03/25/2024

中立
アメリカン・エキスプレス
中立
アメリカン・エキスプレス(AXP)の現在の株価225.96ドルは、弊社算出の一株当たり本質的価値214.02ドルを上回っており、潜在的な割高感を示している。
アメリカン・エキスプレス / AXP / 予想配当利回り1.2% / 中立:23年4Q決算分析と今後の株価見通し・将来性

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  • アメリカン・エキスプレス(AXP:予想配当利回り1.24%)は、約130カ国で事業を展開する世界的な金融機関である。
  • 同社は、消費者や企業にクレジットカード等の決済商品を提供し、並びに、収益性の高い加盟店決済ネットワークも運営している。
  • また、同社は2024年1月26日に23年第4四半期決算を発表している。

アメリカン・エキスプレス(AXP)の概要

セクター:クレジット・サービス

現在の株価:225ドル

時価総額:1,627億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:214.02ドル

安全マージン:-5.57%

過去5年間の配当成長率:9.40%

配当落ち日:2024年4月4日

配当支払い日:2024年5月10日

予想配当利回り:1.24%

過去5年間の売上高成長率:11.60%

過去10年間の売上高成長率:9.70%

アメリカン・エキスプレス(AXP)は、約130カ国で事業を展開する世界的な金融機関である。

同社は、消費者や企業にクレジットカード等の決済商品を提供し、並びに、収益性の高い加盟店決済ネットワークも運営している。

2018年以降、グローバル・コンシューマー・サービス、グローバル・コマーシャル・サービス、グローバル・マーチャント&ネットワーク・サービスの3つのセグメントで事業を展開している。

同社のコマーシャル・サービス事業では、決済商品に加え、経費管理ツール、コンサルティングサービス、ビジネスローンも提供している。

アメリカン・エキスプレス(AXP)の収益と成長に関して

23年第4四半期のアメリカン・エキスプレス(AXP)の非経常損益項目を除くベースでのEPSは2.62ドルで、前四半期の3.30ドルを若干下回った。

しかし、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は10.30%で、過去10年間の年平均成長率は8.00%となっており、長年にわたり安定した成長を見せていることが分かる。

また、一株当たり売上高も前四半期の20.93ドルから21.722ドルに増加している。

さらに、今後10年間の業界の成長予測はポジティブであり、同社がさらに事業を拡大し続ける機会を示している。

一方で、同社は歴史的にある程度の財務レバレッジを維持してきたことに留意することが重要であろう。

以上より、アメリカン・エキスプレスの一貫した成長率と業界の見通しを考慮すると、同社は成長を続ける可能性があるが、持続可能な成長を確保するためには同社のレバレッジの程度を監視する必要があるだろう。

アメリカン・エキスプレス(AXP)の配当に関して

アメリカン・エキスプレス(AXP)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は9.40%、過去3年間の配当成長率は11.70%となっている。

また、同社の予想配当利回りは1.24%で、投資家にとって安定したリターンを示している。

直近の四半期では、同社は0.70ドル(前四半期:0.60ドル)の一株当たり配当(DPS)を発表し、定期的な配当の支払いを続けている。

さらに、同社の配当実績を同セクターと比較すると、同社の配当成長率は業界標準に沿ったものであることが分かる。

予想配当利回り:1.24%

配当性向:21%

配当カバレッジ・レシオ:4.67

過去5年間の配当成長率:9.40%

アメリカン・エキスプレス(AXP)のバリュエーションに関して

アメリカン・エキスプレス(AXP)の現在の株価225.96ドルは、弊社算出の一株当たり本質的価値214.02ドルを上回っており、潜在的な割高感を示している。

また、実績PERは20.16であり、投資家が利益1ドルにつき20.16ドルを支払っていることを示唆しており、業界平均より若干高い水準となっている。

加えて、株価売上高倍率は2.75で業界平均を上回っており、投資家は売上高1ドルにつき2.75ドルを支払う意思があることを示している。

さらに、PEGレシオは2.8となっており、成長見通しを踏まえると、同社の株価が過大評価されている可能性を示している。

これらの指標を過去の平均と比較すると、アメリカン・エキスプレスは割高で取引されているように見え、投資家は同社のバリュエーション水準に注意を払う必要があるだろう。

アメリカン・エキスプレス(AXP)のリスクとリターンに関して

アメリカン・エキスプレス(AXPのリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい

まずマイナス面では、同社は過去3年間で長期債務を増加させており、51億ドルの債務を発行している。

全体的な負債水準は許容範囲とみられるが、この傾向は長期的には同社の財務安定性に影響を与える可能性がある。

さらに、過去3ヶ月間に7件、合計328,157株のインサイダーによる同社株式の売却が確認されている一方で、買い付けは確認されていない。

そして、このトレンドは、同社のインサイダーが同社株式の今後の見通しへの自信のなさを示唆している可能性がある。

また、株価は10年来の高値に近く、株価売上高倍率も1年ぶりの高水準にあり、株価が過去のバリュエーションに比べて割高で取引されている可能性を示している。

加えて、予想配当利回りは1年ぶりの低水準に近いため、配当収入志向の投資家は同社の株式を敬遠する可能性があるだろう。

一方でポジティブな点としては、ベニッシュMスコアは-2.51と、基準値の-1.78を下回っており、同社が利益操作をしている可能性が低いことを示している。

さらに、同社は継続して安定した増収増益を実現しており、長期的な見通しも良好であるように見える。

アメリカン・エキスプレス(AXP)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

アメリカン・エキスプレス(AXP)のインサイダー取引分析によると、過去12ヶ月間に10件の売却が確認されているのに対し、買い付けは1件のみであった。

このアンバランスは、インサイダーが買いよりも売りに傾いていることを顕著に示しており、同社の将来の業績に対する信頼感の欠如を示唆している可能性もある。

ただし、同社のインサイダーの同社株式の保有比率は僅か0.82%である点にはご留意いただきたい。

一方、機関投資家による同社株式の保有比率は40.26%となっており、同社における機関投資家の存在感の大きさがうかがえる。

全体として、インサイダー取引の動向と保有データは、アメリカン・エキスプレスに対するインサイダーの慎重な姿勢を示唆しており、同社の将来性に対する潜在的な懸念や不確実性を示唆している可能性がある。

アメリカン・エキスプレス(AXP)の流動性に関して

アメリカン・エキスプレス(AXP)の直近営業日の一日の出来高は2,271,917株と比較的多く、過去2カ月間の1日平均出来高は3,318,673株で、同社株式において一貫した売買が行われていることを示唆している。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は32.71%で、取引活動の大部分が公開取引所ではなくダークプールで行われていることを示している。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。

全体として、アメリカン・エキスプレスの流動性は堅固で、取引量は多く、一貫し た取引が行われていると言える。