【投資コラム】私が安定した米国高配当銘柄からなるポートフォリオを好む理由

- 本稿では、なぜインカム・高配当株投資が魅力的な投資戦略なのかを詳しく解説していきます。
- インカム・高配当株投資の魅力は、安定した収入源を確保できることや、配当を通じて手元に現金を獲得できる点にあります。
- 配当株投資は、初期投資の回収を早めることができ、ポートフォリオ全体のリスクとボラティリティを低減します。
- 配当収入を上手く活用することで、自身のポートフォリオに安定性と予測可能性を与えることができると考えています。
- 相場は常に揺れ動くものであり、日々、不安に悩まされるか、或いは、冷静さを保ちながら定期的な配当収入により資産を構築するかは自分の戦略次第と言えるでしょう。
なぜインカム・配当株投資なのか?
私が配当株投資にこだわる理由について、度々質問されることがあります。おそらく、市場には実に多くの投資の選択肢がある中で、なぜ「配当株投資」という特定のサブカテゴリーに限定するのかと疑問に思う人が多いのでしょう。また、テクノロジー企業などの成長株(グロース株)に投資することで資産を2、3倍に増やす可能性がある一方で、なぜ私は1桁台の利回りに甘んじているのかと疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
その答えは「パッシブ・インカム(受動的収入)」にあります。地球上の多くの人々は、企業に雇用され、社員として自分の時間とスキルの対価として収入を受け取り、生計を立てるために働いています。しかし、人々の時間は常に有限であり、地球上のどんなに裕福な人でも、1日を1秒でも長くすることはできません。ですから、時間というものは、本質的にお金よりもずっと価値のあるものだと考えています。そして私は、いわゆる労働を通じて、いつまでも自分の時間をお金に換え続ける生活を送りたくないと思っています。
その代わりに、私は自分の資産を活用し、受動的により多くの資産を生み出したいと考えています。より多くの資産を生み出すことで、より多くの時間を家族と過ごしたり、趣味を追求したりなど、毎日のスケジュールを自ら管理し、自分の人生に意味を与えてくれることを追求するために時間を使うことができるようになると信じています。
そして、私が主な投資戦略として配当株投資を追求する理由は以下の通りです。
1. 配当は安定した信頼できる収入源
配当株に投資する主な理由のひとつは、配当株が投資家にもたらす安定性です。安定した配当金を支払っている企業は、多くの場合、財務的に堅固で、安定した収益の歴史をたどることができます。この信頼性は投資家にとって安定した収入源となるため、配当株は定期的で予測可能なキャッシュフローを求める投資家にとって特に魅力的な投資対象となります。
2. 配当による手元の現金の獲得
保有する有価証券を売却するまで実現されることのない含み益とは異なり、配当投資は原証券の所有権を変更することなく、定期的に使用可能な現金が手元に入ることを可能にします。つまり、収益を得るために資産を売却するわけではなく、理想的な企業に投資していれば、永久に配当が支払われる可能性があるのです。つまり、マーケットでの売買のタイミングや、神経質なチャート・パターン分析、指値注文、運の要素も一切関係ありません。
3. 配当による初期投資の回収
配当は収入をもたらすだけでなく、投資回収を早める可能性もあります。初期投資資金の回収は、株式投資におけるセーフティネットのようなものだと考えてください。株式が長期的にどう推移するかは誰にもわかりませんが、投資回収期間を事前に計算することで、初期投資を回収するための予想ベースライン・パフォーマンス(最悪のシナリオ)を確立できます。配当投資には、「72の法則」というものがあります。これは、72という数字を自身のポジションの利回りで割ると、初期投資額を回収するのに必要な年数が算出できるというものです。つまり、利回り9%の株は8年で投資額をすべて回収し、その後は将来のキャッシュフローを自由に生み出す源泉となるということです。そして、最も重要なことは、その配当を生み出し続ける株式の所有権は変わらないということです。
4. 配当によるリスクとボラティリティの低減
配当は、ポートフォリオ全体のリスクとボラティリティを下げる大きな要因となります。株価が急落すると、損失を減らすために株式の売却を検討するのが頻繁に見られる人間の行動です。しかし、四半期ごとに高額の配当金が支払われる銘柄であれば、その株式の売却を考え直すことになるでしょう。さらに、歴史的な市場パフォーマンスを見ると、配当金は長期的に市場リターンの中で最も大きな部分を占めており、不況時や弱気相場時にその割合が顕著に高くなっていることが分かります。つまり、配当を定期的に支払う企業に分散して投資するポートフォリオは、激しいボラティリティ環境下でも概ね配当収入を維持できる可能性が高いということです。
5. 配当支払企業は安定した高収益企業
一般的に、企業が配当金を支払うのは、事業費、借入金、再投資などをすべて支払った後の余剰資金がある場合のみです。そして、定期的な配当を維持するのは、継続的な収益性に自信を持っている企業だけです。
人生はしばしば競争であり、私たちは常にあらゆる面で他人よりも優れようとします。学校では、同級生よりも良い成績を取ろうと競い合い、職場では、昇進や昇給を得るために同僚と競い合うのです。さらに、世界有数の大企業では、勤勉で才能あるプロフェッショナルがさまざまなポジションで働いています。そして現実としては、私は彼ら全員と競争することはできませんし、彼ら全員に勝ることもできません。
しかし、インカム・配当株投資という私の戦略を用いることで、自身の資産を構築するために、実際に成功している各企業で働く優秀なプロフェッショナルの知識、勤勉さ、技術を利用することができるのです。それは、まるで、彼らが四半期ごとに私が配当金を稼ぐために、日々、一生懸命に働いてくれているのと同じように見えます。したがって、誰かがアップル(AAPL)やマイクロソフト(MSFT)、あるいはその他の配当支払い額の大きいメガ・キャップ企業でトップに就任したというニュースを私に教えてくれる時には、私は静かに、私の経済的将来に対する彼らの貢献に対し感謝しています。
これこそが配当投資の魅力であり、私が配当株投資を好む理由です。
アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン
📍インカム・高配当株担当
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