ヨーロッパ株(欧州株)の2025年の見通しは良好?米国市場は特別性を失いつつあり、資金は欧州株と中国株へ?

- 本稿では、「ヨーロッパ株(欧州株)の2025年の見通しとは?」という疑問に答えるべく、足元で特別性を失いつつある米国市場の現状、並びに、グローバルの資金フローが米国市場から欧州株と中国株へ向き始めている現状を詳しく解説していきます。
- 米国への資本集中は近年ピークを迎え、欧州や中国への資産配分が見直されるなど、アメリカの特別性は徐々に薄れつつあるように見えます。
- 技術・安全保障・財政政策をめぐる国際的な転換が進む中で、投資家は分散投資の重要性を再認識し、地理的広がりを重視する傾向が強まっています。
- 米国が依然として経済大国である一方、今後は欧州株や中国株など国際資産とのバランスを取った戦略が鍵になると考えています。
アメリカの特別性は薄れつつある?
10年以上にわたり、米国市場は金融の中心地として君臨してきました。世界中から資本が米国株式やドルに流れ込み、イノベーション、流動性、そして株主に優しいガバナンスを求めて投資されてきました。
しかし今、その流れが反転しつつある兆しが見え始めています。いわゆる「アメリカの特別性」が、ゆっくりと、構造的に解消されつつあるのです。
これは突然の暴落ではなく、静かな体制の転換です。特に欧州の投資家を中心に、世界の投資家たちが資産配分の見直しを始めています。その背景には、地政学的リスク、財政政策、そして世界経済の本当の成長の原動力がどこにあるのかという物語の変化があるのです。
資本の流れは反転が進行中?
2020年以降、約10兆ドルが米国資産に流入しました。特にCOVID-19後やAIブームの最中、さらにウクライナ戦争の勃発などを受けて、米国は「最も安全な家」と見なされてきました。しかし、こうした力学に変化が生じ始めています。
(出所:Bank of America)
転換点となったのは、米国が「世界の警察官」としての役割をもはや担いたくないというシグナルを発したことでした。ヨーロッパにとって、これは安全保障の傘が取り払われたことを意味しました。これを受けて、ドイツは2009年以降続けてきた財政規律を撤回し、総額1兆ユーロの景気刺激策を発表しました。そのうち半分は国内の防衛能力再建に充てられる予定です。このような資金は、米国の国債やS&P500のETFにとどまることはなく、国内への投資へと振り向けられます。
中国の「DeepSeek」モーメント
同じ頃、中国でも重要な転換点が訪れました。国内で開発されたAIモデルが、OpenAIのGPT-4に匹敵する性能を持ちながら、コストはわずかで、エヌビディア(NVDA)の高性能チップにもアクセスしていない状況で登場したのです。この「DeepSeekモーメント」は、米国がもはや明確な技術的優位性を持っていないというサインとなりました。
これにより、「AIをリードできるのは米国企業だけである」という考えに疑問が投げかけられました。特にアジアの投資家にとっては、長らく見捨てられていた中国株や国内イノベーションへの投資を再検討するための“青信号”となったのです。
取引からトレンドへ
戦術的な変化として始まったものが、いまや長期的なトレンドになりつつあります。まるで金融版「UNOのリバースカード」のようなものです。
コロナ禍の時期には、アメリカは財政赤字と景気刺激策で大きく動き、ヨーロッパは緊縮路線を貫いていました。しかし今では、その立場が逆転しています。アメリカは財政規律を語り始め、ヨーロッパは積極的な財政出動に転じているのです。
ドイツの「財政バズーカ」
5,000億ユーロ規模のインフラ基金がGDPに与える影響とは
(出所:Reuters)
一方で、資本は成長と予見可能性を求めています。米国が「デトックス期(整理・調整局面)」に入り、ドイツや中国が財政拡張に向かうのであれば、世界の資金はより良く扱われる場所へと流れていきます。これは米国を見捨てるという話ではなく、過去10年間の一方的な偏りを是正しようとする動きなのです。
今後の注目点はヨーロッパ株(欧州株)と中国株?
適切な対応は、ヨーロッパに全力投資したり、米国を空売りしたりすることではないかもしれません。つまり、そうした二択は誤った選択肢かもしれません。代わりに、有効なのは「バーベル戦略」ではないかと考えています。米国へのエクスポージャーを維持しつつ、それを補完する形で国際資産を組み入れることが重要であると見ています。たとえば、欧州の防衛関連株、新興国市場、中国のテクノロジー株などが挙げられます。分散投資はもはやセクターの話だけではなく、地理的な広がりが重要になってきています。
ここ数年、投資家は世界の他の地域を無視することができました。しかし、その余裕はもはや失われつつあります。
もちろん私は、長年にわたってグローバルな分散投資の重要性を強調してきました。そしてそれは、私が構築した「EOW(End Of The World)ポートフォリオ」によって実現しています。
💡 EOW(エンド・オブ・ザ・ワールド)ポートフォリオの詳細
💡 EOW(エンド・オブ・ザ・ワールド)ポートフォリオとは?
このポートフォリオの約50%を米国外に配分しているのはそのためであり、それこそが私が直近1か月で市場をアウトパフォームできた理由であると見ています。
(出所:Snowball Analytics)
(出所:Snowball Analytics)
今後数か月にわたり、私は特にヨーロッパの株式を中心に、国際株への投資をさらに進めていく予定です。
最後に
米国は依然として圧倒的な経済大国であることに変わりはありません。しかし、世界の他の地域、特にヨーロッパと中国が、いよいよ本格的に動き始めているように見えます。これは崩壊や危機の話ではなく、「正常化」のプロセスです。グローバルな投資家にとって重要なのは、体制が変化したことを認識し、それに合わせてポジションを見直すことなのではないかと考えています。
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