中立サムサラすべて表示サムサラ / IOT / 中立:最新の2024年2Q決算・強み(競争優位性)分析と今後の株価見通し・将来性(Samsara)
ドノヴァン・ ジョーンズ- サムサラは、IoT(モノのインターネット)関連アプリケーションの開発者向けにプラットフォームを提供しているテクノロジー企業である。
- 同社は2023年8月31日に2024年第2四半期決算を発表しており、成長軌道は目覚しいが、営業損失は依然として高い水準にあることが確認されている。
- 私の同社に対する短期的な見通しとして、高い営業損失と足元のバリュエーション故に「中立」と見ている。
サムサラ(IOT)について
サムサラ(IOT)は、IoT(モノのインターネット)業界に対してプラットフォームを提供し、そのテクノロジーは様々なセクターに応用できるものである。
同社は力強い成長を遂げているが、継続的に高い営業損失を出しているのが現状である。
以上より、私の短期的なIOTに対する見通しは「ホールド」である。
サムサラ(IOT)の概要
MITを卒業したサンジット・ビスワスとジョン・ビケットによって2015年に設立されたサムサラは、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置き、ヨーロッパとラテンアメリカにオフィスを構えるグローバル企業である。
同社は、運行の安全性、効率性、持続可能性を向上させるために、車両やその他の機器を追跡するのに役立つ「コネクテッド・オペレーション・プラットフォーム」を運営している。
サムサラは、モノのインターネット(Internet of Things)企業として、テクノロジーを活用して、多様な業界における物理的業務のパフォーマンスとインテグレーションを強化することで、急速に拡大する市場の一翼を担っている。
モノのインターネット(Internet of Things)業界は、データ分析と業務監督方針の改善を通じて、社会において、業務の合理化、コスト削減、環境持続可能性に貢献する可能性が認められている。
Mordor Intelligence社の2020年市場調査報告書によると 、IoTの世界市場規模は2020年に推定7,610億ドル、2026年には1兆3,900億ドルに達すると予測されている。
これは、2021年から2026年までの予測年平均成長率が10.53%であることに相当する。
この成長が期待される主な要因は、自動車、製造業、ヘルスケアなど幅広い産業分野でIoT技術の採用が進んでいることが挙げられる。
また、製造業の「インダストリー4.0」へのシフトは、事故を減らし、業務効率を高めるために、ロボット工学を用いて、人間の労働力を補完・増強することに重点を置いている。
サムサラ(IOT)の最近の財務動向
四半期別総売上高(青色の線:Total Revenue)は目覚ましい増加を続けている。
しかし、四半期別営業利益(赤色の線:Operating Income)は大幅なマイナスで推移している。
一方で、四半期別売上総利益率(緑色の線:Gross Profit Margin)は安定している。
四半期別総売上高に占める販売費および一般管理費(茶色の線:Selling, G&A % Of Revenue)の割合は、最近の四半期では低下傾向にあり、この点では効率化が進んでいることを示すポジティブなシグナルである。
希薄化後の1株当たり利益(赤色の線:Earnings Per Share)は、このグラフが示す通り、マイナスで推移している。
(上記チャートのデータは全てGAAPベース)
貸借対照表では、現金同等物、並びに、短期投資資産が合計で7億2,480万ドルあり、負債はない。
直近12ヵ月間のフリー・キャッシュ使用額は2,270万ドルで、この間の資本支出は2,180万ドルであった。
同社は、過去4四半期に株式ベースの報酬として、2.021億ドルという非常に高い報酬を支払っている。
サムサラ(IOT)のバリュエーションとその他の指標
以下は、サムサラに関連するバリュエーションの表である。
指標(直近過去12ヵ月) | 値 |
企業価値 / 売上高 | 17.5 |
企業価値 / EBITDA | - |
株価売上高倍率 | 18.1 |
売上高成長率 | 45.6% |
純利益率 | -30.8% |
EBITDAマージン | -33.2% |
時価総額 | $14,380,000,000 |
企業価値 | $13,650,000,000 |
営業キャッシュフロー | $913,000 |
一株当たり利益(希薄化後) | -$0.45 |
予想EPS | $0.02 |
一株当たりフリーキャッシュフロー | -$0.04 |
研究開発費 (R&D) / 売上高 | 29.4% |
40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率とEBITDA成長率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長とEBITDAの軌道に乗っていることを示すものである。
IOTの直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第2四半期決算時点で13.8%であった。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2023年度第4四半期 |
売上高成長率 | 45.6% |
営業利益率 | -31.8% |
合計 | 13.8% |
サムサラ(IOT)に関するコメント
2023会計年度、サムサラは大幅な成長を報告し、第4四半期の売上高は1億8660万ドルで、前年同期比48%増となった。
年間経常収益(ARR)は7億9,510万ドルで、前年比42%増となった。
また、同社は、ARRが10万ドルを超える顧客も大幅に増やし、前年比53%増となった。
このような目覚ましい成長にもかかわらず、同社は大幅な赤字経営に陥っている。
これは、市場拡大と製品開発を優先する成長志向のハイテク企業にとっては珍しいことではない。
アナリストは、同社経営陣に対し、大口顧客の増加見通し、営業部隊の拡大、公共部門の成長軌道、財務状況の更新、新製品の発売について質問した。
経営陣は、同社は、新規顧客の獲得と既存顧客内でのビジネス拡大という両方の取り組みにより、大口顧客セグメントで力強い成長を実現していると述べた。
実際に、営業部隊の拡大と生産性の向上が重点分野であり、新規雇用が成長に貢献している模様である。
更に、公共部門の成長は、専門チームとネットワーク効果に支えられ、ますます大きくなっている。
また、フリーキャッシュフローの黒字化は特筆すべきマイルストーンであり、収益性の持続が期待される。
収益への直接的な影響は限定的かもしれないが、新技術と新製品の投入が更なる成長を促進すると予想される。
但し、同社の40%ルールの業績は平凡であり、収益の伸びは目覚しいが、営業損失も同様に大きい。
サムサラ(IOT)に対する結論
サムサラのIoT分野での軌跡は、急速な成長と戦略的イノベーションによって特徴付けられる。
財務パフォーマンスは成長段階にある企業の特徴を反映しており、営業損益は赤字だが、前年比の大幅な増収とARRの伸びは、同社の製品に対する市場の強い需要を示している。
一方で、同社のバリュエーションは、同社の高い営業損失と同様に、依然として懸念事項であると見ている。
以上より、同社に対する、私の目先の見通しは「ホールド」である。
しかし、同社に対して関心のある投資家は、今後、投資する可能性を踏まえ、更なる検討のために、この銘柄をウォッチリストに入れるべきだろう。