やや強気ブレイズブレイズ / BRZE / 強気:最新の2024年第2四半期決算・強み(競争優位性)分析と今後の株価見通し・将来性(Braze)
- ブレイズ(BRZE)は、カスタマー・コミュニケーションおよびエンゲージメント・ソフトウェアを世界中の企業に提供しているテクノロジー企業である。
- 同社は2023年9月7日に2024年第2四半期決算を発表しており、力強い成長、収益の多様化、更に、優れたカスタマー・リテンション(顧客維持)の実績を上げている。
- それらを踏まえ、私の同社株式に対する見通しは「強気」である。
ブレイズについて
ブレイズ(BRZE)は、2021年11月に米国に上場し、1株当たり65.00ドルのIPOを通じて、総額、約5億6500万ドルを調達した。
同社は、世界中の企業に対して、カスタマー・コミュニケーション・ソフトウェアと関連サービスを提供している。
同社の将来的な成長見通し、強力な受注残高、収益の多様化、高い純収益維持率を考慮すると、ブレイズに対する私の見通しは「強気」である。
ブレイズの概要
ニューヨークに本社を置くブレイズは、企業が顧客とのコミュニケーションやエンゲージメントを管理・最適化するためのソリューションを提供している。
2011年に設立された同社は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で工学の学位を取得したウィリアム・マグナソンCEOが率いている。
ブレイズが提供する主な製品は、顧客データの収集、分類、キャンペーンのアレンジ、メッセージのパーソナライズ、チャネルをまたいだコミュニケーションのサポートに重点を置いている。
このプラットフォームは、ダイレクト・セールスにより販売され、米国、英国、ドイツ、日本、シンガポールにオフィスを構え、グローバルに展開している。
ブレイズが事業を展開する市場は、顧客コミュニケーション、エクスペリエンス、リレーションシップ、エンゲージメントの各ソリューションに及んでいる。
調査会社MarketsAndMarketsのレポートによると 、この市場は2021年に13億ドルと推定され、2026年には22億ドルに達すると予想されており、これは年平均成長率11.2%に相当する。
この成長の主な原動力には、様々な業種に合わせたデジタル通信ソリューションの採用拡大が含まれる。
北米は引き続き最大の地域であるが、2026年までアジア太平洋地域が最も速い成長率を示すと予測されている。
また、COVID-19の大流行により、ロックダウン期間中も、企業が顧客との関係維持を図る必要があったことから、オンライン上での顧客エンゲージメントの需要が加速した。
一方で、ブレイズは、顧客とのコミュニケーションとエンゲージメントの分野で他の大手ベンダーとの競争に直面している。
しかし、ブレイズは、その包括的なプラットフォームの機能と世界的なプレゼンス故に、市場の成長の恩恵を受けるのに有利なポジションにある。
主な業界のプレイヤーは以下の通りである。
- Adobe
- Salesforce
- Airship
- Iterable
- Leanplum
- MailChimp
- MoEngage
- Weave Communications
ブレイズの最近の財務動向
四半期別総売上高(Total Revenue)は成長を続けている。
四半期別営業利益(Operating Income)は、最近若干の改善が見られるものの、大幅なマイナスで推移している。
四半期別売上総利益率(Gross Margin Profit)は上昇傾向にあり、四半期別総売上高に占める販売費および一般管理費の比率(Selling, G&A % Of Revenue)は高水準で推移しているが、低下傾向にある。
希薄化後の1株当たり利益(Earnings Per Share (Diluted))はマイナスのままだが、ブレークイーブンに向けて前進している。
(上記グラフのデータはすべてGAAPベース)
過去12ヶ月間、ブレイズの株価は68.06%上昇したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー・ソフトウェアETF(IGV)は37.29%のみ上昇している。
貸借対照表では、同社は4億7,220万ドルの現金および現金同等物と短期投資、更に無借金で四半期を終えた。
12ヶ月間のフリー・キャッシュの使用は2490万ドルであり、その間の資本支出は600万ドルであった。
同社は、過去4四半期に8,700万ドルの株式ベースの報酬を支払っており、これは過去11四半期で最も高い数値である。
ブレイズのバリュエーションとその他の指標
以下は、同社に関連するバリュエーションの表である。
指標(直近過去12ヵ月) | 値 |
企業価値 / 売上高 | 9.3 |
企業価値 / EBITDA | - |
株価 / 売上高 | 10.0 |
売上高成長率 | 37.1% |
純利益率 | -33.5% |
EBITDAマージン | -36.1% |
時価総額 | $4,210,000,000 |
企業価値 | $3,790,000,000 |
営業キャッシュフロー | -$18,880,000 |
一株当たり利益(完全希薄化後) | -$1.43 |
予想EPS | -$0.37 |
一株当たりフリーキャッシュフロー | -$0.28 |
40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率とEBITDA成長率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長とEBITDAの軌道に乗っていると言える。
ブレイズの直近の調整枚40%ルールの計算値は、2024年第2四半期決算時点で6.9%であったことから、同社の業績は、下表のように前年比で悪化していることが分かる。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2023年度第2四半期 | 2024年度第2四半期 |
売上成長率 | 60.3% | 37.1% |
営業利益率 | -42.3% | -30.2% |
営業利益率 | 18.0% | 6.9% |
ブレイズのセンチメント分析
下図は、経営陣による直近のアナリスト向け決算説明会におけるキーワードの頻度を示している。
このグラフは、同社がマクロ経済上の課題に直面しており、経営陣がマクロ環境の悪化が近い将来に改善することを期待していないことを示唆している。
アナリストは経営陣に対し、収益成長見通しとビジネス・モメンタム、投資のペースに関する見解 、更に、プロダクトにおけるイノベーションと顧客間でのプロダクトの使用状況に関する最新の情報について質問をした。
経営陣は、 マクロ環境は年間を通じて一貫して厳しいものであったと回答した。
ブレイズはこのような環境下でも、新規事業の成長と新規顧客の多様化によって順調に業績を伸ばしてきた。
しかし、多くのマーケティング担当者は、予算が横ばいか凍結されていることから、新製品投入の可能性は限られている模様。
同社は、生産性重視のAIは、プラットフォーム利用を促進するため、個別に収益化されることはないと考えている。
一方で、レコメンデーションや予測分析など、サービスの価値を高める一部のAI技術にはプレミアム価格がつく可能性がある一方で、AIが利益率を希薄化させることはないと見ている。
ブレイズに関するコメント
2024年第2四半期決算に関する前回の決算説明会では、経営陣が準備していた発言の中では、以下の点が強調された。
・売上高は前年同期比34%増の1億1510万ドル。
・サブスクリプション収入は総収入の95%。
・顧客総数は22%増の1,958社、年間50万ドル以上の大口顧客は24%増の173社。
・大口顧客は総ARRの57%に貢献した。
・ドルベースの純保持率は全体で120%、大口顧客では123%であった。
・これは、他のほとんどの上場サブスクリプション・ソフトウェア会社を上回る好成績である。
・収益の43%は米国外からのもの。
・残存履行義務(受注残高)は、前年同期比28%増の5億2,400万ドル。
・Non-GAAPベースの売上総利益率は、人件費とテクノロジー費用の効率化により0.7%改善し70%となった。
・営業費用は、人員増強と成長イニシアチブへの投資によりドルベースで増加したが、売上高に対する比率では改善した。
・Non-GAAPベースの営業損失は、昨年の1,750万ドルから760万ドルに改善した。
・営業活動で使用した現金は、昨年の1,630万ドルに対し1,750万ドルであった。
・フリーキャッシュフローはマイナス1,870万ドルに改善。
・ North Starの買収は2023年6月1日に完了し、200万ドル近い収益に貢献した。
・2023年第3四半期の収益見通しは1億1,650万~1億1,750万ドル(前年同期比約26%増)。
・通年での収益見通しは4億5,150万~4億5,450万ドル(約27%増)。
・経営陣は、2025年度末までに、Non-GAAPベースの営業利益とフリー・キャッシュ・フローがプラスになると見込んでいる模様。
以上より、同社の今後の成長見通し、強力な受注残高、収益の多様化、高い純収益維持率を考慮すると、私のブレイズへの見通しは「強気」である。