中立サムサラサムサラ(IOT):2024年6月6日に発表の最新の2025年度1四半期決算まとめ・財務分析と今後の株価予想・将来性
- サムサラ(IOT)は、世界中の企業にロジスティクス、車両、システムの追跡およびインテリジェンス機能を提供するテクノロジー企業である。
- 2024年6月6日に発表された2025年第1四半期の決算では売上高と利益の予想を上回ったが、営業損失は増加しており、厳しい経済環境下において投資家に懸念を抱かせる内容である。
- そのため、同社経営陣が売上高成長を維持しながら高水準の営業損失を削減できるまで、私の短期的な同社株式への見通しは「中立」としている。
サムサラ(IOT)について
サムサラ(IOT)は世界中の企業に対し、ロジスティクス、車両、システムの追跡、および、インテリジェンス機能を幅広く提供しているテクノロジー企業である。
同社は2024年6月6日に2025年第1四半期決算を発表し、売上高と利益のコンセンサス予想を上回っている。
同社は引き続きトップラインの売上高を順調に伸ばしているが、営業損失は前四半期比で増加しており、金利上昇の影響を受けているように見える。
それらを踏まえ、私の短期的な同社株式への見通しは「中立」としている。
サムサラ(IOT)の概要と市場
サムサラ(IOT)は2015年に設立され、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置き、ヨーロッパとラテンアメリカに拠点を持つグローバル企業である。
同社は、オペレーションの安全性、効率性、持続可能性を向上させるために、車両やその他の機器を追跡するのに役立つコネクテッド・オペレーション・プラットフォームを運営している。
同社はモノのインターネット(IoT / Internet of Things)企業として、テクノロジーを活用して多様な業界の物理的業務のパフォーマンスと統合を強化する、急速に拡大する市場の一翼を担っている。
IoT業界は、データ分析と運用監視の改善を通じて、業務の合理化、コスト削減、環境持続可能性に貢献する可能性が認められている。
Mordor Intelligence社の2020年市場調査報告書によると 、IoTの世界市場規模は2020年に推定7,610億ドルで、2026年には1兆3,900億ドルに達すると予測されている。
これは、2021年から2026年までの予測年平均成長率10.53%に相当する。
この成長が期待される主な要因は、自動車、製造業、ヘルスケアなど幅広い産業分野でIoT技術の採用が進んでいることである。
また、製造業の「インダストリー4.0」へのシフトは、事故を減らし効率を高めるために、ロボット工学で人間の労働力を補完・増強することを強調している。
サムサラ(IOT)の最近の財務動向
サムサラ(IOT)の四半期別総売上高(紺色の列:Total Revenues)は最近の四半期で顕著に伸びている一方で、四半期別営業利益(青色の線:Operating Income)は大幅なマイナスで推移しており、直近四半期では悪化している。
そして、四半期別売上総利益(紺色の列:Gross Profit)は総売上高と同じ軌跡をたどって伸びているが、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses. Total)も大幅に増加し、営業損失が拡大している。
さらに、希薄化後1株当たり利益(EPS)はマイナスで推移しており、ここ数四半期は損益分岐点に向けてほとんど進展していないことが分かる。
(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)
また、過去12ヶ月で、同社の株価は3.6%下落したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー-ソフトウェアETF(IGV)の株価は21.4%上昇している。
サムサラ(IOT)のバリュエーションとその他の指標
以下は、サムサラ(IOT)に関連するバリュエーションの表である。
バリュエーション指標 | 値 |
企業価値 / 売上高(予想) | 12.8 |
企業価値 / EBITDA(予想) | 280.7 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 15.7 |
売上高成長率(予想) | 32.1% |
純利益率 | -27.1% |
EBITDAマージン | -22.5% |
時価総額 | $16,200,000,000 |
企業価値 | $15,450,000,000 |
営業キャッシュフロー | $1,400,000 |
実績EPS(直近過去12か月) | -$0.51 |
予想EPS | $0.13 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月) | -$0.02 |
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率と営業利益率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長と営業利益率の軌道に乗っていることを示すものである。
下表のように、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2025年第1四半期決算時点で8.6%であり、前四半期比で減少していることからも、足元の営業損失の増加により、業績は悪化していることが分かる。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第4四半期 | 2025年第1四半期 |
売上成長率 | 31.6% | 32.1% |
営業利益率 | -19.7% | -23.5% |
合計 | 11.9% | 8.6% |
サムサラ(IOT)の見通し
市場のアナリストとの直近の決算説明会議では、サムサラ(IOT)の経営陣の準備発言として以下の点が強調されている。
売上高
2025年度第1四半期のARR(年間経常収益)は11億8,000万ドルで、前年同期比37%増と好調だった。第1四半期の売上高は2億8,100万ドルで、これも前年同期比37%の成長であった。
正味新規ACV(年間契約額)は59%が既存顧客経由で、41%が新規顧客経由という構成で、売上総利益率と調整後フリー・キャッシュフロー・マージンは四半期として過去最高を記録した。
受注残
経営陣は大口顧客の勢いを強調し、アイオワ州とカンザス州の運輸省、フォーチュン・グローバル500に名を連ねる建設会社VINCIとの重要な契約について言及した。
費用・経費
Non-GAAPベースの売上総利益率は、携帯電話、カスタマー・サポート、保証費用の最適化により、前年同期を約4ポイント上回る四半期最高の77%となった。
Non-GAAPベースの営業利益率は前年同期のマイナス9%から2%に改善し、調整後フリー・キャッシュフロー利益率は前年同期のマイナス1%から過去最高の7%となった。
また、急成長企業であっても、十分なキャッシュフローを生み出している限り、市場シェアと規模の経済を獲得するために営業赤字が続くことはあり得ることである。
キャッシュフロー
調整後フリー・キャッシュフロー・マージンは、第1四半期に7%という四半期記録を達成した。さらに、強力な営業効率の改善を示し、このプラスのキャッシュフローに貢献した。
海外市場
メキシコと欧州の好調が牽引し、第1四半期の海外市場のACVは四半期ベースで過去最高の18%を記録した。
売上高ガイダンスとトレンド
2025年度第2四半期の総売上高は2億8800万ドルから2億9000万ドルで、前年同期比31%から32%の成長を見込んでいる。通期では12億500万ドルから12億1300万ドルで、前年比31%から32%の成長を見込んでいる。
同社は、同社のソリューションが対象とする顧客の業務予算が大きく、また、裁量が少ないことが、マクロ経済要因に対する同社のレジリエンスに寄与していると強調している。
そのため、マクロ経済情勢に対する慎重な見通しにもかかわらず、同社の経営陣は自社製品の一貫した顧客需要とROIにより、ガイダンスに自信を持っている。
また、コネクテッド・フォームズをはじめとする新興製品の採用は目覚ましく、初期段階から社内の予想を上回る成功を収めている。
今後の見通しについては、トップラインの売上高成長は堅調に推移しているものの、現在の資本コスト上昇の環境下で大きな痛手となっている営業損失については、有意義な進展が見られていないというのが現状である。
そのため、経営陣が営業損失を大幅に削減しつつ、トップラインの売上高の成長を維持できるようになるまで、私の同社に対する見通しは「中立」としている。
その他のテクノロジー銘柄関連レポート
1. データドッグ / DDOG / 強気:最新の2024年1Q決算速報・競争優位性分析と今後の株価予想・将来性(Datadog)
2. サムサラ / IOT / 中立:最新の2024年4Q決算・強み(競争優位性)分析と今後の株価見通し・将来性(Samsara)
3. ゼットスケーラー / ZS / 中立:2024年2Q決算・強み分析と今後の株価見通し・将来性(Zscaler / Zスケーラー)
また、私のその他のテクノロジー関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、私のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
さらに、その他のサムサラ(IOT)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、サムサラのページにアクセスしていただければと思います。