【投資コラム】配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧
インベストリンゴ編集部- 配当株投資を成功させるには、配当関連の専門用語と重要指標を理解することが不可欠です。
- 本稿では、配当利回りや配当性向など、配当株投資において知っておくべき基本的な用語と指標を解説します。
- 高い配当利回りや安定した配当履歴を持つ企業は、投資家にとって魅力的な投資先となります。
- 配当株投資の成功には、これらの指標を駆使して企業の財務健全性や成長ポテンシャルを評価し、適切なリスク管理を行うことが重要です。
※「ウォーレン・バフェット氏が保有する米国高配当銘柄を徹底解説!」の続き
配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧
配当株投資を成功させるためには、配当関連の専門用語と重要指標を理解することが不可欠です。ここでは、配当株投資において知っておくべき基本的な用語と指標について詳しく解説していきます。
目次
・1株当たりの配当金(Dividend per Share)
・配当利回り(Dividend Yield)
・配当性向(Payout Ratio)
・配当カバレッジ・レシオ(Dividend Coverage Ratio)
・配当履歴(Dividend History)
・配当貴族(Dividend Aristocrats)
・配当王(Dividend Kings)
・配当成長率(Dividend Growth Rate)
・安全マージン(Margin of Safety)
・自己資本利益率(ROE: Return on Equity)
・総資産利益率(ROA: Return on Assets)
・投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital)
・ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital)
・加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital)
・フリーキャッシュフロー(Free Cash Flow)
・株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF Ratio)
・株価キャッシュフロー比率(Price to Cash Flow Ratio: P/CF)
・EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益)
・非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)
・希薄化後EPS(Diluted EPS)
・1株当たり売上高(Revenue per Share)
・売上高成長率(Revenue Growth Rate)
・利益成長率(Earnings Growth Rate)
・株価収益率(Price to Earnings Ratio:PER:P/E)
・PBR(Price to Book Ratio, P/B Ratio)
・PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio)
・株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, P/S Ratio)
・配当利回り対株価収益率(Dividend Yield vs. P/E Ratio)
・企業価値(Enterprise Value: EV)
・EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization)
・EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio, EV/EBITDA)
・EBITDA純有利子負債倍率(Net Debt to EBITDA Ratio)
・負債比率(Debt Ratio)
・財務レバレッジ(Financial Leverage)
・アルトマンのZスコア(Altman Z-Score)
・ベネッシュのMスコア(Beneish M-Score)
・ピオトロスキーのFスコア(Piotroski F-Score)
1株当たりの配当金(Dividend per Share)
定義と計算方法
1株当たりの配当金(Dividend per Share)は、企業が発行済み株式1株ごとに支払う配当金の額を示します。計算式は以下の通りです:
例えば、企業が年間で総額500万ドルの配当金を支払い、発行済株式数が100万株の場合、1株当たりの配当金は5ドルとなります。
重要性
1株当たりの配当金は、投資家が企業から得られる直接的な現金収入を示すため、投資家にとって非常に重要な指標です。この数値が高いほど、投資家はより多くの配当金を受け取ることができ、特に配当収入を重視する投資家にとって魅力的です。
配当利回り(Dividend Yield)
定義と計算方法
配当利回りは、株式投資において得られる配当金の割合を示す指標です。具体的には、株価に対する年間配当金の割合を示します。計算式は以下の通りです:
例えば、株価が100ドルで、年間配当金が5ドルの場合、配当利回りは5%となります。
重要性
配当利回りは、投資家にとって重要な指標であり、投資先の収益性を判断する際に使用されます。高い配当利回りは魅力的ですが、それが持続可能かどうかを確認することが重要です。逆に、低い配当利回りでも、企業の成長ポテンシャルが高ければ、投資対象として魅力的です。
※予想配当に関するより詳細な解説は「インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!」をご覧ください。
配当性向(Payout Ratio)
定義と計算方法
配当性向は、企業が得た利益のうち、どれだけを配当として支払っているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が100万ドルで、年間配当金が50万ドルの場合、配当性向は50%となります。
重要性
配当性向は、企業の配当の持続可能性を評価するために重要です。一般的に、配当性向が50%以下であれば、企業は配当を維持する余裕があると考えられます。高い配当性向は一時的なものである可能性があり、企業の財務状況や将来の成長戦略を考慮する必要があります。
※配当性向に関するより詳細な解説は「【投資コラム】配当性向とは?配当性向はマイナスになることがあるのか?配当性向の仕組みと使用方法を徹底解説!」をご覧ください。
配当カバレッジ・レシオ(Dividend Coverage Ratio)
定義と計算方法
配当カバレッジ・レシオ(Dividend Coverage Ratio)は、企業が配当金をどれだけ安定して支払えるかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が1000万ドルで、配当金総額が200万ドルの場合、配当カバレッジ・レシオは5倍となります。
重要性
配当カバレッジ・レシオは、配当金の持続可能性を評価するために重要な指標です。この比率が高い企業は、配当金を安定して支払える財務的な余裕があることを示しており、長期的な配当収入を期待する投資家にとって魅力的です。
配当履歴(Dividend History)
定義と重要性
配当履歴は、企業が過去にどれだけ安定して配当を支払ってきたかを示す指標です。長期間にわたり連続して配当を支払っている企業は、将来も安定した配当を続ける可能性が高いです。
例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、過去50年間以上にわたり連続で増配を行っており、米国株式市場における配当王の一角を担っています。このような企業は、投資家にとって信頼できる配当株として評価されます。
重要性
配当履歴は、企業の財務健全性や経営陣の配当政策を評価する上で重要です。安定した配当履歴を持つ企業は、投資家に対して一貫した利益還元を行う姿勢を示しており、リスクが低いと考えられます。
配当貴族(Dividend Aristocrats)
定義
配当貴族とは、S&P 500指数に含まれる企業のうち、少なくとも25年以上連続して配当を増やしている企業のことを指します。これらの企業は、長期にわたり安定して配当を支払い、増配を続けているため、信頼性が高いとされています。
重要性
配当貴族は、長期的に安定した配当収入を提供する企業として評価されています。投資家にとって、これらの企業は低リスクであり、信頼性の高い投資先と考えられます。
配当王(Dividend Kings)
定義
配当王とは、上述の配当貴族のさらに上のランクに位置しており、50年以上連続して配当を増やしている企業のことを指します。配当貴族よりもさらに長期間にわたり増配を続けているため、配当王の企業は非常に高い信頼性を持ちます。
具体例
コカ・コーラ(KO)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が配当王として広く認識されています。
重要性
配当王は、長期的に安定した収益を上げ、株主に対して一貫して利益を還元している企業として評価されます。これらの企業は、経済の変動に強く、持続可能な配当を提供する能力が高いです。
※配当王に関するより詳細な解説は「【投資コラム】50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!」をご覧ください。
配当成長率(Dividend Growth Rate)
定義と計算方法
配当成長率は、企業が過去数年間にわたって配当をどれだけ増加させたかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、5年前の配当金が1ドルで、今年の配当金が1.5ドルの場合、5年間の配当成長率は約8.45%となります。
重要性
配当成長率は、企業の成長ポテンシャルと配当の持続可能性を評価するために重要です。高い配当成長率を持つ企業は、将来的にも配当を増やす能力が高いと考えられます。ただし、成長率が高すぎる場合は、一時的な要因によるものかどうかを慎重に評価する必要があります。
安全マージン(Margin of Safety)
定義と計算方法
安全マージン(Margin of Safety)は、投資が潜在的なリスクに対してどれだけ安全かを測るための指標です。通常、実際の株価と、投資家が予測する株価(内在価値)の差をパーセンテージで示します。計算式は以下の通りです:
例えば、ある企業の内在価値が50ドルで、現在の株価が40ドルであれば、安全マージンは20%となります。
重要性
安全マージンは、投資家がリスクを低減するために使用する重要な指標です。高い安全マージンを持つ投資は、価格が過小評価されている可能性が高く、リスクを伴わずに高いリターンを期待できる可能性があります。これにより、投資家は価格が下がった場合でも、損失を最小限に抑えることができます。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity)
定義と計算方法
自己資本利益率(ROE)は、企業が株主の資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が200万ドルで、株主資本が1000万ドルの場合、ROEは20%となります。
重要性
ROEは、企業の収益性と効率性を評価するための重要な指標です。高いROEを持つ企業は、株主資本を効果的に活用して利益を上げていることを示しており、投資家にとって魅力的です。
総資産利益率(ROA: Return on Assets)
定義と計算方法
総資産利益率(ROA)は、企業が保有する総資産をどれだけ効率的に利用して利益を生み出しているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が300万ドルで、総資産が1億ドルの場合、ROAは3%となります。
重要性
ROAは、企業がその資産をどれほど効果的に運用しているかを評価するための重要な指標です。高いROAを持つ企業は、資産を効果的に活用して利益を生み出しており、投資家にとって魅力的です。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital)
定義と計算方法
投下資本利益率(ROIC)は、企業が投下した資本をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業のNOPATが500万ドルで、投下資本が2,500万ドルの場合、ROICは20%となります。
重要性
ROICは、企業が資本をどれだけ効果的に運用しているかを測るための重要な指標であり、ROICが加重平均資本コスト(WACC)を上回る場合、企業は価値を創造しているとされます。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital)
定義と計算方法
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)は、企業がその資本をどれだけ効率的に利用して利益を生み出しているかを評価する指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業のEBITが400万ドルで、運転資本と固定資産の合計が2,000万ドルの場合、ROCは20%となります。
重要性
ROCは企業の資本効率を評価するための重要な指標です。以下にその重要性を説明します:
資本効率の評価:高いROCは、企業が資本を効果的に運用し、高い利益を生み出していることを示します。資本効率が高い企業は、限られた資源を最大限に活用して利益を上げる能力を持っています。
投資判断の指標:投資家はROCを利用して企業の収益性を比較し、どの企業がより高い投資リターンを提供するかを判断します。高いROCを持つ企業は、投資家にとってより魅力的な投資先とされます。
競争力の指標:高いROCは、企業が競争市場で優位性を持っていることを示します。他社よりも効率的に資本を活用できる企業は、持続的な競争優位性を保つ可能性があります。
企業価値の創造:ROCが企業の資本コストを上回る場合、企業は価値を創造しているとされます。これは、企業が投資した資本から資本コストを超えるリターンを得ていることを意味し、長期的な成長と株主価値の向上に寄与します。
高いROCを持つ企業は、資本を効率的に活用し、持続的な利益を生み出す力を持っているため、投資家にとって信頼できる長期的な投資先と考えられます。したがって、ROCは投資判断において重要な要素とされています。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital)
定義と計算方法
加重平均資本コスト(WACC)は、企業が資金調達を行う際に負担する平均コストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して算出されます。計算式は以下の通りです:
例えば、自己資本比率が60%、株主資本コストが8%、負債比率が40%、負債コストが5%、法人税率が25%の場合、WACCは以下のように計算されます:
重要性
WACCは企業が新規プロジェクトを評価する際の基準として用いられ、WACCを上回る収益を得られるプロジェクトは価値を創造すると考えられます。低いWACCを持つ企業は、より多くの収益を確保しやすく、投資家にとって魅力的です。
フリーキャッシュフロー(Free Cash Flow)
定義と計算方法
フリーキャッシュフロー(FCF)は、企業が営業活動から得た現金から、資本的支出や運転資本の変動を差し引いた後に残る現金を示します。これは、企業が投資や配当の支払いに自由に使える現金の量を示す指標です。計算式は以下の通りです:
フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー − 資本的支出 ± 運転資本の変動
例えば、企業の営業キャッシュフローが500万ドル、資本的支出が200万ドル、運転資本の変動が50万ドルの増加だった場合、フリーキャッシュフローは以下のように計算されます:
詳細な計算方法
フリーキャッシュフローは、以下のように詳細に計算することもできます:
フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー − 資本的支出 − 運転資本の増加 + 運転資本の減少
1. 営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow):
- 企業の主要な営業活動から得られる現金流入を示します。
2. 資本的支出(Capital Expenditures):
- 新規設備投資や既存設備の維持・改善のために使われる現金流出を示します。
3. 運転資本の変動(Changes in Working Capital):
- 運転資本の増加は現金流出、減少は現金流入として計算します。運転資本には、売掛金、在庫、買掛金などが含まれます。
重要性
フリーキャッシュフローは、企業が自由に使える現金の量を示す重要な指標であり、配当金の支払い能力を評価する上で不可欠です。高いフリーキャッシュフローを持つ企業は、配当金の支払いを維持し、さらには増配する余裕があると考えられます。また、フリーキャッシュフローは、企業の財務健全性や成長ポテンシャルを評価するためにも用いられます。安定したフリーキャッシュフローを持つ企業は、投資家にとって信頼性が高く、長期的な投資先として魅力的です。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF Ratio)
定義と計算方法
株価フリー・キャッシュフロー倍率(P/FCFレシオ)は、企業の株価がフリー・キャッシュフローに対してどれだけ評価されているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の株価が60ドルで、1株当たりフリー・キャッシュフローが6ドルの場合、P/FCFレシオは10倍となります。
重要性
P/FCFレシオは、企業が創出するキャッシュフローに対する株価の割安度を評価するための重要な指標です。フリー・キャッシュフローは、企業が投資や配当の支払いに自由に使用できる資金を表すため、このレシオが低いほど、投資家にとって株価が割安と考えられます。
株価キャッシュフロー比率(Price to Cash Flow Ratio: P/CF)
定義と計算方法
株価キャッシュフロー比率(P/CF)は、企業のキャッシュフローに対する株価の割合を示す指標です。これは、企業が生み出すキャッシュフローに対して、投資家がどれだけの価値を見出しているかを示します。計算式は以下の通りです:
具体的な計算方法としては、まず企業のキャッシュフローを求め、それを発行済株式数で割り、一株当たりキャッシュフローを算出します。次に、株価を一株当たりキャッシュフローで割ることでP/CFが求められます。
例えば、企業のキャッシュフローが500万ドル、発行済株式数が100万株、株価が50ドルの場合、P/CFは以下のように計算されます:
詳細なキャッシュフローの計算方法
P/CFの計算に用いるキャッシュフローは、一般的に営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow)を使用します。これは、企業の主たる営業活動から得られる現金流入を示します。営業キャッシュフローの詳細な計算方法は以下の通りです:
1. 純利益(Net Income):
- 企業の最終的な利益を示します。
2. 減価償却費(Depreciation):
- 資産の価値の減少を会計上反映するための費用です。
3. 償却費(Amortization):
- 無形資産の価値の減少を会計上反映するための費用です。
4. 運転資本の変動(Changes in Working Capital):
- 売掛金、買掛金、在庫などの変動を含みます。運転資本が増加すると現金流出、減少すると現金流入として計算されます。
例えば、企業の純利益が200万ドル、減価償却費が50万ドル、償却費が30万ドル、運転資本の変動が20万ドルの増加だった場合、営業キャッシュフローは以下のように計算されます:
営業キャッシュフロー = 200万ドル + 50万ドル + 30万ドル - 20万ドル = 260万ドル
重要性
株価キャッシュフロー比率(P/CF)は、企業の評価を行うための指標の一つです。特に、キャッシュフローが豊富な企業は、配当金の支払い能力や成長投資の余地があるため、安定した投資先として評価されます。P/CFが低い企業は、キャッシュフローに対して割安で評価されている可能性があります。
高いP/CFは、企業が生み出すキャッシュフローに対して投資家が高い評価をしていることを示しますが、それが持続可能かどうかを確認することが重要です。企業のキャッシュフローの持続可能性や成長ポテンシャルを評価するために、P/CFは他の財務指標と併せて使用されます。
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益)
定義と計算方法
EPS(Earnings Per Share)は、企業の純利益を発行済み株式数で割った値で、1株当たりの利益を示します。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が1000万ドルで、発行済株式数が500万株の場合、EPSは2ドルとなります。
重要性
EPSは、企業の収益性を評価するための基本的な指標です。EPSが高い企業は、投資家にとって利益を生む可能性が高く、株価の上昇を期待できます。また、EPSは他の指標(P/Eレシオなど)と組み合わせて、企業の価値を評価する際に重要な役割を果たします。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)
定義と計算方法
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without Non-Recurring Items)は、通常の営業活動による利益のみを考慮した1株当たりの利益を示します。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が1000万ドル、非経常損益が200万ドル、発行済株式数が500万株の場合、EPS without NRIは1.6ドルとなります。
重要性
EPS without NRIは、企業の本来の業績を評価するために重要です。非経常的な利益や損失は、企業の通常の経営状況を反映していない可能性があるため、投資家はこれを除いた数値を基に企業の収益力を評価します。
希薄化後EPS(Diluted EPS)
定義と計算方法
希薄化後EPS(Diluted EPS)は、潜在的な株式(ストックオプション、転換社債など)が全て行使された場合に発行済み株式数が増加した後の1株当たり利益を示します。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が1000万ドル、発行済株式数が500万株、潜在的な株式が100万株の場合、希薄化後EPSは1.67ドルとなります。
重要性
希薄化後EPSは、企業の将来の収益性をより正確に反映する指標です。ストックオプションや転換社債の行使により、発行済み株式数が増加する可能性がある場合、希薄化後EPSを確認することで、投資家はその影響を考慮した上で投資判断を行うことができます。
1株当たり売上高(Revenue per Share)
定義と計算方法
1株当たり売上高(Revenue per Share)は、企業の売上高を発行済み株式数で割った値で、1株当たりの売上高を示します。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の売上高が2億ドルで、発行済株式数が1000万株の場合、1株当たり売上高は20ドルとなります。
重要性
1株当たり売上高は、企業の売上高が株式ごとにどれだけ分配されているかを示す指標です。この指標は、投資家が企業の収益力を評価する際に役立ちます。売上高が高い企業は、一般的に市場での競争力があり、成長の余地が大きいと考えられます。
売上高成長率(Revenue Growth Rate)
定義と計算方法
売上高成長率(Revenue Growth Rate)は、企業の売上高が年々どの程度成長しているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、昨年の売上高が1億ドルで、今年の売上高が1億2000万ドルであれば、売上高成長率は20%となります。
重要性
売上高成長率は、企業が市場で成長しているかどうかを判断するための基本的な指標です。高い成長率は、企業が競争力を持ち、新しい市場や製品ラインで成功していることを示唆します。成長企業への投資を検討する際に、この指標は特に重要です。
利益成長率(Earnings Growth Rate)
定義と計算方法
利益成長率は、企業が過去数年間にわたって利益をどれだけ増加させたかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、5年前の利益が100万ドルで、今年の利益が150万ドルの場合、5年間の利益成長率は約8.45%となります。
重要性
利益成長率は、企業の成長ポテンシャルと収益性を評価するために重要です。高い利益成長率を持つ企業は、将来的にも配当を増やす能力が高いと考えられます。ただし、成長率が高すぎる場合は、一時的な要因によるものかどうかを慎重に評価する必要があります。
株価収益率(Price to Earnings Ratio:PER:P/E)
定義と計算方法
株価収益率(PER:P/E)は、企業の株価が利益に対してどれだけ高いかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の株価が100ドルで、一株当たり利益が10ドルの場合、株価収益率は10倍となります。
重要性
株価収益率は、企業の評価を行うための指標の一つです。低い株価収益率は、企業が割安で評価されている可能性を示します。特に、配当株投資においては、株価収益率が低い企業は安定した収益を提供しつつ、成長の余地があるため、魅力的な投資先となります。
※株価収益率に関するより詳細な解説は「【投資コラム】PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!」をご覧ください。
PBR(Price to Book Ratio, P/B Ratio)
定義と計算方法
PBR(Price to Book Ratio)は、企業の株価が簿価に対してどれだけ評価されているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の株価が40ドルで、1株当たり純資産が10ドルの場合、PBRは4倍となります。
重要性
PBRは、企業の純資産に対する株価の割安度を評価するための基本的な指標です。この比率が低い場合、株価が純資産に対して割安であることを示し、特に資産価値が重視される業界においては重要な指標となります。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio)
定義と計算方法
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio)は、株価収益率(P/Eレシオ)を企業の利益成長率で割った値で、企業の成長に対する株価の割安度を示します。計算式は以下の通りです:
例えば、企業のP/Eレシオが20倍で、利益成長率が10%の場合、PEGレシオは2倍となります。
重要性
PEGレシオは、企業の成長見通しを考慮した株価の評価に役立つ指標です。一般的に、PEGレシオが1倍以下の企業は割安とされ、投資家にとって魅力的です。ただし、この指標は成長率が一定であることを前提としているため、他の指標と組み合わせて使用することが推奨されます。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, P/S Ratio)
定義と計算方法
株価売上高倍率(P/Sレシオ)は、企業の株価が売上高に対してどれだけ評価されているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の株価が50ドルで、1株当たり売上高が10ドルの場合、P/Sレシオは5倍となります。
重要性
P/Sレシオは、利益が出ていない企業や成長中の企業の株価評価に使用されることが多い指標です。このレシオが低い場合、株価が売上高に対して割安であることを示し、特に成長企業への投資判断に役立ちます。
配当利回り対株価収益率(Dividend Yield vs. P/E Ratio)
定義と重要性
配当利回りと株価収益率(PER:P/E)は、株式の評価において重要な指標です。配当利回りは投資家に対する収益の割合を示し、株価収益率は株価が利益に対してどれだけ高いかを示します。
例えば、配当利回りが高く、株価収益率が低い株式は、投資家にとって魅力的な投資先となる可能性があります。逆に、配当利回りが低く、株価収益率が高い株式は、過大評価されている可能性があります。
具体例
例えば、コカ・コーラ(KO)の配当利回りが3.2%で、株価収益率が25倍であった場合には、この企業は安定した配当を提供しつつ、収益性も高いと評価されます。一方、株価収益率が50倍を超える場合、株価が過大評価されている可能性があり、慎重な判断が必要です。
企業価値(Enterprise Value: EV)
定義と計算方法
企業価値(EV)は、企業の総価値を示す指標であり、時価総額に純負債を加えたものです。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の時価総額が10億ドルで、純負債が2億ドルの場合、EVは12億ドルとなります。
重要性
EVは、企業の全体的な価値を評価するための指標の一つです。特に、M&A(企業買収)において重要な指標となります。EVは、企業の総資産と負債を考慮した包括的な評価を提供します。
EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization)
定義と計算方法
EBITDAは、企業の利益を計算する際に、利子、税金、減価償却費、および償却費を除いたものです。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純利益が200万ドル、利子が50万ドル、税金が30万ドル、減価償却費が40万ドル、償却費が20万ドルの場合、EBITDAは340万ドルとなります。
重要性
EBITDAは、企業の営業利益を評価するための指標であり、利子、税金、減価償却費、および償却費の影響を排除することで、企業の本質的な収益力を評価できます。特に、異なる資本構成や税率を持つ企業間の比較に有用です。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio, EV/EBITDA)
定義と計算方法
EV/EBITDA倍率は、企業価値(EV)をEBITDAで割った値で、企業の利益力に対する評価を示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業価値が500億ドルで、EBITDAが50億ドルの場合、EV/EBITDA倍率は10倍となります。
重要性
EV/EBITDA倍率は、企業の収益力を評価するための広く使用される指標です。この指標は、負債を考慮に入れて企業の価値を評価するため、特に異なる資本構造を持つ企業同士の比較に適しています。倍率が低い場合、企業が市場で過小評価されている可能性があります。
EBITDA純有利子負債倍率(Net Debt to EBITDA Ratio)
定義と計算方法
EBITDA純有利子負債倍率は、企業の財務健全性を評価するための指標であり、企業がEBITDAを使ってどれだけ早く負債を返済できるかを示します。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の純有利子負債が500万ドルで、EBITDAが250万ドルの場合、EBITDA純有利子負債倍率は2となります。
重要性
この指標は、企業の負債返済能力を評価するために重要です。低い倍率は、企業が比較的短期間で負債を返済できることを示し、財務健全性が高いと評価されます。一方、高い倍率は、負債返済に時間がかかる可能性があるため、財務リスクが高いと評価されます。
負債比率(Debt Ratio)
定義と計算方法
負債比率は、企業の総資産に対する負債の割合を示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の総資産が1000万ドルで、総負債が400万ドルの場合、負債比率は40%となります。
重要性
負債比率は、企業の財務健全性を評価するための重要な指標です。低い負債比率は、企業が健全な財務構造を持ち、負債返済能力が高いことを示します。逆に、高い負債比率は、企業が過剰な負債を抱えている可能性があり、財務リスクが高いと評価されます。
財務レバレッジ(Financial Leverage)
定義と計算方法
財務レバレッジは、企業がどれだけ借入金を活用して事業を運営しているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:
例えば、企業の総資産が5000万ドルで、株主資本が2500万ドルの場合、財務レバレッジは2倍となります。
重要性
財務レバレッジは、企業が借入金を活用してどれだけ利益を生み出しているかを評価するために重要な指標です。レバレッジが高い企業は、負債に依存していることを意味し、経済状況の変動に対するリスクが高まりますが、一方で高いリターンを期待できる場合もあります。
アルトマンのZスコア(Altman Z-Score)
定義と計算方法
アルトマンのZスコア(Altman Z-Score)は、企業の倒産リスクを予測するために開発された多変量の数式です。1968年にエドワード・アルトマン教授によって考案されたこのスコアは、5つの財務比率を組み合わせて計算され、企業の財務健全性を評価します。Zスコアの計算式は以下の通りです:
各比率の意味は以下の通りです:
1. 運転資本 / 総資産: 流動性を示し、短期的な負債を賄う能力を評価します。
2. 留保利益 / 総資産: 利益の蓄積を表し、企業の持続可能性を評価します。
3. EBIT / 総資産: 資産に対する収益性を示し、企業の収益力を評価します。
4. 株式の市場価値 / 総負債: 負債に対するエクイティの価値を表し、資本構造を評価します。
5. 売上高 / 総資産: 資産の効率性を示し、企業の資産利用効率を評価します。
Zスコアの解釈は以下の通りです:
・Zスコアが3.0以上: 倒産リスクが低いと見なされます。
・Zスコアが1.8~2.99: 倒産リスクが中程度であり、注意が必要です。
・Zスコアが1.8未満: 倒産リスクが高いと見なされます。
重要性
アルトマンのZスコアは、特に企業の倒産リスクを評価するために広く使用されており、投資家や金融機関にとって重要なツールです。このスコアを活用することで、財務状況が不安定な企業への投資リスクを軽減することができます。Zスコアは、特に製造業や伝統的な企業に適用されることが多いですが、その後、他の業種にも適用可能なバリエーションが開発されています。
ベネッシュのMスコア(Beneish M-Score)
定義と計算方法
ベネッシュのMスコア(Beneish M-Score)は、企業が財務諸表を操作しているかどうかを検出するために設計された統計的なモデルです。1999年にメッサド・ベネッシュ教授によって考案され、このスコアは8つの財務比率を用いて計算されます。これらの比率は、財務諸表の異常な変動を検出するために設計されています。Mスコアの計算式は以下の通りです:
各比率の意味は以下の通りです:
1. DSRI(売上債権収益指数): 売上高に対する売掛金の増加率を測定し、売上の水増しを検出します。
2. GMI(粗利益率指数): 粗利益率の変動を測定し、利益率の悪化を検出します。
3. AQI(資産品質指数): 資産の品質の変動を測定し、費用の繰延や不正な会計処理を検出します。
4. SGI(売上高成長指数): 売上高の成長率を測定し、急速な成長が不正の兆候であるかどうかを評価します。
5. DEPI(減価償却費指数): 減価償却費の変動を測定し、費用の先送りを検出します。
6. SGAI(販売・一般管理費指数): 販売・一般管理費の増加を測定し、費用操作を検出します。
7. TATA(総資産対運転キャッシュフロー): 総資産に対する運転キャッシュフローを測定し、キャッシュフローの不一致を検出します。
8. LVGI(財務レバレッジ指数): 財務レバレッジの変動を測定し、負債の操作を検出します。
Mスコアの解釈は以下の通りです:
・Mスコアが-2.22以上: 企業が財務諸表を操作している可能性が高いと見なされます。
・Mスコアが-2.22未満: 財務諸表の操作の可能性は低いと見なされます。
重要性
ベネッシュのMスコアは、企業の財務諸表の信頼性を評価するための重要なツールです。このスコアを使用することで、投資家は不正会計のリスクを早期に察知し、投資判断を下す際に役立てることができます。特に、急成長している企業や異常な財務パターンを示す企業に対して有効な指標です。
ピオトロスキーのFスコア(Piotroski F-Score)
定義と計算方法
ピオトロスキーのFスコア(Piotroski F-Score)は、企業の財務健全性と収益力を評価するためのスコアリングシステムで、ジョセフ・ピオトロスキー教授によって開発されました。このスコアは、9つの財務指標に基づいて評価され、各指標について0または1のスコアが与えられます。最終的なスコアは0から9までの範囲で、スコアが高いほど財務的に健全であると見なされます。評価される9つの指標は以下の通りです:
1. 純利益: 正の純利益(1点)または負の純利益(0点)。
2. ROA(総資産利益率): 前年度よりも高い(1点)または低い(0点)。
3. 営業キャッシュフロー: 正の営業キャッシュフロー(1点)または負の営業キャッシュフロー(0点)。
4. キャッシュフローと純利益の差: 営業キャッシュフローが純利益を上回っている(1点)または下回っている(0点)。
5. 負債比率: 負債比率が前年よりも低い(1点)または高い(0点)。
6. 流動比率: 流動比率が前年よりも高い(1点)または低い(0点)。
7. 株式の発行: 新たな株式発行がない(1点)または株式発行がある(0点)。
8. 粗利益率: 粗利益率が前年よりも高い(1点)または低い(0点)。
9. 資産回転率: 資産回転率が前年よりも高い(1点)または低い(0点)。
Fスコアの解釈は以下の通りです:
・Fスコアが8~9: 財務的に非常に健全であり、投資先として魅力的。
・Fスコアが5~7: 平均的な財務健全性を示し、さらなる分析が必要。
・Fスコアが0~4: 財務的に不健全であり、リスクが高い。
重要性
ピオトロスキーのFスコアは、特に低P/B株(割安株)の選別に役立つ指標として知られています。このスコアを使用することで、投資家は財務的に健全な割安株を見つけ、リスクを低減しながら高リターンを狙うことができます。スコアが高い企業は、財務が堅実であり、長期的な成長の可能性が高いと考えられます。
まとめ
配当株投資を成功させるためには、配当関連の重要用語と指標を正しく理解し、適切に評価することが不可欠です。上述の指標を駆使して、投資先の企業を選定し、リスクを管理することで、安定した収益を得ることができます。
これらの指標を総合的に評価し、バランスの取れた投資戦略を構築することが、配当株投資の成功への鍵となります。特に、長期的な視点での投資、財務健全性の確認、分散投資の実践、定期的なポートフォリオのレビューとリバランスを行うことで、リスクを最小限に抑えながら、安定した収益を追求することが可能です。
以上の理由から、配当株投資は多くの投資家にとって魅力的な選択肢であり、適切なリスク管理と戦略を持つことで、そのメリットを最大限に引き出すことができます。