やや強気ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【高配当】ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)で配当生活!連続増配年数18年の高配当銘柄の将来性に迫る!

- 本稿では、米国に上場する注目のイギリスの高配当銘柄である「ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)で配当生活は可能か?」という疑問に答えるべく、最新の決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- インフレにより生活コストが上昇し、貯蓄の購買力が低下するため、金融市場を活用して安定した収入を得ることが重要です。
- 高配当株への投資と再投資を行うことで、インフレの影響を抑えつつ、持続的な収益を確保することが出来ます。
- そして、本稿で紹介するブリティッシュ・アメリカン・タバコは、配当金は60.06ペンス(GBP)で予想配当利回り7.7%を誇り、高配当かつ18年間連続して増配を続けていることから、インカム投資家にとって魅力的な選択肢の一つです。
はじめに
多くの人はお金の管理に慎重であり、財政的な圧力がない場合でも、支出を丁寧に記録し、できる限り最適化しています。しかし、どれほど努力しても、同じ生活水準を維持するためのコストは年々上昇していきます。これは「インフレ経済」という厳しい現実であり、勤勉で慎重なお金の使い方をする人ほど大きな負担を強いられる、目に見えない不公平な税のようなものです。
現役で働いている人にとっては、毎年の給与の昇給がインフレに対する一定の防御策となり、購買力や生活水準を維持する助けになります。また、銀行預金の利息がかろうじてインフレ率に追いつくこともあります。しかし、正直なところ、預金だけで裕福になった人はほとんどいません。
では、退職者はインフレによる生活水準の低下をどのように防げばよいのでしょうか。退職後の資産運用にはさまざまな方法がありますが、私の考えでは、金融市場から毎年増え続ける収入を得ることで、インフレの影響を抑えるのが最善の方法です。
世界経済は巨大でダイナミックな仕組みを持ち、毎日数兆ドルもの資金が取引され、膨大な量の財やサービスが売買されています。配当は、この膨大な資本の流れを活用し、その一部を自分の口座に取り込む手段の一つです。2024年は過去最高の配当総額を記録し、2025年も世界全体の配当総額は2.3兆ドルに達すると予測されています。特に北米とアジア太平洋地域が堅調な成長を遂げる見込みです。
年間の世界配当総額(単位:10億ドル)
(出所:S&P Global)
そして、高い配当を支払い、なおかつ継続的に増配している企業に投資し、配当収入の一部を戦略的に再投資することで、退職後の生活水準を守ることができます。では、この戦略を実践している注目の銘柄の一つについて詳しく見ていきましょう!
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI:予想配当利回り7.7%)
社会的な風評や主要製品に対する規制の懸念から、近年、大手タバコ企業は大幅に過小評価されています。高配当を支払う割安な企業を購入することには大きなメリットがあります。市場の評価が変わるまでの間、高い配当を受け取りながら待つことができ、仮に評価の変化が小さかったとしても十分に利益を得られるためです。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI、以下BAT)は、世界180以上の市場で事業を展開する最大手のタバコ企業です。BATはS&P 500指数や生活必需品セクター指数を大きく上回るパフォーマンスを記録しており、不可欠な産業から生み出される安定したキャッシュフローの強さを示しています。
(出所:YCharts)
人体に有害とされる製品を「不可欠」と表現するのはなぜでしょうか?
1️⃣ 広範な使用状況
2021年のデータによると、米国の成人約4,600万人がタバコ製品(紙巻きタバコ、電子タバコ、葉巻、無煙タバコ、水タバコを含むパイプ類)を使用していると報告されています。これらの利用者のうち、77.5%が紙巻きタバコ・葉巻・パイプといった燃焼式製品を使用し、18.1%は2種類以上のタバコ製品を併用しているとされています。
喫煙には「クールなイメージ」があり、ハリウッド映画によってその印象が広まってきました。燃焼式タバコに対する否定的な見方が強まる中、電子タバコやベイプ(Vape)が現代の喫煙文化の新たな象徴として台頭しています。「従来のタバコよりも害が少ない」とされるこれらの製品は、洗練されたデザインやカスタマイズ可能なフレーバー、テクノロジーを駆使した魅力を備えており、特に若年層に人気があります。その背景には、SNSやインフルエンサー文化、ターゲットを絞ったマーケティング戦略が影響していると考えられます。
2️⃣ 社会や政治に深く根付いた存在
喫煙は社会に広く浸透しており、全面禁止の提案には政治的な影響が伴います。米国では2009年にフレーバー付きの紙巻きタバコが禁止されましたが、メントールだけは例外とされています。メントールタバコは、米国におけるタバコ業界全体の市場シェアの約3分の1を占めています。
バイデン政権は2021年にメントールタバコの禁止に関心を示し、正式な規制案をまとめましたが、有権者の反発を恐れ、何度も決定を延期しました。一方、トランプ政権はこの計画自体を撤回しています。
また、英国の元首相リシ・スナク氏は、年齢層ごとに喫煙を段階的に禁止する法案を提案しました。この法案では、若い世代が将来的に合法的にタバコを購入できなくなるようにすることで、タバコの販売を徐々に廃止することを目指していました。しかし、スナク氏の所属政党内でも支持を得られず、法案は成立には至りませんでした。
3️⃣ 税収の観点
タバコは、米国で最も高い税率が課されている消費財です。2023年には、連邦政府・州政府・地方自治体を合わせたタバコ関連の税収が370億ドルを超えました。
税金の引き上げは罰則的な措置と見なされることが多く、タバコ製品の価格も継続的に上昇していますが、それにもかかわらず需要は依然として強いままです。これは、タバコが社会に深く根付いていること、そして消費を抑制することの難しさを示しています。
私たちは、タバコ投資の道徳性について議論するためにここにいるわけではありません。そもそも道徳的な観点だけで、上場企業への投資判断が正当化されることはほとんどありません。SNSがメンタルヘルスに及ぼす依存性の問題、労働法が整備されていない国での労働搾取、海洋への有害廃棄物の投棄など、投資家が直面する倫理的な課題は数多く存在します。喫煙もその一つに過ぎず、最終的には、何が自分の価値観に合致し、安心して投資を続けられるかを投資家自身が判断する必要があります。
昨年、BATはインドのITC Ltd.の株式3.6%を15億7,000万ポンドで売却し、その資金を自社株買いに充てました。同社は依然としてITCの株式を25%保有しており、昨年の事業分割により、BATはITCホテルズの株式15.3%を取得しました(この株式はITCの株主に対して発行されたものです)。この15.3%の持ち分は6億3,000万ドル相当ですが、BATのCEOは、これが同社のポートフォリオに戦略的に適しているとは考えておらず、2026年までに売却する方針を示しています。
実際に、「私たちはインドのホテルチェーンの長期的な株主になるつもりはありません」と、BATのCEOであるタデウ・マロコ氏は述べています。
2024年度、BATは無煙タバコ製品のユーザー数を360万人増加させ、総利用者数は2,910万人に達しました。これらの製品は2024年度の売上の18%を占めています。BATの電子タバコブランド「Vuse」は、ヨーロッパ市場において圧倒的なシェアを誇り、その市場占有率は64.8%に達しています。特にフランス、ポーランド、デンマーク、スイスといった主要市場では、シェアが85%を超えています。欧州連合(EU)内では、18の市場で無煙タバコ製品が売上の30%以上を占めています。
また、BATは非常にキャッシュフローが豊富な企業であり、2024年度には79億ポンドのフリーキャッシュフロー(FCF)を創出しました。さらに、同社は株主への利益還元にも積極的で、2025年には9億ポンドの自社株買いを予定しています(2024年度には7億ポンドを実施)。そして、2018年以降、BATは株主に総額300億ポンド以上を還元してきました。
加えて、2024年度には年間配当を2%増配し、これで18年連続の増配を達成しました。現在の四半期配当は1株あたり60.06ペンス(GBp)で、年間換算すると予想配当利回りは7.7%となります。
(出所:筆者作成)
バリュエーションの観点から見ると、BATは業界内で最も高い配当利回りと優れた配当カバー率を誇りながら、最も低いバリュエーションで取引されています。現在の株価水準では、アルトリア・グループ(MO)も魅力的ですが、この「配当王」については別の記事で詳しく取り上げたいと思います。
(出所:筆者作成)
BATは、IMFの特別条例によるバングラデシュでのタバコ税引き上げや、オーストラリアでの規制強化などにより、燃焼式タバコ事業に向かい風が吹いていることを警告しています。そして、大手タバコ企業の現在のバリュエーションは、これらのリスクを反映しているといえます。しかし、BATは無煙タバコ製品の普及をリードしており、2035年までに完全な無煙タバコ企業へ移行することを目標としています。同社は、このビジョンを支える強力な製品群を持ち、主要市場での採用が進んでいます。また、2030年までに無煙タバコ製品の利用者を5,000万人に拡大する計画を掲げています。
財務面では、BATにとって2024年は非常に好調な一年となりました。そして、2025年以降もさらなる成長が期待されます。市場全体が割高な中で、割安な企業を購入することには大きなメリットがあります。市場の成長ストーリーが一巡したとき、BATのような安定したキャッシュフローを持つ企業は引き続き成果を出し、最終的に投資の本質が"企業の基礎的価値"にあることを改めて投資家に示してくれると考えています。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)に対する結論
インフレは避けられない現実であり、知らぬ間に貯蓄の購買力を削り、退職後の生活や経済的な安定を脅かします。
企業が利益の一部を株主に還元する配当を活用し、その一部を戦略的に再投資することで、インフレに対応できる持続的な収入源を築くことができます。この手法を取ることで、購買力を守るだけでなく、ダイナミックに変化する世界の金融市場の恩恵を受けることも可能になります。
そして、そのインカム・高配当株投資において、本稿で紹介したブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)は魅力的な選択肢の1つであるように見えます。
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