06/26/2024

やや強気
アップラビン
やや強気
2025年のフリー・キャッシュフローを19億ドルと見積もると、同社は来年のフリー・キャッシュフローのわずか14倍のバリュエーションで取引されている。
アップラビン(APP)今後の株価見通し:目標株価は110ドル!AXON2とソフトウェア部門の成長により株価は割安?

blue red and green letters illustrationマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 本稿では、注目の米国テクノロジー銘柄であるアップラビン(APP)の最新決算と財務パフォーマンスの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • アップラビンのフリー・キャッシュフローは2025年には19億ドルに成長すると予想しており、そのため、足元の株価は来年の予想フリー・キャッシュフローは約14倍というバリュエーションとなり割安であると見ています。
  • 私は、同社のソフトウェア部門が、最先端のAXON 2エンジンに牽引され、前年比91%の成長を遂げたことを魅力的に感じています。
  • そして、純負債が30億ドルあるにもかかわらず、強力なキャッシュフローを生み出し続けているため、今後、同社の財務健全性は大幅に改善すると見ています。

アップラビン(APP)の概要

現時点でのアップラビン(APP)に対する最大の疑問は、同社の最近の業績が持続可能かどうかである。

この点に関して、私は、自身の同社の成長率の見積もりは控えめであり、来年のフリー・キャッシュフローの約14倍の足元のバリュエーションは、未だ理にかなったバリュエーションであると見ている。

2024年5月8日に発表された最新の2024年度第1四半期決算直後の、先月執筆したレポートにおいて、私は下記のように述べている。

アップラビンAPP)は2024年5月8日に2024年度第1四半期決算を発表し、素晴らしい業績を達成し、見通しも明るいように見える。しかし、現在の株価水準で同社のポジションを持つことは賢明な判断とは言えず、仮にすでにロングを持っていたとしても、自身の平均購入価格を大幅に引き上げるのは避けたいところである。私は、以前から同社に強気で見ており、先月、私は同社の目標株価は90ドルだと述べているが、実際に、同社の現在のバリュエーションは、私が以前この銘柄に注目していたときほど魅力的なものではない。」

※レポートの詳細に関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、下記のレポートをご覧いただければと思います。

アップラビン(APP:強気)株価の今後の見通しとは?最新の2024年第1四半期決算分析を通じて将来性に迫る!

このレポートを執筆して以来、足元の株価を見てみると、株価は上昇しなかったばかりか、決算発表後のほとんどの上昇を失っている。

そして、これは非常に重要なポイントである。

なぜなら、市場の投資家が依然として同社の将来性を真に信じていないことを示しているからである。

実際、私は同社の株価が約110ドルになると考えていた。

さらに、直近の決算発表が非常に良好であったことからも、これ以上の良い見通しを想像することができなかったため、次の四半期の決算前後に売却することを検討していた。

つまり、同社の株価が直近の決算を受けて110ドル近くに上昇すると見ていたのである。

しかし、現状を見てみると、自身の目標株価である110ドルからは依然として乖離している。

そのため、足元の同社に対する市場の期待が緩和されたことを考慮して、同社に対する立場を再考することとした。

私は、引き続き、アップラビンの目標株価を110ドルと見ており、この水準に達した時点で、或いは、遅くとも2024年末までには同ポジションを閉じる予定である。

なぜアップラビン(APP)なのか?

アップラビン(APP)はモバイルアプリの開発者や広告主向けにサービスを提供している。

簡単に言えば、アプリ開発者がアプリから収益を得るためにユーザーに広告を表示する手助けをしている。

要するに、同社はアプリを収益化したい開発者と、モバイルユーザーに自社製品を宣伝したい広告主の仲介役を果たしている。

つまり、これは、企業がユーザーにターゲットを絞ってリーチするためのプラットフォームであり、ユニティ・ソフトウェアU)のより成功したバージョンである。

アップラビンのソフトウェア(Software)プラットフォームは非常に速いペースで成長しており、2024年第2四半期の決算報告が来月行われる時点で、総売上高の約70%を占めると考えられる。

この状況を踏まえ、ここでは何が重要なのかをしっかりと理解しよう。

アップラビン(APP)の売上高:年平均成長率25%の売上高成長率

前回のレポートにおいて、私は下記のように述べている。

「アップラビン(APP)は、2024年の上半期は緩やかに成長しており、問題は2024年下半期にどのような成長率を期待できるかという点である。そして、私は2024年下半期には少なくとも年平均成長率25%が期待できると考えている。」

そして、2024年第2四半期のガイダンスが出ているが、これは非常に好調で、売上高は前年同期比46%増を見込んでいる。

しかし、最大の疑問は、前年同期比ベースでの比較において、この非常にハードルの低い2024年第2四半期(前年同期の2023第2四半期は-3%の成長となっている)を過ぎた後、同社からどのような成長率を期待できるかということである。

そして、市場の投資家は同社の見通しが再び上向きになっているというストーリーを信じることに消極的になっている。

これは理解できることであり、その理由としては、広告市場のいくつかの間接的な競合他社が現在不安定な状況にあることが挙げられる。

(出典:YCharts

上記のチャートには、二つのアドテック企業、デジタル・タービンAPPS)とペリオン・ネットワークPERI)が示されている。

これらの企業は最近、投資家に対して業績を報告しており、その見通しは満足のいくものではなかった。

しかし、私の主張は、アップラビンのソフトウェア事業は広告市場からある程度保護されているということである。

ここで明確にしておきたい。

アップラビンのソフトウェア事業が広告市場に完全に免疫があると言っているわけではない。

同社のソフトウェア部門は、前年比91%の成長という卓越した成長によって際立っている。

この印象的な増加は、主にAXON 2エンジンの継続的な改良によるものであり、これがプラットフォームのパフォーマンスを大幅に向上させている。

AXON 2は高度な自己学習アルゴリズムを使用しており、処理するデータに基づいて時間とともに自らを改善する。

これらの技術的進歩は、より多くの広告主を引き付けるだけでなく、プラットフォームがより効果的に広告費を処理できるようにする。

その結果、追加のコストを最小限に抑えつつ実質的な売上高成長を促進するビジネスモデルが生まれ、高い収益性を実現している。

ソフトウェア部門をさらに特別なものにしているのは、その非常に高い利益率を生み出す能力である。

3億2300万ドルの売上高の増加のうち、84%、すなわち2億7300万ドルが調整後EBITDAとなっている。

多くの他のビジネスが成長のために大規模な営業努力を必要とするのに対し、同社のソフトウェアの利益は主に技術の改善によってもたらされる。

AXONモデルの各改良は、追加の営業やマーケティング費用を必要とせずに広告主のパフォーマンスを直接向上させる。

では、この状況を踏まえ、次にその評価について議論しよう。

アップラビン(APP)のバリュエーション:来年のフリー・キャッシュフローの14倍

先月、アップラビン(APP)のフリー・キャッシュフローについての考えを述べたので、ここでは繰り返さない(詳細はこちら)。

要点としては、同社の非常に強力な第1四半期のフリー・キャッシュフローを2024年全体にわたって想定することは危険だと考えている。

したがって、現時点では、2024年のフリーキャッシュフローを15億ドルと見積もっている。

しかし、既に2024年の半ばに差し掛かっていることを踏まえると、これは現時点ではそれほど重要ではない。

むしろ、2025年に対する見通しを形成することが最も重要である。

この点に関して、現時点では、同社のフリー・キャッシュフローが約19億ドルになる可能性があると見積もっている。

これは今年のフリー・キャッシュフローから約25%の増加である。

来年のこの時期には、同社の総売上高の80%がソフトウェア部門から来ると考えられ、ソフトウェア部門は非常に強力な利益率を持っていることを踏まえると、これは妥当な数字であると考えている。(上記の図を参照)。

これにより、同社の株価は2025年のフリー・キャッシュフローの約14倍というバリュエーションとなっている。

一方で、同社のリスクについて考えるとすると、同社が約30億ドルの純負債を抱えているという点が挙げられる。

しかし、これについては個人的にはあまり懸念はしていない。

その理由としては、この負債のプロファイルは2024年末までに約25億ドルに大幅に改善し、来年の夏までに約20億ドルという水準に向かって継続的に改善すると考えているからである。

つまり、アップラビンは継続して強力なフリー・キャッシュフローをバランスシートに積み上げているのである。

アップラビン(APP)への結論

結論として、アップラビン(APP)はその印象的な財務パフォーマンスと強力な成長見通しにもかかわらず、市場から過小評価されている。

同社は、革新的なAXON 2エンジンと急速に拡大するソフトウェア部門によって、高いフリー・キャッシュフローを継続的に生み出す能力を持ち、持続的な成長に向けて好位置につけている。

2025年のフリー・キャッシュフローを19億ドルと見積もると、同社は来年のフリー・キャッシュフローのわずか14倍のバリュエーションで取引されている。

さらに、純負債の削減に戦略的に取り組んでいることが同社の財務安定性を一層強化している。

これらの要素を考慮し、アップラビンの株式は依然として更なる上昇の可能性を持っていると見ている。

さらに、その他のアップラビン(APPに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アップラビンのページにアクセスしていただければと思います。

また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。

私のテクノロジー関連銘柄やエネルギー関連銘柄に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。


アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ

📍テクノロジー&エネルギー担当

オリベイラ氏のその他のテクノロジー関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、オリベイラ氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら