トランプ大統領とニクソン元大統領の政策の共通点と違いとは?両者の政策の詳細な分析を通じて、今後の米国株の見通しに迫る!

- 本稿では、トランプ大統領とニクソン元大統領の政策の共通点と違いの詳細な分析を通じて、今後の米国株の見通し詳しく解説していきます。
- トランプ氏とニクソン氏は、関税・減税・金融政策による市場への影響という点で類似していますが、トランプ氏は政府支出削減を掲げており、財政面で大きな違いがあります。
- 現在のエネルギー環境は1970年代と異なり、原油価格の安定や再生可能エネルギーの拡大により、スタグフレーションのリスクは限定的と考えられます。
- 投資戦略としては、テクノロジーや国防関連株への注目が続き、金属・ウランなど一部コモディティも有望視される中、短期債や海外株式が有利な選択肢とされています。
はじめに
株式市場は、リチャード・ニクソン以来となる大統領就任直後としては最悪級のスタートを記録しました。しかし、これは単なる偶然ではないかもしれません。
(出所:Bloomberg)
ニクソン氏とトランプ氏はいずれも、ポピュリズム的なメッセージ、反グローバリズムのレトリック、そして関税・減税・金融政策を活用して経済秩序を再構築しようとする姿勢で政権の座に就きました。そして、どちらの政権も初期には市場の不安を引き起こしましたが、その後に急騰の局面が訪れた点も共通しています。
しかし、多くの類似点がある一方で、今後数年間の展開を大きく左右する可能性がある、ひとつの重大な違いがあります。
トランプとニクソンの類似点
まずは、共通点から見ていきましょう。
関税:
ニクソン大統領は1971年に10%の輸入課徴金を導入しました。トランプ大統領の「解放の日」関税も、現在10%の基準値に設定されており、新たな貿易協定が結ばれない限り、さらに引き上げられる可能性もあります。ニクソン氏と同様に、トランプ氏も貿易政策に大きく依存し、世界経済のバランスを取り戻そうとしています。
減税:
ニクソン氏とトランプ氏はいずれも、景気刺激策として減税を用いました。トランプ氏は第1期で実施し、今年後半の再選を見据えて再び実施する可能性があります。
金融政策への圧力:
ニクソン氏は、金本位制の終了後に連邦準備制度理事会(FRB)のアーサー・バーンズ議長に対して金融緩和を強く求めたことで知られています。トランプ氏も同様に、自身の希望を明確に表明しており、金利の引き下げとドル安を求めています。FRBを直接支配してはいませんが、その意向を公に発信しています。
その結果、非常に既視感のある構図が浮かび上がります――強硬な国内政策、ハト派的な金融姿勢、そして国際的不確実性です。
しかし、これは1971年の再来ではありません。少なくとも完全に同じ状況ではないのです。
最大の違い:財政政策
ニクソン氏は保守派として選挙戦を戦いましたが、政権運営においてはケインズ主義的な政策を採用しました。とりわけ再選前には政府支出を積極的に拡大し、財政赤字を増やしつつ需要を刺激しました。
一方で、今回のトランプ氏は大きく異なる提案をしています。最新の予算案では、防衛費を除く国内支出を23%削減する方針を打ち出しており、その削減規模は1,600億ドル超に達します。
これは非常に大きな転換です。もし実行されれば、金融政策が引き続き緩和的で減税が再開されたとしても、インフレ圧力を高めるような財政的な後押しは限定的になる可能性があります。
つまり、ニクソン氏が財政と金融のミスマッチを生み出し、結果としてスタグフレーションを引き起こしたのに対し、トランプ氏はそれよりもバランスが取れた――とはいえ依然としてリスクを伴う――アプローチを構築しようとしているのかもしれません。
エネルギー:もう一つの重要な違い
1970年代におけるインフレは、ワシントンの政策だけでなく、オイルショックによっても引き起こされました。1973年のアラブ諸国による石油禁輸措置により原油価格が高騰し、経済全体がスタグフレーションに引きずり込まれました。 しかし今回は、状況が異なります。現在の原油価格は数年来の低水準にあり、米国のエネルギー自給率は大幅に向上しています。また、再生可能エネルギーや原子力の導入も進んでいます。
(出所:United States Department of Energy)
エネルギーが、かつてのようにインフレを加速させる要因ではなくなりつつあり、それがすべてを変える可能性があります。
投資家に対して意味することとは?
もし私たちが1970年代型のスタグフレーションに向かっていないとすれば、適切なポジショニングとは何でしょうか?
株式は依然として有効:
テクノロジー、工業、国防といった耐久性のあるセクターにおける株式は、引き続き有望な選択肢です。
コモディティ:評価は分かれる:
原油価格の急騰がない限り、1970年代を象徴したようなコモディティ・スーパーサイクルは見込めないかもしれません。それでも、金属やウランは価値を保つ可能性があります。
金利とドル:
FRBが緩和的な姿勢を取り、財政政策が引き締め方向に向かえば、構造的にドルが弱含む展開もあり得ます。これは、長期的には海外株式に有利な状況をもたらします。
債券は依然として難しい局面:
インフレが長引き、金利の低下がそれに追いつかない場合、長期債よりも短期債のほうが安全と考えられます。
まとめ
トランプ氏とニクソン氏は、政治的直感、政策手段、市場への影響という点で共通点を持っています。しかし、決定的な違いである「トランプ氏の提案する財政の引き締め」が、将来の結果を大きく変える可能性があります。
支出が削減され、エネルギー価格が落ち着き、減税が実現すれば、1970年代の再来のような最悪の展開は回避できるかもしれません。インフレは高止まりする可能性がありますが、制御可能な範囲にとどまるでしょう。その場合、今回の経済サイクルは前回よりも投資妙味のあるものになる可能性があります。
今回の戦略は過去の再現に似ていますが、重要な違いに対応する姿勢が、投資家には求められます。
そして最後の疑問は、「議会がこの流れに協力するのか?」ということです。
マクロETFポートフォリオの最新動向
マクロETFは引き続き好調に推移しており、過去3か月間の市場の変動にもかかわらず、資本を維持するのに役立っています。
過去3か月で私は20%のリターンを達成し、S&P500指数(SPX)を上回るパフォーマンスを記録しています。
(出所:Snowball Analytics)
実際、ここ1か月でかなり多くのポジションを新たに追加し、国際的なエクスポージャーや特定資産クラスへの分散投資を進めました。
そして本日、私はその保有銘柄の一つに対して、さらなる投資(ダブルダウン)を行います。中期的な底打ちがあった可能性が高いと見ているからです。
原油(USO)への再注力
私は、価格下落の途中で原油ポジションを追加し、数週間前にはAMLP ETFを通じてエネルギー分野にもエクスポージャーを取りました。
今回は、その取引を完結させる形で、USOのポジションを倍増させます。
なぜか?
ファンダメンタルズの観点では、原油価格にはすでに多くの「悪材料」――例えば生産拡大など――が織り込まれていると見ています。
しかし、多くの人が見落としている要因があります。
-
地政学的リスクの高まりが原油価格の急騰を引き起こす可能性があること
-
AIの開発には、今後さらに多くのエネルギーが必要になること
こうした理由から、私はコモディティ全体に対して依然として強気です。
さらに、テクニカルな観点でも、原油は底打ちした可能性が示唆されています。
4時間足チャートでは、RSIに明確な強気のダイバージェンスが見られ、MACDもゴールデンクロスが間近に迫っています。
本日の取引開始とともに、20EMAを上抜ける展開が予想されます。
日足チャートにおいても、強気クロスが間もなく発生しそうで、ダブルボトムが形成されたように見受けられます。
まとめ
トランプ氏の第2期政権の政策は、1970年代のニクソン氏が用いた関税、減税、金融圧力という組み合わせに似ています。しかし、ひとつ大きく異なるのは、政府支出の大幅な削減が提案されている点です。この財政引き締めの姿勢に加えて、落ち着いたエネルギー価格と再生可能エネルギーの拡大が、スタグフレーションの再来を防ぐ可能性があります。
🚀お気に入りのアナリストをフォローして最新レポートをリアルタイムでGET🚀
ジェームズ・ フォード氏はマクロ経済、並びに、注目のテクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、プロフィール上にてフォローしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
加えて、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。
そのため、フォード氏のテクノロジー関連銘柄やマクロ経済に関する最新レポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います!
加えて、フォード氏は下記の4つのポートフォリオを運用しており、各ポートフォリオに関する下記の詳細なレポートも定期的に執筆しておりますので、インベストリンゴのプラットフォーム上より併せてご覧いただければと思います。
1️⃣ YOLOポートフォリオの詳細
2️⃣ EOW(エンド・オブ・ザ・ワールド)ポートフォリオの詳細
・ EOW(エンド・オブ・ザ・ワールド)ポートフォリオとは?
3️⃣ スイングポートフォリオの詳細
4️⃣ マクロETFポートフォリオの詳細
アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
📍米国マクロ経済&テクノロジー担当
フォード氏のその他のテクノロジー関連銘柄やマクロ経済のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、フォード氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。