04/26/2024

インテル(INTC:Intel)業績不振の理由とは?最新の2024年第1四半期決算分析を通じて将来性に迫る!

Intel computer processor in selective color photographyウィリアム・ キーティングウィリアム・ キーティング
  • 本稿では、インテル(INTC)の4月25日に発表された最新の2024年第1四半期決算分析を通じて、同社の業績不振の理由と将来性を詳しく解説していきます。
  • 最新決算では売上高は127億ドルで前年同期比9%増加したものの、GAAP基準では営業利益が前四半期の黒字から11億ドルの赤字に転じ、見通しも厳しい状況となっています。
  • 主力のクライアントグループはPC市場の回復に伴い成長を見せたが、データセンター事業は依然として低迷しており、AMDとの競争が激化しているため、厳しい展望が続いています。
  • ファウンドリー部門は2024年に厳しい局面が予想され、減価償却費の増加や競争力の低いプロセスノードに依存しているが、2025年以降の新技術移行による収益改善を見込んでいます。

インテル(INTC)の2024年度第1四半期決算に関して

インテル(INTC)の発表した2024年度第1四半期の売上高は127億ドルで、前四半期比17.5%減、前年同期比9%増であった。

過去約2年間、大幅な業績上振れが常態化していたが、今回はギリギリの水準となった。

そして、Non-GAAPベースの売上総利益率は45.1%で、前年同期比6.7ポイント増、ガイダンス比0.6ポイント増となった。

ここまでは良かったが、GAAPの領域に戻ると、事態はそれほどバラ色には見えない。

GAAP基準の営業利益は、前四半期の26億ドルの黒字に対し、11億ドルの赤字となった。

私はファイナンスの専門家ではないが、私でもこれが本当に良くないことだと分かる。

今後の見通しとして、インテルは今四半期の売上高を、前四半期比わずか2.7%増の130億ドルと予想している。

そして、さらに悪いことに、売上総利益率とEPSの両方が前四半期比で減少すると予想されている。

インテルは最終的に、2024年通期の見通しをやや中途半端なものにしたのである。

原文:Forward-looking demand signals in our core markets improved at a measured pace through the first quarter, and we expect to deliver full-year revenue and EPS growth in 2024 with the pace of revenue growth accelerating in the second half.

日本語訳:第1四半期を通じて、当社の主力市場における先行きの需要シグナルは一定のペースで改善しており、 2024年通期の売上高および EPSは増加し、売上高の増加ペースは下半期に加速すると予想しています。

これは、TSMC(TSM)の前年同期比20%超の成長という予想とは対照的である。

インテルが成長率、あるいは成長幅の提示を避けたことは、今年残りの業績に対する自らの自信を物語っている。

当然のことながら、市場はインテルの決算と予測に否定的な反応を示し、株価は時間外取引で8%近く下落した。

2023年初頭の25ドル前後から昨年末には~50ドルまで株価を倍増させるラリーを経験したインテルは、今年に入ってから~30%下落し、現在32.4ドルに位置している。

これは、ちょうど3年前、ゲルシンガー氏がCEOに就任した直後の約67ドルと比較することができる。

そして、今回の決算説明会は、インテルにとって、透明性と説明責任を高めることを目的とした新しい報告体制の下での最初の決算説明会であった。

各報告セグメントの業績を振り返り、質疑応答から得られたいくつかの重要なポイントを紹介し、今後数ヶ月間のインテルの株価の動向についての我々の考察を共有したい。

また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。

私の半導体に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。

インテル(INTC)のプロダクト

インテル(INTC)・プロダクト部門は、基本的にクライアント、サーバー、ネットワーク製品の設計に携わる設計チームで構成されている。

最も高いレベルでは、売上高と売上総利益率はほぼ予想通りであった。

インテルはさらに、プロダクト・グループをクライアント、サーバー、ネットワークに分類しており、ここからが面白くなる。

まずはクライアント・グループ(CCG)から見てみよう。

ここでは、前年同期比が重要である。

売上高は75億ドルで、前年同期の58億ドルから大幅に増加していることがわかる。

これは非常に良い数字に見えるが、23年度第1四半期がPC出荷台数低迷の谷間であったことを考えると、これは本当に比較しやすい数字であったことを念頭に置く必要がある。

とはいえ、クライアント・グループが現在のインテルにとって最も強力なフランチャイズであることは明らかである。

インテルの製品はAMD(AMD)と競争力があり、特にAMDは過去5年間絶え間ない努力を続けてきたが、インテルはノートPCとデスクトップPCの両方で約80%の市場シェアを維持している。

これは素晴らしいことである。

次にデータセンターとAI・グループ(DCAI)を見てみたい。

前年同期比では、売上高がわずか1億ドル増の30億ドルと、はるかに芳しくないことがわかる。

サーバー事業に関しては周期性はほとんどないため、前四半期比で5億ドルの減少は大きな問題である。

これまで何度も議論してきたように、インテルが本当に苦しんでいるのはデータセンターであり、ここしばらくの間、この状況が続いている。

インテルはこの問題を何年も前から知っており、ゲルシンガー社長は決算説明会で、データセンター・グループは2024年に「安定する」と話していた。

原文:And obviously, as we look at our position in the data center, I'll just say we're stabilizing. And with that, we're improving our competitiveness. We also see, as I mentioned in the comments, that the ASPs are going up comfortably as well. So, socket, fairly stable through the year, but the ASP per socket with increased core count, improves our position in, and then new products like Sierra Forest or Xeon Gen 6 product definitely gives us power performance capabilities.

日本語訳:そして明らかに、データセンターにおける我々のポジションを見るにつけ、我々は安定していると言える。それに伴い、競争力も向上しています。また、コメントにも書きましたが、ASP(平均販売価格)も順調に上昇しています。そして、ソケットは年間を通じて比較的安定していますが、コア数が増加することでソケットあたりのASPは私たちのポジションを改善します。そして、Sierra ForestやXeon Gen 6のような新製品は、確実に私たちのパワーパフォーマンス能力を向上させます。

インテルはますます優れたサーバー製品をリリースしているが、AMDも手をこまねいているわけではない。

データセンター分野での競争は特に激しく、我々は2024年までAMDが市場シェアを拡大し続けると予想している。

次に、ネットワーク&エッジ・グループ(NEX)を見てみたい。

こちらは、売上高が前年同期比1億ドル減の14億ドルとなっており、その最大の要因は、通信事業者向け市場の低迷である。

原文:As discussed last quarter, we saw significant declines in the 5G market partially offset by approximately 10% year-over-year growth in our network and edge markets, which we expect to continue to recover through the year.

日本語訳:前四半期に述べたように、5G市場の大幅な落ち込みは、ネットワークおよびエッジ市場の前年比約10%の成長で一部相殺されましたが、これは今年を通じて回復が続くと予想しています。

新セグメント報告モデルの導入に伴い、インテルのファウンドリー部門は厳しい状況になると予想していたが、その通りになっているようである。

売上高は前四半期比で6億ドル減少したが、営業利益(実際には損失)は前四半期比でほぼ倍増し、マイナス25億ドルとなっている。

原文:Intel foundry revenue was $4.4 billion, down 10% year over year on lower back-end services and sample revenue, along with lower IMS tool sales. In addition, wafer volume was modestly higher in the quarter, with ASPs modestly down, driven by pricing for mature nodes. Operating profit declined by approximately $100 million year over year, with lower revenue being partially offset by improved factory utilization.

日本語訳:インテル・ファウンドリーの売上高は44億ドルで、バックエンド・サービスとサンプル売上の減少、IMSツールの売上減少により、前年同期比10%減となりました。加えて、当四半期のウェハー数量は小幅増となり、成熟ノードの価格設定によりASPは小幅減となりました。営業利益は前年同期比で約1億ドル減少しましたが、減収は工場稼働率の改善により一部相殺されております。

今回もサプライズではないが、インテル・ファウンドリーの状況がすぐに改善することを期待しない方が良いと再認識させられる内容である。

原文:The foundry P&L will remain challenged through the year, and we expect operating margins to trough in 2024 as start-up costs associated with five nodes in four years, peak and the P&L absorbs an expected increase of roughly $2 billion in depreciation.

日本語訳:ファウンドリーの損益面は今年いっぱい厳しい状況が続き、4年間で5つのノードを立ち上げることに伴う立ち上げコストがピークに達し、減価償却費が約20億ドル増加すると予想されるため、営業利益率は2024年に谷底に達すると予想している。

なるほど、「2024年のことは忘れてください」ということの様に聞こえるが、その後はどうなるのだろうか?

原文:Beyond 2024, as volume begins to shift toward leadership manufacturing nodes with a competitive cost structure scale improves, including the return of compute tiles to internal process nodes and our efficiency actions begin to flow through the P&L, we expect to see rapid profitability improvement

日本語訳:2024年以降、競争力のあるコスト構造を持つリーダーシップ製造ノードに数量がシフトし始め、コンピュート・タイルの内部プロセス・ノードへの回帰を含め、規模が改善し、我々の効率化措置が損益に反映され始めると、収益性が急速に改善すると予想しています。

この回答は少し曖昧だが、デビッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)の準備発言ではもう少し明確になっている。

原文:We are three years into our transformation, and 2024 represents the steepest part of the climb with five-node and four-year start-up cost peaking and the majority of our volume on pre-EUV process nodes with uncompetitive economics

日本語訳:我々は変革の3年目に入ったが、2024年は5ノードと4年間の立ち上げコストのピークを迎え、経済的に競争力のないEUV以前のプロセスノードの生産量が大半を占めるため、最も険しい上り坂となるでしょう。

非常に興味深い内容である。

一体どのプロセスノードを指しているのだろうか?

その答えは、ゲルシンガー氏から関係のないQ&Aの回答で得ることが出来た。

原文:That said, in terms of the total wafer volume this year, right, it's dominated by Intel 7 and the Intel 4 and 3 wafer volumes become much more prominent next year, and that's what I was communicating on the webinar.

日本語訳:とはいえ、今年の総ウェハー量はインテル7で占められており、来年はインテル4と3のウェハー量がより重要になります。そして、それがウェビナーで私が伝えたことです。

つまり、経済的に競争力のないノードとはインテル7のことである。

ちなみに、これはかつて「10nm Enhanced Superfin」と呼ばれていたもので、5N4Y戦略という呼称でリリースされる5つのノードのうちの最初のものである。

※続きは「インテル(INTC:Intel)注目の半導体銘柄の今後の見通しとは?最新の2024年1Q決算分析を通じて将来性に迫る! 」をご覧ください。

また、その他のインテル(INTC)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、インテルのページにアクセスしていただければと思います。


アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング

📍半導体&テクノロジー担当

キーティング氏のその他の半導体関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、キーティング氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら