05/19/2024

中立
IBM
中立
同社の現在の株価である169.03ドルは、弊社算出の一株当たり本質的価値である145.69ドルを上回っており、同社の株価が割高である可能性を示している。
IBM / 予想配当利回り4% / 中立 / 配当貴族:最新の2024年1Q決算速報・強み(優位性)分析と今後の株価見通し・将来性

black and brown wooden building under blue sky during daytimeイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • IBM(IBM:予想配当利回り3.96% / 配当性向67%)は、主にソフトウェア、ITサービス、コンサルティング、ハードウェアと幅広いサービスを提供しているテクノロジー企業である。
  • そして、同社は2024年4月24日に2024年第1四半期決算を発表している。 
  • また、同社は過去25年間以上連続して増配を続けており、米国株配当貴族の一角を担っている。

IBMの概要

セクター:ソフトウェア

現在の株価:169ドル

時価総額:1552.7億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:145.69ドル

安全マージン:-16.01%

過去5年間の配当成長率:1.20%

直近配当落ち日:2024年5月9日

次回配当支払い日:2024年6月10日

予想配当利回り:3.96%

過去5年間の売上高成長率:-3.30%

過去10年間の売上高成長率:-3.90%

IBM(IBM)は、主にソフトウェア、ITサービス、コンサルティング、ハードウェアと幅広いサービスを提供しているテクノロジー企業であり、企業のITニーズのあらゆる側面の一部となることを目指している。

同社は170カ国以上で事業を展開し、約35万人を雇用しており、また、5,200のクライアント(フォーチュン500社の95%が含まれる)にサービスを提供する80,000のビジネス・パートナーから成る強固なネットワークを有している。

同社はB2B企業であるが、同社の対外的な影響力は相当なものであると言える。

例えば、同社は全世界のクレジットカード取引の90%を管理し、全世界のワイヤレス接続の50%を担っている。

そして、同社は2024年4月24日に2024年第1四半期決算を発表している。 

また、同社は過去25年間以上連続して増配を続けており、米国株配当貴族の一角を担っている。

IBMの収益と成長に関して

IBM(IBM2024年第1四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは、2023年第4四半期の3.87ドルに対し、1.68ドルと減益を報告しており、これは同社の業績に懸念を抱かせる内容であると言える。

加えて、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は-8%で、過去10年間の年平均成長率は-7%となっていることからも、同社は長期的な成長の維持に課題を抱えているように見える。

また、同社の過去の財務レバレッジの程度は比較的高く、事業を運営する上での資金を負債に依存していることを示している。

高いレバレッジは財務リスクを増大させ、今後の投資機会を制約する可能性があるため、これは同社の将来の成長能力を制限する可能性があると言える。

結論として、IBMの最近の業績動向は、収益性の低下という懸念すべきトレンドを反映しており、また、継続するマイナス成長と高い財務レバレッジからも、同社は持続可能な成長を達成する上で困難に直面している可能性がある。

IBMの配当に関して

IBM(IBM)は過去数年間、安定した配当の伸びを示してきた。

過去5年間の同社の配当成長率は1.20%で、過去3年間の配当成長率は0.60%となっており、これは株主への配当が一貫して増加していることを示している。

また、同社の予想配当利回りは3.96%で、このセクター内では競争力のある水準である。

さらに、同社のEBITDA純有利子負債倍率は4.24倍と財務面でのリスクが高いことを示しており、今後の同社の経営、並びに、継続した配当の支払いに影響を与える可能性がある。

一方で、直近の四半期に、同社は1株当たり配当金(DPS)として1.67ドル(2024年6月10日支払い)を発表している。

そして、同社は過去25年間以上連続して増配を続けており、米国株配当貴族の一角を担っており、今回の支払い額の水準も、これまでの一貫した配当支払いに続くものである。

全体として、IBMの配当支払いの成長軌道はポジティブであり、定期的かつ増配を通じて株主に報いるという同社のコミットメントを反映していると言える。

やや高水準の純有利子負債対EBITDA比率は気になるところだが、同社の配当実績は同セクターと比較しても良好で、安定性と持続的な成長の可能性を示しているように見える。

予想配当利回り:3.96%

配当性向:67%

配当カバレッジ・レシオ:1.33

過去5年間の配当成長率: 1.20%

EBITDA純有利子負債倍率:4.24倍

IBMのバリュエーションに関して

IBM(IBM)の現在の株価である169.03ドルは、弊社算出の一株当たり本質的価値である145.69ドルを上回っており、同社の株価が割高である可能性を示している。

また、実績PERは19.14となっており、市場が同社の利益の1ドルごとに19.14ドルを支払うことを望んでいることを示唆している。

さらに、株価売上高倍率は2.5倍となっており、投資家が同社の売上高1ドルにつき2.5ドルを支払う意思があることを示している。

加えて、EV/EBITDA倍率は13.41倍となっており、同社がEBITDAの13.41倍の倍率で取引されていることを意味する。

そして、現在の上述のバリュエーション指標を5年平均、10年平均と比較すると、いずれも過去の水準よりも高く、同社の株価が割高である可能性を示唆している。

一方で、業界平均と比較すると、同社の株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率は業界標準と一致しており、これらの指標に基づくと株価が業界水準並みで公正に評価されていることを示している。

IBMのリスクとリターンに関して

IBM(IBMのリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい

まずマイナス面では、同社の低税率は短期的には収益を押し上げるかもしれないが、持続不可能な可能性がある。

さらに、過去5年間の1株当たり売上高の減少は懸念すべき傾向である。

一方でプラス面では、ピオトロスキーのFスコアが7で健全な財務状況を示し、ベニッシュのMスコアは-2.77で同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆している。

加えて、同社の実績PERは19.14倍と3年ぶりの低水準である18.22倍に近い水準となっている。

最後に、アルトマンZスコアは3.1と強く、倒産リスクが低いことを示している。

以上より、上記の内容からも、IBMには売上高の減少や一時的な低税率等の一定のリスク要因が存在する一方で、強固な財務体質等のポジティブな要因も確認されており、プラス面とマイナス面が入り混じった内容となっていると言える。

IBMのインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去12カ月間のIBM(IBM)のインサイダーによる同社株式の取引は限定的で、インサイダーによる同社株式の買い付けはなく、インサイダーによる同社株式の売却は1件のみとなっている。

これは、同社の取締役および経営陣が積極的に自社株を売買していないことを示している。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずかに0.31%である点にはご留意いただきたい。

一方、機関投資家の保有比率は35.34%と比較的高く、同社株式の売買において機関投資家の存在感が大きいことを示している。

以上より、インサイダーによる売買が低水準であることは、インサイダーによる売買が同社株価に与える影響が限定的であることを示唆している。

一方で、機関投資家の保有比率が高いことは、機関投資家が同社に潜在的な価値を見出していることを示している可能性がある。

そのため、投資家はIBMへの投資判断を下す際には、他の財務指標や市場動向とともにこれらの要因を考慮する必要があるだろう。

IBMの流動性に関して

IBM(IBM)の直近営業日の1日当たりの出来高は2,949,576株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は4,171,756株となっており、同社株式が一定の流動性を保持していることを示している。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は58.53%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。

全体として、IBMの流動性は健全で、取引量は多く、また、ダーク・プールで取引される比率も比較的高水準にあることからも、同社株式は流動性の高い有望な投資対象であるように見える。