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05 - 19 - 2024

中立
ウォルト・ディズニー
中立
投資家は、同社の本質的価値や同業他社に比べた現在の価格水準に魅力を感じるかもしれない。
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ウォルト・ディズニー / DIS / 予想配当利回り0.8% / 中立:2024年第2四半期決算速報・優位性分析と今後の株価予想・将来性

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • ウォルト・ディズニー(DIS:予想配当利回り0.87% / 配当性向8%)は、エンターテインメント部門、スポーツ部門、エクスペリエンス部門という3つの事業を展開している。
  • エンターテインメント部門とエクスペリエンス部門はいずれも、同社が1世紀以上に渡って築き上げてきたフランチャイズやキャラクターから利益を得ている。
  • そして、同社は2024年5月7日に2024年第2四半期決算を発表している。

ウォルト・ディズニー(DIS)の概要

セクター:メディア

現在の株価:103ドル

時価総額:1,882.3億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:111.79ドル

安全マージン:7.64%

5年間の成長率:マイナス

次回配当落ち日:2024年7月5日

次回配当支払い日:2024年7月25日

予想配当利回り:0.87%

過去5年間の売上高成長率:3.80%

過去10年間の売上高成長率:5.80%

ウォルト・ディズニー(DIS)は、エンターテインメント部門、スポーツ部門、エクスペリエンス部門の3つのグローバル・ビジネス・セグメントで事業を展開している。

エンタテインメント部門とエクスペリエンス部門は、同社が1世紀以上に渡って築き上げてきたフランチャイズやキャラクターから主に利益を得ている。

エンターテイメント部門には、ABC放送ネットワーク、複数のケーブルテレビネットワーク、Disney+とHuluのストリーミングサービスが含まれている。

このセグメントでは、同社は映画やテレビの制作・配給も行っており、コンテンツは映画館や他のコンテンツプロバイダーにライセンス供与されるほか、ディズニー独自のストリーミングプラットフォームやテレビネットワークで使用するために自社で保有するケースも増えている。

一方で、スポーツ部門にはESPNとESPN+ストリーミングサービスがある。

また、エクスペリエンス部門には、ディズニーのテーマパークやバケーション・デスティネーションが含まれている。

そして、同社は2024年5月7日に2024年第2四半期決算を発表している。

ウォルト・ディズニー(DIS)の収益と成長に関して

ウォルト・ディズニー(DIS2024年第1四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは、2024年第1四半期の1.04ドルに対し、0.661ドルと減少しており、一株当たり売上高も12.833ドルから12.041ドルへとわずかに減少している。

また、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は-17.90%で、過去10年間の年平均成長率は-8.80%となっていることからも、足元、同社の成長は著しく鈍化していることが分かる

一方で、今後10年間のエンタテインメント・メディア業界の成長予測は、デジタル消費とストリーミング・サービスの増加によりポジティブであるように見える。

また、同社の歴史的な財務レバレッジの水準は、同社の強力なブランドとコンテンツ・ポートフォリオを上手に活用し、こうした市場トレンドに乗じてさらに今後成長する余地があることを示唆していると見ている。

しかし、足元の業績を踏まえると、ウォルト・ディズニーは収益パフォーマンスを改善し、長期的な成長を実現するために、戦略的イニシアティブとコスト管理に注力する必要があると見ている。

ウォルト・ディズニー(DIS)の配当に関して

ウォルト・ディズニー(DIS)の過去5年間、並びに、過去3年間の配当成長率はマイナスであることからも、配当を通じた株主への還元が停滞気味であることを示している。

また、同社のEBITDA純有利子負債倍率は3.97倍で、財務面でのリスクが高いことを示しており、今後の同社の経営、並びに、継続した配当の支払いに影響を与える可能性がある点には注意が必要である。

さらに、予想配当利回りは0.87%とやや低水準となっている。

実際、最近の四半期では、同社は0.45ドルの一株当たり配当金(DPS)を発表しており、直近の0.30ドルから小幅な上昇となっているが、2019年12月以降、2023年12月まで配当の支払いを停止していた点は注意が必要である

また、同社の配当実績をセクターと比較すると、足元の実績を踏まえるとやや見劣りしている感は否めず、足元は積極的な成長よりも配当の維持に重点を置いているようにも見える。

予想配当利回り:0.87%

配当性向:8%

配当カバレッジ・レシオ:3.07

5年間の配当成長率:マイナス

EBITDA純有利子負債倍率:3.97倍

ウォルト・ディズニー(DIS)のバリュエーションに関して

ウォルト・ディズニー(DIS)の現在の株価は103ドルとなっており、弊社算出の一株当たり本質的価値である111.79ドルより低い価格で取引されている。

ただし、実績PERは112.23倍となっており、同社の株価が利益に対して著しく高倍率(割高)で取引されていることを示している。

一方で、株価売上高倍率は2.11倍となっており、投資家が同社の売上1ドルにつき2.11ドルを支払うことを望んでいることを示唆している。

また、EV/EBITDA倍率は19.54倍となっており、株価がEBITDAと比較した際に、妥当な水準で取引されていることを意味している。

さらに、同社のバリュエーション指標は5年平均、10年平均と同水準であり、長年にわたるバリュエーションの安定性を示しているようにも見える。

加えて、業界平均と比較すると、同社は株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率の観点からはやや割安に見える。

以上より、投資家は、ウォルト・ディズニーへの投資判断をする際には、同業他社や過去の平均と比較し、さらに、著しく割高である実績PERの水準の原因である足元のEPSの低下の理由に関しても調査すると良いだろう。

ウォルト・ディズニー(DIS)のリスクとリターンに関して

ウォルト・ディズニー(DISのリスク評価分析では、主に投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポジティブなポイントを取り上げたい

まずマイナス面では、同社の総資産は売上高を上回るペースで増加しており、資産活用における潜在的な非効率性を示している。

さらに、売上総利益率と営業利益率の低下は、同社の収益性の長期的な低下傾向を示唆している。

加えて、同社の投下資本利益率(ROIC)は加重平均資本コスト(WACC)を下回っており、資本配分の潜在的な非効率性を示している。

さらに、アルトマンのZスコアの2.09はグレーゾーンにあり、同社が財務的ストレス下にある可能性を示唆しており、倒産の危険が差し迫っているという訳ではないが、状況を注視する必要があると言える。

一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアは-2.72となっており、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示している。

全体として、利益率の低下や潜在的な財務的ストレスなど、リスク評価分析からはいくつか懸念材料を確認することが出来ていることからも、投資家はウォルト・ディズニーへの投資判断を下す際には、これらのリスクを注意深く監視することをお勧めしたい。

ウォルト・ディズニー(DIS)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去12ヶ月で、ウォルト・ディズニー(DIS)のインサイダーによる同社株式の買い付けは2件であった一方で、インサイダーによる同社株式の売却は6件確認されている。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.96%である点にはご留意いただきたい。

一方、機関投資家による同社株式の保有比率は38.05%で、多くの機関投資家がディズニーに投資をしていることを示している。

これは、機関投資家がディズニーの将来性に対してよりポジティブな感情を抱いていることを示す可能性がある。

全体として、インサイダー取引と比較して機関投資家の保有比率が高いことは、インサイダー取引が混在しているにもかかわらず、外部投資家が同社の将来についてより楽観的であることを示唆している可能性がある。

以上より、投資家は、ウォルト・ディズニーへの投資判断を下す際に、他の財務指標や業界動向とともにこれらの要因を考慮する必要があるだろう。

ウォルト・ディズニー(DIS)の流動性に関して

ウォルト・ディズニー(DIS)の流動性は比較的高く、直近営業日の1日当たり出来高は7,181,957株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は11,487,605株となっており、一貫した取引が行われていることが分かる。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は39.9%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。

全体として、上述の市場での出来高に基づくと、ウォルト・ディズニーは投資家が容易にポジションをエントリー、或いは、エグジットする上で十分な流動性を持っているように見える。