インテル / INTC:半導体・AI銘柄の最新の2023年第4四半期決算分析と今後の株価見通し・将来性 - Part 3
ウィリアム・ キーティング- 消費者はホリデーシーズンに買い物をする傾向があることから、季節性は主にクライアント事業に影響し、サーバー事業には影響しない。
- インテル(INTC)の第4四半期から第1四半期にかけての季節性は様々であるが、足元の決算を踏まえると、最近の推移では緩やかな減少が見られ、同社の予想とは対照的である。
- データセンター&AI(DCAI)事業は、IDM 2.0への移行など他の分野での進展にもかかわらず、過去3年間で大幅な売上高の減少に直面し、インテル全体の業績に影響を及ぼしている。
※「インテル / INTC:半導体・AI銘柄の最新の2023年第4四半期決算分析と今後の株価見通し・将来性 - Part 2」の続き
インテルの季節性に関して
はじめに、インテル(INTC)季節性に関して言えば、これは主にクライアント事業に適用されるものであり、サーバービジネスには適用されないことに注意することが重要である。
ホリデーシーズンだからといって、クラウドやエンタープライズの顧客がサーバーを購入することはない。
逆に、消費者はホリデーシーズンに、新しいコンピューターに買い換える可能性が高い。
毎年下半期にPCの売上を押し上げるもう一つの重要な要因がある。
それは、進学シーズンである。
決算説明会におけるQ&Aセッションの最初の質問に対するゲルシンガーCEOの回答では、第4四半期から第1四半期にかけての季節性は3-20%ダウンになる可能性があるということである。
これは技術的には正しいが、同時に誤解を招くもであると考える。
パンデミックやパンデミックからの回復の結果等、特別な状況が発生していない直近の第4四半期から第1四半期への移行の例を見る場合には、2019年度第4四半期から2020年度第1四半期となる。
この場合、前四半期比の減少率は1.8%であった。
この1.8%は低い方かもしれないが、今回のインテルの(非中核事業調整後の)13.7%減の見通しとは大違いである。
要するに、これは通常の季節性ではない。
ではインテル内部では何が起こっているのか?
私は下記の2つが理由であるように思える。
- インテルは前四半期にチャネルに製品を詰め込みすぎ、現在は消化段階にある。したがって、24年度第1四半期の受注は少ない。
- インテルDCAI事業は引き続き苦戦しており、24年度第1四半期も前四半期比で減収となる可能性が高い。ちなみに、DCAIの売上高は23年度第2四半期に43億ドル、第3四半期に42億ドル、第4四半期に再び40億ドルに減少した。また、この第4四半期の結果は前年同期比10%減である点にはご留意いただきたい。
2023年はサーバー部門にとって落ち込みの年であり、台数ベースでは前年比10%前後の減少になると思われる。
しかし、サーバー市場は年後半に回復し始めていたことから、第4四半期はDCAIの業績が回復すると予想していた人もいるかもしれない。
スライドでは、CPU TAMの縮小、継続的な競争圧力、PSGの在庫調整が減少の原因として挙げられている。
私としては、TAM(獲得可能な最大市場規模)の縮小がどこから来ているのかはわからない。
しかし、競争圧力がAMDから来ていることは間違いない。
DCAI事業に何が起きているのかを理解するためには、一歩下がって過去3年間に何が起きていたのかを明確に把握する必要がある。
そして、インテルの最新の10-Kファイリングを見てみると、DCAI事業の売上高(Revenue)は2021年の228億ドルから2023年にはわずか155億ドルにまで激減していることがわかる。
わずか3年で32%もの減少である。
下記のグラフの通り、営業利益(Operating Income)も同様の傾向にあることが分かる。
もちろん、インテルのDCAI事業の問題は、何年にもわたって指摘されてきた。
私も、2018年5月にこの件について触れている。
ここでのポイントとしては、DCAI事業がアンダーパフォームを続けていることであり、その傾向は2024年以降も続くと見ている。
また、DCAI事業は、予想外に大きかった24年度第1四半期の下方修正に大きく影響していると考えている。
ゲルシンガーCEOは決算説明会の冒頭で次のように述べている。
「第4四半期は、IDM2.0変革に向けた大きな前進を遂げた1年の集大成となりました。プロセスのリーダーシップを再構築する計画を一貫して実行し、生産能力とファウンドリー計画をさらに強化し、製品の実行力を大幅に向上させ、製品セグメント全体にわたってあらゆる場所にAIを導入するというミッションを実行に移し始めました。」
これらの発言はすべて事実かもしれない。
しかし、巨大な成長市場に参加する最大の機会であるDCAIグループの業績を単純に見れば、彼が話しているような驚異的な進歩は、必ずしも利益に結びついていない。
それどころか、逆効果になっているようにさえ見える。
では、決算発表後の株価に表れているように、市場の投資家は過剰反応したのだろうか?
一投資家として、インテルの発言に対する私の考えは以下の通りである。
通期予想は公表されず、各四半期の業績が前四半期比で改善するという情報のみが共有されている。これに加え、第1四半期の127億ドルという予想に基づくと、通年ではゼロ成長もしくは低成長となる可能性があると見ている。そして、これはTSMの20%半ばの成長予測とは非常に対照的な内容である。
外部ファウンドリ(TSM)の長期的な継続の使用に関して。インテルがプロセス・ノードのリーダーシップを取り戻そうとしていると主張する中で、最先端の製造を社内に戻すというトピックに関する素晴らしい質問に対して、ゲルシンガー氏は次のように回答している。
「全体として、私たちのロードマップはプロセス技術面でしっかりしていると自信を持っています。私たちは外部のファウンドリーを使用していますが、これは明らかに、プロセス競争力に関する私たち自身の課題に対処する中で発展したものです。また、この事業にますます注力するようになれば、インテルの工場ネットワークにもっと多くのウェハーが入ってくるでしょう。しかし長期的には、資本要件を補い、管理し、我々のチームが常に業界最高の製品を作り、それを達成するために最高の技術を使うようにするために、外部のファウンドリーを使い続けるつもりです。ですから、全体として、私たちの戦略には大きな手応えを感じています。適切な場合には外部のファウンドリーを活用しながらも、自社工場のネットワークをより活用していくことになるでしょう。」
これは投資家が聞きたかった答えではない。
ケースバイケースで外部ファウンドリーを使う選択肢を持ち続けることは大いに結構である。
しかし、ゲルシンガー氏が主張するように18Aが優れているのであれば、少なくとも、ある特定の日からはTSMCのN3にはもう頼らないと言うことができると見ている。
しかし、彼はそのようなことは言わなかった。
要するに、インテルの決算発表が投資家を怯えさせたのには、それなりの理由があったということである。
ゲルシンガー氏は、インテルのIDM2.0化が極めて順調に進んでいると思っているかもしれない。
しかしながら、過去3年間のDCAI事業の業績の惨状は、そうでないことを強く示唆しているように映る。