04/15/2025

【配当王】ドーバー(DOV)の配当推移と将来性分析:配当利回り1.24%・配当性向27%・配当金0.515ドル

a gold and silver maskイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国配当王であるドーバー(DOV:予想配当利回り1.24%・配当性向27%・1株当たり配当金0.515ドル)の2025年1月30日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • ドーバーはイリノイ州に本社を構える多角的な工業製品メーカーで、69年連続の増配実績を持つ「配当王」として、安定した配当と自社株買いにより株主還元を強化しています。
  • 財務面では、ROICが長期的にWACCを上回る水準にあり、ROEも非常に高く、効率的な資本運用と強固な財務基盤が評価されています。
  • バリュエーション面では一部割安な指標が見られるものの、配当利回りやP/FCFには割高感もあり、今後の成長性や業績推移を注視する必要があるでしょう。

ドーバー(DOV)の概要


セクター:工業製品

現在の株価:163ドル

時価総額:224.3ドル

過去5年間の配当成長率:1.10%

前回配当落ち日:2025年2月28日

前回配当支払い日:2025年3月14日

予想配当利回り:1.24%

過去5年間の売上高成長率:3.60%

過去10年間の売上高成長率:3.10%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ドーバーDOV:配当王・予想配当利回り1.24・配当性向27%・1株当たり配当金0.515ドル)、1955年に設立された米国イリノイ州ダウナーズグローブに本社を置く多角的な工業製品メーカーです。同社は、エンジニアリング製品、クリーンエネルギーと燃料供給、イメージングと識別、ポンプとプロセスソリューション、気候と持続可能性技術の5つの主要セグメントを通じて、革新的な機器、部品、消耗品、アフターマーケット部品、ソフトウェアおよびデジタルソリューション、サポートサービスを提供しています。

ドーバーのビジネスモデルの特徴は、分散型の運営構造と積極的な買収戦略にあります。各事業部門は独立性を保ちつつ、グローバルな規模と運営の機敏性を活かして市場をリードしています。特に、燃料供給やクリーンエネルギー分野では、OPWやDover Fueling Solutionsなどの子会社を通じて、安全性と効率性を兼ね備えた製品とサービスを提供しています。

配当面では、1955年の上場以来、69年間に渡り連続して増配を継続しており、米国株配当王の一角を担っています。2025年2月28日の権利落ち日には1株あたり0.515ドルの配当が支払われました。現在の配当利回りは約1.24%で、安定した配当支払いを行っていることから、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的な銘柄となっています。

そして、同社は2025130日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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ドーバー(DOV)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

ドーバーDOV)は、2025130日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、非経常項目(NRI)を除いた1株当たり利益(EPS)は2.20ドルで、前四半期の1.858ドルから改善しました。ただし、前年同期の2.45ドルと比較すると減少しています。一方、当該四半期の希薄化後EPSは10.38ドルで、第3四半期の2.51ドルから大幅に増加しています。

過去5年間における同社の非経常項目除きEPSの年平均成長率(CAGR)は9.30%であり、10年間では10.40%と、長期的に安定した成長を示しています。

今期の粗利益率は37.72%で、過去5年間の中央値である37.32%をわずかに上回っています。このマージン水準は、今後10年間で年率約3~4%の成長が見込まれる業界内において、同社が競争力を持っていることを示しています。

同社は積極的に自社株買いを実施しており、過去1年間の買戻し比率は1.90%となっています。これは発行済株式の1.90%が買い戻され、EPSの増加を通じて株主価値の向上に寄与しています。過去10年間の買戻し比率は1.60%であり、株主への安定した資本還元姿勢を示しています。

今後の見通しとして、市場のアナリストは来期のEPSを8.282ドル、翌年度を9.082ドルと予測しています。また、今後3年間の売上は成長が見込まれ、2025年には80億1,211万ドルに達するとの予想です。

以上より、今後も運営効率の向上と戦略的な自社株買いに注力することで、同社は業界動向および社内戦略に支えられ、穏やかな成長が期待されているように見えます。

次回の決算発表は2025年4月24日に予定されており、業績および今後の見通しに関するさらなる情報が提供される見込みです。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ドーバー(DOV)の財務パフォーマンスに関して

ドーバーDOVの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は経済的価値を創出する能力において高い財務パフォーマンスと資本効率を示しています。同社の過去5年間のROICの中央値は11.03%であり、同期間のWACCである9.96%を上回っています。このポジティブなスプレッドは、ドーバーが資本コストを上回るリターンを投資から生み出し、株主にとって価値を創出してきたことを意味しています。

さらに、現在のROICは10.63%で、現時点のWACCである10.84%をわずかに下回ってはいるものの、依然として価値創出の閾値付近にあります。これは、若干の低下が見られるものの、同社が引き続き効率的な資本運用を行っていることを示しています。

また、同社の自己資本利益率(ROE)は47.69%と非常に高く、過去の低水準や中央値と比較しても大きく上回っており、株主資本を活用して大きな利益を生み出していることを示しています。これらの数値は、同社の継続的な業務効率と効果的な資本配分戦略を裏付けており、市場における価値創出企業としての地位を強く支えています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ドーバー(DOV)の配当に関して

ドーバー・コーポレーション(DOV)は、控えめながらも安定した配当成長を示しており、過去69年間に渡り連続して増配を継続する米国株配当王です。

過去5年間の配当成長率は1.10%、過去3年間では1.00%となっています。最近では、1株当たり四半期配当を0.515ドルに据え置いており、過去の四半期と比較して緩やかな増加傾向を維持しています。

予想配当利回りは1.24%で、過去10年間の中央値である1.81%を下回っており、過去の実績と比較して割高感がある可能性を示唆しています。

また、同社のEBITDA有利子負債倍率は1.37と健全であり、財務リスクが低く、債務返済能力が高いことから、同業他社と比べても有利な立場にあります。この比率は、一般的に健全とされる2.0を大きく下回っており、強固な財務体質を示しています。一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2以下であれば財務リスクが低く、4以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

加えて、成長率は低いものの、今後3~5年間における配当成長率の予測は2.35%とされており、わずかながら改善への期待も見られます。さらに、現在の配当性向は27.0%と低水準であり、今後利益が増加すれば、配当を増やす余地が十分にあります。

直近の権利落ち日は2025年2月28日であり、配当は四半期ごとに支払われていることから、次回の権利落ち日は2025年5月30日と予想され、過去の支払パターンと一致し、平日に設定される見込みです。

予想配当利回り1.24%

配当性向:27%

配当カバレッジ・レシオ:9.49倍

過去5年間の配当成長率: 1.10%

EBITDA有利子負債倍率:1.37倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ドーバー(DOV)のバリュエーションに関して

ドーバーDOVの現在の株価は163.66ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である156.45ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-4.61%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

ただし、実績PER(株価収益率)は8.41と非常に低く、過去10年間の中央値である18.08を大きく下回っており、歴史的水準と比較して割安感があります。ただし、過去10年間の最低水準である7.74と比べるとわずかに高く、歴史的な割安水準に近い状況です。

また、予想PERは17.65で、10年中央値に近い水準であることから、将来的な利益成長やバリュエーションの正常化を市場が織り込んでいる可能性があります。

加えて、直近12か月(TTM)ベースの実績EV/EBITDA倍率は10.18で、過去10年間の中央値である12.91を下回っており、これも割安と評価される可能性がありますが、過去の範囲内には収まっています。

さらに、PBR(株価純資産倍)は3.23で、10年中央値である4.41を下回っており、資産価値ベースでは割安感があると考えられます。

しかしながら、PSR(株価売上高倍率)は2.79で、過去最高の3.51からは大きく下回っていますが、過去10年中央値の2.14を上回っていることから、この指標ではやや割高と見なされる可能性があります。

また、株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は39.06と非常に高く、中央値である20.58を大きく上回っているため、キャッシュフローの観点からは株価が過大評価されている可能性があり、注意が必要です。

一方で、市場のアナリストの見解は楽観的であり、目標株価の平均値は215.09ドルと設定されていますが、直近数か月と比べるとやや下落しており、期待感には若干の調整が見られます。ただし、目標株価やアナリスト評価の件数からは、同銘柄に対する市場の関心が安定していることがうかがえます。

総合的に見ると、いくつかの指標は割安さを示しているものの、安全余裕率がないことやP/FCFが非常に高いことから、慎重な姿勢が求められるでしょう。これらの要素と今後の成長性、セクター全体のパフォーマンスを比較検討したうえで判断することが望ましいように見えます。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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ドーバー(DOV)のリスクとリターンに関して

ドーバーDOVのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社は、最新の財務データに基づくとリスクプロファイルが混在しています。過去5年間において総資産が年率6%で拡大している一方で、売上高の成長率はわずか3.6%にとどまっていることから、効率性に課題がある可能性が示唆されています。ただし、同社の財務健全性は依然として堅調です。

ピオトロスキーのFスコアは7で、財務基盤が強固であることを示しており、ベニッシュのMスコアからも利益操作リスクが低いことが確認されています。さらに、営業利益率の改善や、株価が過去1年間の安値に近い水準にあることから、バリュー投資家にとっては魅力的な投資機会となる可能性があります。

こうした好材料がある一方で、予想PER(株価収益率)が過去のPERを上回っており、加えて利益が減少傾向にあることから、将来的な収益性に対する懸念も浮上しています。それでも、PBR(株価純資産倍率)およびPERが歴史的な低水準にあることから、長期投資家にとっては安全余裕(マージン・オブ・セーフティ)が確保されている可能性があります。

また、アルトマンのZスコアは5.3で、極めて高い財務安定性を示しており、加えて高い予想配当利回りも、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力的な要素となっています。

総じて、資産拡大や利益動向に注意が必要な面はあるものの、ドーバーの財務的な強さとバリュエーション指標を踏まえると、効率性と利益の推移に注意を払いながらであれば、安定的なリターンを期待できる可能性があるように見えます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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ドーバー(DOV)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ドーバー(DOV)のインサイダー取引の傾向を過去1年間にわたって分析すると、社内関係者による売却が明確な傾向として見られます。まず、この12か月間で、インサイダーによる売却は6件ありましたが、購入は一件もありませんでした。この傾向は、社内の関係者が株価を適正水準、もしくは割高と認識し、保有株の利益確定を行っている可能性を示唆しています。

過去6か月間では2件の売却があり、直近3か月間にはインサイダー取引が行われていないことから、インサイダーの動向が落ち着いてきた可能性があります。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は1.67%と控えめであり、経営陣や取締役が同社株を大きく保有していないことを示しています。一方で、プロの機関投資家の保有比率は84.70%と非常に高く、同社株に対する機関投資家の強い信頼と支配力が見受けられます。

このように高いプロの機関投資家の関与は、しばしばインサイダー売却の傾向に対する安定要因となり得ます。機関投資家は長期的な価値に焦点を当てる傾向があるためです。

総合的に見ると、インサイダーによる売却は注目すべき動きではあるものの、高い機関投資家の保有比率が株価の安定を支える可能性があります。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ドーバー(DOV)の流動性に関して

ドーバー(DOV)は、直近営業日の取引量が1,229,235株となっており、過去2か月間の平均取引量である1,143,705株を上回っています。これは、最近のニュースや市場動向を背景に、関心や取引活動が高まっている可能性を示しています。

流動性の面では、同社の取引量は十分な流動性を示しており、投資家が株式を売買しても株価に大きな影響を与えずに取引できることを意味します。これは機関投資家と個人投資家の双方にとって好ましく、スムーズな取引を可能にする要因となります。

一方、非公開取引所での売買動向を示すダークプール指数(DPI)は44%となっており、これは全取引のうち約半分が非公開市場(ダークプール)で行われていることを示しています。そして、DPIが44%という水準は、プロの機関投資家による戦略的な取引や、大口投資家の関与がある可能性を示唆しています。

投資家は、これらの指標を他の市場要因と併せて注視し、十分な情報に基づいて判断を下すことが重要でしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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