強気ギガクラウド・テクノロジーギガクラウド・テクノロジー(GCT)の今後の株価見通し:グリズリーリサーチの空売りレポートで株価急落も押し目買いの好機?
ジェームズ・ フォード- 本稿では、グリズリーリサーチ(Grizzly Research LLC)による空売りレポートで株価急落の注目の中国企業であるギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 空売りレポートに対してはギガクラウド・テクノロジーの経営陣が反論していますが、依然として、同社は急成長中にもかかわらず割安な評価を受けているように見えます。
- 私はギガクラウド・テクノロジーの株価は将来的に現在の水準から2倍以上のリターンを遂げる可能性があると考えており、現在の水準は押し目買いの好機であると見ています。
活況な中国市場
中国株は2008年以来の最高の連勝を記録しており、その理由も大方明らかです。
中国人民銀行(PBOC)は流動性を高め、低迷する中国経済を支援するためにいくつかの措置を発表しました。
これらの最新の対応は、かつてのECB総裁であるマリオ・ドラギ氏の「どんな手を使ってでもやり遂げる」という瞬間を彷彿とさせます。
PBOCは投資家に介入する姿勢を明確に示し、それが中国株式市場に大きな影響を与えました。
ただし、すべての銘柄が同じように上昇したわけではありません。
(出所:TradingView)
ここで、大型中国株に連動するETFであるiシェアーズ中国大型株ETF(FXI)、アリババ(BABA)、そしてニオ(NIO)のパフォーマンスを見てみましょう。
中国のEVメーカーであるニオは、ボラティリティが高いものの、直近の底値から80%以上の上昇を見せています。しかし、2021年に60ドルのピークをつけて以来、90%も下落している点も注目に値します。
そして、興味深いことに、私たちの市場を上回るアルゴリズムを使用すれば、ニオで468%以上のリターンを得ることができた可能性があります。
(出所:TrendSpider)
まだ私のアルゴリズムに関しては、インベストリンゴのプラットフォーム上で、是非、下記のレポートより詳細をご覧ください。
テクニカル分析入門:株式投資におけるテクニカル分析のおすすめツールからやり方まで徹底解説!
ニオはミーム株(SNSやオンラインコミュニティで注目を集め、多くの個人投資家の買いによって急騰する銘柄のこと)の要素を持ちながらも、今後数ヶ月で大きく成長する可能性があります。ただし、今現在でも他に魅力的な中国株が沢山ありますので、下記では特に私が注目する中国関連銘柄を解説していきます。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)とは?
本稿でご紹介する銘柄は、最近の安値からすでに50%以上上昇しており、三桁成長を遂げながらも非常に魅力的なバリュエーションを持っているギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)です。
そして、この度、同社株式を引き続き市場を上回るパフォーマンスを誇る私のポートフォリオの1つである「YOLOポートフォリオ」に追加します。このポートフォリオは9月に15%のリターンを記録しています。詳細は下記のレポートをご覧ください。
次のセクションでは以下のポイントを解説していきます。
・ギガクラウド・テクノロジーに注目する理由:ファンダメンタルズとバリュエーション
・今後の株価見通し:なぜ同社株式が数ヶ月で倍増する可能性があるのか
・テクニカル分析:注目のサポートとレジスタンスの水準
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)のビジネス概要
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)は、売り手と小売業者を結び、大型商品の物流を管理するB2Bのeコマースプラットフォームです。売上はプラットフォームでの取引、倉庫保管、配送サービスから得ています。東アジアの生産者と西洋の再販業者を効率的につなぐ役割を担い、データと物流を活用してプロセスの最適化を図っています。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)のビジネスモデル
(出所:ギガクラウド・テクノロジーの2024年第1四半期決算資料)
ギガクラウド・テクノロジーは、配送システムの断片化を解消し、物流全体を管理することで効率を向上させています。この効率性は、同社の強い成長を示す財務データにも現れています。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)の収益と売上の内訳
(出所:ギガクラウド・テクノロジーの2023年度アニュアルレポート)
2021年から2023年にかけて、売上はほぼ2倍に増え、営業利益率は9.5%から15.5%に拡大しました。そして、ギガクラウド・テクノロジーの収益源は以下の通りです:
・GigaCloud 3P(プラットフォームサービス)
・GigaCloud 1P(自社製品の販売)
・プラットフォーム外での第三者への販売(例:Amazon)
サービス売上高は2023年の総売上高の約28%を占め、最新の決算でも力強い成長を続けています。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)の最新の2024年度第2四半期決算における業績
(出所:ギガクラウド・テクノロジーの2024年度第2四半期決算資料)
2024年度第2四半期決算では、ギガクラウド・テクノロジーの売上が前年同期比で2倍以上に増加し、サービス売上高と製品売上高の両方が順調に成長しました。粗利益もほぼ倍増しましたが、営業利益は20%増にとどまりました。これは、特に一般管理費(G&A)が3倍以上に急増したためです。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)のバリュエーション
ギガクラウド・テクノロジーは急成長し、キャッシュも生み出しているにもかかわらず、非常に割安に評価されています。
(出所:Seeking Alpha)
PER(上記グラフにおけるP/E)とPEGレシオ(上記グラフにおけるPEG GAAP TTM)は非常に低く、キャッシュフローの6.3倍以下(Price / Cash Flow TTM)で取引されています。
保守的なDCFモデルでも、この株は大きく過小評価されているように見え、DCFモデルに基づいた同社の適正価格(フェアバリュー)は94.24ドルとなっています。
(出所:Alphaspread)
それでも、なぜこれほど割安なのでしょうか?
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)に関する空売りレポート
グリズリーリサーチ(Grizzly Research LLC:空売り投資家向けのリサーチ会社で、企業の財務状況や業務に関する問題を指摘するリサーチレポートを発表することで知られている)が発表した90ページのレポート(詳細はこちら)では、ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)が未公開のダミー会社を使って財務指標を水増しし、ウェブサイトのトラフィックを誤魔化していると非難しています。しかし、ギガクラウド・テクノロジーはこれを完全に否定し、経営陣は主に中国出身であっても、ほとんどの幹部がカリフォルニアに拠点を置き、透明性を持って運営していると説明しています。
グリズリーリサーチによるレポートの主な主張は以下のとおりです:
・ウェブサイトトラフィックの誤表記
・関連会社のダミー会社の疑惑
・サービス売上高の誤表記
・輸入詐欺の疑惑
・インサイダー取引と監査の懸念
私のギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)に対する見解
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)は、グリズリーリサーチのレポートが誤った前提やビジネスへの理解不足に基づいていると反論しています。ウェブサイトのトラフィックデータは検索と訪問を混同しており、ダミー会社に関する疑惑は古い情報や誤解に基づいています。
さらに、グリズリーリサーチは小売と卸売の違いを理解しておらず、フォワーダーや物流の仕組みを誤解しているため、その主張の信ぴょう性が欠けています。ギガクラウド・テクノロジーは、売上高認識の方法も業界標準に従っていると述べ、財務操作の指摘を否定しています。
この空売りレポートは、正当なビジネスをダミー会社と混同したり、ギガクラウド・テクノロジーの売上高モデルを十分に理解しなかったりと、誤った解釈に依存しています。ギガクラウド・テクノロジーは、グリズリーリサーチの指摘した財務および業務の慣行は業界で一般的なものであり、詐欺の主張には根拠がないとしています。したがって、私はグリズリーリサーチの分析には欠陥があり、このショートレポートは不十分な調査に基づいた投機的な攻撃だと考えています。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)は押し目買いのチャンス?
中国株は地政学的な不安定さから長らく割安に取引されてきましたが、近年の中国経済の減速でその傾向がさらに強まっています。ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)は小型株で構成されるラッセル指数にも含まれており、ここ2年は小型株が全般的に低迷していることも影響しています。
しかし、最近のFRB(米国連邦準備制度)とPBOC(中国人民銀行)の動きにより、同社には今後プラスの影響が期待できます。FRBの利下げ決定によりリスクプレミアムが低下すれば、小型株への投資が促され、より高いリターンを求める投資家が増える可能性があります。
そのため、ギガクラウド・テクノロジーは、今後のマクロ経済環境の変化から大きな恩恵を受けることが期待されます。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)のテクニカル分析
(出所:TrendSpider)
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)は一度40ドルを超えましたが、その後20ドルを下回るまで売られました。最近の底値から大きく上昇しており、この流れが長期的に続くと見ています。
ただし、現在は200日指数平滑移動平均線(EMA)で抵抗を受けており、RSIが買われすぎの状態から調整する中で、短期的には一時的な売りが入る可能性があります。
そのため、同社が18ドル付近まで下がるようであれば、買い増しの良いタイミングであるように見えます。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)の目標株価
フィボナッチ拡張とファンダメンタルズ分析に基づくと、ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)の株価はここから2倍になる可能性もあるのではないかと見ています。
(出所:TrendSpider)
ラリーの1.618倍の拡張で目標株価は81ドルとなり、以前紹介したDCF(割引キャッシュフロー)モデルでは、ギガクラウド・テクノロジーの適正価格は約94ドルと見積もられています。
したがって、ギガクラウド・テクノロジーの株価は現状から2倍以上になる可能性があると考えており、個人的には60ドルと80ドル付近で一部を売却することを検討しています。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)を取り巻くリスク
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)の売上は急増しているものの、営業利益の伸びがほぼ横ばいであることから、持続可能性に疑問が生じています。特に一般管理費(G&A)の急増が利益を圧迫する要因です。
将来的に成長を続けるためには、これらの費用を抑え、利益率を以前の水準に戻せるかが鍵となります。成長を維持しながら利益性を確保することが重要ですが、効率を向上させつつこの成長を維持できるかは今後の課題です。
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)に対する結論
ギガクラウド・テクノロジー(GCT:GigaCloud Technology)は、ショートレポートへの懸念や中国株全般の割安さから市場で過小評価されていますが、最近の中国の動きによって同社は本格的に上昇する可能性があると考えています。そのため、私は同社を私のポートフォリオの1つである「YOLOポートフォリオ」に追加することにしました。
アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
ジェームズ・フォード氏は、エコノミストとして、過去10年に渡り、世界市場の分析に従事してきました。そして、自らを「実践的な投資家」と位置付け、資産を継続的に維持・拡大させることを目的とした、分散されたポートフォリオの構築に重点を置いています。
主に、「グローバル・マクロ」、「ハイテク」、「コモディティ」、「暗号通貨」関連銘柄に焦点を当て、ファンダメンタル分析、並びに、テクニカル分析を用いた企業分析を提供しております。
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