04/30/2025

ラム・リサーチ(LRCX)配当推移と将来性分析:予想配当利回り1.35%・配当性向25%・配当金0.23ドル

close-up photo of computer booardイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるラム・リサーチ(LRCX:予想配当利回り1.35%・配当性向25%・1株当たり配当金0.23ドル)の2025年4月23日に発表された最新の2025年度第3四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • ラム・リサーチは、半導体製造装置に特化した企業で、エッチング装置で世界首位を誇り、TSMCやインテルなどの大手企業を顧客に持っています。
  • 財務面ではROICがWACCを大きく上回っており、EPSや粗利益率、自社株買いも好調で、配当成長率も高く、安定的な株主還元が続いています。
  • 一方で株価は本質的価値をやや上回っており、バリュエーション指標は割高傾向にあるため、今後の株価推移には注意が必要です。

ラム・リサーチ(LRCX)の概要


セクター:半導体

現在の株価:71ドル

時価総額:915.5ドル

過去5年間の配当成長率:13.20%

前回配当落ち日:2025年3月5日

前回配当支払い日:2025年4月9日

予想配当利回り:1.35%

過去5年間の売上高成長率:16.20%

過去10年間の売上高成長率:18.60%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ラム・リサーチ(LRCX:予想配当利回り1.35・配当性向25%・1株当たり配当金0.23ドル)は、米国カリフォルニア州フリーモントに本社を置く、世界有数の半導体製造装置メーカーです。特に成膜(デポジション)およびエッチング装置において高い技術力を有しており、エッチング分野では世界首位、成膜でも2位の市場シェアを誇ります。主要顧客にはTSMC、サムスン、インテル、マイクロンといった世界的な半導体メーカーが名を連ね、DRAMやNANDといったメモリチップ分野での需要に大きく支えられています。

配当政策については、直近5年間で年平均13.2%の増配を実施しており、現在の配当性向は25.0%と余裕があり、今後も安定した配当成長が期待されます。そして、予想配当利回りは1.35%となっています。

そして、同社は2025423日に2025年第3四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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ラム・リサーチ(LRCX)の最新の2025年度第3四半期決算発表に関して

ラム・リサーチ(LRCX)は、2025423日に発表された最新の2025年度第3四半期決算において、非経常項目を除いた1株当たり利益(EPS)は1.04ドルで、前四半期の0.91ドルから増加し、前年同期の0.779ドルと比べても伸びています。1株当たり売上高も、前四半期の3.388ドルから3.664ドルへと増加しました。

過去5年間において、同社の年間EPS(非経常項目除く)は年平均成長率(CAGR)19.90%で成長しており、過去10年間ではCAGRが27.60%に達しています。半導体製造装置業界は、技術革新と半導体デバイスの需要増加を背景に、今後10年間で年間平均約8%の成長が見込まれています。

同社の粗利益率は48.03%に達し、過去10年間で最も高い水準となりました。これは過去5年間の中央値45.88%を上回る数字です。また、同社の自社株買い活動も活発で、直近1年間の自社株買い比率は1.90%となり、発行済株式数のうち1.90%が買い戻されています。過去5年間の平均では2.30%の比率となっています。こうした自社株買いの戦略により、発行済株式数が減少し、既存株主1人あたりの価値が向上することでEPSに好影響を与えています。

今後の見通しとして、アナリストは同社の来期末のEPSを3.923ドル、その翌年を3.954ドルと予想しています。売上高は今後も安定的な成長が見込まれており、次の3会計年度の売上高はそれぞれ181億2,514万ドル、185億5,856万ドル、206億8,302万ドルと予測されています。そして、次回の決算発表は2025年7月31日に予定されています。

以上より、技術革新への戦略的な注力と株主還元の姿勢を踏まえると、同社は業界トレンドに沿った継続的な成長が期待できる良好なポジションにあるように見えます。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ラム・リサーチ(LRCX)の財務パフォーマンスに関して

ラム・リサーチ(LRCXの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、財務効率の高さと効果的な資本配分を示しており、その証拠としてROICがWACCを継続的に上回っています。過去5年間の中央値では、同社のROICは38.17%であり、WACCである9.69%を大きく上回っており、力強い価値創出を示しています。現在のROICも36.84%で、現在のWACCである14.47%を依然として大きく上回っており、同社が引き続き経済的な価値を創出する能力を有していることを示しています。

このような一貫した実績は、同社が資本を効率的に活用し、資本コストを上回るリターンを生み出していることを示しており、財務健全性や経営の有効性を判断する上での重要な指標となっています。また、自己資本利益率(ROE)が53.73%と非常に高いことからも、株主資本から高い収益を生み出す能力があることが裏付けられています。

これらのデータは、同社が優れた収益性と資本の効率的な活用を実現している、適切に経営された企業であることを示しています。同社は、長期的な株主価値の創出を持続できる体制にあると言えます。全体として、同社の財務指標は、効果的な資本配分と経済的価値の創出の好例であると評価できます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ラム・リサーチ(LRCX)の配当に関して

ラム・リサーチ(LRCX)は、近年にわたり堅調な配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は13.20%、直近3年間では15.40%に達しています。現在の予想配当利回りは1.35%で、10年間の中央値である1.16%をやや上回っているものの、過去最高の2.75%を下回っています。現在の配当性向は25.0%であり、過去に100%近くに達した時期と比較すると、保守的な方針が採られていることがうかがえます。

直近の四半期では、1株当たりの配当が0.20ドルから0.23ドルへ増配されており、同社のこれまでの成長路線と整合しています。今後の見通しとして、今後3~5年間における予想配当成長率は8.63%とされており、配当の持続性と成長性に対する市場の信頼が示されています。

財務の健全性の観点では、EBITDA有利子負債倍率は0.76であり、一般的な上限目安とされる2.0を大きく下回っています。これは、財務リスクが低く、債務返済能力が高いことを意味しており、業界全体と比較しても有利なポジションにあると評価できます。

予想配当利回り1.35%

配当性向:25%

配当カバレッジ・レシオ:4.03倍

過去5年間の配当成長率: 13.20%

EBITDA有利子負債倍率:0.76倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ラム・リサーチ(LRCX)のバリュエーションに関して

ラム・リサーチ(LRCXの現在の株価は71.57ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である68.71ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-4.16%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

一方で、予想株価収益率(予想PER)は18.01であり、過去10年間の中央値である19.00をやや下回っており、収益見通しに関しては比較的妥当な水準と評価されています。

また、同社のバリュエーション指標を過去の水準と比較すると、直近12か月のEV/EBITDA倍率は15.39で、過去10年の中央値である12.09を上回っており、企業価値が利益に対してやや高めに評価されている可能性があります。同様に、直近12か月のPBR(株価純資産倍率)は9.66で、過去10年の中央値である8.03を大きく上回っており、帳簿価値に対して割高であることを示しています。さらに、直近12か月のPSR(株価売上高倍率)は5.4で、過去10年の中央値である3.88を上回っており、売上に対する評価も高めであることがうかがえます。

しかし、市場のアナリストの評価はおおむね前向きで、目標株価の平均値は89.60ドルとされており、現在の株価を上回っていることから、今後の上昇余地があると見られています。ただし、最近の目標株価の修正動向を見ると、数か月前から徐々に引き下げられている傾向があり、アナリストの間では慎重な姿勢も見受けられます。

総じて、同社には成長の見込みがあるものの、安全余裕率の欠如や、過去の平均と比較した場合の高めのバリュエーション指標から判断すると、現時点では割高リスクがある可能性があります。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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ラム・リサーチ(LRCX)のリスクとリターンに関して

ラム・リサーチ(LRCXのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社は、複数の好材料を備えた魅力的な財務プロファイルを有しており、堅固な財務基盤を示唆しています。ピオトロスキーのFスコアは7となっており、収益性、財務レバレッジ、流動性、業務効率性といった基本的な指標が強固であることを示す、非常に健全な財務状況を反映しています。

さらに、ベニッシュのMスコアは-2.01であり、同社が財務操作を行っている可能性が低いことを示唆しており、財務報告の信頼性を高めています。営業利益率の拡大や、売上および利益の安定した成長は、同社の業務効率とビジネスモデルの安定性を裏付ける好材料です。

加えて、アルトマンのZスコアが7.5という非常に高い数値を記録しており、倒産リスクが極めて低いことを示すと同時に、全体的な財務の健全性を強く示しています。

一方で、直近3か月間において、インサイダー(内部関係者)による株式購入は一切なく、110,080株の売却が行われたという動きには注意が必要でしょう。インサイダーの売却は必ずしもネガティブな意図を示すものではありませんが、市場環境や同社の戦略的な動きといった文脈とあわせて考慮することが重要です。

以上より、同社のリスクプロファイルを評価する際には、こうした要因を業界の動向や市場全体のトレンドとあわせて注意深く検討することが求められるでしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ラム・リサーチ(LRCX)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間におけるラム・リサーチ(LRCX)のインサイダー取引の動向を見ると、社内関係者による継続的な売却傾向が見られます。この12か月間においては、インサイダーによる株式の購入は一度も行われておらず、代わりに11件の売却が報告されています。直近3か月間では1件の売却、過去6か月間では2件の売却が行われており、社内関係者が株式の保有比率を増やすのではなく、減らしている傾向が示唆されています。

但し、インサイダーによる株式保有率は0.35%と比較的低く、社内関係者が同社の株式を保有する割合はごくわずかであることが分かります。これは、インサイダーが同社の長期的な業績に対して、個人的な経済的関与があまり強くない可能性を示しています。

一方で、機関投資家による保有率は80.64%に達しており、依然として機関投資家からの信頼が厚いことがうかがえます。

総じて、インサイダーによる売却の継続と低い保有率という状況は、慎重なシグナルと解釈される可能性があり、インサイダーが今後の上昇余地を限定的と見ている、あるいは何らかの業務上の課題を懸念している可能性があることを示唆している可能性があります。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ラム・リサーチ(LRCX)の流動性に関して

ラム・リサーチ(LRCX)は、直近のパフォーマンス指標に基づくと、注目すべき流動性と取引特性を示しています。直近営業日の1日当たりの取引量は10,179,148株であり、過去2か月間の平均日次取引量である14,124,690株をやや下回っています。これは、直近の取引活動が2か月間の平均的な傾向と比較して減少していることを示しています。

また、同社のダークプール・インデックス(DPI)は25.22%となっており、かなりの割合の取引が取引所外で行われていることを示唆しています。これは、機関投資家の関与や大型ブロック取引が行われている可能性があり、市場心理や流動性に影響を与える可能性があります。

現在の取引量と過去2か月の平均との乖離が続いた場合、大口のポジションを価格に大きな影響を与えることなく売買することが難しくなるため、流動性リスクが高まる可能性があります。

総じて、DPIの示す意味や市場のダイナミクスに与える影響を踏まえ、こうした取引傾向を投資家は注意深く注視する必要があるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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