08/22/2024

やや強気
フォーティネット
やや強気
フォーティネットの成長は足元鈍化しているものの、「Rule of X(株式報酬を含む)」を依然として良好に保っており、バリュエーションの倍率は低く、DCF法に基づくバリュエーションも割安で魅力的です。
フォーティネット(FTNT:強気)株価の今後の見通しは堅調!最新の決算発表にて業績好調の同社の将来性に迫る!

purple and pink light illustrationコンヴェクィティ  コンヴェクィティ
  • 本稿では、フォーティネット(FTNT)の2024年度8月6日に発表された最新の2024年度第2四半期決算と競合他社比較、さらに、テクノロジー面での同社の強み(競争優位性)を詳しく分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の株価予想、並びに、今後の株価見通しと将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
  • 同社は、セキュアネットワーキング戦略を強化し、独自のFortiASIC技術で高性能かつ低コストのソリューションを提供し、市場での地位を固めています。
  • また、同社は、SASE市場での成長と利益率の向上を目指し、関連企業の買収や技術統合を進めています。
  • さらに、2024年第2四半期決算では、サービス売上が全体の69%を占め、特にSASEとSecOps分野での成長が顕著で、長期的に安定した投資対象であるように見えます。

※「【コンヴェクィティ:2024年度中間バリュエーション・レビュー】注目の米国テクノロジー企業の今後の株価見通しを徹底解説!」の続き

フォーティネット(FTNT)に関して

フォーティネット(FTNT)は、CEOのケン・シー氏がセキュアネットワーキング戦略に注力し続けており、サイバーセキュリティ市場での地位を着実に固めています。この戦略は、市場予測とも一致しており、2026年までにはセキュアネットワーキングが従来型のネットワーキングを市場規模で上回ると見られています。

フォーティネットの大きな強みは、独自のFortiASIC技術にあり、競合他社に比べて5〜10倍の性能を提供しつつ、総所有コスト(TCO)を大幅に抑えています。市場がSASEからSASOへと進化する中、FTNTはネットワークセキュリティ(NetSec)分野でトップの地位を維持すると期待されます。SASOは、Convequityが提唱するSASEの発展形で、クラウドエッジだけでなく、経済的に最も効果的な場所でネットワーキングとNetSecを統合するものです。

そして、フォーティネットが提供する「Unified SASE」は、同社の成長をけん引する重要な要素として浮上しています。

・現在、全体の売上の23%を占め、約3億5400万ドルに相当

・ゼットスケーラー(ZS)、パロアルトネットワークス(PANW)、Netskopeに次いで、SASE市場で4番目のプレーヤーと見られています

また、同社の最近の戦略的な動きと注力分野は以下の通りです。

・データ損失防止(DLP)とデータセキュリティ強化のため、Next DLPを買収

・クラウドセキュリティ製品の強化を目的にLaceworkを統合し、フォーティネットのポートフォリオ全体、特にSecOpsにおける機械学習機能を強化

・OT(運用技術)セキュリティへの継続的な注力

シー氏は、フォーティネットのすべてのネットワークセキュリティ関連製品(SASE、SD-WAN、ネットワークファイアウォール、SSE、企業向けWLANなど)を統一的に管理する単一の統合オペレーティングシステムの重要性を強調しています。このレベルの統合は、SASE市場で標準化されつつあり、同程度の統合を実現しているのはおそらくNetskopeだけでしょう。


関連用語

セキュアネットワーキング:ネットワーク全体のセキュリティを確保するための技術や手法を指し、データの安全な通信を保証する。

FortiASIC:フォーティネットが開発した専用のアプリケーション専用集積回路(ASIC)で、ネットワークセキュリティ機器の性能を高め、処理速度を向上させる。

専用集積回路(ASIC):特定の用途や機能に特化して設計された集積回路(IC)のこと。一般的な汎用プロセッサとは異なり、特定の処理を効率的に実行するためにカスタマイズされており、その結果、性能や電力効率が向上する。

総所有コスト(TCO):製品やシステムの導入から運用までにかかるすべての費用を指す。これには初期導入コストだけでなく、メンテナンスやサポート費用も含まれる。

ネットワークセキュリティ(NetSec):ネットワークを保護するための技術やポリシーを指し、不正アクセスやデータ漏洩からシステムを守ることを目的としている。

SASE(Secure Access Service Edge:セキュア・アクセス・サービス・エッジ):ネットワークセキュリティとWAN(広域ネットワーク)サービスを統合したクラウドベースのアーキテクチャで、セキュアな接続を提供する。

SASO(Secure Access Service Omni:セキュア・アクセス・サービス・オムニ):SASEをさらに進化させ、最も経済的な場所でセキュリティとネットワーキングを統合するConvequityの適応型アプローチ。

詳細はこちらのレポートをご覧ください

Unified SASE(ユニファイド SASE):フォーティネットが提供するセキュアアクセスサービスエッジ(SASE)の統合版で、ネットワークセキュリティとWAN(広域ネットワーク)サービスを単一のプラットフォームで統合して提供するもの。これにより、企業はクラウドやリモート環境でセキュアなアクセスと一貫したセキュリティを確保しやすくなる。フォーティネットのUnified SASEは、さまざまなネットワークセキュリティ機能を統一的に管理できるのが特徴。

Next DLP:データ損失防止(Data Loss Prevention)技術を提供する企業で、企業の重要データが漏洩しないように保護する。

Lacework:クラウドセキュリティを提供する企業で、クラウド環境でのセキュリティ管理やコンプライアンスのためのツールを提供する。

SecOps:セキュリティと運用(Operations)を統合した手法で、セキュリティの強化と運用の効率化を図る。

OT(運用技術)セキュリティ:工場やインフラなどで使用される運用技術(Operational Technology)に対するサイバーセキュリティの取り組みを指す。

SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network):ソフトウェアによって制御される広域ネットワークで、柔軟なネットワーク管理を可能する。

ネットワークファイアウォール:ネットワークの内部と外部の間の通信を監視し、許可された通信だけを通過させるセキュリティ装置。

SSE(Security Service Edge):SASEの一部で、ネットワークのエッジでセキュリティサービスを提供することを指す。

ネットワークのエッジ:ネットワークの中心(データセンターやクラウド)とユーザーやデバイスが接続する境界部分を指す。エッジは、データが最初にネットワークに入る場所であり、例えばルーターやスイッチ、エッジサーバーなどが配置され、データ処理やセキュリティが行われる。

企業向けWLAN(Wireless Local Area Network):企業内で使用される無線LAN(ワイヤレスネットワーク)のことを指し、ネットワークの接続と管理を無線で行う。


(出典:フォーティネット社HPより


フォーティネット(FTNT)の最新の2024年第2四半期決算における業績に関して

フォーティネット(FTNT)は、2024年8月6日に、最新の2024年第2四半期決算を発表しています。

・同社のサービス売上高は、ソフトウェアからの売上高がハードウェアを上回るようになり、現在では総売上高の69%を占めています。

・SASEとSecOpsの売上高は、それぞれ36%と27%の成長を記録しました。

・粗利益率は81%に達し、過去数四半期で着実に改善しています。これは、同社のSASE事業の成長と一致しており、市場のリーダー企業がプレミアム価格を設定していることで、粗利益率の向上に寄与しています。

・企業および中堅市場セグメントが、SASEの売上の86%、SecOpsの売上の82%を占めています。

・成長の鈍化により、同社のフリーキャッシュフローマージン(FCFマージン)は低下しましたが、過去12か月のフリーキャッシュフロー調整後のマージン(TTM FCF - SBCマージン)は23%で、依然として同業他社と比べて堅調な水準を維持しています。


関連用語

SBC(Stock-Based Compensation・株式ベースの報酬):企業が従業員や経営陣に対して、報酬として自社の株式やストックオプションを付与することを指す。これにより、従業員の業績向上や企業価値の向上に対するインセンティブを提供する。


フォーティネット(FTNT)の成長指標に関して

フォーティネット(FTNT)の2024年第2四半期の成長率は11%で、2024年会計年度の残りの期間もこの水準が続くと予想されています。

・SASEの予約およびパイプラインは45%の成長を見せています。

・SecOpsは18%の成長を遂げています。

フォーティネットの新しいプラットフォーム戦略には期待が寄せられていますが、Unified SASEがセキュアネットワーキングから切り離されている点に一部の投資家が混乱を感じる可能性があります。同社は、投資家に対して主にSASEとSecOpsのパフォーマンスに注目するよう呼びかけており、これらの分野が今後の成長の重要な原動力になると強調しています。

(出典:フォーティネット社HPより

最近の私達のフォーティネットに関するレポートで述べたように、同社の長期戦略はSASEを超え、ネットワーキングおよびネットワークセキュリティ(NetSec)のあらゆる領域でリーダーになることを目指しているとしています。

もし、下記のレポートの詳細に関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。

そして、シーCEOのビジョンと同社の技術力を考えると、その成功は十分に可能性があると見ています。そのため、長期的には持続的な成長が期待でき、成長率も再び二桁台に回復するでしょう。また、ソフトウェア、データ、インフラ、シリコン層における垂直統合の深化により、同社は利益率のさらなる向上が可能になると考えられます。

フォーティネット(FTNT)のバリュエーションに関して

(出典:筆者作成)

フォーティネットの成長は足元鈍化しているものの、「Rule of X(株式報酬を含む)」を依然として良好に保っており、バリュエーションの倍率も低くなっております。また、私たちのDCFモデルに基づくと、同社の1株当たりの本質的価値は148.50ドルとなっており、DCF法に基づくバリュエーションの面でも割安で魅力的です。

また、ここ数ヶ月で株価の大きな上昇は見られず、市場では今後の同社のボラティリティが低くなると予想されています。総じて、フォーティネット(FTNT)は「 Low Hanging Fruit(手に取りやすい)」銘柄とは言えないかもしれませんが、安定した魅力的な投資対象であると見ています。

弊社のDCFモデルに基づくバリュエーションの詳細と株価予想は、下記リンク内のFTNTのシートにおける「Intrinsic value per share(1株当たりの本質的価値)」をご覧ください。

DCF法による各銘柄のバリュエーション詳細

その他のフォーティネット(FTNTに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクよりフォーティネットのページにアクセスしていただければと思います。

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上記テーブルにおける関連用語

※各用語の詳細な解説は、【コンヴェクィティ:2024年度中間バリュエーション・レビュー】注目の米国テクノロジー企業の今後の株価見通しを徹底解説!」をご覧ください。

Rule of X (inc. NTM growth & LTM SBC):Rule of X(今後12カ月間の成長率と直近過去12カ月間のSBC含む)

LTM EV/ (FCF-SBC) :企業価値 ÷ (直近過去12カ月間のフリー・キャッシュフロー - 直近過去12カ月間の株式ベースの報酬)

Financials / Valuation / Price Chg / Vol Chg:財務 / バリュエーション / 株価変動 / ボラティリティ変動

Rule of X (inc SBC):Rule of X(SBC含む)

EV/(FCF-SBC):企業価値 ÷ (直近過去12カ月間のフリー・キャッシュフロー - 直近過去12カ月間の株式ベースの報酬)

EV/GP:企業価値 ÷ 直近過去12カ月間の粗利益

DCF Val. Discount:DCF法により算出されたバリュエーション対比でのディスカウント水準

Price Change:株価変動

Implied Vol:インプライド・ボラティリティ

Hist Vol:ヒストリカル・ボラティリティ

Implied Vol vs Hist Vol:インプライド・ボラティリティとヒストリカル・ボラティリティの差


アナリスト紹介:コンヴェクィティ

📍テクノロジー担当

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