07/10/2024

証券分析の基本:米国株投資家のためのバリュエーション手法を徹底解説!内在価値評価法と相対価値評価法の利点・欠点を学ぶ!

pen on paperジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
  • これは証券分析の基本を解説する教育シリーズの一部であり、基礎から複雑な内容まで順を追って説明していく。
  • 本稿では、内在価値評価法(Intrinsic Valuation Method)と相対価値評価法(Relative Valuation Method)の利点と欠点を比較し、どちらを使用すべきかについて説明する。
  • 投資家は企業の実際の価値と市場価格の不一致を見つけることが重要であり、また、バリュエーション手法の限界を理解することも大切である。

これは、証券分析の基本について解説する教育シリーズの一部であり、私自身が投資判断を行う際に使用している理論的および実践的なアイデアである。

本稿では基礎から始め、次回以降、より複雑な内容を取り扱っていきたい。

序論

"A fool is someone who knows the price of everything and the value of nothing."

「愚か者とは、すべてのものの価格を知っていても、その価値を何も理解していない者である。」

Oscar Wilde / オスカー・ワイルド

株式投資とは、大部分において各企業を理解し、その各企業の価値(バリュエーション)を評価する努力であると言える。

投資家は、企業の価値を正しく評価すれば、「勝利」または、「利益」を得ることができる。

これは、企業からの支払い、収益、または資本の増価という形で得ることができる。

したがって、投資家の仕事は、本質的には、企業の実際の価値と「市場」が信じている価値との間の不一致を見つけることである。

これは、投資家が企業の価値を導き出すために独自の評価を行う必要があることを意味している。

これは、内在価値評価法(Intrinsic Valuation Method)、または、相対価値評価法(Relative Valuation Method)によって行うことができる。

内在価値評価法(Intrinsic Valuation Method

内在価値評価は、企業や資産の価値がその期待される将来のキャッシュフローの現在価値であり、そのリスクと機会費用を反映する割引率で割引いたものであると主張する。

これには、キャッシュフロー、成長率、および割引率を推定することが含まれ、割引キャッシュフロー(DCF)、配当割引モデル(DDM)、または残余利益モデル(RIM)などのモデルを使用する。

市場価格や投資家の意見とは異なり、内在価値評価は企業や資産の固有の特性とパフォーマンスに基づいた基本的な価値に焦点を当てる。

相対価値評価法(Relative Valuation Method

相対価値評価は、株価収益率(PER)、企業価値/EBITDA倍率(EV/EBITDA倍率)、または、株価純資産倍率(PBR)などの倍率や比率を使用して、類似の市場に存在する企業と比較することによって企業や資産の価値を決定する。

この方法は、市場データや業界平均から関連する倍率を特定し、それを対象企業や資産に適用することを含む。

内在価値評価とは異なり、相対価値評価は市場価格や投資家の意見に影響され、他の市場参加者と比較した相対的な価値を反映する。

利点と欠点

内在価値評価法と相対価値評価法にはそれぞれ利点と欠点がある。

内在価値評価法

利点:市場の変動に依存せず、企業や資産の基本的な特性に基づいてより厳密かつ一貫している。

欠点:将来についての多数の仮定や予測が必要であり、これらは不確実であるか、不正確である可能性があるため、より複雑で主観的である。

相対価値評価法

利点:キャッシュフローや割引率の推定を必要とせず、観察可能で比較可能な市場データを使用するため、より簡単で直感的である。

欠点:市場の非合理性や非効率性を反映し、企業や資産の独自の特徴やリスクを見落とす可能性があるため、エラーやバイアスに陥りやすい。

どちらのバリュエーション手法を使用すべきか?

バリュエーション手法の選択は、評価の目的と文脈、データと情報の利用可能性と質によって異なる。

内在価値評価法

最適:市場状況に依存せず、企業や資産の内在的価値に関心のある長期投資家。

目的:将来のキャッシュフローと内在価値に基づく基本的な長期的視点を提供する。

相対価値評価法

最適:市場における類似の企業と比較した企業や資産の市場価格に関心のある短期目線のトレーダー、或いは、投資家。

目的:現在の倍率と比率を使用して市場ベースの比較視点を提供する。

一方で、両方の方法を併用することで、結果を相互に確認し、企業や資産の価値に関するより包括的かつバランスの取れた視点を提供することができる。

結論

この教育シリーズでは、両方のバリュエーション手法を学び、それぞれの細部にわたる探求を行っていく。

一般的に言えば、現金が王であるという事実には同意する。

そのため、キャッシュフローは最終的に株価と強い相関関係を持つことになる。

しかし、キャッシュフローの計算は難しく、多くの企業は利益を上げておらず、これが全体像を必ずしも描くわけではない。

一方、相対価値評価はより簡単なアプローチを提供し、しばしばより良い結果をもたらし、企業を評価するためのより多くのオプションを提供する。

しかしながら、結局のところ、ほとんどのバリュエーションは間違っていることを認識することが重要である。

考慮できない事柄が多すぎるため、どんなバリュエーション・モデルでも限界を理解することが重要である。

これが次のポイントに繋がる。

それは、シンプルであることがしばしば優れているということである。

投資家は、変数を予測することでバリュエーションがより正確になると誤解している。

それでも誤りを防ぐことはできず、実際にはより多くの変数がより多くの計算ミスを意味する。

最後に、バリュエーションにはバイアスがあることに注意すべきである。

自身の評価や他人の評価であれ、常にバイアスが存在する。

企業を評価する際には人間らしさを避けようとするのではなく、その欠点を理解することが重要である。

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📍米国マクロ経済&テクノロジー担当

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