ジャクソンホール会議の影響は?パウエルFRB議長のジャクソンホールでの発言と今後の米国株市場の見通しに迫る!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、2024年8月のジャクソンホール会議の米国株式市場への影響とFRBパウエル議長の発言を詳細に解説していきます。
- そして、今後の米国株式市場の見通し、さらに、私のマクロポートフォリオの最新のアップデートをお届けします。
- 2024年8月のジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長は高い需要と限られた供給のバランス崩れがインフレの原因であり、政策調整が必要だと強調しました。
- パウエル議長は、低インフレと強い労働市場を維持するためにインフレ期待の安定が重要だと述べましたが、私はインフレの動向が一時的な要因によるものではないかと考えています。
- パウエル議長の発言は、インフレ抑制と金利引き下げのタイミングが近づいていることを示唆しています。
※「スーパー・マイクロ(SMCI)の将来性とは?ヒンデンブルグ社の空売りレポートと年次報告書遅延で時間外から株価急落!」の続き
2024年8月のジャクソンホール会議とFRBパウエル議長の発言の影響に関して
先週、2024年8月22日から24日にかけて、ジャクソンホールで世界の中央銀行の要人たちが集まり、自らの業績を称賛しつつ、市場には厳しい一撃を与えました。
このジャクソンホール会議では、金融政策の効果を再評価することが主要なテーマでした。FRB議長のジェローム・パウエル氏は、最近のインフレを高い需要と限られた供給のバランスの崩れが原因だとし、政策の調整が必要だと強調しました。
パウエル氏は、低インフレと強い労働市場を維持するために、インフレ期待を安定させることの重要性を訴えましたが、私は金融政策の直接的な影響については懐疑的です。
インフレの動向は、一時的な需要と供給の変動によって説明できるのではないかと感じています。また、インフレ期待が中央銀行の政策によって安定したのか、それとも一時的な経済ショックが自然に収束したためなのかについても疑問を抱いています。
最終的には、ディスインフレの大部分は供給と需要の自然な再均衡によるものだと私は考えています。
いずれにしても、投資家にとって重要なのは、インフレが抑え込まれ、金利引き下げが近づいているということです。
「ゴルディロックス」シナリオの展望
今日発表されたPCE(個人消費支出物価指数)が予想をわずかに下回ったことで、その見方はさらに強まりました。
(出所:U.S. Bureau of Economic Analysis)
食品やエネルギーを含むPCE物価指数は、前月比で0.2%上昇し、予想の+0.2%と一致し、前回の+0.1%からわずかに上昇しています。また、前年同月比では2.5%の上昇となり、これも予想の+2.5%と一致し、前回の+2.5%と同じ結果でした。
さらに、米国のGDP成長率は四半期比で3%に上方修正されました。
(出所:U.S. Bureau of Economic Analysis)
ここで唯一の「不安要素」となるのは、最近の失業率の上昇で、これによりサームルールが発動される事態になっていることです。
※サームルール:失業率が過去12か月の最低値から0.5ポイント以上上昇した場合に、景気後退(リセッション)の兆候と判断する指標。失業率の急上昇が経済の悪化を示していると考えられるため、リセッションの早期警告として使われる。
サームルールが「リセッションが始まった」と示す
3か月平均の失業率が4%となり、12か月の最低値である3.5%を50ベーシスポイント上回ったため、サームルールが発動
(出所:Bloomberg)
しかし、今回は状況が異なっており、これについてはクラウディア・サーム氏自身も認めています。
米国 - 失業者に占める再参入者と新規参入者の割合(%)
(出所:MacroMicro)
クラウディア・サーム氏は最近、サームルールによるリセッション指標の限界について指摘しました。それは、労働需要の減少と労働供給の増加を区別できないという点です。今回のデータでは、失業率の上昇の半分が労働市場への「再参入者」や「新規参入者」によるものであり、これは過去の景気後退時よりもかなり高い割合です。
このことから、サームルールは労働需要の低下を過大評価している可能性があり、失業率の上昇は労働需要の大幅な減少ではなく、労働力に参加する人が増えたことが主な要因であることが示唆されます。
それでは、ここまでの内容をまとめます。
次のセクションでは以下のテーマについて取り上げます。
・第4四半期に向けた米国経済の見通し
・S&P 500、ナスダック、ビットコインの主要テクニカルレベル
・マクロ取引の更新
・独自のアルゴリズムに基づく注目のトレード
マクロポートフォリオの最新アップデート
スノーボールアナリティクスを通じて、マクロポートフォリオのパフォーマンスを引き続きフォローできます。
そして、現在、下記の通り、ロングポジションを10件に絞っています。
※マクロ取引:国全体や地域全体の経済状況や市場動向(マクロ経済)に基づいて行う投資戦略。これには、金利、インフレ、GDP成長率、通貨動向などの要因を考慮して、株式、債券、通貨、商品などに投資することが含まれる。マクロ経済の変動を予測して利益を狙う取引。
現在のロング・ポジションは以下の通りです。
・ビットコイン
・ナスダック100
・サイバーセキュリティ関連
・アルゼンチン
・中国と新興市場
・小型株
・原子力関連
最近、以下の資産はポートフォリオから除外しました。
・REIT(不動産投資信託)
・金
・原油
・国債
これらのポジションについて、詳しく説明していきます。
「リスク資産」のロングポジション
私の基本的な見解としては、依然として強力な経済基盤と改善する流動性状況に支えられた強気の株式市場が続いているというものです。
この点についてはこれまで何度も触れてきたので、過去の投稿を参照してください。
短期的には、9月から10月にかけて市場が弱含む可能性があります。これらの月は、歴史的に市場が弱い時期であるためです。
それでは、いくつかのチャートを見てみましょう。
(出典:TrendSpider)
まず、ナスダック100に関してですが、最近の安値から反発しつつあり、今後19,000を上回る水準を維持できれば、第5波の動きが完成し、ダブルトップのような形状が形成される可能性が高いと考えています。
その後、9月や10月の弱い時期と重なる形で、大きな調整が入るかもしれません。
さらに、FRBが最初に利下げを行う際には、大きなボラティリティが生じることが予想されます。
FRBが最初の利下げを行った後の12か月間におけるS&P 500のリターン
※Date of first rate cut:最初の利下げの日付
多くの人が「利下げ後に売る」という戦略が有効だと考えています。これは、2001年や2007年のリセッション時にうまくいったからです。しかし、一般的には、利下げ後の12か月間でポジティブなリターンが得られることが多く、むしろ平均以上のリターンが期待できることがわかっています。
今、利下げが近づくことで、小型株には特に有利な状況が生まれるでしょう。これまで資金調達に苦しんでいたこれらの小型企業にとって、利下げは大きな追い風となり、すでにパフォーマンスが向上し始めているiシェアーズ・ラッセル2000 ETF(IWM)にさらにプラスの影響を与える可能性があります。
(出典:TrendSpider)
小型株のパフォーマンスは好調で、私たちのアルゴリズムもiシェアーズ・ラッセル2000 ETFをロングポジションにしています。ご覧の通り、この戦略は実際に指数を大きく上回る成果を上げています。
(出典:TrendSpider)
最後にビットコインについてですが、引き続き強い上昇トレンドが形成されており、目標価格はトレンドラインの上限である10万ドル付近であることから、まだかなりの上昇余地があると見ています。
(出所:WooCharts)
ビットコインのハッシュリボンが再び動き出し、次の強気相場が始まる兆しを見せています。
新興市場にロングポジション
私たちの主要な仮説は、ドルの弱さが市場を後押しするというものです。
ハウエル氏は、ドルの価値を引き下げるために協調した取り組みが行われた可能性が高いと見ています。
テクニカルな観点から見ると、ドルのチャートはさらに安値を更新する準備が整っているように見えます。
(出典:TrendSpider)
レンジの下限に迫り、ブレイクダウンを狙っています。
これにより、新興市場株のETFであるiシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF(EEM)に対して強気で見ています。
(出典:TrendSpider)
iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETFに関しては、私のアルゴリズムが数日前にエントリーシグナルを出しました。ボリュームのあるエリアを再テストする際に、そのエントリーポイントに再び戻る可能性はありますが、全体的には強気のフラッグパターンからのブレイクアウトが近いように見えます。
さらに、アルゼンチンにも強気の姿勢を持っています。現政権の取り組みに期待しています。
(出典:TrendSpider)
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