Part 3:インカム投資の成功法則:ハイイールド(高利回り)戦略の誤解、税金の影響、過去の実績の落とし穴、分散投資の意義を徹底解説!

- Part 2では、ハイイールド(高利回り)戦略に適した一般的な投資対象と、インカム投資で避けるべき一般的な落とし穴・間違いについて説明した。
- Part 3でも、引き続き、インカム投資で避けるべき重大な間違いについて解説していきたい。
- インカム投資における税金の影響は重要であり、適格配当や199A配当、債券利払いなどに対する課税方法が異なるため、投資家は注意が必要である。
- 過去の配当実績は投資戦略において参考になるが、将来の配当収入の持続性を保証するものではないため、継続して企業の財務状況を詳細に分析することが重要である。
- インカム投資で成功するためには、分散投資を通じて配当収入の源泉を複数持つことが重要であり、結果、個別企業の問題が自身の生活に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
※「Part 2:インカム投資のハイイールド(高利回り)戦略の誤解と正しいアプローチ:高配当利回りの落とし穴&問題点と成功の秘訣を徹底解説」の続き
Part 1とPart 2では、REIT、MLP、BDC、配当株、優先株、債券、CEF、ETF等、さまざまなハイイールド(高利回り)戦略投資における選択肢について、そのメリットや具体例を挙げながら解説した。また、「各企業や金融商品のファンダメンタルズを評価・分析せずに高い利回りを追い求める行為」、また、「市場のタイミングを計ろうとする行為」、さらに、「長期的な成長とインフレからのプロテクションを確保するための配当金の再投資をしない行為」等、インカム投資家として成功する上で重要であるが、ありがちな落とし穴・間違いについても解説した。
Part 3である本稿では、投資家が犯しがちな重大なミスに焦点を当て、インカム投資の本質的な側面について引き続き説明していく。これらの落とし穴に対処することで、投資家はインカム投資の複雑さを上手に乗り切ることができ、より安定的で持続可能な配当収入を得ることができるだろう。
5. インカム投資における税金の影響の重要性
※この章は、米国国内の居住者を中心として解説されていることから、日本国内、或いは、その他の投資家には適用されない可能性が十分にございます。また、弊社プラットフォーム上のいかなるコンテンツも、投資、税務、法律、会計に関する助言では無く、あくまでも単なる情報共有を目的としている点にはご留意ください。
このシリーズでは、いくつかの証券と法人について説明した。これらの法人からの支払いは、適格配当である場合もあれば普通配当である場合もある。REITからの配当金の支払いは199A配当であり、適格投資家には有利な課税が適用される。一方で、債券からの利払いは、通常の所得として課税される。
タックス・シェルタード・アカウンティングを利用することで、上記の検討事項の大部分は軽減されるが、MLPをそのような口座で保有すると、UBTI(非関連事業課税所得)のために不必要な複雑さが生じる可能性がある。
米国法人からの配当金には米国と居住国との租税条約に基づく源泉徴収があるため、米国以外の投資家にとって税制状況は大きく異なる点にはご留意いただきたい。また、MLPの分配金には個人最高税率が適用されている。そして、米国債券の利払いは、海外投資家にとって源泉徴収の対象となっていない。
全ての投資が全ての人に、全てのタイプの投資口座に適しているわけではない。最適かつ節税効果の高い方法で収益を上げるためには、適切な投資配分を行うことが重要である。
6. インカム投資における過去の実績の重要性
過去の実績は投資戦略の策定・実行において重要であるが、一方で、過去の実績は決して将来の結果を示すものではないことを忘れてはならない。私達は、投資家や市場のアナリストが配当王や配当貴族、配当チャレンジャーといったエリート・ステータス・タグ(過去の実績に基づき、優れた配当実績を実現しているエリート銘柄群のカテゴリー)に過度に依存しているのを見てきた。
直近、スリーエム(MMM)は、64年にわたり株主への配当金を増やし続けてきたが、ソルベンタム(SOLV)の大幅なスピンオフに伴い、54%の減配という残酷な結果に終わった。同様に、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)は、第1四半期に48%の減配で投資家コミュニティに衝撃を与え、47年間の連続増配に終止符を打っている。つまり、要するに、過去の配当実績は必ずしも投資リスクを軽減するものではなく、且つ、将来の配当収入の持続性を保証するものでもないのである。そのため、過去の配当実績以外に、各企業の財務状況等を詳細に分析し、各企業の配当の持続可能性を毎四半期の決算毎に精査する必要がある。
7. インカム投資における分散投資の重要性
最後に、最も重要なポイントを解説したい。
“Don’t put all your eggs in one basket”
「 すべての卵を一つのカゴに盛るな」
ハイイールド(高利回り)戦略投資における失敗、企業の業績不振、業界の逆風、政治情勢の変化、企業の方針転換等、私達がコントロールできないことは沢山ある。個人投資家である私達は、企業内の意思決定に影響を及ぼすことはできない。そのため、インカム投資家として成功するためには、分散投資を通じて配当収入の源泉を複数持つことが重要であり、結果、配当収入の源泉のひとつの企業に問題があったとしても、それが私達の生活に及ぼす悪影響を限りなく小さくできるだろう。
配当重視のインカム投資戦略に対する結論
金融市場でお金を稼ぐ方法は沢山ある。そして、あなたはインカム投資家になる道を選んだのである。あなたは経済的な自立(Financial Independence)を目指し、自分らしく老後を過ごすための準備をしているのである。インカムゲイン(配当収入)投資は、日々の市場変動によるストレスを軽減する一方で、成功を収めるためには注意すべき落とし穴が幾つもある。
私達は、「多ければ多いほど良い」という原則に基づいており、堅固、且つ、安定的な配当収入を得るためには、複数の企業に分散投資するのが最善であると考える。
長期的な投資目標に集中し、潜在的な落とし穴に警戒し、十分な情報に基づいた意思決定を続けるのである。このような考え方を持っていれば、経済的自立への道を上手く歩むことができ、ゆとりある老後を確保することができるだろう。これこそがインカム投資の魅力なのである!
アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン
📍インカム・高配当株担当
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