03/19/2025

【ヨーロッパ高配当株】ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB:配当金1.34ドル・配当利回り7%)の配当推移

pink and blue pig figurineイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場のヨーロッパ高配当株であるライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB:予想配当利回り7.10%・配当性向85%・1株当たり配当金1.34ドル)の2025年1月31日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)は、オランダのロッテルダムに本社を置く石油化学メーカーで、ポリプロピレンやポリエチレンの大手生産企業です。北米を中心に事業を展開し、低コスト生産やリサイクル技術の開発に注力しています。
  • 2024年第4四半期決算では大幅な減益を報告し、1株当たり利益(EPS)が前年同期比で大きく減少しました。売上高も縮小し、原材料費の上昇や販売価格の低下が収益性を圧迫している状況です。
  • LYBの予想配当利回りは7.10%と高水準ですが、配当性向が85%と高いため、業績悪化時の減配リスクに注意が必要です。市場では今後の業績改善と成長戦略が注目されています。

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)の概要


セクター:化学

現在の株価:75ドル

時価総額:242.9ドル

過去5年間の配当成長率:5.10%

前回配当落ち日:2025年3月10日

前回配当支払い日:2025年3月17日

予想配当利回り:7.10%

過去5年間の売上高成長率:7.40%

過去10年間の売上高成長率:6.80%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB:予想配当利回り7.10・配当性向85%・1株当たり配当金1.34ドル)は、オランダのロッテルダムに本社を置く世界有数の石油化学メーカーです。ポリプロピレンやポリエチレンの世界最大級の生産企業であり、プロピレンオキシドなどの幅広い化学製品を提供しています。これらの製品は、自動車、包装、建設、医療など多様な産業で使用され、世界中のサプライチェーンを支えています。特に北米の事業基盤が強固で、同地域の生産量が全体の半数以上を占めています。

同社の競争優位性は、規模の経済、技術力、効率的な生産設備にあります。世界各地に展開する大規模なクラッカー設備を活用し、低コストでの製造が可能である点が強みです。また、リサイクル技術の開発にも積極的に取り組み、持続可能な化学製品の供給に注力しています。

さらに、同社は高配当株としての魅力も持っています。予想配当利回りは7.10%と高く、過去5年間の配当成長率は5.10%と安定しています。ただし、配当性向が85%と高いため、業績低迷時には減配リスクも考慮する必要があります。総じて、同社は安定したキャッシュフローと堅実な事業基盤を持つ一方で、収益改善と成長戦略が今後の投資判断の鍵となります。

そして、同社は2025131日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに、配当推移を詳しく分析していきます。


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ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)は、2025131日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において大幅な減益を報告しました。特別項目を除いた1株当たり利益(EPS)は0.151ドルとなり、2024年第3四半期の1.772ドル、および2023年第4四半期の1.154ドルから大きく減少しました。また、希薄化後EPSも前四半期の1.75ドルから-1.86ドルへと大幅に下落しました。

1株当たり売上高も減少し、2024年第3四半期の31.663ドルから29.132ドルへと縮小しました。過去5年間の特別項目を除いた年間EPSの年平均成長率(CAGR)は-5.20%であり、過去10年間では-1.40%となっています。一方で、業界の予測によると、今後10年間で化学セクターは年間2〜3%の緩やかな成長が見込まれています。

さらに、同社の今四半期の粗利益率は11.33%で、過去5年間の中央値である12.79%を下回り、過去10年間の最高値である21.54%と比べると大きく低下しています。これは、原材料費の上昇や販売価格の低下により収益性が圧迫されている可能性を示唆しています。

加えて、過去10年間の自社株買い比率の平均は3.90%ですが、直近1年間の比率は0.20%となっています。これは、過去1年間で発行済株式の0.20%を買い戻したことを示しており、発行株式数を減少させることでEPSの向上につながる可能性があります。しかし、今回の業績低迷によって、その効果は相殺された形となりました。

今後の見通しとして、市場のアナリストは同社の2025年(FY1)通期のEPSを5.960ドル、2026年(FY2)通期のEPSを7.882ドルと予測しています。売上高の予測では、2025年の318億2679万ドルから2027年には340億7652万ドルへと成長すると見込まれています。

次回の決算発表日は2025年4月25日が予定されており、市場は同社が現在の課題をどのように克服し、業界の成長を活かせるかに注目しています。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)の財務パフォーマンスに関して

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYBの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社はROICがWACCを一貫して上回っていることから、経済的価値を創出する強い能力を持っているといえます。過去5年間の中央値では、同社のROICは10.06%であり、WACCの7.43%を大きく上回っています。これは、同社が資本コストを上回るリターンを生み出し、株主価値を高めていることを示しています。

また、同社が継続的にROICをWACC以上に維持していることは、資本を効率的に活用し、収益性の高い投資を実現している証拠です。現在のROICは8.33%であり、過去5年間の中央値よりやや低いものの、直近のWACCである7.31%を上回っており、引き続き価値創出が続いていることがわかります。

さらに、同社のROICの過去最高値は26.57%に達しており、収益性の高い時期と資本の効率的な運用があったことを示しています。総じて、同社の財務戦略と資本管理は持続的な経済価値の創出を促進し、長期的なステークホルダーに利益をもたらしているといえます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)の配当に関して

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)は、安定した配当成長率を維持しており、過去5年間の配当成長率は5.10%、過去3年間では5.90%となっています。しかし、今後3〜5年間の配当成長率の予測は1.86%と控えめであり、市場環境の変化や戦略的な調整を反映している可能性があります。

同社の予想配当利回りは7.10%と高水準で、過去の中央値である4.51%と比較しても魅力的です。しかし、配当性向は85.0%と高く、利益の大部分が株主に還元されているため、将来的な成長や経営の柔軟性が制限される可能性があります。

また、同社のEBITDA有利子負債倍率は3.58倍となっており、中程度の財務リスクを示しています。これは、危険水準とされる4.0を下回っているものの、業界の基準を考慮すると慎重な監視が必要です。

そして、次回の権利落ち日は2025年3月10日に予定されています。四半期ごとの配当支払いスケジュールを考慮すると、今回の権利落ち日も過去のパターンと一致しています。

総じて、同社は魅力的な配当を提供していますが、高い配当性向と中程度の負債水準を考慮すると、将来的な配当成長は、利益の大幅な増加や負債削減がなければ制約を受ける可能性があるでしょう。

予想配当利回り:7.10%

配当性向:85%

配当カバレッジ・レシオ:0.79倍

過去5年間の配当成長率: 5.10%

EBITDA有利子負債倍率:3.58倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)のバリュエーションに関して

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYBの現在の株価は75.09ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である80.47ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が6.69%となっていることから、やや割安である可能性が示唆されています。

また、予想PERは12.44倍で、直近12か月(TTM)ベースの実績PERである18.09倍よりも低く、将来的な利益成長が見込まれていることを示しています。この値は、10年中央値の9.31倍に近く、過去最高値の25.64倍と比較すると適正水準にあると考えられます。

また、直近12か月(TTM)の実績ベースの株価売上高倍率(PSR)は0.61倍で、過去10年間の最低値である0.43倍に近く、最高値の1.41倍と比べて割安な水準にあります。これは、株価に対して売上が比較的堅調であることを示唆しています。一方で、実績ベースのEV/EBITDA倍率は9.42倍となっており、過去10年中央値の6.72倍を上回っています。これは、過去の水準と比較してやや割高である可能性を示しており、今後の業績改善が評価を正当化するか慎重に見極める必要があります。

さらに、実績ベースの株価純資産倍率(PBR)は1.95倍で、過去10年の最低値である1.74倍をやや上回る水準にありますが、資産価値とのバランスを考慮すると妥当な評価といえます。加えて、株価フリーキャッシュフロー倍率は12.42倍で、やや割高感はあるものの、キャッシュフローの質を考慮すれば許容範囲内といえます。

一方で、市場のアナリストの見解は慎重ながらも楽観的であり、目標株価の平均値は85.39ドルに設定されています。これは、過去数か月よりやや引き下げられているものの、安定した成長期待を反映しています。アナリストの評価や目標株価の数も一定の関心とカバレッジが続いていることを示しており、投資家にとって監視を続けるべき銘柄であると考えられます。

総合的に見ると、同社の株価はやや割安であり、安全余裕率も確保されています。ただし、今後の業績改善が期待どおり進むかどうかが、現在の評価が正当化されるかどうかの鍵となりそうです。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)のリスクとリターンに関して

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYBのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まず、同社は、投資を検討する際に考慮すべきいくつかの課題を抱えています。まず、粗利益率が年間平均-5.1%のペースで低下しており、さらに営業利益率も過去5年間で-7.7%と大きく減少しています。これは、事業運営の非効率性やコスト増加が、売上の成長で相殺されていないことを示唆しています。

また、配当性向が85%と高く、利益の大部分を株主に還元しているため、今後の利益が減少し続けた場合、現在の配当水準を維持するのが難しくなる可能性があります。さらに、過去3年間の1株当たり売上の減少は、財務面での課題を浮き彫りにしています。

財務の健全性を示すアルトマンのZスコアは2.5となっており、財務的なストレスが一定程度ある「グレーゾーン」に位置しています。このため、今後の動向を注意深く監視する必要があります。

一方で、同社には潜在的な投資価値も見られます。最近のインサイダー取引では、過去3か月間で3,750株の買い増しが行われており、経営陣や関係者が同社の将来に自信を持っている可能性があります。また、ベニッシュのMスコアは-2.73となっており、財務報告の粉飾リスクは低いと判断されています。

さらに、株価売上高倍率(PSR)は過去2年間の最低水準に近づいており、割安感がある可能性があります。また、予想配当利回りは過去3年間で最高水準に達しており、配当収入を重視するインカム投資家にとって魅力的な水準です。

総合的に見ると、同社はリスクと投資機会の両面を持ち合わせており、慎重なアプローチが求められる銘柄と言えるでしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)の過去1年間のインサイダー取引の動向を見ると、取引は限定的でありながら、やや買いの傾向が見られます。直近3か月間では、1件のインサイダーによる同社株式の購入があり、売却は行われていません。これは、慎重ながらも前向きな姿勢を示していると考えられます。

また、過去6か月間では2件の購入があり、売却はゼロでした。このことから、インサイダーの信頼感が一定の水準で維持されていることがうかがえます。しかし、1年間全体で見ると、1件のインサイダーによる売却があり、一部の利益確定やポートフォリオのリバランスが行われた可能性があります。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.98%と控えめであり、経営陣による直接的な影響力は限定的ですが、個人的な投資意欲は一定程度あると考えられます。一方、プロの機関投資家の保有比率は71.84%と大幅に高く、同社の株式は機関投資家の強い信頼と支配力のもとにあることを示しています。

全体的な傾向としては、売却がほとんどない安定したインサイダーの買いパターンが見られ、社内関係者による概ね前向きな見通しと、プロの機関投資家による強い支持が確認できる状態にあると言えます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)の流動性に関して

ライオンデルバセル・インダストリーズ(LYB)の直近の営業日の取引量は1,928,511株であり、直近2か月間の1日平均取引量である2,657,906株を下回っています。これは、取引活動の減少を示しており、投資家の関心が低下している可能性や、市場の変動による影響を受けている可能性があります。

一方で、ダークプール指数(DPI)は73.8%となっており、一般的にDPIが50%を超える場合、大量の取引がダークプール(非公開市場)で行われていることを示します。ダークプールは、大口投資家が市場価格に大きな影響を与えずに取引を実行できるプライベート取引所の一種です。DPIが高いことは、プロの機関投資家によるオフマーケット取引の存在を示唆しており、戦略的な買いや売りが行われている可能性があります。

総合的に見ると、同社の流動性は比較的安定していますが、取引量が過去の平均を下回っていることから、市場の関与が一時的に低下している可能性があります。一方で、高いDPIは機関投資家による取引の影響を反映しており、今後の市場動向や投資家心理に応じてさまざまな影響を及ぼす可能性があります。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


加えて、インベストリンゴのインカム・高配当株担当アナリストであるヴェンカット・ ラガーヴァン氏が、同社に関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。

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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当

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