中立JPモルガン・チェースJPモルガン(JPM)予想配当利回り2.1%・配当性向23%:株価は割高も2024年2Q決算は好調、財務分析と今後の株価予想・将来性を探る
- JPモルガン・チェース(JPM:予想配当利回り 2.16% / 配当性向 23%)は、約3兆9,000億ドルの資産を持つ米国最大の金融機関の一つであり、消費者&コミュニティ・バンキング、コーポレート&投資銀行、商業銀行、アセット&ウェルス・マネジメントの4つの主要セグメントで構成されている。
- 同行の2024年度第2四半期決算では、非経常損益項目を除くEPSは6.205ドル、希薄化後のEPSは6.12ドルであり、堅調な成長トレンドを示している。
- 過去5年間の年平均EPS成長率は12.30%、過去10年間は13.80%と、中長期にわたり継続して力強い業績を実現していることが分かる。
JPモルガン・チェース(JPM)の概要
セクター:銀行
現在の株価:213ドル
時価総額:6077.7ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:92.51ドル
安全マージン:-130.91%
過去5年間の配当成長率:7.70%
直近配当落ち日:2024年7月5日
次回配当支払い日:2024年7月31日
予想配当利回り:2.16%
過去5年間の売上高成長率:9.30%
過去10年間の売上高成長率:7.80%
JPモルガン・チェース(JPM:予想配当利回り 2.16% / 配当性向 23%)は、約3兆9,000億ドルの資産を持つ、米国最大の金融機関の一つである。
同行は、消費者&コミュニティ・バンキング、コーポレート&投資銀行、商業銀行、アセット&ウェルス・マネジメントの4つの主要セグメントで構成されており、複数の国で事業を展開している。
そして、同行は2024年7月12日に2024年度第2四半期決算を発表している。
JPモルガン・チェース(JPM)の収益と成長に関して
JPモルガン・チェース(JPM)の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は6.205ドル(前四半期:4.675ドル)、希薄化後のEPSは6.12ドル(前四半期:4.44ドル)となっており、前四半期と比較していずれも大幅な増加となっており、堅調な成長トレンドを示していると言える。
また、1株当たり売上高も14.61ドルと、前四半期の14.39ドルと比較して成長を示している。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同行株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は12.30%で、過去10年間の年平均成長率は13.80%となっており、同行は中長期にわたり、継続して力強い業績を実現していることが分かる。
さらに、今後10年間の金融業界の成長率予測は引き続きプラスであり、同行のさらなる拡大の可能性を示していると言える。
以上より、JPモルガン・チェースの直近四半期の業績は、そのレジリエンスと将来の持続的成長の可能性を反映した内容であると見ている。
JPモルガン・チェース(JPM)の配当に関して
JPモルガン・チェース(JPM)の過去5年間の配当成長率は7.70%で、過去3年間の配当成長率は4.40%と継続してプラスの成長を示しているが、足元の成長スピードは若干低下傾向にあることが分かる。
また、現在の予想配当利回りは2.16%であり、配当性向が23.0%と低いため、健全な配当性向を維持しながらも、さらなる配当増加の余地があることを示していると言える。
また、同セクターと比較すると、同行の配当実績は堅調で、下記のチャートにも示されている通り、過去10年間の配当性向は一貫している。
さらに、下記のチャートにも示されている通り、同期間の配当利回りは1.80%から4.16%の間で推移しており、投資家に安定した配当による収入源を提供している。
予想配当利回り:2.16%
配当性向:23%
配当カバレッジ・レシオ:4.07
過去5年間の配当成長率:7.70%
EBITDA純有利子負債倍率:N/A
JPモルガン・チェース(JPM)のバリュエーションに関して
JPモルガン・チェース(JPM)は現在213.62ドルで取引されている一方で、弊社算出の一株当たり本質的価値は92.51ドルとなっており、割高感を示している。
また、株価売上高倍率は3.66倍となっており、同行の過去の平均と比較すると高い水準にあり、売上高を基準とした場合、同行の株価が割高である可能性を示唆している。
一方で、実績PERは11.91倍となっており、業界平均より低く、割安感を示しており、さらに、予想PERも13.07倍となっており、割安の可能性を示している。
ただし、5年平均、10年平均、さらに、業界平均と比較すると、同行は株価売上高倍率の点では割高で取引されているように見える。
全体として、JPモルガン・チェースのバリュエーションはまちまちであり、いくつかの指標は過小評価を、他の指標では過大評価を示す内容となっている。
JPモルガン・チェース(JPM)のリスクとリターンに関して
JPモルガン・チェース(JPM)のリスク評価分析では、主に投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい。
まずマイナス面では、同行は過去3年間で、総額588億ドルという多額の長期債務を発行している。
加えて、過去3ヶ月間に10件のインサイダーによる同行株式の売却が確認されている一方で、インサイダーによる同行株式の買い付けはなく、インサイダーの同行株式の今後の見通しに対する自信のなさを示している可能性がある。
さらに、PBRは1.89倍と、過去10年間の最高水準である2.02倍に近く、株価も最高値圏にある。
また、株価売上高倍率は3.87倍と2年ぶりの高水準に近く、売上高に基づくと株価が割高である可能性を示唆している。
そして、上記のチャートが示す通り、予想配当利回りは5年ぶりの低水準に近づいている。
一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアは-2.35となっており、基準値の-1.78を下回っていることから、同行が利益操作を行っている可能性は低いことを示している。
さらに、同行は予測可能な売上高と利益の伸びを示しており、これは投資家にとって良い兆候であると言える。
全体として、いくつかのマイナスの兆候はあるものの、同行の安定した収益成長とベニッシュのMスコアは、投資家に一定の安心感を与えるものであると言える。
JPモルガン・チェース(JPM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去12ヶ月間、JPモルガン・チェース(JPM)のインサイダーによる同行株式の買い付けはなかったが、31件のインサイダーによる同行株式の売却が確認されている。
このインサイダーによる売却の多さは、行内のインサイダーが同行の株価がピークに達したと考え、利益を得ていることを示している可能性がある。
ただし、インサイダーによる同行株式の保有比率はわずか0.69%である点にはご留意いただきたい。
一方で、機関投資家の保有比率は45.53%と比較的高く、機関投資家が同社株のかなりの部分を保有していることを示している。
全体として、JPモルガン・チェースのインサイダー取引活動のトレンド分析は、インサイダー買いの欠如と顕著なインサイダーによる売却のトレンドを示している。
そして、これは、インサイダーが同行の将来の業績に懸念を抱いている可能性があり、投資家にとって警戒すべき兆候と解釈できる。
ただし、機関投資家の保有比率が高いことは、機関投資家が同行の将来性に自信を持っていることを示唆していると言える。
JPモルガン・チェース(JPM)の流動性に関して
JPモルガン・チェース(JPM)の直近営業日の1日の出来高は11,318,525株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は9,442,296株となっており、流動性は継続して高い水準にあることが分かる。
また、同行株式のダークプール指数(DPI)は41.42%で、取引活動の大部分がダークプールで行われていることを示している。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。
議員によるJPモルガン・チェース(JPM)株式の売買に関して
議会における直近のJPモルガン・チェース(JPM)の株式に関する取引は以下の通りである。
1. 共和党下院議員のケビン・ハーンは、2024年4月30日に1,001ドルから15,000ドル相当の同行株式を購入しており、この取引は2024年5月12日に報告された。
ただし、ケビン・ヘルンの推定純資産が約1,600万ドルであることを考えると、この取引は彼の資産全体に占める割合は小さいと言える。
2. 民主党下院議員のジョナサン・ジャクソンは、2024年4月24日に15,001ドルから50,000ドル相当の同行株式を購入しており、この取引は2024年5月7日に報告された。
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