中立コストコホールセールコストコ(COST)予想配当利回り0.56% / 配当性向26% / 中立:2024年3Q決算速報・財務分析と今後の株価見通し・将来性
- コストコ(COST:予想配当利回り0.56% / 配当性向26%)は、米国と海外に広範な店舗網を持つ大手会員制小売企業であり、競争力のある価格設定と高い販売量で収益を上げている。
- そして、同社は2024年5月30日に2024年度第3四半期決算を発表している。
- 過去5年間のEPS成長率は15.50%であり、将来的な個人消費の増加が予測される中、安定した成長が期待されている。
- 同社の予想配当利回りは0.56%と低いものの、過去5年間の配当成長率は12.10%であり、堅実な財務基盤が配当支払いの支えとなっている。
コストコ(COST)の概要
セクター:小売
現在の株価:816ドル
時価総額:3,622.1億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:$599.16ドル
安全マージン:-36.34%
過去5年間の配当成長率:12.10%
直近配当落ち日:2024年4月25日
直近配当支払い日:2024年5月10日
予想配当利回り:0.56%
過去5年間の売上高成長率:12.10%
過去10年間の売上高成長率:8.80%
コストコ(COST:予想配当利回り0.56% / 配当性向26%)は、厳選された商品をバーゲン価格で大量に提供することを前提とした、会員制の小売モデルを運営している大手小売企業である。
同社は在庫をパレットに保管することでコストのかかる商品陳列を避け、販売時点の在庫を倉庫に保管することで流通経費を抑えている。
同社の質素なコスト構造を考慮すると、同社は競合小売企業よりも低い価格で商品を販売することが可能であり、倉庫当たりの販売量が多く、薄利多売で高い利益を上げることが出来るビジネスモデルとなっている。
また、同社は米国で約600の倉庫型の店舗を運営し、国内の倉庫型店舗クラブ業界で60%以上の市場シェアを誇っている一方で、海外では、主にカナダ、メキシコ、日本、英国などで270の倉庫店を運営している。
そして、同社は2024年5月30日に2024年度第3四半期決算を発表している。
コストコ(COST)の収益と成長に関して
コストコ(COST)の2024年度第3四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは3.78ドルで、前四半期の3.866ドルを若干下回る着地となったが、依然として好調な業績を示しており、一株当たり売上高は前期の131.403ドルから131.545ドルに増加している。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は15.50%で、同社は長年にわたり安定した成長軌道を維持しており、特に、足元、成長のペースが足元加速しているようにも見える。
また、今後10年間の小売業界の成長予測を見ると、個人消費は着実に増加すると予想され、見通しは引き続き明るいと言える。
さらに、同社の過去の財務レバレッジの程度は緩やかであり、持続可能な成長を可能にしていると言える。
堅実な実績と安定した財務により、コストコは成長軌道を継続する上で好位置にあると見ている。
以上より、業績、業界の見通し、過去のレバレッジを考慮すると、コストコは今後数年間、安定したペースで成長を続ける可能性があると見ている。
コストコ(COST)の配当に関して
コストコ(COST)は過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は12.10%で、過去3年間の配当成長率は12.50%と力強い配当成長を示している。
また、EBITDA純有利子負債倍率は0.78倍と低く、同社が配当の支払いを支える上で必要な強固な財務体質を保持していることを示している。
一方で、予想配当利回りは0.56%となっており、相対的に低く見えるかもしれないが、セクター平均と同水準であるようにも見える。
さらに、同社は一貫した配当支払いの実績があり、最近の配当支払いに関しては、2024年4月25日が1株当たり1.16ドルの現金での普通配当の配当落ち日となっている。
加えて、直近の特別配当に関しては、2023年12月27日が配当落ち日となっており、1株当たり15ドルの特別配当となっている。
そして、同社の配当実績をセクターと比較すると、同社の配当成長率は平均を上回っており、配当を通じて株主に価値を還元するというコミットメントを反映していると言える。
以上より、コストコの強固な財務基盤と一貫した配当金の支払い実績は、安定した配当成長を求める配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な選択肢と映るかもしれない。
予想配当利回り:0.56%
配当性向:26%
配当カバレッジ・レシオ:3.82
過去5年間の配当成長率:12.10%
EBITDA純有利子負債倍率:0.78倍
コストコ(COST)のバリュエーションに関して
コストコ(COST)の現在の株価は816ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である599.16ドルより遥かに高い水準にあることから、同社株価が割高である可能性を示している。
また、実績PERは50.62倍となっており、これは5年平均、10年平均のいずれよりも高く、株価が割高で取引されている可能性を示唆している。
さらに、株価売上高倍率は1.44倍となっており、こちらも業界平均より高く、売上高に基づいた場合に、同社株式が相対的に割高なバリュエーションが付与されている可能性を示唆している。
加えて、EV/EBITDA倍率は29.83倍と過去の平均を上回っており、同社の株価をEBITDAと比較した場合には、高いバリュエーションで取引されている可能性を示している。
全体として、コストコは上述のバリュエーション指標に基づくと割高な水準で取引されているように見えることからも、今後、同社株式への投資を検討する可能性のある潜在的な投資家は、これらの割高なバリュエーションに注意する必要があるだろう。
コストコ(COST)のリスクとリターンに関して
コストコ(COST)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい。
まずマイナス面では、売上総利益率は年平均-1.5%で長期的に低下している。
さらに、PBRと実績PERは10年来の高水準に近く、割高の可能性を示している。
また、同社の株価水準と株価売上高倍率も10年来の高水準に近く、潜在的な割高感をさらに示唆していると言える。
加えて、予想配当利回りは10年来の低水準にあり、配当収入を求めるインカム投資家には予想配当利回りの絶対的な水準感からは魅力的でないかもしれない。
一方でプラス面では、ピオトロスキーのFスコアが7と健全で、同社の財務体質が強固であることを示している。
さらに、ベニッシュのMスコアも安全な範囲にあり、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆している。
また、営業利益率は拡大しており、加えて、同社は一貫した収益成長を見せている。
さらに、同社のバランスシート・ランキングによれば、強い財務力を示しており、加えて、財務の安定性を示すアルトマンのZスコアは9.18と強固な水準にある。
コストコ(COST)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
コストコ(COST)は過去12ヶ月間、21件のインサイダーによる同社株式の売買が報告されている一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていない。
これは、取締役や経営陣を含む同社のインサイダーが、同社の株価に否定的な見通しを持っている可能性を示唆している。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.51%である点にはご留意いただきたい。
一方で、機関投資家の同社株式の保有比率は40.32%と高く、機関投資家が同社の業績と将来性に自信を持っていることを示している。
また、このような高水準の機関投資家の保有比率は、株価に安定性を与えることが予想される。
以上より、投資家は、インサイダーによる同社株式の取引動向や機関投資家の保有動向を引き続き監視する必要があるだろう。
コストコ(COST)の流動性に関して
コストコ(COST)の直近営業日の1日当たりの出来高は461,027株と比較的少なく、流動性の低さを示している。
一方で、過去2ヵ月間の1日当たり平均出来高は1,755,547株と直近営業日の出来高よりも遥かに高く、基本的には流動性が一定量あることを示している。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は60.09%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。
全体として、コストコの過去2ヵ月間の1日当たり平均出来高は比較的高いものの、取引活動がダークプールに大きく依存していることからも、同社の流動性と取引ダイナミクスがダークプールの影響を大きく受ける可能性には注意が必要であろう。