blue and brown metal bridge
01 - 24 - 2024

やや強気
セレスティカ
やや強気
セレスティカは、資本設備と通信の最終市場で短期的な課題に直面しているものの、予想EPSの10倍という低いバリュエーションを踏まえると、今後大幅なリターンが期待できるのではないかと個人的には見ている。
すべて表示
セレスティカ / CLS / 強気:EMS企業の最新の2023年3Q決算分析と今後の株価見通し・将来性(Celestica)

マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • セレスティカ(CLS)は設計・製造サービスのプロバイダーで、OEM向けのエンド・ツー・エンドの製品ライフサイクル・ソリューションを専門としている。
  • 同社は2023年10月25日に2023年第3四半期決算を発表しており、ATSセグメントの成長と企業向け最終市場の前向きな見通しにより、短期的には有望な見通しを持っている。
  • また、同社の株価はEPSの10倍と魅力的な水準にあり、投資家にとってポジティブなリスク・リターンを提供している。

サマリー

先週のスーパーマイクロコンピュータ(SMCI)の決算を受けて、私はセレスティカ(CLS)を自身のポートフォリオに追加することにした。

セレスティカは業種を問わず多様な顧客基盤に対応している一方、スーパーマイクロコンピュータの顧客はデータセンターとサーバー市場に集中しているが、今後12~18ヶ月の間にセレスティカの業績を牽引する二次的なトレンドが現れる可能性があると私は考えている。

また、私がセレスティカに特に強気な理由としては、同社のバリュエーションが非常に魅力的だからである。

セレスティカ(CLS)への投資テーマ

セレスティカは設計・製造サービスのプロバイダーで、OEM(相手先商標製品メーカー)向けのエンド・ツー・エンドの製品ライフサイクル・ソリューションを専門としている。

同社は、革新的なソリューションの提供、サプライチェーンマネジメント、製造サービスの専門知識を提供し、顧客の製品開発とプロセスの最適化を支援している。

そして、これは、産業市場へのエクスポージャーが大きい、利益率の低い循環ビジネスである。

しかし、同社への投資が魅力的な理由は、同社の株価が今年の予想EPSの10倍で取引されている一方で、2024年のEPSが年平均成長率で15%近くも伸びている点である。

セレスティカ(CLS)の短期的見通し

セレスティカは、他の企業向けに製品の設計、製造、供給を支援する企業であり、テクノロジー、ヘルスケア、航空宇宙など、さまざまな業界と連携している。

基本的に同社は、製品の市場投入に支援を必要とする企業のパートナーとして機能する。

製品開発、製造、サプライチェーンマネジメントなどのサービスを提供し、顧客がコアコンピタンスに集中できるよう支援する一方、同社は製品の生産と納入の運営面を引き受ける。

そして、同社は、2023年第4四半期の楽観的なガイダンスに基づき、短期的には有望な見通しを持っているようである。

同社は、アドバンスト・テクノロジー・ソリューションズ(ATS)部門が10%の増収を達成し、著しい成長を遂げている。

コネクティビティ&クラウド・ソリューション(CCS)セグメントも回復力を示し、過去最高のセグメント利益率である6.2%を記録している。

さらに、企業向け最終市場、特に人工知能アプリケーションをサポートするハイパースケーラー顧客による独自コンピュートプログラムの堅調な成長は、セレスティカの当面の業績に良い兆しを示している。

ATS産業用事業の前向きな見通し、ヘルステック事業の継続的な成長、データセンターの容量投資に牽引されるCCSセグメントの良好な環境は、セレスティカの2024年の見通しを分析する上で好材料と見ている。

しかし、同社は短期的には注意を要する課題に直面している点もご留意いただきたい。

まず、ATS部門は、産業用および航空宇宙・防衛事業において力強い成長を示しているが、資本設備部門では市場の軟化が続いており、逆風に直面しているのが現状である。

また、半導体産業に影響を及ぼしている軟調な需要により、より広範なシリコンウエハ製造装置市場は困難に直面している。

しかし、先週のSMCIの決算は、このセクターが再び活気を取り戻しつつあることを示唆していると見ている。

このような背景を念頭に置いて、同社の財務について説明したい。

セレスティカ(CLS)の売上高成長率

セレスティカの第4四半期の見通しは、前年同期比約2%の成長率を示しており、魅力的な水準ではない。

しかし同時に、前年との比較対象期間が非常に厳しい(非常に好業績であった)ことを考慮することも重要である。


2022年が非常に好調であることを標準化すれば、セレスティカが2024年に年平均成長率10%前後を達成する可能性は大きいと見ている。

さらに、2024年上期はアナリスト予想(前年同期比8%増程度)を達成するのは難しいかもしれないが、2024年下期はアナリスト予想を達成し、上回る可能性が高いと見ている。


その結果、下記のようなシナリオを考えることができる。

今、同社の株価を見ている投資家は、次の四半期報告書で前年同期比2%の収益成長率に注目している。

しかし、6ヶ月以内に、改めて同社株を見た際には、売上高成長率が加速する数四半期を確認するだけでなく、その後、2024年下半期までの見通しは上向きであるように見えることだろう。

別の言い方をすれば、セレスティカの売上高成長率がマクロ環境とは無関係に自然に大きく改善し始めるまで、あと1四半期は「魅力のない」四半期が続くであろうということである。

このような状況を踏まえて、バリュエーションについて説明したい。

セレスティカ(CLS)のバリュエーション:予想EPSの10倍は割安

セレスティカの売上高成長率についてこれまで述べてきたことを考えれば、2024年のEPSが10%程度成長するという経営陣のガイダンスが真実であるように思えるのは自然であると考える。

実際、これは比較的低いハードルである可能性が高く、私は最終的に年平均成長率で15%近いEPS成長を実現すると予想している。

一方で、セレスティカは約6億1,000万ドルの負債を抱えている。

しかし、その一方で、現金も保有しているため、純負債額は2億6,000万ドルとなっている。

さらに、セレスティカは2024年に約1億7000万ドルのフリーキャッシュフローを計上する予定であることから、現在のペースでいけば、あと18カ月で無借金経営が可能になるということである。

さらに、先日の投資家向け説明会で、セレスティカはフリーキャッシュフローの約50%を自社株買いで株主に還元すると説明している。

確かに、ここで話しているインパクトは、時価総額のわずか2%程度の規模であり、左程魅力的には映らないかもしれない。

しかも、この事業は利益率が非常に低く、固定費も高いビジネスである。

つまり、事業を成長させるためには、基礎収益力の約40%から50%を設備投資と運転資本に再投資する必要がある。

そのため、売上高を伸ばせば基礎収益力が劇的に拡大するというわけではないのである。

2024年にNon-GAAPベースの営業利益が6%に達したとしても、EPSは前年比15%増の2.80ドル程度に留まることになるだろう。

とはいえ、予想EPSの10倍という水準は、私には魅力的なバリュエーションであるように見える。

セレスティカ(CLS)に対する結論

セレスティカへの投資テーマは、有望な短期的見通しと課題を併せ持つ、説得力のあるケースを示していると考える。

実際に、設計・製造サービスのプロバイダーとして、同社は回復力のある業績を示してきた。

特筆すべきは、企業向け最終市場の成長見込みと2024年の楽観的な見通しが、堅調な将来を示唆していることである。

セレスティカは、資本設備と通信の最終市場で短期的な課題に直面しているものの、予想EPSの10倍という低いバリュエーションを踏まえると、今後大幅なリターンが期待できるのではないかと個人的には見ている。

純負債額の削減やフリーキャッシュフローの創出といった良好な財務指標に支えられ、2024年にはトップライン(売上高)の年平均成長率が約10%になると予想されることから、投資対象としての魅力が高まっている。

以上より、私は、同社の目標株価として、2025年夏までに1株当たり45ドルを見ている。