05/19/2024

中立
シェブロン
中立
全体として、同社のバリュエーション指標は、過去の平均や同業他社と比べて割高感を示す指標もあれば、割安感を示唆する指標もあり、まちまちの様相を呈している。
シェブロン / CVX / 予想配当利回り4% / 中立:最新の2024年1Q決算速報・財務分析と今後の株価予想(Chevron)

a chevron gas station at night timeイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • シェブロン(CVX:予想配当利回り4.02% / 配当性向49%)は世界中で探鉱、生産、精製事業を展開する米国の大手総合エネルギー企業である。
  • 同社は過去25年間以上にわたり連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っている。 
  • そして、同社は2024年4月26日に2024年第1四半期決算を発表している。

シェブロン(CVX)の概要

セクター:石油・ガス

現在の株価:162ドル

時価総額:2998億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:159.27ドル

安全マージン:-2.12%

過去5年間の配当成長率:6.00%

直近配当落ち日:2024年5月16日

次回配当支払い日:2024年6月10日

予想配当利回り:4.02%

過去5年間の売上高長率:9.40%

過去10年間の売上高成長率:0.20%

シェブロン(CVX)は、世界中で探鉱、生産、精製事業を展開する大手総合エネルギー企業である。

同社は石油換算で日量310万バレル、天然ガス日量770万立方フィート、液体日量180万バレルを生産する米国第2位の石油会社である。

生産活動は北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリアで行われている。

そして、製油所は米国とアジアにあり、総製油能力は日量180万バレルとなっている。

また、2023年末時点の確認埋蔵量は石油換算で111億バレル、うち液化石油ガスが60億バレル、天然ガスが30兆4,000億立方フィートとなっている。

さらに、同社は過去25年間以上にわたり連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っている。 

加えて、同社は2024年4月26日に2024年第1四半期決算を発表している。

シェブロン(CVX)の収益と成長に関して

シェブロン(CVX)の2024年第1四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは、2023年第4四半期の3.45ドルに対し2.93ドルと減少しており、この減少は市況等の様々な要因によるものである。

加えて、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間と過去10年間の年平均成長率(CAGR)は非常に不安定であり、且つ、2020年度には非経常損益項目を除くベースでのEPSがマイナスになっていることが確認されている

一方で、今後10年間のエネルギー業界の成長予測はプラスであり、同社が更なる成長を実現する上で活用できる潜在的な機会があることを示している。

さらに、同社の過去の財務レバレッジの程度を考慮すると、負債レベルを効果的に管理し、さらなる成長と投資の余地を保持しているように見える。

以上より、最近の四半期は減益であったとはいえ、長期的な成長の軌跡と業界の見通しから、シェブロンは今後も持続的な成長を遂げる可能性があると見ている。

シェブロン(CVX)の配当に関して

シェブロン(CVXは一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は6.00%で、過去3年間の配当成長率も5.40%となっており、安定した配当成長を示している。

さらに、同社は過去25年間以上にわたり連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っている。 

また、同社のEBITDA純有利子負債倍率は0.50倍となっていることからも、同社の強固な財務体質を示している。

加えて、現在、同社の予想配当利回りは4.02%となっていることからも、配当収入を求める投資家にとっては魅力的な選択肢となっている。

実際に、直近の四半期では、同社は1株当たり1.63ドルの配当を支払っており、安定した配当支払いの傾向が続いている。

そして、同セクターと比較すると、同社の配当成長実績は堅実で、株主への価値還元に対する同社のコミットメントを反映していると言える。

安定した配当の支払いと配当の成長率は、同社が安定したキャッシュフローを生み出し、持続可能な配当政策を維持する能力を有していることを示している。

全体として、シェブロンの配当に関する分析を踏まえると、同社は強固な財務体質と一貫した配当支払いを実現しており、投資家にとって信頼できる成長する配当の収入源を提供しているように見える。

予想配当利回り:4.02%

配当性向:49%

配当カバレッジ・レシオ:1.76

過去5年間の配当成長率: 6.00%

EBITDA純有利子負債倍率:0.5倍

シェブロン(CVX)のバリュエーションに関して

シェブロン(CVX)の現在の株価は162.67となっており、弊社算出の一株当たり本質的価値である159.27をわずかに上回っており、やや割高であることを示している。

一方で、実績PERは14.97倍となっており、株価が収益と比較して合理的な価格であることを示唆している。

また、株価売上高倍率は1.56倍となっており、投資家が売上1ドルに対して1.56ドルを支払うことを望んでいることを示しており、これは業界平均と一致している。

さらに、EV/EBITDA倍率は7.18倍で、5年平均、10年平均のいずれよりも低い水準となっている。

全体として、シェブロンのバリュエーション指標は、過去の平均や同業他社と比べて割安の可能性を示唆する指標もあれば、割高を指摘する指標もあり、まちまちの様相を呈していると言える。

シェブロン(CVX)のリスクとリターンに関して

シェブロン(CVXのリスク評価分析では、主に投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい

まずマイナス面では、同社の1株当たり売上高は過去1年間減少しており、今後の同社の株価に悪影響を与える可能性がある。

一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアは-2.69となっており、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆している。

さらに、同社のバランスシートは強固な財務力を示しており、且つ、2年ぶりの高水準にある予想配当利回りは、配当収入重視の投資家にとって魅力的であろう。

最後に、アルトマンのZスコアは4.02となっており、同社の財務の健全性が高いことを示している。

以上より、多くのプラス面はあるものの、投資家はシェブロンへの投資を評価する際には、潜在的リスクとして減少傾向にある売上高等を考慮する必要があるだろう。

シェブロン(CVX)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

シェブロン(CVX)は、過去12ヶ月間の間で、インサイダーによる同社株式の売却が6件確認されている一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けが0件となっている。

これは、取締役や経営陣を含む同社のインサイダーが、同社の将来の業績に対して否定的な見通しを持っている可能性を示唆している。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.06%である点にはご留意いただきたい。

一方、機関投資家の同社株式の保有比率は41.63%と突出して高く、大口機関投資家が相当量の同社株式を保有していることを示している。

このトレンド分析から、インサイダーが株式を売却している一方で、機関投資家は引き続きシェブロンの重要なポジションを保有していることが分かっており、これは同社の見通しに対する各投資家間の見解の相違を反映している可能性がある。

シェブロン(CVX)の流動性に関して

シェブロン(CVX)は流動性が高く、直近営業日の1日の出来高は5,440,477株で、過去2ヶ月間の1日の平均出来高は7,395,006株となっている。

そして、これは同社株式が市場で活発に取引され、容易にアクセスできることを示していると言える。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は56.98%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。

全体として、上述の市場での出来高に基づくと、シェブロンは投資家が容易にポジションをエントリー、或いは、エグジットする上で十分な流動性を持っているように見える。