強気エノビックス【エネルギー】エノビックス(ENVX)株価の今後の見通し:マレーシア新工場での最終テスト完了で次世代バッテリー量産開始に期待!
マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ- 本稿では、注目の米国エネルギー関連銘柄であるエノビックス(ENVX)のマレーシアの新工場における最終テストが完了したという最新のニュースと財務分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、2025年末までに次世代バッテリーの量産化を目指すも、まだ収益化には至っていない企業です。ただし、マレーシアにあるFab2工場で大きな進展を遂げており、事業の基盤を着実に築いています。
- 最近、1億ドルの資金調達を行い、今後3〜6か月の運営に必要な資金を確保するとともに、柔軟な財務体制を維持しています。
- 収益性を高めるためには、バッテリーの歩留まりを95%に引き上げることが重要ですが、現時点では約80%に留まっています。この改善が進めば、株価の大幅な上昇が期待できると見ています。
- ただし、顧客基盤が不足している点は引き続きリスクとして挙げられます。それでも、同社の可能性には慎重ながら期待を寄せており、一方で自身の投資プロセスの改善にも引き続き注力していきたいと考えています。
エノビックス(ENVX)に関して
エノビックス(ENVX)は現在、収益を上げていない企業です。つまり、2025年末までは収益がなく、大きな損失を抱え続ける見込みです。この点を理解した上で、同社を私のポートフォリオにおける長期保有銘柄としています。(同社は、私が当面売却しないと決めている3銘柄のうちの1つです。)
直近、同社は重要な発表を行いました。それによると、マレーシアの新工場における最終テストが完了し、2025年から次世代バッテリーの量産を開始する準備が整ったとのことです。
そこで、本稿では、この発表がどのような意味を持つのか、そして2025年に向けて同社をどのように捉えるべきかについて詳しく説明します。
エノビックス(ENVX)の短期的な見通し
エノビックス(ENVX)は、スマートフォンやIoTデバイス向けに、より長寿命で高性能な次世代バッテリーを開発しています。
同社の技術はエネルギー効率を向上させ、特にAIを活用した高消費電力のデバイスにおいて優れた性能を発揮します。
現在、2025年末までに大量生産を開始することを目指し、マレーシアで大規模な工場を建設中です。まずはスマートフォン向けに製造を開始し、その後IoTや自動車といった他の分野への拡大を予定しています。
さらに、Fortune 50企業の一社と協力して次世代バッテリーを市場に投入する計画を進めており、需要の増加に対応するための新モデルの開発にも取り組んでいます。
エノビックス(ENVX)の最新のマイルストーン
エノビックス(ENVX)は、マレーシアのFab2工場で重要なテストを完了し、2025年からの大規模なバッテリー量産に向けた準備が整いました。これは、同社にとって非常に重要な節目となる進展です。
今回実施された「サイト受け入れテスト(SAT)」は、先進的なシリコンバッテリーを製造するための設備が適切に機能していることを確認するものです。
このテストは2024年後半に行われた初期段階の試験を経て実施されたもので、これによりFab2工場は2025年から増大する高性能バッテリーの需要に対応できる量産体制を構築できる見通しです。
そして、同社はすでに初期段階の試作品バッテリーを出荷しており、現在は生産体制の拡大に全力を注いでいます。
エノビックス(ENVX)の資金調達に関して
エノビックス(ENVX)の最新の決算後に執筆した分析レポートにおいて、私は下記のように述べました:
「経営陣の発言から、今後18ヶ月以内に株主の持分が希薄化する可能性が高いと予想されます。同社のバランスシートはすでに厳しい状況で、純現金は約2000万ドル程度です。具体的には2億ドルの現金や市場性証券を保有しているものの、同額の負債も抱えています。また、今後12ヶ月で2億ドルものフリーキャッシュフローを消費する見込みがあり、資金調達の必要性が一層高まっています。」
また、同社への理解を一層深めるために、インベストリンゴのプラットフォーム上より、併せて下記のレポートをご覧いただければと思います。
結果として、緊急性は私の予想以上に高かったことが明らかになりました。このレポートを執筆したのが決算の数日後でしたが、同時に同社は1億ドルの株式調達を発表しました。
私の立場からすると、このタイミングで資金調達を行ったのは良い判断だったと思います。なぜなら、同社が資金を緊急に必要としているのは明らかだったからです。
ただ、今振り返ってみると、タイミングとしては必ずしも最適ではなかったかもしれません。その頃はちょうど「トランプ・ラリー」で市場が大きく盛り上がっていた時期だったからです。しかし、同社がそれを予測できたかといえば、答えは「できなかった」です。誰にも予測することは不可能だったでしょう。
エノビックス(ENVX)の株主としての考え
エノビックス(ENVX)が今後少なくとも3か月、場合によっては6か月間、追加の資金調達を必要としないことを知り、株主として安心しています。その頃には量産体制にさらに近づいている可能性があり、もし株価が上昇していれば、資金調達に伴う株式の希薄化も抑えられるでしょう。
基本的に、株価が高いほど、資金調達に必要な希薄化の影響は小さくなります。
さらに、同社の約2億ドルの負債は返済期限が3年後であるため、現在の手元資金をすべて事業拡大に充てることができます。つまり、柔軟性の高い財務基盤を持ち、大きな制約がない状態だと言えます。
エノビックス(ENVX)のバリュエーション:2026年の予想営業利益の32倍
エノビックス(ENVX)のすべては、バッテリーの歩留まりを約95%に達成できるかどうかにかかっています。それが勝負の鍵です。もし同社が歩留まりを95%に引き上げることができれば、生産量を大幅に増やし、非常に収益性の高い事業を展開することが可能になります。しかし、前四半期の時点では、歩留まりは頑固に80%程度に留まっていました。
しかし、もし同社が歩留まりが80%台後半に達したと発表すれば、この株は大きな注目を集める可能性があると私は考えています。
目標とするスマートフォン生産ラインのユニット・エコノミクス
現時点で2026年の業績を予測するのは完全に推測の域を出ませんが、分析の出発点として、私は約2億5000万ドルの売上高を見込んでいます。この予測はウォール街の予測である約1億9000万ドルよりやや高めですが、この数値を基準に、今後の状況を見ながら四半期ごとに上方修正または下方修正をしていく予定です。
この売上高見通しに基づくと、Non-GAAPベースで約7500万ドルの営業利益が見込まれます。その結果、株価はNon-GAAPベースの営業利益の32倍程度で評価される可能性があります。前年比200%以上の成長が期待される企業としては、非常に割安な評価と言えるでしょう。
同社の売上高は約2億5000万ドルに達すると予想されており、Non-GAAPベースの営業利益は約7500万ドルとなる可能性があります。この場合、株価は非常に割安と評価できます。
しかし、課題は、同社が現在ほぼゼロの収益規模から事業を拡大しようとしている点です。この2億5000万ドルという予想は、あくまで私自身の推計に過ぎません。
仮に2026年の収益が1億ドルにとどまった場合、株価は翌年のNon-GAAPベースの営業利益の70倍以上で評価されることになります。それでも魅力的な水準ではありますが、以前ほどの割安感はなくなります。「まあまあ良い」という程度ではありますが、投資における大成功(ホームラン)とは言えないでしょう。
エノビックス(ENVX)の投資において考慮すべきその他のリスク要因
最大のリスクは、エノビックス(ENVX)がまだ顧客を獲得できていないことです。経営陣は、まず生産体制を拡大し、信頼できる供給者として認められることが必要であり、それが実現するまでは顧客との契約は難しいと述べています。この見解には私も納得しています。
しかし、顧客がいなければ当然ながら収益は発生しません。収益がないままでは、これは多額の資金を消費するだけの単なる「PowerPointのプレゼン」でしかないと言われても仕方ありません。
これは、私が普段提案する「転換点を迎えた銘柄」とは異なるものでした。今振り返ると、2023年に同社をポートフォリオに新規に追加したことは間違いだったと思います。この決定は、私の投資プロセスに対する読者の皆さんの信頼を無駄にする結果となってしまいました。
2025年に向けて、自分自身を改善する必要があります。このようなミスを二度と繰り返さないようにしなければなりません。簡単に言えば、「中途半端なアイデアは中途半端な結果を生む」という基本的なルールを守らなかったことが問題でした。一流の結果を得るには、一流のアイデアを選ぶことが不可欠であり、その違いを生む鍵は、慎重に選び、中途半端なアイデアを断る勇気にあるのだと改めて実感しています。
エノビックス(ENVX)に対する結論
エノビックス(ENVX)を振り返ると、期待が持てる点と同時に多くの学びがありました。同社は革新的なバッテリー技術や今後の量産に向けて着実に進展を遂げていますが、その過程は決して順風満帆ではありませんでした。
今回の経験を通じて、強い確信を持てる投資に集中することの大切さを改めて実感しました。中途半端なアイデアは、ポートフォリオのパフォーマンスを損なうだけでなく、読者の皆さんの信頼をも傷つける可能性があることを痛感しました。
今後も同社の可能性に慎重ながら期待を寄せていますが、同時にプロセスをさらに改善し、皆さんにより良い情報を共有できるよう全力を尽くしてまいります。
また、その他のエノビックス(ENVX)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、エノビックスのページにてご覧いただければと思います。
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アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
📍テクノロジー&エネルギー担当
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