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05 - 23 - 2024

アプライド・マテリアルズ / AMAT / 予想配当利回り0.73%:最新の2024年2Q決算・業績分析と今後の株価予想・将来性

ウィリアム・ キーティングウィリアム・ キーティング
  • アプライド・マテリアルズ(AMAT:予想配当利回り0.73%)の2024年度第2四半期の売上高は66億5,000万ドルで、ガイダンス通りの着地。
  • 同社の売上高は中国市場からの売上高が倍増し、今後のICAPSビジネスの成長に期待がかかっている一方で、中国からの売上への依存という状況は継続。
  • 主要なWFE(半導体前工程製造装置)プレーヤーは史上最高値付近にあり、ラムリサーチは100億ドルの自社株買いと株式分割を発表し、同社の株価は上昇。

アプライド・マテリアルズ(AMAT)の2024年度第2四半期決算概要

先週、アプライド・マテリアルズ(AMAT)は、2024年度第2四半期の売上高を66億5,000万ドルと発表したが、これはガイダンス通りであり、前四半期比・前年同期比ともにほぼ横ばいであった。

下記のグラフの通り、今後については、今四半期の売上高である66億5,000万ドルを売上高ガイダンス(Total Revenues)の中間値としており、また、売上総利益率(Non-GAAP Gross Margin)は47%で安定すると見ていることから、今後も同様の状況が続くと同社は予想している。

実際、このような「上振れなし、上方修正なし」といった状況下では、決算後に株価が大幅に下落することも予想されたが、そうはならなかった。

決算発表後、確かに若干の下げはあったものの、その後、同社は史上最高値の221ドルをつけた。

そして、現在の株価は219.8ドルで、この価格をわずかに下回っている水準となっている。

ここで指摘すべきは、同社が特別な存在ではないということだ。

主要なWFE(Wafer Fab Equipment / 半導体前工程製造装置)プレーヤーはすべて、史上最高値かそれに近い水準にある。

実際、ラムリサーチ(LRCX)は、足元、100億ドルの自社株買いと1株につき10株の株式分割を発表し、その後の2日間で株価を6%以上急騰させている。

(原文)"The share repurchase authorization announced today will execute over an indeterminate period of time and is consistent with our plan to return 75% to 100% of free cash flow to stockholders in the form of dividends and share buybacks," said Doug Bettinger, Lam's Executive Vice President, and Chief Financial Officer. "Furthermore, the stock split announced today will enable a larger proportion of Lam's worldwide employee base to participate in the company's employee stock plans."

(日本語訳)ラムリサーチのダグ・ベッティンジャー上級副社長兼最高財務責任者(CFO)は、「本日発表された自社株買いの承認は、不確定期間にわたって実施されるもので、フリー・キャッシュフローの75%から100%を配当と自社株買いの形で株主に還元するという当社の計画に沿ったものです。」と述べている。「さらに、本日発表した株式分割により、ラムリサーチの全世界の従業員のうち、より多くの割合が当社の従業員持ち株プランに参加できるようになります。」

市場はアプライド・マテリアルズの業績報告を明らかに無視し、より幅広いWFE部門の主要プレーヤーに熱狂的な関心を示しているように見える。

しかし、このトレンドは妥当なのだろうか?

この問題についての我々の考えは以下の通りである。

まずは、アプライド・マテリアルズに関して具体的に論じる前に、より広範なWFE部門の2024年度第1四半期の業績を振り返ってみたい。

WFE部門の世界上位5社の売上高は220億ドルで、前四半期比6.7%減、前年同期比10.9%減であった。

この時点で、現在の不況に関して、WFE部門がどのような状況にあるのかを再認識する必要がある。

以下のグラフにあるように、2021年に前年比44%増という大幅な伸びを記録したWFE部門だが、ほぼ同様の売上高が継続しており、このトレンドは今年で4年目に突入していることが分かる。

また、我々は、売上高に関して、主要プレーヤーの相対的なパフォーマンスに大きなばらつきがあることは前回述べている。

下記のグラフの通り、例えば2023年(YoY%)の売上高(Revenue)を振り返ってみると、ASML(ASML)が37.6%増でトップだったのに対し、ラムリサーチ(LRCX)は24.8%減で最下位となっている。

これらの売上高におけるパフォーマンスの差は大きな違いであるが、これらの銘柄の株価の相対的なパフォーマンスは非常に似たものとなっている。

そして、今年度は、昨年と似たような展開になるのではないかと見ている。

ASMLの場合、売上高は前年並みとなるだろう。

WFE部門の同業他社にはもう少し良い業績を上げるところもあると思われるが、我々は2024年のWFE部門における売上高成長率予想を前年比5%増(下記のグラフ参照)としていたが、本稿で改めてこの予想を支持したいと思う。

ただし、これは特にエキサイティングな成長予測ではなく、さらに、2025年がどのような展開になるのかも見えてこないというのが本音である。

2025年はもっと成長するはずだと多くの人が考えているように見えるが、現状としては、我々には2025年がどのようなパフォーマンスとなるかは分かっておらず、且つ、受注もまだ帳簿に載っていない。

このように見通しが立たないことと、ほぼ同じような年間売上高が4年目に入っていることを踏まえると、WFE部門を否定的に見る人がいるかもしれないが、問題の単純な事実は、我々は、3年間の非常に力強い成長、特に前述の2021年の44%の成長の後の一種の消化段階にあるということである。

何より忘れてはならないことは、WFE部門の年間売上高は2019年から2023年の間にほぼ倍増したということである。

私は以前、WFE部門の年間売上高が2030年までに現在の水準から50%増加すると予測したことがあるが、我々はWFE部門と、同部門が半導体の将来において果たすべき役割について、引き続き楽観的に見ている。

ただ、現時点では、WFE部門がいつ意味のある成長を取り戻すのかを予想することは困難であり、また、それは今年ではないだろうと見ている。

また、来年になるかもしれないが、我々は来年でもないだろうと見ている。

しかし、KLA(KLAC)の決算に関する最近のレポートで指摘したように、主要プレーヤーはすべて完璧な価格設定になってきている。

これを前提にすれば、現在のWFE部門は過大評価されている可能性があると見ている。

では、もう一度アプライド・マテリアルズAMAT)に戻り、なぜ決算後に株価が下落しなかったのかについて考えていきたい。

実際に、理由は幾つか考えられる。

1. 同社はWFE部門の中で最後に決算を発表したため、投資家は既に同業他社から、今期の決算における上方修正をあまり期待しないようにとの強いシグナルを受けていた。

その意味で、上方修正がなかったことはさほど驚きではなかったと言える。

2. 同社のCEOとCFOは、同社の将来の成長を現在の技術トレンド、特にGAA、BSP、そしてもちろんAIと結びつけることに多大な努力を払っていた。

ゲーリー・ディッカーソンCEOは、準備発言の中で、生成AIの台頭が同社にとっていかに良いことであるかを力説していた。

(日本語訳)まずは大局的な視点から始めましょう。AIIoT、オートメーション、電気自動車、自律走行車、クリーンエネルギーなど、テクノロジーの地殻変動は、今後数十年にわたって経済のほぼすべての分野を変革していくと思われます。そして、これらすべてに共通しているのは、半導体を基盤としているということです。これらの新技術が展開されるにつれて、半導体のエコシステム全体の成長とイノベーションが促進されます。インパクトと規模という点で、私はAIが私たちの生涯で最大のテクノロジーの変遷になると信じています。そして、AIの中心には、世界で最も洗練されたチップがあります。簡単に言えば、AIデータセンターを支える先進的なチップは、最先端のロジック、コンピュートメモリまたは高性能DRAM、高帯域幅メモリ(HBM)と呼ばれるDRAMスタッキング技術、そしてロジックチップとメモリチップを接続し、パッケージ内にシステムを構築する先進的なパッケージングという4つの主要半導体技術によって実現されます。アプライドマテリアルズはこれら4分野すべてでプロセステクノロジーのリーダーシップを発揮し、お客様の将来のロードマップに不可欠な主要デバイスアーキテクチャの転換を可能にする次世代ソリューションに多大な投資を行ってきました。

これはアプライド・マテリアルズとディッカーソンCEOの常套手段である。

彼は同社を核とした大局的な未来を描くことに長けている。

彼は間違ってはいないが、彼が巻き起こす即時性の感覚は必ずしも常に正当化されるわけではない。

例えば、我々は今ChatGPT時代の2年目にいる。

TSMC(TSM)、SKハイニックス(000660.KS)、サムスン電子(005930.KS)、マイクロン・テクノロジー(MU)を、ChatGPTやその類に必要なGPU/カスタムASIC、DRAM、HBMコンポーネントを牽引する主要プレーヤーとすると、彼らは2024年に向けたCapEx(資本支出)を意味のある水準まで未だ増やしていないことがわかる。

その結果、今年のアプライド・マテリアルズの売上高にAI関連のビジネスが与える正味の影響はごくわずかとなっている。

ともあれ、ディッカーソン氏は素晴らしい売り込みを行い、それが市場の投資家の間では定着したように見える。

これが、市場が「上振れなし、上方修正なし」といった決算を左程ネガティブに捉えなかった最大の理由だと見ている。

中国の収益

他の同業他社と同様に、アプライド・マテリアルズ(AMAT)の中国からの売上高は最新の四半期も過去最高を記録しており、中国からの純売上高は前年同期の14億ドルから約28億ドルへと倍増している。

そして、この中国関連の売上高は質疑応答の中で非常に関心を集めていた。

特に、最も興味深かった点は、下記の遣り取りである。

(原文)OK. Great. C.J., thanks for the question. So, when we look at our business and think about the largest customers, as we look at Q3 and our guidance for Q3, we know that the DRAM shipments that we've had for China that we called out that were fairly high in Q1 and Q2 are falling off in the second half.

(日本語訳)わかりました。素晴らしいです。C.J.、質問をありがとうございます。当社の事業を見て、最大の顧客について考えるとき、第3四半期と第3四半期のガイダンスを見ると、第1四半期と第2四半期にかなり高かった中国向けのDRAM出荷が下半期に落ち込んでいることがわかります。

上述の通り、中国経由の売上は下半期に減少するということである。

そして、同社は売上高に占める中国の比率は30%まで「正常化」すると予想している。

(原文)OK. Thanks, Srini. Yes, first of all, our mix as we move to the second half of the year will normalize with respect to China as a percent of our total revenue. So, it will be closer to 30% as expected.

(日本語訳)わかりました。ありがとう、スリーニ。まず第一に、下半期に入ると、総売上高に占める中国の割合が正常化します。ですから、予想通り30%に近づくでしょう。

(原文)And it's the dynamic that you highlighted. We had some catch-up DRAM shipments to particular customers in China for the last three quarters. Those will fall off as we go through Q3 and Q4, and that really will bring our percentage of China revenue back down closer to what's average over the last few years, which we'll call about 30%. And then with respect to the mix of business.

(日本語訳)また、ご指摘のような動きもあります。ここ3四半期は、中国の特定顧客向けのDRAM出荷が若干追いつきました。しかし、第3四半期、第4四半期にはそれらのDRAMの出荷が減少し、中国での売上比率はここ数年の平均である約30%に近づくでしょう。次に、事業構成についてです。

(原文)So, as that DRAM business falls off, our ICAPS business and our leading-edge logic business does increase to fill that in. And so, that's consistent with continued strength in ICAPS, which the rest of the market for us in China would be ICAPS-related. And I think you described it well. The end markets are mixed.

(日本語訳)DRAMビジネスが落ち込むと、ICAPSビジネスと最先端ロジック・ビジネスがそれを補うように増加します。これはICAPSの継続的な好調と一致するもので、中国市場の残りはICAPS関連ということになります。そして、あなたはそれをうまく表現したと思います。最終市場はまちまちとなっております。

つまり、アプライド・マテリアルズとしては、中国向けDRAMの売上が減少しても、ICAPSの好調さで補うという計画である。

実際、この点は2度言及されており、もう1つは下記のタイミングである。

(原文)And what we've been expecting is that ICAPS strength and leading logic strength would backfill that drop-off in DRAM. And that's exactly what we see happening in Q3. And that's consistent on the leading logic side with the advent of gate-all-around process technology and equipment beginning to ship in earnest for the HVM ramp that will be upcoming. And I think that's a good indication of what we're expecting in the second half.

(日本語訳)私たちが期待しているのは、ICAPSの強さとリーディング・ロジックの強さが、DRAMの落ち込みを埋め合わせるということです。第3四半期はまさにその通りでした。また、ゲート・オール・アラウンド・プロセス・テクノロジーの登場や、今後予定されているHVMの立ち上げに向けた装置の本格的な出荷が始まっていることも、リーディング・ロジック側と一致しています。これは、下半期に期待されるものを示す良い兆候だと思います。

なお、下期のICAPSの好調は「予想される」ものだが、それが実現するという意味ではないという点にはご留意いただきたい。

これは、同社(および同業他社)が中国経由の売上高にいかに依存しているかについて私が抱いていた懸念である。

もし(果たしていつになるのだろうか?)、中国以外の顧客の成長が回復する前に、いかなる理由であれ中国からの売上高が落ち込んだ場合には、それは彼らにとって非常に難しい状況になるだろう。

我々は、絶対に中国経由の売上高が下落すると言っている訳ではないが、現在のところ、すべての主要プレーヤーの株価・バリュエーション水準を踏まえると、市場の投資家はそうならないことを確信しているかのようなバリュエーションを同社に付与しているように見える。