強気ブリティッシュ・アメリカン・タバコブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)予想配当利回り9% / 強気:高配当嗜好品銘柄の株価分析と今後の見通し・将来性(前編)

- 不況の可能性が意識される局面では、「収益性」、「フリーキャッシュフロー」、「管理可能な負債残高」、「価格決定力」の4つのポイントを備える企業を優先したい。
- また、投資家は、収益性の高い企業に投資し続けることが重要であり、価格決定力のある製品やサービスを提供する企業が推奨される。
- そして、タバコやアルコールのような製品は、道徳的な懸念はあるにせよ、景気後退期には好業績を上げる傾向がある。
- 中でも、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)は180カ国以上に展開する世界的大企業であり、年間予想配当利回りは9.4%となっていることからも、投資家にとって魅力的な選択肢となる可能性が高い。
はじめに
金利が上昇し、世界経済が低迷する中、投資家は景気後退に備えなければならない。
現時点では、フリー・キャッシュ・フローが潤沢で、負債残高がコントロール可能であり、価格決定力のある製品やサービスを提供する、収益性の高い企業に投資し続けることが重要である。
つまり、需要を破壊することなく、顧客に対して値上げができる企業でなければならない。
最近、アイスクリーム・メーカーのベン&ジェリーズや、人気消費財メーカーのユニリーバは 、 コスト上昇の中、顧客がより安価なプライベートブランドに流れたため、 販売量が減少したと報告している。
しかし、価格に関係なく、顧客を維持している企業もある。
北米の電力会社はその良い例であり、顧客に対して値上げする権限を規制当局から与えられている。
歴史的なデータによれば、これらの不況時に強い企業は、不況に強いプロダクトを持っており、市場における経済上の問題にもかかわらず需要が伸びており、特に若い世代の間で人気が高まる傾向にある。
金融危機の間、タバコ製品とアルコールは高い成長を経験した消費財のひとつであり、この傾向はCOVID-19のパンデミックの間も続いた。
(出典:Toptal.com)
一方で、これらの商品に対する道徳的な観点から、多くの投資家はタバコ会社への投資を避けている。
しかし、 世界の大半の市場で、健康への害を示す警告が大々的に出されているにもかかわらず 、タバコ需要は依然として強く、成長を続けている点は注目に値する。
本日は、配当の支払いに非常に寛大な、世界的なタバコ業界のリーダーを紹介したい。
注:この銘柄は、ロンドン証券取引所に上場しています。その為、本レポート上の価格および数値は全て英ポンド建てで表記しております。英国は、海外投資家に支払われる配当金に対して、外国税を源泉徴収しておりません。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI:年間予想配当利回り:9.4%)
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)は、BATの名で親しまれ、2022年度の売上高で世界第3位のタバコ会社である。
世界のタバコ会社の中で、BATは180カ国以上で事業を展開し、最も大規模な海外拠点網を維持している。
先進国では、可燃性たばこの消費量が減少しているにもかかわらず、ケント、ラッキーストライク、ダンヒルといった人気ブランドのメーカーであるBATは、バングラデシュ、インドネシア、パキスタンなど、喫煙がまだクールな魅力を持っている発展途上国における強力なプレゼンスを通じて、この「レガシー」セグメントで収益を伸ばし続けている。
EU、米国、カナダ、日本など、可燃性タバコ製品の規制が急速に進む国々では、BATは非可燃性タバコ事業を急成長させている。
(出典:2023年上半期の投資家向けプレゼンテーション資料)
2023年上半期、BATの総売上高は4.4%増加し、新製品カテゴリーは前年同期比26.6%増という驚異的な伸びを達成した。
更に、BATのVAPE製品であるVuseは、主要市場で38.5%の圧倒的な市場シェアを達成した。
最も重要なことは、これらの非可燃性タバコ事業からの収益が、トップラインの16.6%を占めるようになったことであり、関連市場における驚異的な普及率と業界リーダーとしての地位を示している。
同社は、2025年までに、新カテゴリーにおける50億ポンド(約9000億円)の売上高目標を達成する見込みである。
(出典:BATの新カテゴリー)
社会的なセンチメントが株式のバリュエーションに影響することはよくあり、タバコ・セクターは市場ではあまり評判が良くないのが現状である。
しかし、市場でのタバコ製品に対する激しいネガティブ・キャンペーン(および、各タバコ会社による、自社製品に対するネガティブな広告の掲載)にもかかわらず、タバコ・VAPE製品に対する需要が依然として強いことは否定できない。
アメリカを代表する投資家のウォーレン・バフェットは、タバコ業界に関して、下記の様に述べている。
「私がタバコビジネスを好きな理由を教えてあげよう。作るのに1ペニーしかかからず、それを1ドルで売り、中毒性があるからである」
このように、これらの企業は、何十年もの間、優れた価格決定力を発揮し、最高の配当の払い手を担ってきた。
BATは、同業他社の中で最も割安なバリュエーションを持ち、最も高い配当支払い能力を誇っている。
(出典:筆者による算出)
BATは、現在、9.4%の配当金を支払い、17年連続で配当金を増やしている。
同社の新カテゴリーが急速に収益性を実現しつつあることを踏まえ、当面の間、同社がこの寛容な配当のトレンドを継続することができると見ている。
筆者による算出
BATは投資適格BBBのバランスシートを維持しており、2023年7月現在、36億ポンドの現金および現金同等物を保有している。
BATは、ゆっくりと成長しているタバコ事業が、新カテゴリーの革新と成長に資金を供給するために巨額のキャッシュフローを生み出しているという興味深い立場にある。
投資家は、BATを保有することで、同社の割安なバリュエーション故に、9.4%という驚異的な利回りを確保する一方で、主要市場にて、新カテゴリーが浸透を続けていることからも、今後の大幅な価格上昇に備えたポートフォリオを構築することができると考える。
※続きは「ディアジオ(DEO)予想配当利回り3.6% / 強気:高配当嗜好品銘柄の株価分析と今後の見通し・将来性(後編)」をご覧ください。
その他の配当関連銘柄レポート
1. 重要な配当関連指標を徹底解説!米国株高配当銘柄を含む配当重視のポートフォリオを作成し、将来の配当生活を実現!(前編)
2. ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)予想配当利回り10% / 強気:高配当タバコ銘柄の将来性・今後の株価見通し(前編)
3. Part 1:AT&T(T)とベライゾン(VZ)どっちが魅力的?両社の強みと市場シェア、並びに、成長戦略と成長見通しを徹底分析!
また、私のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、私のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
さらに、その他のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は200銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。
※インベストリンゴ上のいかなるレポートは、投資や税務、法律のアドバイスを提供するものではなく、情報提供を目的としています。本資料の内容について、当社は一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。具体的な投資や税務、法律に関するご相談は、専門のアドバイザーにお問い合わせください。