強気セントラス・エナジーセントラス・エナジー(LEU)の今後の株価見通し:目標株価は100ドル!注目の米国原子力関連銘柄の将来性に迫る!

- 本稿では、米国の注目の原子力関連グロース企業であるセントラス・エナジー(LEU)の最新の決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
- セントラス・エナジーは、国家安全保障や将来の原子力需要に不可欠な低濃縮ウランを供給できる唯一の米国企業です。
- 最近の株価急騰にもかかわらず、投資家の間では懐疑的な見方が残っていますが、原子力エネルギーの需要増加に伴い、大幅な収益成長が見込まれています。
- 同社は戦略的パートナーシップや連邦政府の支援を受ける可能性があり、2025年までに株価は100ドルに達する可能性もあると考えています。
- 同社への投資は、価格の変動や地政学といった大きなリスクを伴いますが、その独自の市場ポジションは長期的な魅力を持つ投資機会であると見ています。
セントラス・エナジー(LEU)とは?
米国には、原子力エネルギーのための信頼できる国内燃料供給が不足しています。しかし、セントラス・エナジー(LEU)は、国家安全保障のために低濃縮ウランを米国政府に供給できる唯一の企業です。
(出所:セントラス・エナジーのプレゼンテーション資料)
株価が最近急上昇しているように見えるのは、今後10年で原子力エネルギーの需要が大きく増加するとの見方が広がっているためです。
そして、私は、AIを活用する大手企業がこぞって原子力エネルギーに注目すると考えています。そのため、今まで眠っていたこの業界が、一気に注目を集める時が来ると見ています。
さらに、現時点では多くの投資家がまだこの分野に対して慎重な姿勢を見せていますが、セントラス・エナジーが来年から大幅な売上成長を達成し始めれば、政治的な懸念や投資家の慎重姿勢も次第に払拭されると考えています。
そのため、私の同社の目標株価は2025年末までに1株100ドルとしています。
セントラス・エナジー(LEU)の概要
セントラス・エナジー(LEU)は、核燃料に欠かせない濃縮ウランの生産を専門とする米国企業です。主に、現行の商用原子炉で使用される低濃縮ウラン(LEU:Low-Enriched Uranium)と、次世代の高度原子炉に必要な高純度低濃縮ウラン(HALEU:High-Assay, Low-Enriched Uranium)の生産に力を入れています。特に、同社は米国オハイオ州の施設で、米国独自の技術を使って高純度低濃縮ウランを生産できる唯一のアメリカ企業です。
そして、同社は米国内の原子力拡大とロシア依存からの脱却を目指す動きの中で、核燃料の需要増加に応える体制が整ってるように見えます。
たとえば、先月、セントラス・エナジーは韓国水力原子力(KHNP:Korea Hydro & Nuclear Power)と協定を結び、これにより同社は世界的なウラン濃縮市場で重要なプレーヤーとなり、安定かつ多様な供給源としての競争力を強化しました。
さらに、KHNPをはじめとする顧客から1.8億ドル相当の販売契約を獲得しており、同社は地政学的リスクを考慮したロシア以外からのウラン供給のニーズに応える絶好のポジションにあるように見えます。
この契約は10年間にわたる長期契約であり、すぐに大きな変化をもたらすわけではありませんが、KHNPへの低濃縮ウランの供給がセントラス・エナジーのオハイオ州ピケトン工場の拡張を支援し、次世代型の原子炉向けにも対応可能な大規模生産施設への成長を後押しすることになるでしょう。
また、この契約は、同社の将来的な生産能力に対する民間企業からの強い関心を示す重要なサインと言えます。
さらに9月末には、同社が議会によって割り当てられた34億ドル以上の連邦資金から国内のウラン濃縮供給網再構築のための資金を獲得しようとしていることが確認されました。これが成功すれば、同社は米国ウラン濃縮市場で圧倒的な地位を確立し、長期的な成長の可能性が大いに広がるでしょう。
これがセントラス・エナジーへの私の強気の見方の根拠です。現在の市場価値が10億ドルの同社は、2035年までに100億ドル規模の市場機会を実現する可能性があり、高純度低濃縮ウランを提供できる唯一の米国企業として、商業および政府の両方に対して非常に競争力のあるサプライヤーとなる可能性があると考えています。
同社は、この重要な技術を提供できる唯一の米国企業であり、米国政府の強力な支援を受けているため、原子力産業の進化とともに大きな成長が期待されています。
簡単に言えば、同社はウランを採掘するのではなく、鉱山会社からウランを調達し、それを自社の濃縮施設で加工して核燃料を作り出しています。
このプロセスにより、ウランの濃度が高まり、原子炉で使用できる燃料へと変わります。
この燃料は、燃料棒に加工され、原子炉でベースロード電力として利用されます。これは、24時間365日安定した電力を必要とするAIデータセンターのような用途にとって不可欠です。グーグル(GOOG/GOOGL)がデータセンターに原子力エネルギーを導入しようとしているというニュースを耳にしたことはありますでしょうか?マイクロソフト(MSFT)や、アマゾン(AMZN)がタレン・エナジー(TLN)と提携した話はご存知でしょうか?
AIの需要が増加する中で、安定かつ排出ゼロのエネルギー源として原子力の重要性はますます高まっています。そして、セントラス・エナジーは、現在および将来の原子炉に不可欠なこの燃料を提供することで、AIを支えるエネルギーインフラとしての役割を果たすことが期待されています。
セントラス・エナジー(LEU)の財務パフォーマンス
セントラス・エナジーの売上成長率
(出所:筆者作成)
ご覧のとおり、セントラス・エナジー(LEU)の売上高は非常に不安定です。最初は、この点に私も不安を感じました。周期的な業界に投資するリスクをよく理解しているため、このような不安定な状況には慎重にならざるを得ませんでした。
しかし、少し深掘りしてみると、なぜ成長率がこのように変動しているのかがわかりました。売上は、顧客がウランの注文を受け取った時点で計上されるからです(10-Kの105ページ参照)。
そして、投資において最も大事なことをつい忘れがちですが、それは過去の成長率がどうだったかではなく、今後の成長率がどうなるかが重要だという点です。
確かに、今後の予測は投機的なものになりがちですが、良いニュースとしては、現時点でも投資家の期待は比較的控えめだということです。では、さらに詳しく掘り下げてみましょう。
セントラス・エナジー(LEU)のバリュエーション指標:予想売上高の3倍
(出所:セントラス・エナジーのプレゼンテーション資料)
ご存じのように、インフレクション投資家(企業の成長の転換点である「インフレクションポイント」を見極め、そのタイミングで投資する投資家のこと)として企業のバランスシートを理解することは非常に重要です。セントラス・エナジー(LEU)は約8,000万ドルの純現金を保有しています。多額とは言えませんが、今後数四半期のうちに大幅なフリーキャッシュフローを生み出すまでの運転資金としては十分です。
とはいえ、現時点ではフリーキャッシュフローの創出力が高いわけではありません。少なくとも、まだそこまで至っていない状況です。
それでも、これまでの議論を考慮すれば、セントラス・エナジーの株価バリュエーションが過度に高いとは思いません。この企業が今後、最も注目される分野のひとつになる可能性があることを考えれば、むしろ適切な評価だと言えるでしょう。
株価売上高倍率倍
(出所:YChart / Seeking Alpha)
セントラス・エナジー(LEU)への投資リスク
ウランセクターへの投資は常に大きな変動を伴います。簡単に利益が得られるわけではなく、原子力エネルギーに対する投資家の懸念は状況次第で大きく変わります。そのため、自身のポートフォリオを運営する上で遵守しているルールである「ポートフォリオの資金の5%以上を同一の銘柄に投資しない」ことをここでも意識し、同社に対しても同様に適用しています。
さらに、現時点では同社は国内生産が拡大するまでロシアとの供給契約に依存しており、地政学的リスクにさらされています。つまり、この株は価格変動が大きくなる可能性があります。このようなリスクに対応する一つの方法としては、ポートフォリオの1%から2%を投資することで、ボラティリティを抑えつつこの投資テーマに参加するという手段が考えられます。
セントラス・エナジー(LEU)に対する結論
セントラス・エナジー(LEU)は、エネルギー業界の大きな変革の中で重要な役割を果たしていると強く感じています。特に、原子力エネルギーの需要が高まる中、同社の立場はますます重要になっています。
米国で唯一、低濃縮ウランを提供できる企業であり、戦略的なパートナーシップを活用することで、今後数年で大きな売上成長が期待されています。
現時点で投資家の懐疑的な見方があるものの、これは短期的なボラティリティを超えて長期的な成長を見据えた投資をするチャンスだと捉えています。
政府の支援や民間企業からの関心を背景に、2025年末までに目標株価である1株100ドルを達成できると考えています。セントラス・エナジーの未来は明るいように見え、この成長に関われることを楽しみにしています。
アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
マイケル・ウィギンズ・デ・オリベイラ氏は、エネルギー・セクター、並びに、テクノロジー・セクターに関して、10年以上に渡る企業分析を通じて、卓越した専門的知識と経験を蓄積しております。
足元、グローバル・ベースで加速する、「脱炭素化」、「AIによるデジタル化」、「脱グローバル化」、さらに、「エネルギー・セクターの大きな転換期」を正確に捉えることで、より大きな投資リターンを実現することに主眼を置いています。
オリベイラ氏のその他のテクノロジー関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、オリベイラ氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。
※インベストリンゴ上のいかなるレポートは、投資や税務、法律のアドバイスを提供するものではなく、情報提供を目的としています。本資料の内容について、当社は一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。具体的な投資や税務、法律に関するご相談は、専門のアドバイザーにお問い合わせください。