【高配当】ハリバートン(HAL)配当推移と将来性分析:予想配当利回り3.31%・配当性向24%・配当金0.17ドル
- 本稿では、注目の米国上場高配当株であるハリバートン(HAL:予想配当利回り3.31%・配当性向24%・1株当たり配当金0.17ドル)の2025年4月22日に発表された最新の2025年度第1四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- ハリバートンは米国テキサス州に本社を置く世界有数の油田サービス企業であり、北米市場に強みを持ち、高度な掘削技術と安定した配当政策で知られています。
- 直近の決算では粗利益率やROICなどの財務指標が好調で、特にWACCを大きく上回る資本効率を維持し、自社株買いとEPS成長で株主価値を高めています。
- 現在の株価は割安水準にあり、配当利回りも3.31%と高水準であることから、長期的な収益成長とバリュー投資の観点から注目される銘柄です。
ハリバートン(HAL)の概要
セクター:石油・ガス
現在の株価:20ドル
時価総額:177億5,000万ドル
過去5年間の配当成長率:8.40%
前回配当落ち日:2025年3月5日
前回配当支払い日:2025年3月26日
予想配当利回り:3.31%
過去5年間の売上高成長率:4.90%
過去10年間の売上高成長率:-2.60%
関連用語
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ハリバートン(HAL:予想配当利回り3.31%・配当性向24%・1株当たり配当金0.17ドル)は、テキサス州ヒューストンに本社を構える、世界有数の油田サービス企業です。特に北米市場において圧倒的なシェアを誇り、水圧破砕や坑井完了サービスといった分野で強みを持っています。また、掘削流体や方向性掘削など、素材科学を活かした高度な技術力でも優位性を発揮しています。
配当面では、年4回の定期配当を維持しつつ、現在の配当利回りは3.31%と3年ぶりの高水準です。配当性向も24%と健全で、今後の増配余地も十分にあります。総じてハリバートンは、高い技術力と資本効率、安定した配当政策を併せ持ち、バリュー株としての魅力を備えたエネルギーセクターの代表的な銘柄となっています。
そして、同社は2025年4月22日に2025年第1四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
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ハリバートン(HAL)の最新の2025年度第1四半期決算発表に関して
ハリバートン(HAL)は、2025年4月22日に発表された最新の2025年度第1四半期決算において、一時的要因を除いた1株当たり利益(EPS)を0.60ドルと報告しました。これは前四半期の0.70ドルおよび前年同期の0.76ドルからの減少です。希薄化後EPSは0.24ドルで、前四半期の0.70ドルおよび前年同期の0.68ドルを大きく下回りました。1株当たり売上高は、2024年第4四半期の6.419ドルおよび2024年第1四半期の6.514ドルから若干減少し、6.255ドルとなりました。
過去5年間において、同社の年間EPS(非経常項目除く)は年平均成長率(CAGR)32.30%という力強い伸びを示していますが、過去10年間のCAGRは0%で停滞しています。そして、業界予測によれば、油田サービス市場は今後10年間で年平均5.5%程度の成長が見込まれています。
今期の同社の粗利益率は38.29%であり、過去5年間の中央値である16.32%を大きく上回り、過去10年間で最も高い水準となりました。同社は積極的な自社株買いを実施しており、過去1年間の自社株買い比率は2.60%で、既発行株式のうち2.60%が買い戻されたことを意味します。この戦略により、売上の伸びが限定的な中でもEPS水準を維持することに貢献しています。
但し、過去10年間の自社株買い比率は-0.40%であり、この期間中にネットで新株発行が行われたことを示しています。一方で、過去5年間ではわずかにプラスの0.10%となっています。
今後の見通しとして、アナリストは同社の翌会計年度のEPSが2.311ドルに達し、その翌年には2.771ドルまで成長すると予測しています。売上高も堅調な成長が見込まれており、2025年には219億6,407万ドル、2027年には230億9,259万ドルに達する見通しです。
次回の決算発表は2025年7月18日が予定されており、同社の今後の軌道や、市場の変動する環境下における収益性向上に向けた業務戦略の有効性がさらに明らかになると見込まれます。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ハリバートン(HAL)の財務パフォーマンスに関して
ハリバートン(HAL)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社はROICがWACCを一貫して上回っていることからも分かるように、優れた財務実績と効果的な資本配分を示しています。過去5年間における同社のROICの中央値は13.86%であり、同期間のWACCの中央値13.31%を大きく上回っており、企業価値を創出していることを示しています。さらに直近では、同社のROICは36.34%に達しており、現在のWACCが8.37%であることから、経済的価値を大きく創出できていることが明らかです。
ROICとWACCの間にこれほど大きな差があることは、同社が資本を有効に活用し、資本コストを上回るリターンを生み出していることを示しています。この資本配分の効率性は、株主資本利益率(ROE)にも表れており、過去5年間の中央値は24.93%、現在のROEは20.66%と、一般的な株主資本コストを大きく上回っています。
同社は、高いリターンが見込めるプロジェクトへの戦略的な集中と効率的な資本管理により、強固な収益性と株主価値の創出を実現しています。総じて、同社の財務指標は、同社が強い経済的価値を生み出しており、健全な投資判断を下していることを示しています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ハリバートン(HAL)の配当に関して
直近の四半期において、ハリバートン(HAL)は1株当たり配当金(DPS)を0.17ドルに据え置き、安定した配当方針を維持しています。同社の予想配当利回りは3.31%であり、過去の中央値である1.68%と比較しても魅力的な水準となっています。この配当利回りは業界内でも競争力があり、投資家にとって安定したインカム収入源を提供しています。
過去3年間における同社の配当成長率は55.70%と力強く、また配当性向が24.0%と低水準であることから、今後も増配の余地が十分にあると考えられます。ただし、今後3〜5年間の予想配当成長率は4.41%と、やや穏やかなペースが見込まれています。
同社のEBITDA有利子負債倍率は2.01であり、リスク水準としては中程度に分類されます。この数値は、財務リスクが低いとされる水準をやや上回っているため、一定の注意が必要です。
以上より、配当の安定性と中程度の財務レバレッジを踏まえると、同社は今後も株主への利益還元を継続しつつ、健全な財務運営を維持していける体制にあると考えられます。
予想配当利回り:3.31%
配当性向:24%
配当カバレッジ・レシオ:3.51倍
過去5年間の配当成長率: 8.40%
EBITDA有利子負債倍率:2.01倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ハリバートン(HAL)のバリュエーションに関して
ハリバートン(HAL)の現在の株価は20.65ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である36.94ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が44.1%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。
予想株価収益率(PER)は8.21、直近12か月の株価収益率(TTM PER)は8.64であり、いずれも過去10年間の中央値である16.88を大きく下回っています。このような低い収益倍率は、市場環境が好転した場合に株価上昇の余地があることを意味している可能性があります。
その他の主要指標を見てみると、直近12か月の株価売上高倍率(TTM PSR)は0.81であり、過去10年間の中央値1.39よりも大幅に低く、10年の最低値である0.20に近い水準に位置しています。これは、売上高に対しても株価が割安であることを示しています。
また、直近12か月のEV/EBITDA倍率は5.77で、10年の中央値である8.54を大きく下回っており、株価が過小評価されているという見方をさらに裏付けています。同様に、直近12か月の株価純資産倍率(TTM PBR)は1.72で、10年中央値の3.41を大きく下回っています。
これらの指標を総合的に見ると、同社の株価は過去の評価水準に比べて低く、バリュー投資家にとっての投資機会となり得る可能性があることが示されています。
一方で、市場のアナリストの評価はやや慎重になっており、目標株価が最近引き下げられる動きが見られますが、それでも現在のコンセンサスは30.29ドルであり、依然として現時点の株価を大きく上回っています。これは、市場が保守的な見方をしていることを反映しています。
このように、低水準のバリュエーション倍率と大きな安全余裕率を踏まえると、将来的に業績がアナリストの予測通り、あるいはそれ以上となった場合には、エネルギーセクターでの投資機会として同社は魅力的な候補となるかもしれません。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ハリバートン(HAL)のリスクとリターンに関して
ハリバートン(HAL)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、同社は、リスク面で一長一短のある企業です。懸念点としては、直近3か月間で206,782株のインサイダー売却が行われており、これは今後の業績見通しに対する懸念を示唆している可能性があります。また、アルトマンのZスコアは2.31であり、財務的なストレスが中程度にあることを示しており、慎重な姿勢が求められます。加えて、過去1年間における売上高成長の鈍化は、今後の力強い財務パフォーマンスの維持に課題がある可能性を示しています。
一方で、同社には投資家にとって魅力的な財務指標もいくつか存在します。ベニッシュのMスコアは-2.86であり、利益操作の可能性が低いことを示しており、コーポレート・ガバナンスの観点から安心感があります。また、営業利益率の拡大は、効率性と収益性の向上を意味しています。
株価バリュエーション指標も魅力的です。PER(株価収益率)は8.72、PBR(株価純資産倍率)は1.73と、いずれも過去の水準と比較して低めであり、割安感があることから買いのチャンスと捉えることもできます。さらに、配当利回りも過去3年間での高水準に近づいており、インカムゲインを重視する投資家にとっても魅力的です。
総じて、同社は一部に財務的なストレスを抱え、インサイダー売却が懸念材料ではあるものの、割安な評価と業務効率の改善によって、リスクを受け入れる意欲のある投資家にとっては上昇余地のある銘柄といえるでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ハリバートン(HAL)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去1年間において、ハリバートン(HAL)ではインサイダーによる売却が顕著に見られ、それに対応する買いの動きは確認されていません。直近12か月間で記録されたインサイダー売却取引は11件にのぼり、そのうち4件が過去6か月間、さらに4件が直近3か月間に行われています。このような傾向は、同社の取締役や経営陣が一貫して株式を売却している姿勢を示しており、現在の株価が利益確定の好機であると考えている可能性を示唆しています。
但し、インサイダーの株式保有率は0.87%と比較的低い一方で、プロの機関投資家の保有率は85.08%と非常に高くなっています。この乖離は、同社株に対する市場での影響力が主に機関投資家にあることを示しており、インサイダー売却があっても株価の安定が保たれている要因となっている可能性があります。
しかし、インサイダーによる買いが見られないことは、同社の短期的な見通しや株価のバリュエーションに対して、社内の関係者が慎重な見方をしていることを示しているとも受け取れます。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
ハリバートン(HAL)の流動性に関して
ハリバートン(HAL)は、強固な流動性プロファイルを示しています。直近営業日の取引量は9,364,560株であり、これは過去2か月間の平均取引量である14,307,485株と比較しても高水準にあります。この数値は2か月平均の約65.5%に相当し、同社が活発に取引されており、健全な流動性を維持していることを示しています。
また、同社のダークプール指数(DPI)は57.05%であり、これは取引のうち伝統的な取引所を通さずに執行された割合を示しています。DPIが50%を上回っていることは、多くの取引がダークプールで行われていることを意味しており、機関投資家が市場への影響を最小限に抑えつつ、より良い価格で大口取引を実行している可能性を示唆しています。
このようなダークプールでの活発な取引は、機関投資家による強い関心や戦略的なポジション調整を示している可能性があり、流動性や価格の安定性に影響を与える要因となり得ます。
総じて、同社の流動性は非常に良好であり、高い日次取引量とダークプールでの積極的な取引に支えられています。このような状況により、トレーダーや投資家はスリッページ(価格ずれ)を最小限に抑えつつ、スムーズにポジションの出入りを行うことが可能です。また、活発な取引環境は効率的な価格発見にも寄与しており、高いDPIは同社株に対する機関投資家の積極的な市場参加を示しています。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
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