ゼネラル・モーターズ(GM)自動運転部門「Cruise(クルーズ)」への突然の資金提供の打ち切りを発表!
ウィリアム・ キーティング- 本稿では、注目の米国自動車関連銘柄であるゼネラル・モーターズ(GM)の自動運転部門「Cruise(クルーズ)」への資金提供の停止に関して詳しく解説していきます。
- 2024年12月10日、GMは「Cruise」への資金提供を停止し、先進運転支援システム(ADAS)の開発に注力する方針を発表しました。
- 過去8年間で約100億ドルを投資したにもかかわらず、GMはロボタクシー市場から撤退し、技術の他社売却も検討していません。
- GMは自動運転技術の追求を継続すると強調し、交通の円滑化や安全性向上などの利点を顧客に提供することを目指しています。
ゼネラル・モーターズ(GM)自動運転部門「Cruise(クルーズ)」への資金提供の停止を発表
2024年12月10日、ゼネラル・モーターズ(GM)はプレスリリースにて、同社の自動運転部門「Cruise(クルーズ)」への資金提供を打ち切ることを発表しました。
(原文)DETROIT – General Motors (NYSE: GM) plans to realign its autonomous driving strategy and prioritize development of advanced driver assistance systems on a path to fully autonomous personal vehicles. GM will build on the progress of Super Cruise, the company’s hands-off, eyes-on driving feature, now offered on more than 20 GM vehicle models and currently logging over 10 million miles per month.
(日本語訳)デトロイト発 – ゼネラル・モーターズ(NYSE: GM)は、自動運転戦略を見直し、完全自動運転の個人向け車両の実現を目指しながら、先進運転支援システム(ADAS)の開発を優先する方針を発表しました。同社は現在、20車種以上に搭載され、毎月1,000万マイル以上の走行実績を記録しているハンズオフ・アイズオン型運転支援機能「Super Cruise」を基盤に、さらなる進化を目指していきます。
このプレスリリースは実に巧妙に書かれています。最初の段落を読んだだけでは、自動運転技術が順調に進んでいるように思えるかもしれません。しかし、次の段落を読むと状況が一変します。
(原文)GM intends to combine the majority-owned Cruise LLC and GM technical teams into a single effort to advance autonomous and assisted driving. Consistent with GM’s capital allocation priorities, GM will no longer fund Cruise’s robotaxi development work given the considerable time and resources that would be needed to scale the business, along with an increasingly competitive robotaxi market.
(日本語訳)GMは、過半数出資するCruise LLCとGMの技術チームを統合し、自動運転および運転支援技術の開発を一体化して進める計画です。また、資本配分の優先順位に基づき、事業拡大に多大な時間と資源が必要なうえ、競争が激化しているロボタクシー市場の現状を踏まえ、Cruiseによるロボタクシー開発への資金提供を終了する方針を発表しました。
ここで事態がはっきりしてきます。GMは、ロボタクシー市場で事業を拡大し採算性を確保するには、膨大な時間とリソースが必要だと判断し、この市場から手を引く決断をしました。
GMのCruise部門は、2016年にCruise Automationというスタートアップを買収して誕生しました。
それから8年が経ち、推定で100億ドルを投資したGMは、わずか1年前まで米国の自動運転企業トップ3に入ると考えられていたにもかかわらず、この市場から撤退する決断を下しました。それだけでなく、技術を他社に売却する様子もありません。撤退に際し、Cruiseに対して礼儀として述べられた評価がこちらです。
(原文)Cruise has been an early innovator in autonomy, and the deeper integration of our teams, paired with GM’s strong brands, scale, and manufacturing strength, will help advance our vision for the future of transportation
(日本語訳)Cruiseは、自動運転分野における先駆的な存在であり、今回のチームのさらなる統合により、GMの強力なブランド力、事業規模、製造力と相乗効果を生み出し、未来の輸送ビジョンの実現に一歩近づけると考えています。
さらに不可解なのは、GMのプレスリリースが、自動運転への取り組みを改めて強調する形で締めくくられている点です。
(原文)“As the largest U.S. automotive manufacturer, we’re fully committed to autonomous driving and excited to bring GM customers its benefits – things like enhanced safety, improved traffic flow, increased accessibility, and reduced driver stress,” said Dave Richardson, senior vice president of software and services engineering”
(日本語訳)「私たちは米国最大の自動車メーカーとして、自動運転技術の実現に全力で取り組んでいます。その利点をGMのお客様に提供できることを楽しみにしています。具体的には、安全性の向上、交通の円滑化、利便性の向上、そして運転時のストレス軽減といったものです」と、ソフトウェアおよびサービスエンジニアリング担当上級副社長のデイブ・リチャードソン氏は述べています。
GMが未来の輸送に向けたビジョンを推進するために8年と100億ドルを費やした結果としては、あまり良い成果とは言えません。では、GMの自動運転戦略は何がうまくいかなかったのか、そしてなぜ今が撤退のタイミングなのでしょうか?次章にて詳しく解説していきます。
※続きは「ゼネラル・モーターズ(GM)自動運転部門「Cruise(クルーズ)」への資金提供停止の理由とは?」をご覧ください。
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アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング
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