やや強気エマソン・エレクトリックすべて表示エマソン・エレクトリック(EMR:配当王・予想配当利回り2%・配当性向40%)決算後株価下落で割安?今後の株価見通しと将来性に迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、エマソン・エレクトリック(EMR:配当王・予想配当利回り2.03%・配当性向40%・1株当たり配当金0.525ドル)の最新の2024年第3四半期決算と今後の株価見通しおよび将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
- 同社の最新の決算では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは増加する一方で、希薄化後のEPSは減少、1株当たり売上高はフラットという着地となっています。
- 一方で、同社は過去67年間連続して増配を行い、米国株配当王の一角を担っており、予想配当利回りも比較的高く、配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的な配当銘柄となっています。
エマソン・エレクトリック(EMR)の概要
レーティング:やや強気
バリュエーション:やや割安
リスクレベル:中程度
セクター:工業製品
現在の株価:103ドル
時価総額:589.6億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:115.74ドル
安全マージン:10.95%
過去5年間の配当成長率:1.50%
次回配当落ち日:2024年8月16日
次回配当支払い日:2024年9月10日
予想配当利回り:2.03%
過去5年間の売上高成長率:-3.40%
過去10年間の売上高成長率:-1.20%
エマソン・エレクトリック(EMR:配当王・予想配当利回り2.03%・配当性向40%・1株当たり配当金0.525ドル)は、米国ミズーリ州に本社を置く大手技術・エンジニアリング企業です。同社は1890年の創業以来、オートメーション・ソリューションと商業・住宅ソリューションを提供し、世界中で事業を展開しています。同社のビジネスは高度に統合された技術と革新的な製品により、効率性の向上や持続可能な運営をサポートする点が特徴です。
同社のユニークな特徴は、オートメーション技術における卓越した専門性です。プロセス管理や産業オートメーション、商業オートメーションの分野で革新的なソリューションを提供し、業界をリードしています。また、顧客の特定のニーズに応じたカスタマイズ可能なソリューションが評価されています。
財務状況としては、近年の売上と利益は堅調に推移しており、健全なバランスシートを維持しています。また、エマソンは持続可能な成長と株主への利益還元に注力しており、連続して67年以上にわたり増配を行っていることから、米国株配当王の一角を担っており、配当株としてインカム投資家から人気の高い銘柄です。
最近の買収としては、アスペンテックの株式を追加取得し、デジタル変革を加速させることでオートメーション技術の強化を図っています。これにより、同社はデジタル化の波に乗り、さらなる成長機会を追求しています。
これらの戦略的な動きにより、エマソン・エレクトリックは今後も競争力を維持し、株主価値の向上に寄与することが期待されています。
そして、同社は2024年8月7日に2024年第3四半期決算を発表しています。
エマソン・エレクトリック(EMR)の最新の2024年度第3四半期決算に関して
エマソン・エレクトリック(EMR)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第3四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は1.43ドル(前四半期:1.36ドル)、希薄化後のEPSは0.57ドル(前四半期:0.87ドル)、また、1株当たり売上高は7.62ドル(前四半期:7.62ドル)と、非経常損益項目を除くベースでのEPSは増加する一方で、希薄化後のEPSは減少、1株当たり売上高はフラットという着地となっています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は2.50%で、過去10年間の年平均成長率は3.20%となっており、中長期的に継続して成長を実現していることが分かります。
また、今後10年間の同社業界の成長予測は引き続きプラスであることからも、エマソン・エレクトリックに潜在的な成長機会があることを示しています。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
エマソン・エレクトリック(EMR)の財務パフォーマンスに関して
エマソン・エレクトリック(EMR)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、過去5年間のROAとROICの中央値はそれぞれ10.70%と9.72%で、資産と投下資本に対する適正なリターンを示していると言えます。
加えて、過去5年間のROEの中央値は26.85% で、この期間の収益性の高さを示唆しています。
また、過去5年間のROCの中央値も65.79%で、資本効率の高さを示しています。
そして、これらの指標を過去5年間のWACCの中央値である9.93%と比較すると、ROICがWACCを上回っていることからも、同社は経済的価値を生み出しているように見えます。
※基本的には、ROICがWACCを上回ると、企業が投資した資本に対してコスト以上の利益を生み出していることになります。これにより、企業は実際に価値を創出しており、株主にとって魅力的な投資先となります。企業がROICでWACCを上回ることで、持続的な成長や株主へのリターン向上が期待できます。
この積極的な経済的価値の創造は、過去10年間のROCの中央値が13.46%であることでも裏付けられており、これは同社の一貫した経済的価値を生み出す能力を示していると言えます。
ただし、現在のROICは5.51%で、ROEは8.29%と、いずれもWACCの9.42%を下回っており、足元では、資本活用の効率性が悪化していることが分かります。
全体として、エマソン・エレクトリックの資本配分戦略と業績指標は、経済的な価値創造における堅実な実績を示唆している一方で、足元の指標は悪化傾向にあることからも、投資家はこの点に関して継続してチェックする必要があるでしょう。
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エマソン・エレクトリック(EMR)の配当に関して
エマソン・エレクトリック(EMR)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は1.50%、過去3年間の成長率は1.30%となっており、一貫した配当の成長を実現しています。
さらに、同社は過去67年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っています。
また、同社の予想配当利回りは2.03%で、投資家にとって配当を通じて適切なリターンを提供していることを示しています。
一方で、配当性向は40.0%と健全な水準を維持しており、これは同社が将来的に増配する余地があることを示唆していると言えます。
そして、下記のチャートからも分かる通り、現在の配当性向の水準は、過去の水準と比較しても低水準にあり、同社が配当の支払いを効果的に管理していることが分かります。
加えて、EBITDA純有利子負債倍率は2.69倍で、基準値の2倍を小幅に上回っています。
基本的には、当倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
そのため、現在の同社の倍率は財務リスクが中程度であることを示しており、ただちに懸念すべきものではないが、特に業界標準を考慮すると、今後も一定の注意を払う必要があるでしょう。
全体として、エマソン・エレクトリックの配当成長率と配当性向は、債務に対する慎重なアプローチを維持しながら、株主に配当を通じて報いるという同社のコミットメントを反映しており、配当収入重視のインカム投資家には魅力的な配当株と映るでしょう。
予想配当利回り:2.03%
配当性向:40%
配当カバレッジ・レシオ:1.42倍
過去5年間の配当成長率: 1.50%
EBITDA純有利子負債倍率:2.69倍
※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
※Dividend Yield:予想配当利回り
※Dividend Payout:配当性向
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エマソン・エレクトリック(EMR)のバリュエーションに関して
エマソン・エレクトリック(EMR)の現在の株価は103.07ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である115.74ドルより低いことから、同社の現在の株価は割安である可能性を示しています。
また、株価売上高倍率は3.49倍で、EV/EBITDA倍率は16.93倍となっており、いずれも業界平均と比べて割安である可能性を示唆しています。
一方で、実績PERは34.59倍で、PEGレシオは10.81倍となっており、これらの観点からは、同社の潜在的な収益成長力からすると割高である可能性があります。
さらに、株価フリー・キャッシュフロー倍率は49.9倍で、過去の平均を上回っていることから、投資家にとって懸念材料となる可能性があります。
ただし、予想PERは23.01倍となっており、上述の実績PERより低く、将来の収益改善期待を示唆しているように見えます。
しかし、過去5年平均や10年平均と比較すると、現在のバリュエーション指標は同社が概ね割安で取引されている可能性を示唆しているように見えます。
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エマソン・エレクトリック(EMR)のリスクとリターンに関して
エマソン・エレクトリック(EMR)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、同社の長期負債は、過去3年間で大幅に増加し、17億米ドルに達しています。全体的な負債水準は許容範囲内と見なされていますが、負債が増加傾向にあることは、長期的には、同社の財務健全性に対する懸念材料となる可能性があります。
また、エマソン・エレクトリックは過去3年間で少なくとも一度は営業損失を経験しており、事業運営上の課題があることを示唆しています。さらに、1株あたりの売上は過去5年間減少しており、トップラインのパフォーマンスに関する懸念が浮上しています。
さらに、上述の通り、足元のROIC(投下資本利益率)はWACC(加重平均資本コスト)を下回っており、資本配分における非効率性の可能性が示されています。
一方でプラス面では、ベネッシュのMスコアが-2.26であることから、同社が不正会計を行っている可能性は低いとされています。
また、営業利益率が拡大しているのは好ましい兆候です。
さらに、株価売上高倍率は3年ぶりの低水準に近く、アルトマンのZスコアは3.7で、財務の健全性が強いことを示しています。
エマソン・エレクトリック(EMR)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
エマソン・エレクトリック(EMR)は過去12ヶ月間、5件のインサイダーによる同社株式の売却を確認している一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けも5件確認されています。
このことからも、売り買い共に、バランスの取れたインサイダー取引が行われているように見え、同社の取締役と経営陣が同社の株式取引に積極的に関与していることを示しています。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか1.41%である点にはご留意ください。
一方、機関投資家の同社株式の保有比率は73.32%と非常に高く、プロの機関投資家が同社に大きな関心を寄せていることを示しており、投資家に安心感を与える内容と言えます。
全体として、インサイダー取引分析とトレンド分析は、エマソン・エレクトリックに対するインサイダーと機関投資家のセンチメントが混在していることを示唆しています。
エマソン・エレクトリック(EMR)の流動性に関して
エマソン・エレクトリック(EMR)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は2,539,425株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は2,555,055株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は47.64%となっており、取引活動の約半分がダークプールで行われていることを示しています。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
全体として、エマソン・エレクトリックは流動性が高く、一貫した取引活動が行われていることからも、流動性を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっているように見えます。
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