12/10/2024

【Part 1】インテル(INTC)パット・ゲルシンガーCEO退任の背景とは?在任期間はわずか1386日と最短の理由とは?

the intel logo is shown on a white cubeダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本稿は、注目の米国半導体企業であるインテル(INTC)のパット・ゲルシンガーCEOの退任と取締役会の詳細と役割、並びに、同社の将来性を詳細に分析した長編レポートとなります。 
  • 本稿は「Part 1:ゲルシンガーCEOの退任の背景」「Part 2:取締役会のメンバーの詳細」「Part 3:取締役会に対する私の見解」「Part 4:取締役会の失態」「Part 5:インテルの将来性」の5つの章で構成されています。
  • そして、本稿【Part 1】では、ゲルシンガーCEOの退任の背景を詳しく解説していきます。
  • インテルのゲルシンガーCEOは、在任期間がわずか1386日で退任(解任)することになりましたが、取締役会が短期的な株主価値を重視しすぎたことが指摘されています。
  • ゲルシンガー氏は技術力に優れ、情熱を持って挑戦的な戦略を推進しましたが、大規模なファウンドリー事業の実現には困難が伴いました。 
  • ゲルシンガーCEO解任はインテルの将来に深刻な影響を与える可能性があり、短期的な視点が企業全体の崩壊を招く危険性が懸念されています。

インテル(INTC)のゲルシンガーCEOの退任に関して

もしこのニュースをご存じない方がいれば、インテル(INTC)のパット・ゲルシンガーCEOが「退任」することになったとお伝えします(詳細はこちら)。

しかし、実際のところ、これは退職ではなく解任であるように見えます(詳細はこちら)。

そして、在任期間はわずか1386日と短く驚くべきものでした。

というのも、インテルの最近の歴代CEOの中で最も技術力に優れた人物でありながら、その中で最も短命だったからです。

もちろん、ゲルシンガー氏も完璧というわけではありません。

UBSのカンファレンスでは、取締役会が彼に対して抱いていた不満が垣間見える場面もありました。

(原文)I'd say, the one thing that has definitely come out of the way the Board is thinking about this is, they do recognize and have pushed us that, hey, we made a lot of investments from a capital perspective in foundry, and we need to start seeing some incremental ROIC on those investments. And so and that's what we're committed to do. That's going to be my -- one of my major focuses, definitely, while I'm CFO or as I'm CFO. But of course, in the interim period where I'm CEO, I'll obviously be focused on that as well.

(日本語訳)取締役会の考えを通じて明らかになったのは、私たちがファウンドリー事業に多額の資本を投資してきたことを彼らがしっかりと認識しており、その投資からより高い投下資本利益率(ROIC)を得る必要があると強く求めている点です。私たちもそれに向けて全力で取り組むつもりです。これは、CFOとして私が特に重点的に取り組むべき課題の一つですが、CEO代行を務める間も、当然この目標に注力していくつもりです。

一方で、ゲルシンガー氏は数十万枚規模のウェハーを扱うという大胆で大規模なIFS(Intel Foundry Services)戦略に挑戦したかったようですが、実際には数万枚のウェハーを確保することさえ困難な状況に直面していました。

彼の楽観的で少し純粋すぎるアプローチが裏目に出た部分もあり、それが不満を招いたのだと思います。

それでも、彼がこの会社にとって最適な人材であることに変わりはありません。

何より注目すべきは、彼がこの仕事に対して情熱を持ち、全力を注いでいたという点です。

この役職は世界でも最も過酷なポジションの一つであり、彼はその中で地元や企業の未来のために懸命に取り組んでいました。

インテルを混乱に陥れたこれまでのCEOたちは、ゲルシンガー氏よりも長く在任していたにもかかわらず、彼ほどの適性を持っていませんでした。

それにもかかわらず、取締役会はこれらの前任者たちの問題行動をほぼ放置し、事態を悪化させてきたのです。

ここで疑問に思うのは――取締役会は一体何をしていたのでしょうか?

本稿では、5つの章にわたり、パット・ゲルシンガー氏やインテルの取締役会、そして短期的視点がもたらす失敗の典型例についてお話しします。

確かに、会社を分割すれば株主にとって良い結果をもたらす可能性はありますが、それはアメリカ全体にとって非常に悪い結果になるでしょう。

18A(最先端半導体製造プロセスの一つで、2025年の量産開始を目指している)の最終局面でゲルシンガーCEOを解任することは、インテルを放置し、部品として売却される未来を選ぶようなものです。

短期的な株主価値を最大化するためには正しい判断かもしれませんが、それは非常に短絡的な行動であり、インテルの取締役会がよく陥る典型例です。

では、この歴史ある巨人にとって、それは何を意味するのでしょうか?

本稿では、取締役会やゲルシンガー氏について、そしてインテルが今後どの方向に進むのかを深掘りして考えてみたいと思います。

これまでに示された数々の兆候を踏まえると、最も悲しい結末が現実になる可能性が高いと私は考えています。

そこで、まず、次章ではインテルの取締役会の各メンバーのバックグラウンド等の詳細な分析を解説していきます。

では、詳しく見てきましょう。

※続きは「【Part 2】インテル(INTC)の取締役会のメンバーは半導体業界の経験が限定的?各メンバーの詳細な分析を通じて将来性に迫る!」をご覧ください。

加えて、直近の2024年第3四半期決算後に下記の分析レポートも執筆しておりますので、インテルへの理解を一層深める上で併せてご覧いただければと思います。

その他のインテル(INTC)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、インテルのページにアクセスしていただければと思います

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