【半導体】インテグリス(ENTG)の将来性は良好?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて将来性に迫る!
ダグラス・ オローリン- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるインテグリス(ENTG)の11月4日に発表された最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 最新の決算は市場予想を下回り、売上高やEPSも市場予想に届かなかったが、特にAI以外のシリコンの百万平方インチ(MSI)の低迷が影響しています。
- 同社は、モリブデンの採用やCMP技術の需要増により今後の成長を見込んでおり、2025年には300層NANDへの移行で業界全体の活性化を期待しています。
- 2024年は技術移行が少ない年であったが、来年以降のロジックやメモリ分野でのノード移行により業績向上が見込まれています。
インテグリス(ENTG)の最新の2024年第3四半期決算発表に関して
インテグリス(ENTG)は11月4日に最新の2024年第3四半期決算を発表しており、今回の業績は市場予想を下回る着地となっておりますが、この点については前回の四半期でも既に触れられていました。
2024年度第3四半期決算
・EPS(特別項目除く):0.77ドル(FactSet予想の0.78ドルを下回る)
・売上高:8.077億ドル(FactSet予想の8.324億ドルを下回る)
2024年度第4四半期ガイダンス
・EPS(特別項目除く):0.75ドル〜0.82ドル(FactSet予想の0.94ドルを下回る)
・売上高:8.1〜8.40億ドル(FactSet予想の8.788億ドルを下回る)
2024年度第4四半期のガイダンスも予想よりやや弱く、特にAI関連を除くシリコンの百万平方インチ(MSI)の低調さが目立っています。
下記は最新の決算説明会での遣り取りの一部です。
(原文)Customers with strong exposure to AI applications are performing well, but the rest of the industry remains challenged. And because Entegris serves all parts of the industry ecosystem, including areas like mainstream and NAND, which remain muted. Demand for our products is softer than our original expectations. In addition, 2024 continues to be a year of limited technology transitions which limits our incremental wafer content gain opportunity and our level of outperformance this year.
(日本語訳)AI関連の顧客は好調ですが、それ以外の業界は依然として厳しい状況です。インテグリスはメインストリームやNANDなど、依然として低迷している分野も含めて業界全体にサービスを提供しているため、製品需要は当初の予想を下回っています。また、2024年は技術移行が少ない年であるため、ウェハー関連の収益機会や業績向上の余地も限られている状況です。
一方で、現在、回復が見られる分野もあります。
その一例がモリブデン(耐熱性と耐腐食性に優れた金属元素)材料で、来年には3D NAND(従来の2D NANDフラッシュメモリの技術を改良したもので、データの記録セルを垂直に積層する技術)やロジック分野での需要が増加する見込みです。
また、CMP(化学機械平坦化の略で、半導体製造プロセスにおいてウェハ表面を滑らかにする技術)もGAA(ゲート・オール・アラウンドの略で、次世代のトランジスタ構造)やBSPDN(裏面電力供給ネットワークの略で、半導体チップにおける電力供給方法の一つ)といった先端ロジックの需要に支えられ、堅調な動きを見せています。
(原文)We have already received several key POR wins in moly and are well positioned for more. We are particularly excited about these POR positions as they represent incremental Entegris content per wafer opportunities in part because we do not make the deposition materials moly replaces. We continue to expect moly will be implemented in the upcoming 3D NAND node transitions expected next year and in logic, sometime later.
(日本語訳)モリブデンについては、すでにいくつかの重要なPOR(採用基準)を獲得しており、今後さらに採用が広がる見込みです。特に、このPORポジションは、インテグリスにとってウェハーあたりの収益増加につながるため大変有望です。これは、モリブデンが当社がこれまで提供していなかった成膜材料に代わることによるものです。モリブデンは、来年予定されている3D NANDの次世代ノードや、その後のロジック分野でも採用される見込みで、さらなる成長が期待されます。
(原文)The largest contributors to the sales increase were CMP slurries and advanced deposition materials. Adjusted operating margin for MS was 20.7% for the quarter, approximately flat sequentially
(日本語訳)売上増加の主な要因は、CMPスラリー(化学機械平坦化プロセスで使用される液体の研磨材)と先端成膜材料(半導体デバイスの構造を形成するための薄膜材料)でした。MS部門の調整後営業利益率は四半期で20.7%と、前期とほぼ同水準を維持しています。
また、シリコンの百万平方インチは、AI分野を除いて全般的に低迷しています。
同社は2025年に強い成長を期待しており、特に300層NANDへの移行に注目しています。
(原文)So -- and you're inviting me to provide maybe in contrast the picture going into 2025. And qualitatively, I would agree with your implied statement. We expect the industry to be in a better state, and we expect to see more activity in terms of node transitions, both in logic as well as in memory, where we expect in NAND, in particular, we expect the transition to 300 layer plus devices and hopefully, the introduction of molybdenum next year.
(日本語訳)それでは、2025年に向けた見通しについてお話ししますが、質的にはおっしゃる通りだと感じています。業界全体が改善し、ロジックやメモリ分野でのノード移行がさらに活発化することを期待しています。特にNANDでは、300層以上のデバイスへの移行が進み、来年にはモリブデンの導入も期待されます。
これはどこも同じ状況であり、メインストリームの半導体は低迷しており、例外だったAIサーバーも最近は弱含んでいます。
以上より、2025年以降、成長が期待されるインテグリスの今後の展開には要注目です。
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アナリスト紹介:ダグラス・ オローリン / CFA
📍半導体&テクノロジー担当
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