10/23/2023

やや強気
アレス・マネジメント
やや強気
同社は、代替資産へのエクスポージャーを持つ上で優れた投資対象であるように見えます。
アレス・マネジメント(ARES)の将来性:最新の2023年第2四半期決算と強み分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

laptop computer on glass-top tableジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
  • 本稿では、注目の米国株であるアレス・マネジメント(ARES)の2023年8月1日に発表された最新の2023年度第2四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。 
  • アレス・マネジメントはオルタナティブ資産に特化した投資マネージャーで、主にクレジット、プライベート・エクイティ、不動産、インフラストラクチャーに投資しており、収益の大部分は運用報酬から得ています。 
  • 同社のAUMは約3,780億ドルで、特にプライベート・クレジット分野が好調であり、金利上昇や規制強化により融資市場のギャップを埋める役割を果たしています。
  • 同社の収益構造は分散しており、市場の下落局面でも堅実なリターンを実現している銘柄であり、私は同社株式は少なくとも28%程度、割安に推移していると考えています。

アレス・マネジメントの事業内容

アレス(ARESはオルタナティブ資産の投資マネージャーであり、クレジット、プライベート・エクイティ、不動産、インフラストラクチャー資産クラスへのエクスポージャーを提供している。

アレスへの投資は、オルタナティブ資産への直接的なエクスポージャーを提供するものではないが、アレスが支払うリターンと配当は、オルタナティブ資産の成長と強く連動している。

アレスはAUM(運用資産残高)を基準とした運用報酬を通じて収益を生み出している。その為、投資ポートフォリオの資産価値の上昇、または投資家のアレスへの出資に対する関心が高まり、AUMが成長し続ける限り、アレスの資本は非常に上手くいくだろうし、この2つの要素は実際に実現すると考えている。

収益の大半は運用報酬であり、次いで、ファンドの運用成績が良好な場合に徴収される追加報酬であるインセンティブ報酬が続く。

運用の観点からは極めてシンプルなビジネスである。アレスの分析が複雑なのは、様々な投資案件を分解した場合にある。

同社のAUMは約3,780億ドルで、以下の分野に分散している。その中で最も大きな割合を占めるのがクレジットである。

プライベート・クレジットはここ数年非常に好調で、負債残高で銀行ローンを抜いている。

規制が強化され、金利が上昇したことで、銀行の貸出能力はかなり制限されるようになった。簡単に言えば、融資の分野には埋めるべき大きなギャップがあるということである。

借り手も貸し手も、民間のクレジットが提供する柔軟性から恩恵を受けることができる。その上、技術的な向上が民間のクレジット市場の範囲を広げ、日常的により多くの投資家や企業が民間融資にアクセスできるようになっている。

これは結局のところ、経済にとってもアレスにとっても非常に良いことである。

アレス・マネジメントをEOW投資フレームワークに基づき検証

他の銘柄と同様、私達のEnd Of The World(EOW)ポートフォリオ・フレームワークで検証してみよう。これは、私達が評価する銘柄の長期的なレジリエンスをテストするためのもので、以下の主要指標に焦点を当てている。

そして、記事の最後に、この銘柄がEOWポートフォリオに加えるに値するかどうかを判断する。

アレス・マネジメントの長期的な成長

オルタナティブ資産の持続的成長には強力な論拠がある。それは、金利とインフレが持続的に上昇する環境が到来する可能性がある中、オルタナティブ資産はポートフォリオ分散において不可欠なツールとなるからである。

オルタナテ ィブ資産への投資残高は全体の3%程度に過ぎないが、機関投資家も個人投資家も、今後10年間で投資残高を増やす余地は十分にあると見ている。

アレスは、オルタナティブ資産の年平均成長率を10%と予測している。これは、年平均成長率を10.2%と予想するPreqinの予測とほぼ一致している。

アレス・マネジメントの収益の回復力

これはアレスが最も得意とするところであろう。オルタナティ ブ資産は反循環的であるため、市場の低迷に強い。結果、アレスは、市場のボラティリティに直面しても、驚異的な実績を示してきた。

コロナによる暴落や金融危機など、ボラティリティの高い時期であっても、アレスは運用報酬を伸ばし続けている。

一方、ここ数年、アレスの投資対象は多様化している。

同社は多種多様なオルタナティブ資産に投資しており、また、一方で、多種多様な投資家がアレスに投資している。

投資家の種類や地域が多様化したことで、同社の収益もより弾力的になっている。

アレス・マネジメントの貸借対照表

貸借対照表に関しては、事業の性質上、必ずしも健全とは言えない。

同社のAUMは、貸借対照表の240倍である。これは資本収益率を高める一方で、リスクも高めている。

アレスは負債とほぼ同額の資産を保有している。しかし、ソルベンシー・レシオはあまり高くないのが現状である。

アレス・マネジメントのモート(競争優位性)

アレスは強固で多角的なビジネスを展開している。ファンド・マネジメントの分野は非常に競争が激しいが、アレスはエクスポージャーを得るのがそれほど容易ではない資産分野に特化している。

例えば、プライベート・クレジットは、ほとんどの個人投資家が利用できるものではなく、機関投資家にとっても難しい市場である。

アレスはこの分野で長年の実績がある。その為、オルタナティブ資産が成長した際に、アレスが市場シェアを失い、成長を実現できない世界を想像するのは難しいと考える。

アレス・マネジメントのバリュエーション

アレスは伝統的な評価基準では割安とは言えないが、この銘柄には、未だ見逃されている株主価値が多く存在すると考える。

まず、同社は約2.4%の配当利回りを支払っている。この利回りは、手数料関連収益で十分にカバーされている。

一方で、バリュエーションを見てみると、株価が割高であることは簡単に伺える。

株価は利益の60倍超、PSR(株価売上高倍率)は8.54倍で取引されている。しかし、おそらく最も重要な指標のひとつであるPEG(株価収益率)は0.63と割安感を示す結果となっている。

アナリストは、今後の収益とEPSの大幅な伸びを予想している。

これらの数字を使ってDCF評価を行い、8%の割引率を適用すると、アレスは少なくとも28%過小評価されていると私は見ている。

アレス・マネジメントに関するリスク

アレスはオルタナティブ資産に簡単にアクセスできる点で非常に気に入っているが、自身のEOWポートフォリオ選定の条件にぴったり当てはまる訳ではないというのも事実である。なぜなら、財務上、同社は、私が期待する程の支払能力があるわけではないと見ているからである。

また、株価も既に大きく上昇しており、ここから利益を得られる余地はあまり残っていないようにも映る。

一方、アレスは金利上昇の恩恵を受けており、私は今後もこの流れは継続すると信じているが、金利が再び急速に低下した場合には、同社は苦戦する可能性がある点には留意したい。

結論

個人的には、総じて、アレスは投資家がオルタナティブ資産市場へのエクスポージャーを得るための素晴らしい手段であると考える。そのため、私は自身のEOWポートフォリオにこの銘柄のポジションを追加している。


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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード

📍米国マクロ経済&テクノロジー担当

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