中立ダウ・インクダウ / DOW / 予想配当利回り4.72% / 中立:最新の2024年1Q決算速報・強み(優位性)分析と今後の株価見通し・将来性
イアニス・ ゾルンパノス- ダウ・インク(DOW:予想配当利回り4.72% / 配当性向128%)はダウ・ケミカルを子会社に持つ世界有数の化学メーカーである。
- 同社はダウ・ケミカルとデュポンの合併、および、その後の分割によって2019年に設立された材料科学部門に特化した新会社である。
- そして、同社は2024年4月25日に2024年第1四半期決算を発表している。
ダウ・インク(DOW)の概要
セクター:化学
現在の株価:59ドル
時価総額:416.2億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:24.7ドル
安全マージン:-139.63%
過去5年間の配当成長率:N/A
次回配当落ち日:2024年5月30日
次回配当支払い日:2024年6月14日
予想配当利回り:4.72%
過去5年間の売上高成長率:2.90%
過去10年間の売上高成長率:0.00%
ダウ・インク(DOW)はダウ・ケミカルを子会社に持つ世界有数の化学メーカーである。
ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)とデュポン(DuPont)は、2017年に合併してダウ・デュポン(DowDuPont)という巨大企業を設立した。
しかし、その後、ダウ・デュポンは2019年に3つの独立した企業に分割されており、ダウ・インクは材料科学部門に特化した新会社を指しており、ポリエチレン、酸化エチレン、シリコーンゴムなど複数の化学品の大手メーカーとなっている。
ダウ・インク(DOW) - 材料科学部門を担当
デュポン・ド・ヌムール(DD) - 特殊化学品部門を担当
コルテバ(CTVA) - 農業科学部門を担当
同社の製品は、消費者市場と産業用最終市場の両方で利用されている。
そして、同社は2024年4月25日に2024年第1四半期決算を発表している。
ダウ・インク(DOW)の収益と成長に関して
ダウ・インク(DOW)の2024年第1四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは0.56ドルで、希薄化後EPSは0.73ドルとなっており、前四半期のそれぞれ0.43ドル、-0.15ドルから大幅に改善している。
また、一株当たり売上高も15.26ドルと、前四半期の15.03ドルからわずかに増加する着地となっており、上述のEPSと合わせて、同社のポジティブな成長トレンドを示している。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は2.60%となっており、中長期的にも緩やかに持続的な成長を実現していると言える。
また、今後10年間の同社業界の成長予測に照らせば、同社は着実な成長機会から恩恵を受けることが期待される。
さらに、同社の過去の財務レバレッジの度合いを考慮すると、同社はレバレッジを上手く管理しており、過度のリスクを伴わずに成長する余地があると言える。
以上より、収益の改善と堅調な業績により、ダウ・インクは今後数年間も成長軌道を維持する可能性を秘めていると見ている。
ダウ・インク(DOW)の配当に関して
ダウ・インク(DOW)は、新たに設立された2019年以降、一貫して0.70ドルの1株当たり配当(DPS)を維持しており、その結果、過去5年間の配当成長率、並びに、過去3年間の配当成長率は共に0%となっている。
一方で、EBITDA純有利子負債倍率は3.80倍となっており、財務面でのややリスクが高いことを示しており、今後の同社の経営、並びに、継続した配当の支払いに影響を与える可能性がある点には注意が必要である。
また、配当成長率(0%)は同セクターの競合他社に比べれば魅力的ではないかもしれないが、安定した配当金の支払いと魅力的な予想配当利回り(4.72%)は、同社を配当収入を求める投資家にとって魅力的な投資対象としている。
全体として、ダウ・インクの直近四半期の配当の支払いに関するサマリーとしては、同社は株主への確実な配当金の支払いを維持することに重点を置いている一方で、着実な業績も達成している。
そのため、安定した配当収入を求める投資家は、ダウ・インクの株式をに魅力を感じるかもしれない。
予想配当利回り:4.72%
配当性向:128%
配当カバレッジ・レシオ:0.6
過去5年間の配当成長率:N/A
EBITDA純有利子負債倍率:3.8倍
ダウ・インク(DOW)のバリュエーションに関して
ダウ・インク(DOW)の現在の株価は59ドルとなっており、弊社算出の一株当たり本質的価値である24.7ドルより遥かに高く、潜在的な割高感を示している可能性がある。
加えて、実績PERは34.94倍で、PEGレシオは5.61倍となっていることから、同社の収益と成長予測に基づくと、同社株価が過大評価されている可能性を示唆している。
一方で、株価売上高倍率は0.95倍で、EV/EBITDA倍率は11.85倍と比較的低い水準となっており、これらの比率は、上述の弊社算出の一株当たり本質的価値とは異なり、同社の株価が過小評価されている可能性があることを示している。
また、株価売上高倍率は同社の5年平均、10年平均のいずれよりも低く、投資家にとって魅力的なエントリー・ポイントとなる可能性を示唆している。
しかし、EV/EBITDA倍率は5年平均よりやや高く、バリュエーション指標としてはやや不利な水準にあると言える。
ただし、業界平均と比較した場合には、同社の株価売上高倍率は低水準にあると言え、同業他社と比較すると割安である可能性を示している。
以上より、投資家はダウ・インクへの投資判断を下す前に、同社の財務実績や市場環境とともにこれらのバリュエーション指標を考慮すべきである。
ダウ・インク(DOW)のリスクとリターンに関して
ダウ・インク(DOW)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい。
まずマイナス面では、同社の税率は低くなっていることから、潜在的に利益を膨らませている可能性がある。
また、売上総利益率は年平均-5%のペースで低下しており、営業利益率は過去5年間で年率-7.9%で減少している。
さらに、配当性向は128%と高く、今後の配当支払いの持続性に懸念が残る水準である。
加えて、株価は1年ぶりの高値に水準に近く、また、株価売上高倍率は0.95倍で、2年ぶりの高水準である0.97倍に迫っている。
そして、投下資本利益率は加重平均資本コストより低く、潜在的な業務の非効率性を示している。
また、アルトマンZスコアは2.16でグレーゾーンにあり、同社が潜在的に財務上のストレスを抱えている可能性を示唆している。
一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアは-2.82となっており、同社が利益操作をしている可能性が低いことを示している。
ダウ・インク(DOW)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去12ヶ月間のダウ・インク(DOW)のインサイダーによる同社株式の取引活動に関しては、インサイダーによる同社株式の買い付け取引は1件のみで、インサイダーによる同社株式の売却取引も1件のみとなっている。
ただし、同社のインサイダーによる同社株式の保有比率はわずかに0.19%である点にはご留意いただきたい。
また、機関投資家の同社株式の保有比率は39.61%と比較的高く、機関投資家が同社株式のかなりの部分を保有していることを示唆している。
以上より、上述のデータを踏まえると、インサイダーは同社株式を積極的に売買していないことが分かり、これは同社株式の短期的な見通しに対するインサイダーの自信やセンチメントが大きくないことを示している可能性がある。
しかし、機関投資家の同社株式の保有比率が高いことは、プロの投資家が同社により大きな関心を持っていることを示唆している。
ダウ・インクへの投資を検討する投資家は、同社の業績と将来の方向性についての潜在的な洞察を得るために、今後の同社インサイダーによる同社株式に関する売買動向を注意深く監視すると良いだろう。
ダウ・インク(DOW)の流動性に関して
ダウ・インク(DOW)の流動性と取引分析によると、直近営業日の1日当たりの出来高は2,668,674株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は4,428,573株となっている(直近の出来高は、過去2カ月間の1日平均出来高の約60.24%に相当する)。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は54.45%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。