やや強気ギットラブギットラボ(GTLB)最新の2024年3Q決算速報&まとめ:競合他社分析と今後の株価見通し・将来性(Gitlab)
- ギットラボ(GTLB)は、ソフトウェア開発者にセキュリティと運用デプロイ技術を提供するテクノロジー企業である。
- 同社は2023年12月4日に2024年第3四半期決算を発表しており、継続的な売上高の成長を実現しており、足元のバリュエーションも妥当と思われる水準にある。
- 以上を踏まえて、私は同社株式に対して「強気」に見ている。
ギットラボ (GTLB)について
ギットラボ (GTLB)は12月4日、2024年第3四半期決算を発表し、売上高とコンセンサス利益の予想を上回った。
同社は、世界中のソフトウェア開発者向けに大規模なDevSecOpsプラットフォームを運営している。
トップラインの売上高の成長は続いており、営業費用は横ばいとなっている。
また、同社は合理的なバリュエーション水準であり、アップサイドも期待出来ることから、私の同社に対する短期的見通しは「強気」である。
ギットラボ (GTLB)の概要と市場
同社は2011年に設立され、包括的なDevSecOpsプラットフォームを提供している。
ソフトウェア・コラボレーションを支援するオープンソース・プロジェクトとして始まった同社は、ソフトウェア・デリバリーの効率、セキュリティ、コンプライアンスを強化するプラットフォームとして数百万人に利用されるまでに成長している。
同社は、オープンソース、DevSecOps、反復型開発に焦点を当て続けている。
同社のCEOは、共同創業者の一人であるSid Sijbrandijである。
また、同社が提供するソフトウェアとサービスは以下の通りである。
DevSecOpsプラットフォーム
セキュリティ・コンプライアンス・ソリューション
ソフトウェア自動化ツール
ソースコードのデプロイと管理サービス
インフラ自動化サービス
システム統合ソリューション
MarketsAndMarketsの2023年市場調査報告書によると 、DevOpsの世界市場は2023年に推定104億ドルで、2028年には255億ドルに達すると予測されている。
これは、2023年から2028年までの予想CAGR(年間平均成長率)が19.7%であることを示している。
この予測成長の主な理由としては、企業がオンプレミスのレガシーシステムからクラウドベースのアプリケーションへの歴史的な移行を続けているため、より迅速なアプリケーション開発とデリバリーを求める企業からの継続的な需要が挙げられる。
また、下図に示すように、北米地域が市場シェアで世界最大の市場規模を占めることになる。
一方で、同社の主な競合他社やその他の業界参入企業は以下の通りである。
Microsoft/GitHub
Atlassian
IBM
Micro Focus
Puppet
AWS
Oracle
CollabNet
Rackspace
Perforce
HashiCorp
OpenMake
Others
ギットラボ (GTLB)の最近の財務動向
四半期別の総売上高(青色の線:Total Revenue)は目覚ましい成長を続けている。
四半期別の営業利益(赤色の線:Operating Income)は大幅なマイナスで推移しているが、直近の四半期ではブレークイーブンに向けて若干前進している。
四半期別売上総利益(赤色の線:Gross Profit)は総売上高とともに成長を続けている一方で、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses, Total)は足元頭打ちとなっていることが分かる。
希薄化後1株当たり利益(赤色の線:EPS)は、米国国税庁とオランダ税務当局による2億5,400万ドルの一時的な税金が課されたため、急激にマイナスに落ち込んでいる。
(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)
また、過去12ヶ月で同社の株価は40.9%上昇したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー・ソフトウェアETF (IGV)の上昇率は53.1%となっている。
ギットラボ (GTLB)のバリュエーションとその他の指標
以下は、同社に関連するバリュエーションの表である。
(出典:FinChat.io)
成長、利益、フリー・キャッシュ・フローに余裕のある前提を用いたDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)に基づくと、同社の株価は、現在の57ドルに対し、約64.6ドルと算出され、現在約13%程度過小評価されている可能性があることが分かる。
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率とEBITDA成長率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長とEBITDAの軌道に乗っていることを示すものである。
そして、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第3四半期決算時点で35%であったため、同社はこの点でかなり良好な業績を上げていることも分かる。
ギットラボ (GTLB)に関するコメント
アナリストとの直近の決算電話会議において、経営陣は、主に同社のDevSecOpsプラットフォームの採用拡大による前年同期比32%の大幅増収という好調な四半期の結果を強調した。
また、セキュリティ&ガバナンス、AI、エンタープライズ・アジャイル・プランニングといった主要分野への戦略的投資に焦点が当てられた。
さらに、24年度第3四半期の営業キャッシュ使用額は600万ドルで、前年同期の120万ドルから増加した。
今後の見通しとして、経営陣は売上高ガイダンスを発表し、2024年会計年度第4四半期の総売上高は1億5,700万ドルから1億5,800万ドル、2024年会計年度通年の売上高は5億7,300万ドルから5億7,400万ドルで、成長率は20%台半ばになると予想した。
また、独自のシングルテナント型SaaSソリューションであるGitLab Dedicatedの導入は、アジア太平洋地域の大手通信会社を含むグローバルな顧客から注目を集めているとのことである。
同社の現在の焦点は、プラットフォームのセキュリティとガバナンス機能の強化、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通してのAIの統合、非技術系ユーザーを対象としたエンタープライズ・アジャイル・プランニングの導入という3つの主要分野における戦略的拡大を示している。
このアプローチは、顧客ベースの多様なニーズに対応し、進化するという同社のコミットメントを強調している。
同社は、アトラシアン(Atlassian)の変化による市場のシフトもあり、エンタープライズ・アジャイル・プランニングにおいて大きな成長の可能性を見ている。
また、プラットフォーム全体にジェネレーティブAIを統合したことで、生産性とセキュリティが強化され、顧客から好評を得ている点にも触れている。
同社は、強力なパートナーシップと機能の差別化により、アトラシアン(Atlassian)やマイクロソフトなどの競合他社に対して有利なポジションを確保し、競争力学をうまく乗り切っているように見える。
以上より、継続的な成長軌道、営業損失の縮小、足元の妥当なバリュエーションに基づき、私は同社株式に対して「強気」に見ている。