04/11/2025

【高配当】エンブリッジ(ENV)の配当推移と将来性分析:配当利回り6.22%・配当性向133%・配当金0.9425ドル

clear glass jar with coinsイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場高配当株であるエンブリッジ(ENB:予想配当利回り6.22%・配当性向133%・1株当たり配当金0.9425ドル)の2025年2月14日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • エンブリッジは、北米最大級のエネルギーインフラ企業であり、長期契約に基づく安定した収益基盤と、再生可能エネルギーへの取り組みが特徴です。
  • 予想配当利回りは6.22%と高水準で、長年にわたり増配を継続していますが、配当性向133%や高い財務レバレッジには注意が必要です。

エンブリッジ(ENB)の概要


セクター:石油・ガス

現在の株価:41ドル

時価総額:901億8,000万ドル

過去5年間の配当成長率:4.00%

前回配当落ち日:2025年2月14日

前回配当支払い日:2025年3月1日

予想配当利回り:6.22%

過去5年間の売上高成長率:1.10%

過去10年間の売上高成長率:-6.50%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

エンブリッジENB:予想配当利回り6.22・配当性向133%・1株当たり配当金0.9425ドル)は、カナダ・アルバータ州カルガリーに本社を置く、北米有数のエネルギーインフラ企業です。同社は、北米最長の液体輸送システムを運営し、北米で生産される原油の約30%を輸送しています。また、米国で消費される天然ガスの約20%を輸送し、北米最大の天然ガス配給ネットワークを有しています。さらに、再生可能エネルギー分野にも進出し、洋上風力発電プロジェクトなどを展開しています。 

エンブリッジのビジネスモデルの特徴は、収益の大部分が長期契約や規制された料金に基づいているため、安定したキャッシュフローを生み出す点にあります。また、同社は持続可能性にも注力しており、2050年までに自社の温室効果ガス排出量をネットゼロにする目標を掲げています。

エンブリッジは70年以上にわたり配当を支払い続けており、過去30年間の配当は平均年率9%で成長しています。ただし、配当性向が高水準であることから、投資家はその持続可能性について注意を払う必要があるでしょう。

全体として、エンブリッジは安定した収益基盤と持続可能性への取り組みを特徴とし、長期的な配当成長を求める投資家にとって魅力的な選択肢となり得ます。

そして、同社は2025214日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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エンブリッジ(ENB)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

エンブリッジENB)は、2025214日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、一時的要因を除いた1株当たり利益(EPS)を0.513ドルと発表しました。

これは、2024年第3四半期の0.374ドルから四半期ベースで増加し、2023年第4四半期の0.502ドルからも前年同期比で増加しています。

こうした好調な傾向が見られる一方で、希薄化後EPSは0.154ドルに減少し、前四半期の0.436ドルおよび前年同期の0.611ドルを下回りました。

1株あたりの売上高は5.217ドルとなり、2024年第3四半期の5.04ドルおよび2023年第4四半期の3.959ドルから上昇しています。

また、一時的要因を除いた1株当たり利益(EPS)の過去5年間の年平均成長率(CAGR)は1.00%、過去10年間では4.90%となっています。

2024年第4四半期における同社の粗利益率は36.03%で、過去5年間の中央値と一致していますが、過去10年間の最高値である40.48%は下回っています。

また、同社の株式買戻し比率からは、過去の戦略的な意思決定が反映されています。

過去10年間の自社株買い比率は-10.50%となっており、株式を買い戻すのではなく、純増発行していることを示しています。

過去1年間および3年間の比率もそれぞれ-2.50%、-2.40%であり、この傾向が継続していることがうかがえます。

そのため、株式数の増加によりEPSの希薄化につながる可能性があります。

今後の見通しとして、市場のアナリストは次年度以降の同社のEPSを、それぞれ2.099ドルおよび2.010ドルと予想しています。

売上高も安定した成長が見込まれており、2025年は363億7,580万ドル、2026年は368億4,248万ドル、2027年は373億65万ドルと予測されています。

そして、業界全体としての今後10年間の年間成長率は、おおよそ年率5〜6%と見込まれています。

同社の次回の決算発表は2025年5月9日に予定されており、今後の財務状況や市場での立ち位置をさらに詳しく把握する機会となるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エンブリッジ(ENB)の財務パフォーマンスに関して

エンブリッジENBの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、ROICにおいて、WACCと比較して一貫したものの控えめなパフォーマンスを示しています。同社の過去5年間のROICの中央値は3.87%であり、現在のROICはそれをわずかに下回る3.84%となっています。一方、過去5年間のWACCの中央値は6.00%、現在のWACCは6.54%となっており、同社のROICが一貫してWACCを下回っていることが示されています。

このような状況は、同社が経済的価値を生み出せていないことを意味します。なぜなら、同社が投資によって得られるリターンよりも、資本コストのほうが高いからです。自己資本利益率(ROE)は中央値で8.54%と妥当な水準を示していますが、ROICがWACCを下回っている点は、現在の資本配分戦略によって株主価値を十分に創出できていない可能性を示唆しています。

総じて、同社が経済的価値をより高めていくためには、投資によるリターンの向上、もしくは資本コストの削減によって財務効率を改善することが求められます。ROICとWACCの間に存在するこのギャップは、戦略的な見直しが必要であることを示しています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エンブリッジ(ENB)の配当に関して

エンブリッジENB)は、安定した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は4.00%、過去3年間の成長率は3.10%となっています。同社の予想配当利回りは6.22%で、過去10年間の中央値である6.07%をやや上回っており、安定した配当方針がうかがえます。

しかしながら、同社の配当性向は133%と非常に高く、過去10年間の最高値である101.67%をも上回っており、利益の中から配当を支払う余力に対して強いプレッシャーがかかっていることを示しています。また、同社のEBITDA有利子負債倍率は6.03であり、一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2以下であれば財務リスクが低く、4以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。この高いレバレッジは、仮に利益が減少した場合、現在の配当水準を維持する能力に影響を及ぼす可能性があります。

それでもなお、今後3〜5年間における配当成長率は3.16%と予測されており、緩やかではあるものの、配当の継続に対する市場の信頼感が見受けられます。

総じて、今後の配当成長の見通しは前向きではありますが、配当性向の高さと財務レバレッジの水準には注意が必要と言えるでしょう。

予想配当利回り6.22%

配当性向:133%

配当カバレッジ・レシオ:0.64倍

過去5年間の配当成長率: 4.00%

EBITDA有利子負債倍率:6.03倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エンブリッジ(ENB)のバリュエーションに関して

エンブリッジENBの現在の株価は41.82ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である36.58ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-14.32%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

また、直近12か月(TTM)の実績ベースの株価収益率(PER)は24.41で、過去10年間の中央値である27.20を下回ってはいますが、依然として妥当な範囲内にあり、利益面から見て極端に割高であるとは言えません。

一方、予想PERは19.32と、現在の実績PERよりも低く、将来的な利益成長が見込まれていることを反映して、より楽観的な見通しを示しています。

加えて、直近12か月のEV/EBITDA倍率は13.59で、過去10年間の最低値と中央値の間に位置しており、企業価値の観点ではバランスの取れた評価となっています。株価フリーキャッシュフロー倍率(Price-to-Free-Cash-Flow)は23.03で、10年中央値をわずかに下回っており、キャッシュフローの観点ではおおむね適正水準にあると考えられます。

しかし、直近12か月の株価売上高倍率(PSR)は2.45で、10年間の中央値である1.92を上回っており、売上高に対してはやや割高に評価されている可能性があります。

さらに、直近12か月の株価純資産倍率(PBR)は2.22と、10年中央値の1.82を大きく上回っており、資産価値に対してはやや割高であることから、バリュエーションに関する懸念が生じる可能性があります。

市場のアナリストの評価および目標株価に関しては、同社に対してやや前向きな見解が示されており、現在の目標株価の平均値は43.90ドルと、現行の市場価格に近い水準です。これは、今後の上昇余地があるものの、大きな安全余裕がないことを示しています。

全体として、同社のバリュエーション指標のうち、特にPBRは過去の水準と比較して割高であることが示されていますが、一方で予想PERは将来的な成長の可能性を示唆しています。そのため、同社の現在の投資魅力度を判断する際に、これらの観点を総合的に考慮する必要があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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エンブリッジ(ENB)のリスクとリターンに関して

エンブリッジENBのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社には、投資家が注意すべきいくつかの財務リスクが存在します。同社は過去3年間で131億カナダドルという多額の債務を追加しており、この高水準の債務により、インタレスト・カバレッジ・レシオ(利払い能力比率)は2.24と低く、利息の支払いに支障をきたす可能性があることを示唆しています。

さらに、配当性向は133%と非常に高く、特に現在の株価や、株価純資産倍率(PBR)および株価収益率(PER)が過去の高水準に近いことを踏まえると、配当の持続可能性に対する懸念が高まります。

また、同社のアルトマンのZスコアは0.75であり、「財務危機ゾーン」に該当する数値で、今後2年以内に破綻する可能性があることを示しています。

こうした課題がある一方で、前向きな指標も見受けられます。過去3か月間にインサイダー(役員など)による自社株買いが見られ、合計18,766株が購入されており、主要な関係者による自信の表れと受け取ることができます。

さらに、ベニッシュのMスコアは-2.18で、財務操作の可能性が低いことを示しており、営業利益率が拡大していることから、事業運営面での改善も確認できます。

しかしながら、同社の投下資本利益率(ROIC)は加重平均資本コスト(WACC)を下回っており、資本効率に対する懸念が残ります。

総じて、いくつかの前向きな兆しはあるものの、同社が抱える財務リスク、特に高水準の負債とバランスシートの脆弱性を考慮すると、潜在的な投資家にとって慎重な検討が必要であるように見えます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エンブリッジ(ENB)のインサイダー(内部関係者)動向

エンブリッジENB)のインサイダーによる同社株式の保有比率は0.12%と比較的低く、これはインサイダーが会社に対して大きな持分を保有していないことを示しており、経営判断に対する個人的な金銭的インセンティブが相対的に小さい可能性を示唆しています。

一方で、プロの機関投資家による保有比率は51.01%と高く、大手の金融機関が同社に対して強い関心と影響力を持っていることが分かります。これは、同社の事業運営や財務健全性に対する信頼を示しているとも考えられます。

総じて、プロの機関投資家による高い保有比率は、同社に対しては安定した見通しが持たれており、プロの投資家が同社の業績を注意深く見守っている状況であると考えられます。


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


エンブリッジ(ENB)の流動性に関して

エンブリッジENB)は、取引量の面で堅調な動きを見せており、過去2か月間の1日あたりの平均取引株数は4,211,543株となっています。直近営業日では、1日あたりの取引量が5,300,231株に増加しており、投資家の関心の高まりや市場での活動が活発になっていることがうかがえます。

このように、平均よりも日々の取引量が増加していることは、同社の流動性が高まっていることを意味しており、投資家が株式を売買する際に、株価へ大きな影響を与えることなくポジションを出入りしやすい状況となっています。

また、ダークプール・インデックス(DPI)は43.68%であり、これは全取引のうち約半分が非公開市場(ダークプール)で行われていることを示しています。DPIが43.68%という水準は、プロの機関投資家による戦略的な取引や、大口投資家の関与がある可能性を示唆しています。

この程度のDPIは、舞台裏で活発な取引が行われている一方で、公の取引所でも十分な取引が継続していることを意味しており、透明性の維持や株価の安定に寄与する可能性があります。

総じて、同社の流動性および取引関連の指標は、健全で活発な市場での存在感を示しており、機関投資家の関与も強く、投資家が取引を行うために十分な取引量が確保されている状況にあると言えます。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


加えて、インベストリンゴのインカム・高配当株担当アナリストであるヴェンカット・ ラガーヴァン氏も、エンブリッジENBに関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。

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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

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