重要な配当関連指標を徹底解説!米国株高配当銘柄を含む配当重視のポートフォリオを作成し、将来の配当生活を実現!(前編)
ヴェンカット・ ラガーヴァン- 本稿は、これから米国高配当銘柄を含む、配当関連銘柄への投資を検討している方、或いは、既に配当関連銘柄から成る投資ポートフォリオを所有しているが、改めて企業の配当支払いに関する理解を一層深めたい方のためのレポートとなっている。
- その為、本稿は、主に、下記の3つのポイントに焦点を当てている。
- 配当の仕組みを理解する:各上場企業が、あなたが彼らの株を所有する対価としてどのように報いるのか、またそれがあなたの収益にどのように影響するのか
- 配当利回りを理解する:配当銘柄への投資を行う際に、あなたが良い条件で投資しているかどうかを判断する方法
- 資産を守る:市場が不安定なときでも、投資を安全に保つ方法
配当重視の投資家になるためには?
誰もがリターンを求めて株式市場に投資する。株価が上がることを期待して株式を購入し、購入した値段よりも高い値段で売却することで、その差額から利益を得るのである。しかし実際には、その様な期待は現実にならないかもしれない。私たちは皆、株価の値上がり益を期待して(祈って)株式を購入するが、株式市場には独自の心理があり、時として不快なほど不安定になるのも事実である。
私の個人ポートフォリオの75%以上は、高配当銘柄を含む、安定した配当金を支払う証券で構成されている。なぜなら、購入した証券の価格が値上がりするという期待に加えて、「私が市場に参加している時間に対する報酬」を期待しているからである。そのため、私のレポートのほとんどは、高配当銘柄を含む、配当関連銘柄から成るポートフォリオを構築し、そのポートフォリオから定期的に生み出されるキャッシュフローを優先とする投資戦略である「インカム投資」に関するものである。今日は、私たちの記事でよく目にする概念や配当関連の指標について説明したい。配当重視の投資家になるということは、あなたの資産を守り、且つ、将来の経済的な安定を実現するということであり、これから説明する概念を詳しく理解する必要があると見ている。
そもそも配当とは何か?
配当とは、企業の利益の一部を株主に分配することで、通常は現金または追加株式の形で行われる(米国では、投資家は証券口座上で配当を現金、或いは、株式の形式で受け取るかを選択出来る)。収益性が高く、余剰資金を持つ企業は、会社の成功を株主と分かち合い、投資に対する見返りを提供する方法として、株主への配当金の支払いを選択することが多いというのが現状である。企業は通常、月次、四半期、年次など、定期的に配当を支払うことを目標としているが、財務状況や戦略によっては、不定期に配当を支払う場合や、まったく支払わない場合もある。そして、配当は義務ではないことを忘れてはならない。企業は、配当の支払いを減額したり、完全に停止したりする権利を常に有しているのである。
また、米国のほとんどの企業は、配当金を株式で支払うことを提案している。これは配当金再投資プラン/プログラムと呼ばれている。仮にあなたが、1株100ドルで取引されているABC社の株を100株所有しており、同社が配当金を5ドル支払う場合に、あなたはそれを現金で受け取るか、0.05株として受け取るかを選択できるというシステムである。つまり、現金として500ドルを受け取るか、或いは、ABC社の株を5株受け取って保有株を増やすか、どちらかを選ぶことができるというものである。どちらの方法にも利点があるが、この点に関しては、別のレポートで説明したい。
配当金を支払うために新たに株式を発行すれば、企業としては現金での利益を手元に残すことができる一方で、株式という形での配当金の支払いを通じて投資家を満足させることもできるため、企業側にもメリットがあると言える。そのため、投資家が配当金を株式で受け取ることを選択した場合、ボーナスを提供する企業も存在する。これは本稿での議論の範囲外であるが、別のレポートで説明したいと思う。
配当はどのように発表され、実際に投資家に支払われるのか?
配当の発表から支払いまでの流れは、下記の4つのステップで行われている。
1. 配当の発表日
各上場企業の取締役会は、発表日と呼ばれる特定の日に配当を発表する。この発表の際、取締役会は1株当たりの配当金額、配当の基準日、そして、配当の支払日を指定する。企業は通常、上場している取引所の国内通貨建てで配当金額を発表する。したがって、通常、アメリカの企業は米ドル建てで1株当たりの配当金を発表する。
2. 配当の基準日
配当の基準日とは、会社が配当金を受け取る資格のある株主を決定する日である。基準日の取引が終了する以前に株式を保有している株主が配当金を受け取る権利を持つ。
3. 配当落ち日
通常、基準日の1営業日前。配当落ち日以降に株式を購入した株主には、配当金を受け取る権利はない。配当落ち日は、投資家として、配当金を受け取る権利があるかについての混乱を防ぐ上で重要な日程である。
4. 配当の支払日
配当金が配当を受け取る資格のある株主に実際に分配される日である。
そして、上記の点に加えて、米国では、あなたの選択とあなたの証券会社が提供する機能に応じて、あなたは現金、或いは、追加株式として配当金を受け取ることができるのである。
企業は投資家が単に株式を保有するだけで、投資家に配当金を支払う
配当金は資本還元の一形態であり、投資家は特定の企業の株式を購入して保有するだけで、それ以外に何もする必要はない。これが、私がパッシブ・インカム(受動的所得)の必要性から高配当銘柄を含む、配当関連銘柄を重視する理由の一つである。
配当利回りとは何ですか?
各企業の配当を判断する際には、配当利回り(%)で測るのが一般的である。先ほどのABC社の例を見てみよう。
ABC社は1株100ドルで取引されており、2024年第1四半期に1株当たり1.25ドルの配当を支払うことを発表した。ここで、この金額が過去3四半期でも一定であったと仮定すると、ABC社の年間の配当金は1株当たり5ドルと計算できる(1.25ドル × 4四半期)。つまり、ABC社を1年間持ち続ければ、1株当たり5ドルの配当金を受け取れることになる。
一方で、株価は日々変動するものである。同社の株価は明日には120ドル、再来週には85ドルで取引されているかもしれない。その様な環境において、配当金を効率的に測定する上では、「1株当たりの配当金額を現在の株価で割る」ことで算出される「配当利回り」という指標を用いることが一般的である。そして、この配当利回りは日々変化するものである。以下のグラフは、株価が変動した場合のABC社の配当利回りの推移を表したグラフである。
現在の株価($) | 配当利回り(%) | 1株当たりの配当金額($) |
$100 | 5% | $5 |
$120 | 4.16% | $5 |
$85 | 5.88% | $5 |
$150 | 3.33% | $5 |
$200 | 2.5% | $5 |
上記のグラフの通り、企業は1株当たりの配当金額を公表するだけであり、市場の変動によって1株当たりの配当額が変化することはない。株価が下がれば配当利回りは高くなり、逆に株価が上がれば配当利回りは低くなる。そのため、配当の支払いという観点からも、企業のファンダメンタルズが損なわれていないのであれば、株価が下がったときに買うのがよいということになる。
※続きは「重要な配当関連指標を徹底解説!米国株高配当銘柄を含む配当重視のポートフォリオを作成し、将来の配当生活を実現!(後編)」をご覧ください。
アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン
📍インカム・高配当株担当
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