う場合もあれば、大きな額を一括で支払う場合もありました。このような慎重な計画のおかげで、両親は一般的なケースと比べて非常に早いスピードで住宅ローンを完済しました。

ほとんどの人にとって、住宅ローンは人生で最も大きな投資の一つです。銀行は物件を購入するための資金を貸し付け、借り手はそれを元本と利息の組み合わせで毎月返済していきます。銀行は借り手が確実に返済すると信じて投資を行い、借り手は自分自身の将来を信じて銀行の資金を活用します。多くの金融機関は、住宅ローンを最初から最後まで保持し続けるわけではありません。通常、銀行は15年から30年という長期にわたる投資を行いますが、特に最初の5年間は最も収益性が高い期間です。なぜなら、この期間は支払う利息が元本返済額を大きく上回るからです。そのため、銀行は住宅ローンを他の銀行に売却したり、第三者の住宅ローン会社に譲渡したりすることがよくあります。さらに、住宅ローンは数百件、場合によっては数千件単位で束ねられ、証券化された金融商品として取引されることもあります。こうした証券は、多くの場合、民間の投資家や政府系機関によって保有されます。

そして、実は、こうした大規模な住宅ローンの証券化商品にアクセスし、二桁の利回りを得る方法も存在します。本稿では、その方法を詳しく解説していきます。では、早速、本題に入りましょう!

AGNCインベストメント(AGNC:予想配当利回り14.2%):クーポンが高ければ、後々の資金も増える?

AGNCインベストメント(AGNC)は、14.2%の予想配当利回りを誇るモーゲージ不動産投資信託(mREIT)であり、エージェンシー・モーゲージ担保証券(Agency MBS)に特化しています。エージェンシーMBSは元本の価値が保証されているため、極めて低リスクな投資商品とみなされており、多くの金融機関、保険会社、超富裕層によって保有されています。AGNCは、この超低リスクのMBSを高いレバレッジと組み合わせることで、高いリターンを生み出し、配当として投資家に還元しています。

AGNCは2025年1月27日に2024年度第4四半期決算を発表しており、最新の業績は私たちの予想通りの結果となりました。

簿価は若干低下したものの、2024年を通じて8.40ドル~8.84ドルという比較的狭い範囲内で推移しています。

普通株1株あたりの有形純資産価値

(出所:AGNCインベストメントの2024年第4四半期決算資料

AGNCの「コア収益」に相当するネットスプレッドおよびドルロール収益は、1株当たり0.37ドルとなりました。これは過去数年間で最も低い水準ですが、配当額をわずかに上回る水準です。ここ数四半期にわたり述べてきたように、AGNCの収益は現在の配当額に近づいていくと予想しています。その理由は、AGNCが2021年に超低金利の時期に金利スワップを活用し、極めて低い資金調達コストを固定していたためです。その結果、2024年の市場環境においても2021年の低金利で資金を借りられていたのです。しかし、これらのスワップ契約が順次満了することで、金利負担は増加していきます。

mREITは、通常、コア収益のほぼ100%を配当に回します。しかし、AGNCは過去数年間、収益指標が一時的に押し上げられていることを認識し、配当を抑えめに設定していました。そのため、今後も、低金利で契約したスワップの恩恵を受け続けることができ、現在の平均金利はわずか1.46%、平均満期は4.4年となっています。

金利スワップ状況

(出所:AGNCインベストメントの2024年第4四半期決算資料

上記の図が示す通り、AGNCは、今後3~5年先を見据えても、平均0.25%という超低金利のスワップ契約を保有しています。

また、AGNCは2024年第4四半期に、より高利回りのクーポンへとポートフォリオをシフトさせることに注力しました。その結果、ポートフォリオ全体の73%(TBAを含む)が、5%以上のクーポンを持つ証券で構成されています。

(出所:AGNCインベストメントの2024年第4四半期決算資料

AGNCの加重平均クーポンは、前四半期の4.9%から5.02%に上昇しました。現在、同社の平均クーポンは、リポ取引(短期借入)にかかるコストである4.86%を上回っています。これまで長らく逆イールド(短期金利が長期金利を上回る状況)が続いており、ヘッジを行わない場合、短期借入コストがAGNCの保有資産の利回りを上回っていました。しかし、状況は変化しつつあり、今後イールドカーブがさらに立っていく(通常の形に戻る)ことで、この傾向は加速する見込みです。

AGNCにとって、5%や6%以上のクーポンを持つMBSを長期にわたり購入できることは非常に有利です。なぜなら、クーポンこそがAGNCの収益源であり、同社の本業はクーポン収入を得ることだからです。

仮にFRBが利下げを選択すれば、AGNCの借入コストはさらに低下します。一方で、金利が「高止まり」する場合は、エージェンシーMBSの価格は引き続き低水準で推移し、クーポンは高い水準を維持するでしょう。そのため、AGNCは今のうちに可能な限り多くのMBSを購入すべきです。なぜなら、7%の住宅ローン金利が永遠に続くわけではないからです。

そのため、2024年第4四半期にAGNCが5億ドルの新株を発行し、年間合計で20億ドルの資本調達を行ったことは非常に良い判断です。同社は市場が低金利環境へ移行する前に、可能な限り多くのMBSを買い集めています。現在の市場環境では、金利がこれ以上上昇する可能性は低いと見られます。この状況を活用し、長期的に見て割安な水準でMBSを取得するのは合理的な戦略です。

また、市場がAGNCに対し、同業他社よりも簿価に対するプレミアムを認め続ける限り、同社は競争優位性を持ち続けることができます。その理由としては、AGNCは、より良い条件で株式を発行し、割安なMBSを買い増すことが可能だからです。

AGNCインベストメント(AGNC)に対する結論

住宅ローン金利は依然として高止まりしており、米連邦準備制度理事会(FRB)は直近の会合で利下げを見送りました。しかし、AGNCインベストメント(AGNC)は引き続き、大幅に割引されたMBSや高クーポンのMBSを積極的に購入することができます。今後、金利が下がれば資金調達コストは低下し、現在購入している高利回りのMBSからの収益を維持することが可能になります。AGNCにとって、金利は将来的に下がる可能性が高い一方で、現在の高利回りのMBSを購入できる状況が続いているという、まさに「絶好のタイミング」といえます。

(出所:YCharts)

AGNCはレバレッジを活用することで、MBSに直接投資する場合と比べて大幅に高いリターンを実現しています。こうした追加の収益は、生活費を補うための貴重な収入となり、多くの人々が強く求めるものです。

特に、リタイア後の資産運用において、MBS市場にアクセスできることは非常に大きなメリットです。米国株投資家は、AGNCへの投資を通じて少額の資金でMBSに投資し、ポートフォリオの管理を任せながら安定した収益を得ることができます。そして、同時に多くの人々が住宅購入の夢を実現することを支援することにもつながります。これは、投資家にとっても、住宅購入者にとっても、そして市場全体にとっても「三方よし」の状況といえるでしょう。

これこそが「インカム投資」の魅力であり、「インカム投資の本質」であると考えています。


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アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン

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